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ウェレン王国編
唯一王 最後の力を振り絞る
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「だからどうした。これは、俺の復讐なんだよ。例えこの身が滅んでも、お前たちを抹殺してやる。これが俺の生きがいだ。俺の生きる目的なんだよ」
その言葉に、もう俺は反論しなかった。今のやり取りで、彼の強い意志を理解した。どれだけ声をかけても、彼には届かないだろう。
それくらい強い意志が、グランの心にはある。
昨日、クリムから聞いた。
グランはこの国の下級貴族の末っ子だった。貴族といっても極寒で貧しい土地を収めていて裕福な家系ではなかったらしい。
そして、王族たちに裏切りの容疑をかけられ、無実にもかかわらず皆殺しにあってしまった。奇跡的に生き残ったものの、行き場所などなく裏稼業へと落ちていったのだ。
そんな悲惨な過去があるグラン。恐らく、どれだけ説得しても、戦うのをやめないだろう。
死をも覚悟したグラン。それに答えるには、答えは一つしかない。
「分かった──。俺も、全力をかけて戦おう」
そう、こいつの気持ちの最大限答える方法は一つ。
真正面から戦って、こいつに勝利すること。ただそれだけだ。
するとクリムは俺の方を向いて、コクリとうなづいてから一言。
「本気で行くわ。作戦通り、お願い」
「わかった」
クリムもそれは、理解していたようだ。
俺も同じようにクリムに手をかざす。
味方に対してすべての物理、魔法攻撃を半減させる。レインボーベール。
味方の攻撃を1.5倍の威力にさせるスターフィールド。
これを同時に展開。クリムに、最後の力を託す。
トランとの死闘の後にこれをやるのは正直きつい。
それでも、今の俺にできる最善の手だ。
「クリム。俺の、最後の力を受け取れ!」
俺はほとんど尽き欠けた力を振り絞り、クリムに加護を発動。
彼女の体が淡いオレンジ色に光る。
「ありがとうフライ──。あんたの力、決して無駄にはしないわ」
クリムはこっちに振り向くと、フッと笑みを浮かべもう一度ゼリエル達に視線を戻した。
「さあ、覚悟しなさい! 全員、ぶっ飛ばしてやるわ!」
「洗脳を打ち破ったことはほめたたえましょう。しかし、これで終わりです──」
そしてクリムはグランへと突っ込んでいく。
グランも、それにこたえるかのようにクリムへと突っ込んでいった。
「さあ勝負だ。俺の復讐が勝つか、お前たちの力が勝つか、行くぞ!」
クリムとグラン。互いに何度も殴り合う。
威力自体は互角といった感じで、一歩も譲らない戦いが続く。
正直、トランとの激闘の後にクリムへの加護の発動はきつい。
体の力が抜けて、そのまま倒れこんでしまいそうだ。
しかし、弱音を吐いてはいられない。ようやく本当の自分を取り戻したクリムのため。
彼女の想いにこたえるためにも、俺は加護を供給し続けていく。
そして、互いの力がぶつかり合う。
小細工などない──、両者全力の力を相手にぶつけ、打ち破った方が勝つ。それだけ──。
そんな中で打ち勝ったのは──。
「あんたのくだらない復讐ごっこ。私が、打ち砕いてあげるわ!!」
クリムだった。クリムはグランの攻撃を打ち破り、無防備になった彼を思いっきり殴りつけた。
グランの体はそのまま後方へと吹き飛び、壁にたたきつけられる。
やはり強い魔力に体が耐え切れなかったようで、倒れこんだまま、体が崩れていく。
自らの最期を悟ったのか、俺達に視線を向けながらつぶやいた。
「復讐だけが、俺の生きがいだった……」
そしてトランの時のように、トランの肉体はゲル状に溶けていき、そのまま消滅してしまった。
「ほう、やるじゃねぇか──」
「ええ。しかし、人間ごときに、私達の力が敗れるなどあってはなりません」
ゼリエルとタミエルも、これは計算外だったようで、タミエルが一歩引いて警戒した目つきでじっと睨みつける。
「私達の力、受け取ってその強さを知りなさい!」
「お前たち、二人まとめて消し炭にしてやるぜぇぇぇぇぇぇ!!」
そして二人とも、クリムに向かって突っ込んでいく。クリムは一度振り返り俺に視線を向け、一言。
「行ける?」
「大丈夫。行ってこい!」
俺は自信をもってそう返した。大丈夫、今のクリムは、誰にも負けない。不思議と、そう信じられた。
クリムは再びゼリエルとタミエルに視線を向けた。
クリムは一気にタミエルに突っ込んでいく。
「あんた達なんかに、絶対に負けないんだから!!」
「それは、俺だって同じだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
タミエルは右手を上げる。するとその手が真っ白に光りだすと、その場所に白く光る剣が現れる。
クリムはそれに動じることもなく一気に急接近し、自身の剣を振り下ろした。
二人とも、下手な小競り合いなどしない。自分の全力を繰り出し、真正面から目の前の敵をうち滅ぼそうと本気で攻撃にかかる。
「あんたなんかに、負けるつもりなんてないわ!!」
勝負は、一瞬。
クリムの剣が立ち向かってきたタミエルの攻撃を一瞬ではじき返し、タミエルの体はそのまま後方に吹き飛ばされ、壁に激突。
あれだけあった魔力は一瞬で消滅し、勝負がついた。
「ク、ク、クソが──。まさかクリムなんかに負けるなんてよ……」
その言葉に、もう俺は反論しなかった。今のやり取りで、彼の強い意志を理解した。どれだけ声をかけても、彼には届かないだろう。
それくらい強い意志が、グランの心にはある。
昨日、クリムから聞いた。
グランはこの国の下級貴族の末っ子だった。貴族といっても極寒で貧しい土地を収めていて裕福な家系ではなかったらしい。
そして、王族たちに裏切りの容疑をかけられ、無実にもかかわらず皆殺しにあってしまった。奇跡的に生き残ったものの、行き場所などなく裏稼業へと落ちていったのだ。
そんな悲惨な過去があるグラン。恐らく、どれだけ説得しても、戦うのをやめないだろう。
死をも覚悟したグラン。それに答えるには、答えは一つしかない。
「分かった──。俺も、全力をかけて戦おう」
そう、こいつの気持ちの最大限答える方法は一つ。
真正面から戦って、こいつに勝利すること。ただそれだけだ。
するとクリムは俺の方を向いて、コクリとうなづいてから一言。
「本気で行くわ。作戦通り、お願い」
「わかった」
クリムもそれは、理解していたようだ。
俺も同じようにクリムに手をかざす。
味方に対してすべての物理、魔法攻撃を半減させる。レインボーベール。
味方の攻撃を1.5倍の威力にさせるスターフィールド。
これを同時に展開。クリムに、最後の力を託す。
トランとの死闘の後にこれをやるのは正直きつい。
それでも、今の俺にできる最善の手だ。
「クリム。俺の、最後の力を受け取れ!」
俺はほとんど尽き欠けた力を振り絞り、クリムに加護を発動。
彼女の体が淡いオレンジ色に光る。
「ありがとうフライ──。あんたの力、決して無駄にはしないわ」
クリムはこっちに振り向くと、フッと笑みを浮かべもう一度ゼリエル達に視線を戻した。
「さあ、覚悟しなさい! 全員、ぶっ飛ばしてやるわ!」
「洗脳を打ち破ったことはほめたたえましょう。しかし、これで終わりです──」
そしてクリムはグランへと突っ込んでいく。
グランも、それにこたえるかのようにクリムへと突っ込んでいった。
「さあ勝負だ。俺の復讐が勝つか、お前たちの力が勝つか、行くぞ!」
クリムとグラン。互いに何度も殴り合う。
威力自体は互角といった感じで、一歩も譲らない戦いが続く。
正直、トランとの激闘の後にクリムへの加護の発動はきつい。
体の力が抜けて、そのまま倒れこんでしまいそうだ。
しかし、弱音を吐いてはいられない。ようやく本当の自分を取り戻したクリムのため。
彼女の想いにこたえるためにも、俺は加護を供給し続けていく。
そして、互いの力がぶつかり合う。
小細工などない──、両者全力の力を相手にぶつけ、打ち破った方が勝つ。それだけ──。
そんな中で打ち勝ったのは──。
「あんたのくだらない復讐ごっこ。私が、打ち砕いてあげるわ!!」
クリムだった。クリムはグランの攻撃を打ち破り、無防備になった彼を思いっきり殴りつけた。
グランの体はそのまま後方へと吹き飛び、壁にたたきつけられる。
やはり強い魔力に体が耐え切れなかったようで、倒れこんだまま、体が崩れていく。
自らの最期を悟ったのか、俺達に視線を向けながらつぶやいた。
「復讐だけが、俺の生きがいだった……」
そしてトランの時のように、トランの肉体はゲル状に溶けていき、そのまま消滅してしまった。
「ほう、やるじゃねぇか──」
「ええ。しかし、人間ごときに、私達の力が敗れるなどあってはなりません」
ゼリエルとタミエルも、これは計算外だったようで、タミエルが一歩引いて警戒した目つきでじっと睨みつける。
「私達の力、受け取ってその強さを知りなさい!」
「お前たち、二人まとめて消し炭にしてやるぜぇぇぇぇぇぇ!!」
そして二人とも、クリムに向かって突っ込んでいく。クリムは一度振り返り俺に視線を向け、一言。
「行ける?」
「大丈夫。行ってこい!」
俺は自信をもってそう返した。大丈夫、今のクリムは、誰にも負けない。不思議と、そう信じられた。
クリムは再びゼリエルとタミエルに視線を向けた。
クリムは一気にタミエルに突っ込んでいく。
「あんた達なんかに、絶対に負けないんだから!!」
「それは、俺だって同じだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
タミエルは右手を上げる。するとその手が真っ白に光りだすと、その場所に白く光る剣が現れる。
クリムはそれに動じることもなく一気に急接近し、自身の剣を振り下ろした。
二人とも、下手な小競り合いなどしない。自分の全力を繰り出し、真正面から目の前の敵をうち滅ぼそうと本気で攻撃にかかる。
「あんたなんかに、負けるつもりなんてないわ!!」
勝負は、一瞬。
クリムの剣が立ち向かってきたタミエルの攻撃を一瞬ではじき返し、タミエルの体はそのまま後方に吹き飛ばされ、壁に激突。
あれだけあった魔力は一瞬で消滅し、勝負がついた。
「ク、ク、クソが──。まさかクリムなんかに負けるなんてよ……」
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