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ローデシア帝国編

そして、地下へ──

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 街の中央にある大聖堂。スワニーゼが祭司の人に話しかけると、しばらく話してから俺たちの元へ戻ってくる。

「入って、大丈夫だそうよ」

 そして俺たちは大聖堂の中へ。
 神秘的な礼拝所を通り過ぎると、狭い螺旋状の階段で地下へと下る。
 先頭を歩いているスワニーゼが持っているランプだけが頼りの真っ暗な埃かぶった道。
 それを一列にしばらく歩いていると、階段が終わった先に扉があった。

 さっきの大聖堂を思わせるような神秘的な幾何学模様をした、濃厚な鋼鉄で出来た両開きの扉。

 南京錠がかかっている。

「開けます──」

 スワニーゼがポケットから鍵を取り出し、かちゃりと鍵穴へ入れ、鍵を開けようとする。
 鍵が開いて、両開きの扉を押して先へと進む。

 先頭にソルトを歩かせ、彼女を守るように俺たちが周囲に警戒を配りながら歩く。
 さっきまでのような暗い道を再び歩き、再び道を歩く。

 しばらく歩くと、大きな部屋にたどり着き、その奥に再び扉。
 今回は、さっきより大きく、重厚感がある。

 そしてソルトが扉に手をかざした。

 ソルトは体に魔力を込めたのか、体がうっすらと青白く光る。

「行きます!」

「鍵が──違う?」


 スワニーゼが慌てて鍵をガチャガチャと上下左右に動かすが、鍵はびくともしない。
 すると──。

 ビィィィィィィィィィィィィ──。

 耳が破裂しそうなくらいの音がこの場全体に鳴り響き、俺達はたまらず耳をふさぐ。

 そして、それが終わると、後方から声がした。

「引っかかったな……」

 ここにいる全員が後方を振り向く。

 そこにいるのは、赤い髪のロングヘアに、天使特有の白いワンピースの服。
 やや釣り目な瞳に、挑発的な笑み。

「熾天使、アズレイル……」

 呟いたのは、レシアだった。

「ニセ鍵とすり替えていたことにも気づかず、ホイホイ引っかかってくれちゃってよぉ」

「なんでお前が、ここにいるんだ」

「なんだよ、レシアじゃねぇか。こりゃ楽勝だな」

 アズレイルはレシアを指さすなりにやりとあざ笑う。その姿に、俺はイラっと来た。

「待て、レシアをそんなふうに言うな」

「言うなって、本当のことだろ。自分のスキルすら使いこなせないクソザコ野郎じゃん。

「お荷物確定だな。楽勝楽勝!」

「あんた、後悔するわよ」

 レディナの注目に、アズレイルは耳を貸さない。二人は以前にもあったような感じみたいだ。何があったんだ、二人の間に。
 すると、隣にいたレディナが耳打ちしてくる。

「因縁があるのよ。アズレイルは、未熟だったレシアをずっとあざ笑い、バカにしていたの」

「なるほど……」

 レシアにとっては、因縁の相手だということか。

「じゃあ、とっとと終わらせてもらうぜ!」

 そう言ってアズレイルはピッと指をはじいた。
 すると、灰色の光が一瞬この場を包む。そして──。

 ヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!

 俺の背丈の数倍の大きさを持つ怪物が出現。

 出現したのは、二足足の筋肉質な牛の怪物あれは、ミノタウロスだ

 ミノタウロスは大きな咆哮をあげ──。

「わ、私──」

 ミノタウロスが何をソルトを目掛けて襲い掛かってきたのだ。
 俺達は慌ててソルトの方へと向かおうとするが、間に合いそうもない。

 そしてミノタウロスがその腕をソルトに向かって振り下ろした時──。


「スワニーゼ!」

 間にスワニーゼが割って入る。スワニーゼ、戦っているところを見たことないが戦えるのか?

「待ってください。そいつはの攻撃は簡単に受けきれません、死にますよ!」

 フリーゼが慌てて警告する。スワニーゼはギッと顔をしかめて、手をかざす。その瞬間、スワニーゼの体が一瞬だけ緑色に光った。
 そして──。


 ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!

 障壁を作った。出来た障壁にミノタウロスの振りかざした拳が直撃。障壁はミシッと音を立てたものの、スワニーゼとソルトを守り切る形となった。


「今の──」

 フリーゼがボソッとつぶやく。
 何かあったのだろうか……。しかし、悠長に考えている場合でもなさそうだ。


 そして、大きな怪物はこっちを向いて暴れだした。俺とレディナが何とか対応する。

「ハハハ、苦しめ苦しめぇ──」

 アズレイルが俺たちをニヤリと見下しながら笑う。
 すると、誰かが俺の肩をたたいてきた。

「フライさん」

「フリーゼ、何?」

「アズレイル、油断しているようなので、対応してきます。注意、ひきつけてください」

「わかった」

 そしてフリーゼはすぐにアズレイルの方へ向かう。

「まあ、レシアなんかがいるようじゃ、お前たちのレベルなんてたかが知れてるぜ」

 アズレイルが自信満々に俺たちにイキリ散らす。俺は彼女の後ろの人影を見て、何とかこっちに意識を向けさせようとさらに話しかけた。

「そんなことない。レシアは、強くなった。お前にだって、絶対に勝てる」

「ハイハイ、面白い面白い」

 アズレイルは、そんなことありえないとでも言いたげにケラケラと笑っている。
 見ていろ、その報いを、味合わせてやる──。

 そしてその間にもアズレイルの後ろにいる人影──、フリーゼはアズレイルのほぼ真後ろまでたどり着く。
 そのままアズレイルの右手に近づいて……。


 パッとアズレイルが持っていた鍵を奪い取ったのだ。

「……スキだらけです。策がはまったと思って、油断しましたね」
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