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ローデシア帝国編
正しかったのか、果たして──
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「スキァーヴィを、殺して、下さい」
その言葉に、俺もフリーゼも動揺を隠せない。
「待って、どういうことなの?」
「そうです、いきなりそんなこと言われても──」
いくらスキァーヴィが悪い奴だとはいえ、いきなりそんなことを言われると戸惑ってしまう。
裁判だってしなきゃいけないだろうし……。
「私は、弱いのでできません。家族が、人質に取られているんです」
家族──、よくあるパターンだ。家族を人質に取り、能力のある人間を意のままに操る。
確かに、スワニーゼには辛そうだ。ナイフを持っている手が、大きく震えている。
殺すという作業。その事実に恐怖に震える。
けれど、やらなかったら、スワニーゼの家族は……。
それに、ここで助けたとして、スキァーヴィは本当に言うことを聞くのだろうか……。
信用は全くない。
今回、二人ともギリギリの戦いだった。次も絶対勝てるなんて保証は全くない。
「責任は、私がとります。だから、お願いします。私は、怖くて手が震えて、出来ません。お願いします」
その言葉に思わずごくりと唾をのむ。
確かに、彼女の悪行を聞く限り、彼女はここで殺されても文句は言えないだろう。裁判になったとしても、高確率で死刑になる。
今はボロボロの状態のため助けをこいているが、彼女に力が戻れば、必ず復讐しに来るだろう。
悪政を行うやつというのは、そういうやつなのだ。
その時、スキァーヴィから人々を守り切れる保証はない。
感情を取り除いて、スキァーヴィを見つめる。
スキァーヴィは、俺が持っているナイフに視線を向けるなり、泣きじゃくり、体を大きく震わせ、叫んだ。
「助けて! 助けて! 助けて! お願い……こんなはずじゃないのよ。こうするしか、なかったの……。お願い、二人っきりで、話を聞いて。そうすればわかるから! 身体だっていくらでも差し出す。だから──」
「お前は、そう言って助けを求めたりした人を助けたのか? まさか、助けてと願った人たちの手を踏みにじって、命乞いをしてるんじゃないだろうな」
「違うの、違うの、違うの、仕方がなかったのよおおお」
言い訳もできないくらい、精神的に追いこめられている。
そして──。
ジョォォォォ──。
彼女の股から、液体が漏れ出る音がし始める。黄色い液体の水たまりが出来上がっていく……。
死の恐怖のせいで、体中が震え、極限状態になっているのが理解できた。
これも、彼女の演技なのか?
流石に殺すのをためらってしまう。
それでも──。
そしてフリーゼが俺の肩に触れる。
「何か様子がおかしいです……。ここは彼女を捕らえるという方向で……」
「うん」
そうしよう。いくら助かりたいとはいえ、演技をしているようには見えない。
すると……。
シュゥゥゥゥゥ──。
突然この場に真っ白い光柱が現れる。
そして、そこには一人の人物がいた。
「貴方は、セラフィール──」
フリーゼが、表情を失って囁いた。そこにいるのは、白い天使のような衣装を元っている。クリーム色の髪で長身。人間で言うと20代後半くらいに見える女の人。全身から魔力のオーラを身にまとっている。
俺は耳打ちして質問。
「誰?」
「セラフィール、精霊の一人です」
彼女も、精霊の一人……。
そしてセラフィールはお姫様抱っこのような形でスキァーヴィを抱える。
まずい、連れて帰るつもりだ。
「待て」
俺が彼女を追おうとすると、セラフィールはすっと右手を出す。
すると、彼女の前に透明な障壁が現れた。
俺はその障壁を破壊しようと剣を振りかざすが──。
「硬い……」
全力で振りかざしても、全くびくともしない。
その障壁は、今まで見てきたどんな障壁よりも固い。何度か攻撃を仕掛けたが、全く打ち破ることができない。
「さすがですね、フリーゼ。フライ。賞賛に値します」
「そんな言葉、不要です」
フリーゼの言う通りだ。
「変な誉め言葉はいいから、スキァーヴィも返せ」
「──それは、出来ません」
セラフィールの、達観したような表情。
そして彼女はピッと指をはじく。
その瞬間、セラフィールの姿消えてしまった。もちろん、抱きかかえていたスキァーヴィも。
俺はがっくりと膝をついた。
「捕えられなかった……」
「はい。しかし、あそこで殺めるのが正解だったのでしょうか──」
フリーゼが俺の隣に歩いてきて、遠目で話す。
その言葉、俺は言葉を返せなかった。
目を見ればわかる。その人が本当に心から叫んでいるのか。それとも、ただの演技なのか──。
俺がナイフを握って、スキァーヴィを見た時。
「イヤァァ──、イヤァァァァァァァッッッッッッ──」
スキァーヴィは間違いなく心から叫んでいた。決して演技なんかじゃない。
それを聞いて最後の最期で、迷ってしまった。
スキァーヴィにとどめを刺すことを──。
そして、逃げられた。
これは、正しかったのだろうか。
ただ、どう答え合わせをしようとも、事実は変わらない。
スキァーヴィを捕らえられなかった。
まだ、戦いは続くだろう。
その時、俺達は覚悟しなければいけないのだろうか。
彼女の命を、この手で奪う事を……。
果たして──。
その言葉に、俺もフリーゼも動揺を隠せない。
「待って、どういうことなの?」
「そうです、いきなりそんなこと言われても──」
いくらスキァーヴィが悪い奴だとはいえ、いきなりそんなことを言われると戸惑ってしまう。
裁判だってしなきゃいけないだろうし……。
「私は、弱いのでできません。家族が、人質に取られているんです」
家族──、よくあるパターンだ。家族を人質に取り、能力のある人間を意のままに操る。
確かに、スワニーゼには辛そうだ。ナイフを持っている手が、大きく震えている。
殺すという作業。その事実に恐怖に震える。
けれど、やらなかったら、スワニーゼの家族は……。
それに、ここで助けたとして、スキァーヴィは本当に言うことを聞くのだろうか……。
信用は全くない。
今回、二人ともギリギリの戦いだった。次も絶対勝てるなんて保証は全くない。
「責任は、私がとります。だから、お願いします。私は、怖くて手が震えて、出来ません。お願いします」
その言葉に思わずごくりと唾をのむ。
確かに、彼女の悪行を聞く限り、彼女はここで殺されても文句は言えないだろう。裁判になったとしても、高確率で死刑になる。
今はボロボロの状態のため助けをこいているが、彼女に力が戻れば、必ず復讐しに来るだろう。
悪政を行うやつというのは、そういうやつなのだ。
その時、スキァーヴィから人々を守り切れる保証はない。
感情を取り除いて、スキァーヴィを見つめる。
スキァーヴィは、俺が持っているナイフに視線を向けるなり、泣きじゃくり、体を大きく震わせ、叫んだ。
「助けて! 助けて! 助けて! お願い……こんなはずじゃないのよ。こうするしか、なかったの……。お願い、二人っきりで、話を聞いて。そうすればわかるから! 身体だっていくらでも差し出す。だから──」
「お前は、そう言って助けを求めたりした人を助けたのか? まさか、助けてと願った人たちの手を踏みにじって、命乞いをしてるんじゃないだろうな」
「違うの、違うの、違うの、仕方がなかったのよおおお」
言い訳もできないくらい、精神的に追いこめられている。
そして──。
ジョォォォォ──。
彼女の股から、液体が漏れ出る音がし始める。黄色い液体の水たまりが出来上がっていく……。
死の恐怖のせいで、体中が震え、極限状態になっているのが理解できた。
これも、彼女の演技なのか?
流石に殺すのをためらってしまう。
それでも──。
そしてフリーゼが俺の肩に触れる。
「何か様子がおかしいです……。ここは彼女を捕らえるという方向で……」
「うん」
そうしよう。いくら助かりたいとはいえ、演技をしているようには見えない。
すると……。
シュゥゥゥゥゥ──。
突然この場に真っ白い光柱が現れる。
そして、そこには一人の人物がいた。
「貴方は、セラフィール──」
フリーゼが、表情を失って囁いた。そこにいるのは、白い天使のような衣装を元っている。クリーム色の髪で長身。人間で言うと20代後半くらいに見える女の人。全身から魔力のオーラを身にまとっている。
俺は耳打ちして質問。
「誰?」
「セラフィール、精霊の一人です」
彼女も、精霊の一人……。
そしてセラフィールはお姫様抱っこのような形でスキァーヴィを抱える。
まずい、連れて帰るつもりだ。
「待て」
俺が彼女を追おうとすると、セラフィールはすっと右手を出す。
すると、彼女の前に透明な障壁が現れた。
俺はその障壁を破壊しようと剣を振りかざすが──。
「硬い……」
全力で振りかざしても、全くびくともしない。
その障壁は、今まで見てきたどんな障壁よりも固い。何度か攻撃を仕掛けたが、全く打ち破ることができない。
「さすがですね、フリーゼ。フライ。賞賛に値します」
「そんな言葉、不要です」
フリーゼの言う通りだ。
「変な誉め言葉はいいから、スキァーヴィも返せ」
「──それは、出来ません」
セラフィールの、達観したような表情。
そして彼女はピッと指をはじく。
その瞬間、セラフィールの姿消えてしまった。もちろん、抱きかかえていたスキァーヴィも。
俺はがっくりと膝をついた。
「捕えられなかった……」
「はい。しかし、あそこで殺めるのが正解だったのでしょうか──」
フリーゼが俺の隣に歩いてきて、遠目で話す。
その言葉、俺は言葉を返せなかった。
目を見ればわかる。その人が本当に心から叫んでいるのか。それとも、ただの演技なのか──。
俺がナイフを握って、スキァーヴィを見た時。
「イヤァァ──、イヤァァァァァァァッッッッッッ──」
スキァーヴィは間違いなく心から叫んでいた。決して演技なんかじゃない。
それを聞いて最後の最期で、迷ってしまった。
スキァーヴィにとどめを刺すことを──。
そして、逃げられた。
これは、正しかったのだろうか。
ただ、どう答え合わせをしようとも、事実は変わらない。
スキァーヴィを捕らえられなかった。
まだ、戦いは続くだろう。
その時、俺達は覚悟しなければいけないのだろうか。
彼女の命を、この手で奪う事を……。
果たして──。
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