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ローデシア帝国編

そして、俺達は最後の舞台へ

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「ごめん、スキァーヴィ。あなたが想像しているような行為は、出来ない」


 俺は残っている理性を総動員させ、スキァーヴィをじっと見ながら言葉を返した。
 本当は心が優しい女の子で、見た目だけでなく性格的にも魅力的な異性であることに変わりはない。


 スキァーヴィは、はっと冷静さを取り戻し、。つぶやいた。

「──ダメそうね。もういいわ」



 けれど、俺にはフリーゼがいる。
 フリーゼを裏切るなんて、絶対にできない。
 すると──。

「フフッ、よく耐えたじゃない」

「まあね」

 スキァーヴィは、にやりと笑い、俺に迫ってくる。

「じゃあ、強引に──振り向かせてあげる」

 そう言うと、俺に絡みついてきた。
 裸のまま、ぎゅっと抱きついてきて襲い掛かる。

 俺は懸命にもがいて何とかしようとするが──。

「甘いわよー。その程度じゃ、私から逃げられないわ!」

 その通りだった。スキァーヴィに、組み伏せられてしまう。

 力が強いのもそうだが、力の使い方も非常にうまい。

 俺が必死にスキァーヴィからの慣れようと必死にもがくが、スキァーヴィはその動きにうまく対応して組み伏せられてしまう。

 結果、一方的に体力を消耗させられるだけで全く逃れられない。そして息が上がって動けなくなってしまう。

「欲望に身を任せないんだ~~。偉いわねぇ──。フリーゼさんがいるもんね。私なんかと、繁殖行為をするわけにはいかないってことね」

「そ、そうだ。あなたと、そんな行為はできない。だかr──」

「でも、あなたの心は強がっても、あなたの本能と息子さんはとっても正直。さあ、二人で愛の営みを

 ぎゅっと体を密着させる。スキァーヴィの柔らかくて、引き締まった身体。

 まるで麻薬の様に俺の理性を溶かしていく。
 そして──。


 キィィィィ──。

 いきなりドアが開いて。取っ手を掴んで現れた人物に思わず顔面蒼白。

「フライさん。はいりま──」

 フリーゼが、そう言いかけ、体がフリーズする。
 フリーゼが、フリーズ。
 この状況で、一番会いたくない人に、出会ってしまった。

 というか、全員いた。

 全員、予想できない事態だったのだろう。俺達の生まれたままの姿を見て、表情を失っていた。

 俺は──土下座をし、地面にめり込むくらい頭を付ける。

 そして、ヒョイと顔を上げると。

「スキァーヴィ、なんで?」

「ごめん、しっかりと理由を離すわ」

 スキァーヴィが立ちはだかるように俺とフリーゼたちの間に立つ。もちろん全裸のまま……。
 レディナが、額に右手をつき、ジト目で言葉を返す。

「理由は聞くわ、とりあえず服を着て」

 そしてスキァーヴィはすぐに服を着て、さっきまでのことの顛末を説明した。

「そうよ。私が押し倒して、絡みついたの。フライは何もしてないわ。まだ──ね」

 挑発的な笑みで言い放つスキァーヴィ。

「待て、意味深な言葉を言うのはやめてくれ。間違いなんてしないから」

 俺は必死に説明をするが、フリーゼたちがそれを信じてくれるかは別だ。
 たとえ理性で理解してくれたとしても、感情が理解できないことだってあるだろう。
 さて──。

 レディナは、ジト目で、俺を見つめている。

「さあ、どうだかわからないわ」

「バレなきゃやってもいいって思ってたりして」

「そうだフィッシュ。本当はお愉しみの時間にするはずだったフィッシュ」

 レシアとハリーセルは、からかうような笑みを浮かべて言う。しかし、フリーゼたちはこんな痴話げんかをしに来たのではない。

 本来の話に早く戻りたいと思ったのか、フリーゼが締めくくるように一言。

「……信じますよ、もう」


 ぷくっと顔を膨らませながら。


 そして俺は服を着替え、カーペットに円を囲むようにして座り込み話し合った。


 まずは、俺が倒れてからのことを聞いた。
 街を魔物が襲ったが、スキァーヴィが倒したとのこと。

 街は平和になり復興作業に入っているらしい。

「とりあえず、私は復興作業を手伝うわ」

「そうなのかでも、俺達は──」

 復興作業を手伝いたい気持ちはある。外を見ても、倒壊した建物がかなり多い、大変な作業になりそうだから。けれど──。

「天界に、早く行かなきゃ」

「そうだね……」

 レディナの言葉通りだ。行って、ツァルキール様に会って、訴えてなければいけない。

「わかってるわ。こっちは何とかするから、あなた達は安心して天界に行きなさい」

 スキァーヴィがウィンクして言った。

「わかった。そっちは任せるよ」

「任せて、あなた達は安心して天界に行きなさい」

 天界に行く。そう考えるだけで、どうしても構えてしまう。

 完全に敵のアウェーだ。どんなリスクがあるかわからない。
 それでも、行かなければ何も解決しない。

 行かない理由なんて、存在しない。

 それに、俺はともかくフリーゼたちはツァルキールの仲間だ。殴り掛かったりでもしなければ、そう無下には扱わないだろう。

「ということで、体力が回復したら出発するから、その時はよろしくね、ソルト」

「わかりました」

 ソルトはキリっとした表情で首を縦に振った。

 これで、準備は整った。後は、回復を待つだけ。
 そして一息つくと、スキァーヴィがほっと一息ついて、頭を下げた。

「皆さん、本当に、ありがとうございました」


「皆さん、本当に、ありがとうございました」

 今までのような暴君とのイメージとは正反対ともいえる、か細くて、弱々しい声色。

「あなた達のおかげで、私は立ち直りました。これから、この国のために、国民のために、精一杯尽くしていきます」

「こっちこそ、期待してるよ」

 俺はそっと言葉をかけると、スキァーヴィはフッと笑みをこぼした。
 彼女が本心を取り戻してくれて、本当に嬉しい。

 最初はちょっと戸惑ったけれど、何とか話はまとまった。

 最後の戦い──どんな戦いが待っているのか、わからない。けれど、精一杯ツァルキールに訴えていこう。


 今の自分たちの想いを──。






 その後、俺達はスワニーゼたちと激闘を繰り拾えた場所に再度移動。
 天界の扉の前でソルトが左手をかざすと、彼女の左手が真っ白に光始める。

「今、開きます」

 ソルトの言葉通り、何十メートルもあった大きな両開きの扉がゴゴゴ──と大きな音を立て、開く。


 扉の先は、眩しいくらいの真っ白い光。

「この先が、天界です」

「ありがとうソルト」

 そして俺はごくりと唾をのみ、歩を進める。

「行きましょう、皆さん」

「──そうね」

 天界、この先に何が待っているか、俺にはわからない。
 けれど、フリーゼも、みんなもいる。

 彼女達がいれば何も怖くない。どんな事も乗り越えられるって、心の底から思える。
 仲間達を信じて、行こう。


 最後の戦いへ──。



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