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第31話 ネタバレ

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 やはりNPCだった。璃緒は苦笑いを浮かべていた。オウム返しばかり……している。すごいシュールだよな。

 とはいえ、どこに行くかが決まったのは幸いだ。

「評判で文句言われてるダンジョンあるある。全体的に配慮が足りない。難易度抜きにして、何をすればいいかがわからなかったり、配慮が足りない傾向があるのよね」

 璃緒は、配信者としていろんなダンジョンを歩いてきてそう言った経験が豊富なのだろう。とりあえず、手掛かりがそこにしかない以上行くしかない。あるだけまだマシだったというべきか。

 そして、俺たちはダンジョンへと進んでいった。
 森を超え、レーロル洞窟と飛ばれる洞窟へ。薄暗い洞窟の中、前方を見るとほかの配信者もいる。

「ここ、魔物がいるぞ」

「気配がするのじゃ」

 その言葉に雰囲気がピリッとなる。
 証拠に時折、弱い魔物と遭遇。3人で倒していく。ゴブリンとかコボルトが数匹。
 薄暗いダンジョンを進みながら、ネフィリムが話しかけてきた。

「予想通りじゃ、この世界になじめなそうなやつらがいっぱいおる」


「確かに、ゴブリンもコボルトも狂暴だったり素行が悪かったりでまともに社会に溶け込めなさそうだよな」

「ああ」

 向こうの世界で戦ってきたが、コボルトは村を襲って家畜、場合によっては人食いまでする凶暴な奴らだし、ゴブリンは暗いところにいて集団で襲い掛かってくる。どれだけ教育してもそれが治ることはなかったな。別の世界で、生かしておくしかないのか。難しい問題だ。そんなことを考えていると、璃緒がそっと手を挙げてきた。

「あの……質問いいですか?」

「何?」

「さっきから話の内容がつかめないんですけど、どういったことを話しているんですか?」


 璃緒がきょとんとしてこっちを向いてくる。そうだ、璃緒は俺とネフィリム、異世界のことを知らない。

 しまった、気に留めてなかった。えーと、配信は切ったままだったな。
 う~~ん、どうやってはなそうか。考えていると、ネフィリムがご機嫌そうに話しかけてきた。とりあえず、配信切っといた方がいいか。

「璃緒、一旦配信切って。大事な話だから」

「わかりました」

「実は、わらわと澄人はな~~」

 ネフィリムが、自慢げに話し始めた。
 自分と俺の関係、そして異世界のことも……全部言っちゃったよ。配信切っていたのが幸いだったものの、璃緒は驚いて口元を手で押さえて言葉を失っていた。

 そりゃあ驚くよね……。そして、数十秒ほどたつと正気に戻ったのか言葉を返し始めた。

「そうだったんですね……2人とも、戦い方を見て芯の強さを感じていました。私達のような見せるものではなく、絶対に負けない戦いをしているなって思ってました。本当に驚いてます。そんな戦いを、していらしたんですね」

「ああ。でも、そこまでわかるの?」

「私は、習い事でサッカーとかスポーツをやっていたからわかります。相手の真剣さの具合とか、必死に戦ってるんだなとか。お2人からも、真剣な時間を過ごしてきたもの特有の顔つきやそぶりを感じていました」

「璃緒殿は話が早くて助かるのじゃ」

「うん。どう説明しようか悩んじゃったけど、拍子抜けしちゃった」

「まあ、こんなダンジョンが現れたこと自体それ以前から見れば不思議ですし──大丈夫です」

 とりあえず、信じてくれてよかった。それから、話はダンジョンの魔物たちの話題に戻る。

「まともに教育されずに育って、善悪という概念がないとうか……自分の利益のためなら周囲を裏切る、決まりを破る。平気で暴力に走る。これで一般社会になじめると思うか?」


「まあ、溶け込めないな」

 多分、どこの世界に行っても社会に溶け込めなくてはじかれると思う。そんな奴に居場所はないだろうし、もし充てるとしたらそれは俺たちの世界で言う反社のような存在だろう。


「そんな奴に、教育をしたり役割を与えたりするのも役割じゃった。そういうやつらはどこへ行っても同じ目に合うからのう」

「流石は周囲をまとめていた人って感じです。面倒見が良くて、自分が去った後のことも考えている。だから、ネフィリムさんは慕われているんだと思います」

「ありがとうなのじゃ」

 魔王は魔王で、大変だったんだな。考えてみればそんな奴らばかりネフィリムみたいなところに来たんだよな。
 一見明るそうに見えるけど苦労人なんだな。なんだか、ネフィリムに対する考えが変わった。

「世話をするのも、大変に困っとるじゃろうが」

「そろそろ、配信しなくていいのか? あまり配信を止めると、お楽しみをしていたとかあらぬ疑いを掛けられるぞい」


「確かに、お楽しみはともかくあまり配信を止めると心配されますね」

 そして、璃緒は配信を再開。俺も慌てて配信を入れた。

「ごめんね~~機械が調子悪かったみたい。何とか調子治った」

「すいません、機械の調子が悪かったみたいで、再開します」

 コメントからは、同情の声。
 そして、俺たちはさらにダンジョンを進んでいく。ネフィリムにもネフィリムの苦労があったんだな。
 なんというか、彼女を見直した。いいところあるじゃん。


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