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ウェレン王国編
唯一王 トランと死闘を繰り広げる
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レシアは戦いながら思い出していた。自分のことを弱い存在だと言っていた天使たちのことを──。
そんな彼女たちに、強く反論するように──叫ぶ。
「僕は、強くなった。もう、君が知っている僕なんかじゃない!!」
レシアの言葉に、弱気な部分やハッタリな気持ちはない。
そんな強い気持ちで、敵の電気砲をすべて切り落としていった。
「このクソ野郎。こうなったら──」
「直接手を下してやろう」
二人は泡を食って一気にレシアへと突っ込んでで行く。
その時、レディナが叫ぶ。
「これで終わりよ!!」
その瞬間、二人の足元一帯に星形の結界のようなものが出現。
結界はスカーレッド色に強く光り始め──。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大きく爆発。頭に血が上っていた二人、対応が遅れ攻撃を防ぐことができない。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!」
結界の中で、断末魔の叫び声を上げる。
そのまま数十メートルほど体が吹き飛び、後方にある家屋の壁に叩きつけられた。
そして地面に、力なく倒れる。
すでに魔力はなく、戦うことはできない。
「ま、負けただと……。この俺達が、よそ者なんかに──」
その言葉にレディナが、毅然とした態度で反論。
「確かに私達はよそ者かもしれない。それでも、ここの人たちが一生懸命生きていること。それを守ろうとしている人がいることは理解できたわ。だから、あなた達に絶対に負けない。勝手この街を守るって強く思ったの」
「ケッ──大した正義感だぜ」
そして、ザニアとヴィッツは勝負をあきらめたのか、その場に倒れこんだまま動かない。
「──うっ」
レシアが突然、ひざを折り、座り込んでしまった。
「魔力が尽きたのね」
「──ごめん。まだ敵はいるのに」
レシアは自分一人で二人の人間を相手取った。「猛火逆鱗」を発動しなければいけないほど強い相手。
そのため、もう戦えるだけの魔力がないのだ。
周囲を見ていると、雪が降る中、冒険者たちが必死に戦闘を繰り広げている。
レディナは、そっちに一度視線を送った後ひざを曲げて再びレシアに視線を向け、ふっと笑う。
「ありがとう。私の部分まで頑張ってくれて」
そしてもう一度すっと立ち上がる。
「あとは、私が相手取るわ。まかせて──」
「……死なないでね」
レシアの心配そうな言葉。レディナはこくりとうなづいて、戦場へと向かっていく。
(私だって、最後まで戦う──)
レシアは、自分よりもずっと必死になって戦っていた。
だから、自分だってレシアの分まで戦いたい。
そんな想いで、レディナは再び戦いへと繰り出していった。
そして最後。俺とトランの戦い。
「オラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァッ──。どうしたフライ。随分へっぴり腰じゃねぇぇかぁ? そんなんじゃかすり傷一つ当てられないぜぇぇぇ!!」
豪快に風を鳴らし、トランの両腕でノコギリ刀の剣をふるう。
トランの攻撃は、感情むき出しの力任せそのものだ。
力任せに振るわれる剣はまさに獣の如し。
戦術も理論もなく、ただ力の限りに振るわれるむき出しの強さ。
しかしそれだけだ。その攻撃は素人が剣をふるった時と何も変わらない。粗だらけ、スキだらけ。
基本的な使い方すら知らない。切るというより、俺に向かって叩きつけるといった方が近い。
続けざまに攻撃を受けた俺の剣が軋む。
しかしそういう感情に任せた攻撃は隙を生み、
五回ほどトランの攻撃を受けてから、俺は少しずつ足を後ろに運び、振り上げられたトランの攻撃をかわす。
トランの攻撃の後に、大きく風が舞い上がる。それくらい、トランの攻撃はすさまじいものがある。
それでも、トランの攻撃はまるで素人の様に単調。あきらめずに粘り続けていれば、必ずチャンスはある。
だからあきらめず、粘り続ける。その時──。
トランの胸元が大きく見開いた。
このスキだ──。
俺はトランの攻撃をギリギリの距離で回避。鼻先をトランの剣筋が通り過ぎる。
カウンターを決めるため、ようやくできたチャンスに迷わず飛び込み、その肉体を切り裂こうと剣を振り下ろす。
トランの剣は振り上げたばかりで頭上にある。ここから攻撃を防ぎきるのは不可能。
カウンターは決まったと思った次の瞬間──。
「あぁぁん? なんだそのチャンバラごっこはよぉ──!! もっと気合い入れて殴って来いやぁ!!」
俺の手に帰ってきたのは鋼の手ごたえ。
トランの剣。それが俺が放ったカウンターを真正面から受け止めたのだ。
「残念だったなぁ。じゃあ、こっからは俺の番だぁぁぁぁぁ!!」
トランは、舌を出して俺をせせら笑う。そんなことは俺は気にも留めない。
おかしい、完全にトランの腕が上がった状態。あのタイミングで左腕を真正面に戻すのは、どうやっても不可能だ。
攻撃の時点で俺の反撃を読んでいなければ──。
しかし、攻撃を読んでいるようなそぶりはなかった。パワーこそあれど名役者というわけでもなさそうだ。
そして、もう一つの可能性が脳裏に浮かぶ。
もしそうだとすれば、非常に厄介で俺の勝機が相当薄れてしまう。
最悪ともいえる可能性。
「さあ、お前の処刑ショーの始まりだぁぁぁぁ!!」
そんな彼女たちに、強く反論するように──叫ぶ。
「僕は、強くなった。もう、君が知っている僕なんかじゃない!!」
レシアの言葉に、弱気な部分やハッタリな気持ちはない。
そんな強い気持ちで、敵の電気砲をすべて切り落としていった。
「このクソ野郎。こうなったら──」
「直接手を下してやろう」
二人は泡を食って一気にレシアへと突っ込んでで行く。
その時、レディナが叫ぶ。
「これで終わりよ!!」
その瞬間、二人の足元一帯に星形の結界のようなものが出現。
結界はスカーレッド色に強く光り始め──。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大きく爆発。頭に血が上っていた二人、対応が遅れ攻撃を防ぐことができない。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!」
結界の中で、断末魔の叫び声を上げる。
そのまま数十メートルほど体が吹き飛び、後方にある家屋の壁に叩きつけられた。
そして地面に、力なく倒れる。
すでに魔力はなく、戦うことはできない。
「ま、負けただと……。この俺達が、よそ者なんかに──」
その言葉にレディナが、毅然とした態度で反論。
「確かに私達はよそ者かもしれない。それでも、ここの人たちが一生懸命生きていること。それを守ろうとしている人がいることは理解できたわ。だから、あなた達に絶対に負けない。勝手この街を守るって強く思ったの」
「ケッ──大した正義感だぜ」
そして、ザニアとヴィッツは勝負をあきらめたのか、その場に倒れこんだまま動かない。
「──うっ」
レシアが突然、ひざを折り、座り込んでしまった。
「魔力が尽きたのね」
「──ごめん。まだ敵はいるのに」
レシアは自分一人で二人の人間を相手取った。「猛火逆鱗」を発動しなければいけないほど強い相手。
そのため、もう戦えるだけの魔力がないのだ。
周囲を見ていると、雪が降る中、冒険者たちが必死に戦闘を繰り広げている。
レディナは、そっちに一度視線を送った後ひざを曲げて再びレシアに視線を向け、ふっと笑う。
「ありがとう。私の部分まで頑張ってくれて」
そしてもう一度すっと立ち上がる。
「あとは、私が相手取るわ。まかせて──」
「……死なないでね」
レシアの心配そうな言葉。レディナはこくりとうなづいて、戦場へと向かっていく。
(私だって、最後まで戦う──)
レシアは、自分よりもずっと必死になって戦っていた。
だから、自分だってレシアの分まで戦いたい。
そんな想いで、レディナは再び戦いへと繰り出していった。
そして最後。俺とトランの戦い。
「オラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァッ──。どうしたフライ。随分へっぴり腰じゃねぇぇかぁ? そんなんじゃかすり傷一つ当てられないぜぇぇぇ!!」
豪快に風を鳴らし、トランの両腕でノコギリ刀の剣をふるう。
トランの攻撃は、感情むき出しの力任せそのものだ。
力任せに振るわれる剣はまさに獣の如し。
戦術も理論もなく、ただ力の限りに振るわれるむき出しの強さ。
しかしそれだけだ。その攻撃は素人が剣をふるった時と何も変わらない。粗だらけ、スキだらけ。
基本的な使い方すら知らない。切るというより、俺に向かって叩きつけるといった方が近い。
続けざまに攻撃を受けた俺の剣が軋む。
しかしそういう感情に任せた攻撃は隙を生み、
五回ほどトランの攻撃を受けてから、俺は少しずつ足を後ろに運び、振り上げられたトランの攻撃をかわす。
トランの攻撃の後に、大きく風が舞い上がる。それくらい、トランの攻撃はすさまじいものがある。
それでも、トランの攻撃はまるで素人の様に単調。あきらめずに粘り続けていれば、必ずチャンスはある。
だからあきらめず、粘り続ける。その時──。
トランの胸元が大きく見開いた。
このスキだ──。
俺はトランの攻撃をギリギリの距離で回避。鼻先をトランの剣筋が通り過ぎる。
カウンターを決めるため、ようやくできたチャンスに迷わず飛び込み、その肉体を切り裂こうと剣を振り下ろす。
トランの剣は振り上げたばかりで頭上にある。ここから攻撃を防ぎきるのは不可能。
カウンターは決まったと思った次の瞬間──。
「あぁぁん? なんだそのチャンバラごっこはよぉ──!! もっと気合い入れて殴って来いやぁ!!」
俺の手に帰ってきたのは鋼の手ごたえ。
トランの剣。それが俺が放ったカウンターを真正面から受け止めたのだ。
「残念だったなぁ。じゃあ、こっからは俺の番だぁぁぁぁぁ!!」
トランは、舌を出して俺をせせら笑う。そんなことは俺は気にも留めない。
おかしい、完全にトランの腕が上がった状態。あのタイミングで左腕を真正面に戻すのは、どうやっても不可能だ。
攻撃の時点で俺の反撃を読んでいなければ──。
しかし、攻撃を読んでいるようなそぶりはなかった。パワーこそあれど名役者というわけでもなさそうだ。
そして、もう一つの可能性が脳裏に浮かぶ。
もしそうだとすれば、非常に厄介で俺の勝機が相当薄れてしまう。
最悪ともいえる可能性。
「さあ、お前の処刑ショーの始まりだぁぁぁぁ!!」
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