~~異世界帰りの最強勇者~~  なぜか理不尽だらけのクソダンジョンで実力を発揮。助けた美少女配信者や元魔王様から好意を受けバズってしまう

静内燕

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第16話 ファイナルソウル

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 コメントが勢いよく流れ、同接の数字が一気に3000、4,000と上がっていく。とりあえず、お礼言わなきゃ。身バレ防止のため音声だけ配信できるモードにしてから配信し始める。

「えーと、皆さんコメントとチャンネル登録ありがとうございます。これから、ダンジョンに潜ります」

“お、声が聞こえた”
“待ってるぞ”
“お前の実力、見せてくれよな”
“頑張ってくれよ”

 ただでさえ追いきれないくらいのコメントの流れがさらに加速する。これまでと違い、期待されるんだ。しっかりと答えていきたい。

 アプリでネフィリムから教わった「ファイナルソウル」のURLを入力して──ダンジョンへ向かう。

 一瞬体が光って、目の前が真っ白になる。数秒もするとそこはダンジョンの入り口。
 天井のランプだけが根源の、広い洞窟の中。周囲を見ると冒険者がちらほら。

「まだ、知名度が少ないのか人気が少ないな」

「そうなのか?」

「ああ。いつもなら入り口に看板があって冒険者も個々の数倍入る。配信者があいさつしていたりしてる」

「じゃあ、わらわ達もしようぞ」

「そうだな」

 とりあえず、配信始めよう。同業他社がいないというのは、ライバルが少ないということだ。チャンスでもある。スマホを操作して、実況モードに入る。カメラをこっちに向けてあいさつ。

「今、ファイナルソウルのダンジョンの入り口にいます」

“意外とイケメン”
“悪くないな”
“早くお前の戦いを見せてくれ、応援してるぞ”
“楽しみだな。ソロプレイでドラゴンとか狩るんだろ”

「こ、コメントありがとうございます」

 初めてのコメントの波。緊張して思わず噛んでしまう。すると、そばにいたネフィリムが隣りに寄ってくる。柔らかい二の腕がプルンと当たる。

「そうだ、わらわも挨拶せねば」

「このスマホを通して、色々な人が見てる」

「わかったぞ。オホン──わらわはネフィリム。某ダンジョンの魔王じゃが、わけあって今は澄人と行動しておる。これから、澄人とコラボしてダンジョンへ潜るのじゃ」

 そういって、カメラに向かってご機嫌な表情で手を振った。
 こういった外受けを良くする手段を心得ているんだろうな。そうしないと、周囲からの支持を得られないし。

 コメントは──もう絶賛の嵐だった。

“かわいいいいいいいいいいいいいいいい”
“おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい”
“【悲報】元底辺実況者彼女持ち”
“もっとおっぱい見せてくれ”
“からすみ爆発汁爆発汁爆発汁爆発汁爆発汁爆発汁”

 実況がさらに祭り状態になる。お前ら──本能むき出しにし過ぎだ。確かにかわいいけど。

「じゃあ澄人、共にダンジョンの中へ行こうぞ」

 そうだ。さあ行こう。
 俺たちはダンジョンの中を進み始めた。ネフィリムはぎゅっと手を握ってくる。冷たくてやわらかいな。女の子の手を握ったのは、小学校のころ幼馴染の加奈と遊ぶときに握った時以来だ。

 そして、周囲を見てみる。ネフィリムはぎゅっと手を握ってくる。冷たくてやわらかいな。女の子の手を握ったのは、小学校のころ幼馴染の加奈と遊ぶときに握った時以来だ。

 そして、周囲を見てみる。
 ダンジョンの中、歩くしかないと思いしばらく歩いたる。

 低級モンスターを何匹か倒すと、前方に出口発見。
 自然と早歩きでダンジョンの出口にたどり着くと、そこは村になっていた。

 大きな山々や森に囲まれた田舎ともいえる小さな村。簡素な木造の建物が何十件と存在している。


“RPGの最初の村みたいだな”
“わかる。始まりの場所って感じ”
“それにしても安っぽい作りだな……”

 剣や槍を持った同業者らしき人がちらほら。それから、村人らしきファンタジー風の人が村を歩いている。

 その区別は見てすぐに気が付いた。

「やっぱり色々とチープだな」

「そうじゃのう」

 そこら中にモブともいえる人がいるのだが、顔が昔のゲームみたいな感じになっている。
 安っぽいポリゴンみたいに表情は変わらない。顔のパーツが似通っていて若い人なら若い人、老人なら老人で服装なども含めて使いまわしているのがわかる。

「あれはなんじゃ?」

「生きてる人間じゃない。ダンジョンの中で作られたゲームで言うNPCのようなものだと思えばいい」

「NPCはこの世界の予習で習ったぞ」

“初代プロステかな?”
“セグサターンかな?”
“63かな?”
“30年位前のゲームでありそう”

 コメントからもこの通り。NPCだなあれは。
“なんか安っぽいな”
“使いまわし手抜き”
“これクソダンジョンオブザイヤーいけるんじゃね?”
“モンスターのバランス次第ではありえるありえる”

 やはり評判は良くないみたいだ。
 歩いていてもらちが明かない。誰かに話しかけているか。
 とはいえ一人一人話しかけるのも時間がかかる。誰に話しかければいいのか──。

 考えていると、ネフィリムが肩を叩いてきた。



「あの老人、動きがおかしいのじゃ」

「ほんとだ」

 ネフィリムが指を向けた先。そこには杖をついた一人の老人がいたのだが、動きがおかしい。
 昔の十字キーのゲームのキャラクターの動きに近い。2Dダンジョンマップのキャラクターを操作しているときに十字キーを素早く回した時のような動き。くるくると、不自然に回転していた。

 あれに話しかけろってことか? わからないが他に手がかりもない。
 とりあえず、話しかけてみよう。ダメならしらみつぶしに行くしかない。とはいえなんて話せばいいのか。

「あの、えーと」

「あの森のダンジョンに、薬草があるのじゃ」

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