~~異世界帰りの最強勇者~~  なぜか理不尽だらけのクソダンジョンで実力を発揮。助けた美少女配信者や元魔王様から好意を受けバズってしまう

静内燕

文字の大きさ
上 下
3 / 99

第3話 Sランクパーティー

しおりを挟む
 目的のダンジョンへと到着。薄暗くて広い場所。まだ最上層──周囲を見回すと、弱そうな敵だったり、見たこともない無名の冒険者ばかりだったり。

 ここにいてもしょうがない──相棒の聖剣「クリムゾン・ハート」を召喚しダンジョンの奥へ潜っていく。とりあえず配信もしておこう。何かあった時証拠になるし、行方不明になった時にここで姿が消えたとわかる。

 スマホを起動して胸のあたりの差込口にセット。

 雑魚敵のコボルトやオークを次々と倒していき、地下10階ほど。周囲に人の気配はない。遭遇する魔物はだんだん強くなりAランクレベルでないと倒せないような奴も増えてきた。

「グォォォォォォォォォォォォォォ」

 大きく叫んで襲ってきたドラゴンを一瞬で対処。切断した首が地面に落下。
 そして、さらにダンジョンを進もうとしたその時だった。

「ちょっと、こんなところでどうしたんですか?」

 背後から誰かが話しかけてきて、驚いて振り向く。

 そこには4人の配信者がいて、腕を組んでこっちを見てくるひとりの女性に視線を奪われた。
 細身の体系に大きな胸。ピンクの癖のあるロングヘア。そして、露出度が高く胸元や肩を露出させるような服。

 美人という言葉を体現したような美貌をした女性。そう、彼女こそがNO1配信者「香純璃緒」。美貌、実力、統率力すべてが配信者界隈で最強と言われる存在。

「えーと、君。大丈夫ですか?」

「大丈夫……です」

 思わず豊満なおっぱいに目がいきそうになり、慌てて視線を顔に戻した。

「変な視線向けてるんじゃないわよ」

 そして、後ろにいた金髪の女の子にとがめられる。彼女と男2人は、璃緒のパーティー仲間。3人とも璃緒の仲間に恥じない実力を持っている。
 俺は声をかけられていることも忘れて、憧れのNO1配信者に会えた感動して戸惑ってしまう。

「えーと」

「ああ、すまんすまん。まさかNO1配信者に会えるなんて思ってなくてな。驚いちゃった」


 彼らはみんな俺と同じ高校生、もしくは大学生。
 俺と同年代とはいえ、彼女はダンジョン動画配信では天の上にいるような存在。
 その動画は非常に人気がある。4人の強さやコンビネーションもさることながらトークスキルも一級品。多分、配信者という仕事ができる前でもアイドルとして十分に活躍でできるだろう。

「まあ、私達にあったんだものね。そういう反応するのも無理ないわ」

「そう……ですか。その、さきほどもお尋ねしましたが、こんなところで何を? ここはまだわたしたち以外は誰も立ち入っていない未踏査の最下層なのですが……」

 ピンクの髪をなびかせながら、かなり不審そうな目で俺を見ている。


 他の奴らも一緒に俺のことを見ている。最強の弓使い──それだけでなく弓を使った近距離戦闘もできるオールマイティさと高い精度の弓矢の制度を兼ね備えた男「竜二」。

 金髪でつんつん頭。イケメンで女性ファンも多い。

 幸洋
 黒髪でスポーツ刈り。物理攻撃の強さに定評があり、璃緒と一緒に前線で大活躍をする男。
 筋肉質で自分の力に絶対の自信を持っている。
 彼ももちろんAランク相当の実力があり、筋肉好きの女子からの人気は高い。

 優愛

 後方から遠距離攻撃で璃緒や幸洋をバックアップしている。
 小柄で肉弾戦は苦手なものの高い魔力で爆発的な威力の攻撃を放つ。

 金髪で、子供みたいな容姿だが棘のある言葉使い。
 そのギャップに魅了される男子は多い。おまけに愛想もよくトークも上手い。


 どれもAランク相当の実力を持つ凄腕の実力者だ。多分、俺とも対等に渡り合えると思う。俺から見ればはるか上にいる存在。魔王がいるといっても、どうするか。

「なにか、ここに用事でもあるんですか?」

 璃緒に詰められて、しばし考える。

 時間だけかけて、最下層まで来ても大したモンスターも素材も出現しないことは明白だから、誰も奥まで来ないのだろう。おまけに、戦っていておかしいと思うところもある。
 実際、俺も一応未踏査となっているこのダンジョンの最下層に行った。とりあえず動画配信したけど、全然再生数伸びなかったよな……。
 とりあえず、解釈しないと。

「えっと、最深部に行った帰りでさ、そこで動画配信してた。再生数はクソでしたけどね」

 右手を頭の後ろに当て、苦笑いをしながら何とかこの場を切り抜ける。彼女たちが配信中ということは、何万人という人がこの実況を見ているはず。下手なことを言って、炎上させるわけにはいかない。
 無難に切り返せた。


「なんだよ……」
 4人は、互いに顔を合わせながら何か相談のようなものをして話している。もしかして、俺を力づくで排除とかか? 負けはしないだろうけど、大炎上しそうだ。「4人の親切を裏切った」とか言われて。

 とりあえず話を聞いてみるか。

「ここさ、ダンジョンにトラップがあるんじゃないかな? それでこの人、こんな最下層まで来ちゃったとか?

「ああ、あり得るわね。それだと情けなくて格好がつかないから自分の実力で来たってハッタリかましてるのよきっと」

「ほら優愛、そんなこと言わないの。──ただ、もしかしたらこの方は初級者なのかもしれません。それで突然こんなところに来させられて混乱しているとか。装備を見る限り、初級者の方でしょうし……」
 俺の全身を一瞥すると、気の毒そうな表情を浮かべる。

 そうか……まあ確かに今着ている服装はこのダンジョンでの初期装備を俺なりに改良した奴だ。


 実際には元の世界から持ち帰った装備の数々——ラグナロクシリーズやスターダストシリーズ一式などなど——を保有しているが、さすがにそれをこのダンジョンで着込むのはなあ……。だから聖剣以外は初期装備のまま。それでも戦えてるし不便を感じないから戦っているのだが。

 見たこともない武器を使っていて変に思われるだろうし。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

処理中です...