~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕

文字の大きさ
上 下
116 / 203
ウェレン王国編

唯一王 催しを終え就寝。しかし

しおりを挟む
「どうして、私達の正体を知っているんですか?」

「どうしてって、そんなの言うわけないじゃな~~い。安心して、今はあなたたちに危害を加えるつもりはないわ」

 ニヤリとした、はぐらかすような言葉。挑発するような笑み。俺たちとスキァーヴィの間にピリッとした雰囲気が流れた。

「教えてください。その時点で精霊たちか熾天使どちらかとかかわりがあることは明白です」

「フリーゼだっけ。そんな機密情報、ただで教えるわけないじゃな~~い。どうしても教えて欲しかったら私と一晩寝ましょう。どう?」

「ひ、一晩ってそんな、ハレンチな!!」

 フリーゼは顔を真っ赤にし、手をあわあわと振る。
 スキァーヴィはプッと挑発的な笑みを浮かべ、言葉を返した。

「冗談よ。真に受けない真に受けない。まあ、あなた達ならわかると思うわ。ローラシアに来ればね──」

 ローラシア。実質的にスキァーヴィが収めている国。誘っているのだろうか。
 すると、彼女の元に一人の人物がやってきた。

「スキァーヴィ様、ここにはいろいろな地方から来た要人の人がいます。もめ事はおやめください、我が国の評判が落ちます」

 眼鏡をかけて、地味な顔つき。さらさらした黒髪の真面目そうな女の人。

「ああわかったわスワニーゼ。ごめんなさいねぇ~~。あ、紹介しておくわ。私の付き人のスワニーゼね」

「スワニーゼです。こんな私ですが、スキァーヴィ様の護衛や身の回りの世話を担当させていただいています」

 スワニーゼはそう言って頭を下げる。スキァーヴィとは違い、礼儀正しそうな人だ。


「今日は、この位にしておくわ。警備の方、頑張ってね、私も、身に危険が迫れば力を貸すから。それでは~~」

 そしてスキァーヴィはこの場を去っていった。思わずホッとしてしまう俺。
 その瞬間、警戒した素振りでレディナが話しかけてくる。

「あいつ。なんで私達のこと、知っているのでしょうね……」

「そうだねレディナ。これは、気を抜けない巡礼祭になりそうだ」

 まさか、フリーゼたちのことを知っている人物に出くわすとは……。

 おまけに素性もどこかいわくつきの人物。スキァーヴィ・ルミナス。
 油断できない人物だ。

 この巡礼祭、神経を張り巡らせて警戒をしよう。
 それからも、俺達は貴族の人たちと会話を続けた。少しでも、多くの人と。

 出来れば、精霊や熾天使に関する情報を掴みたかったが、そんなことを気軽に話しかけるわけにもいかず、うまくはいかなかった。

 そして、しばらくたつとこの宴もお開きとなる。国王親子は悪酔いをして周囲に迷惑をかけながらこの場所を去っていく。

 俺たちもこの場を去り、宿へと戻っていった。
 なんていうか、ひどい国王だった。大丈夫なのだろうか、思わず心配になってしまう。



 そして宿。
 帰った後、一息ついた後、シャワーを浴びる。そして就寝の時間となる。


 ベッドについてから数分後。


 う~~ん。眠れない。
 フリーゼやレディナ達の穏やかな寝息が聞こえてくる。

 俺は、とてもドキドキで寝苦しい夜を迎えていた。

 気晴らしに窓の外に視線を移す。パラパラと雪が積もってきているのがわかった。
 外は、雪国らしい極寒の夜。部屋は、とても暖かくて、凍死するとか、そんな心配は全くない。
 部屋の中が特段寒いわけではない。

 それでも、俺は興奮と緊張でなかなか寝付くことができない。
 その理由は両隣にあった。

 二つのベッドをくっつけた中央。そこに俺はいるのだが──。

「フライ。変なことをしたら、三枚おろしにしてやるんだから……」

「フライ、一緒に泳ぐフィッシュ」

 両隣には俺の腕をぎゅっとつかんでいる、右のレディナと、左のハリーセル。
 それだけでも欲情をくすぐるだけというのに、レディナがぎゅっと腕に力を込めてきた。

 彼女のそこそこ豊かな胸が、俺の腕に押し付けられる形となり、一気に身体が熱くなった。

「レ、レディナ。お願いだから、それはやめて」

 周囲を起こさないように小声でささやくが、レディナは安らかに寝息を立てて、俺の腕を全く離さない。

 何とかしようと腕をもぞもぞと動かす。しかし帰ってレディナの胸の感触を感じる結果になってしまい、ますます興奮してしまう。
 寝間着越しに、やわらかい感触が伝わってしまう。

 両腕が二人に拘束されてしまっている状態。
 これを見て、うらやましいと感じる人もいるかもしれないが、フリーゼに見られた日には修羅場になってしまいそうだ。





 どうしてこんなことになってしまったのか。それは宿を借りた時にさかのぼる。






 俺たちがとった大聖堂近くの、教会直轄の宿。
 丁度巡礼祭の時期だったため、何とか借りられたのはいいが、借りられたのは一部屋のみになってしまったのだ。

 聞いたところによると、より多くの人たちが部屋を借りられるよう教会が要請しているらしいのだ。

 出来るだけ多くの人を泊められるようにしてほしいと。

 ということでツインルームを五人で使用するという事態になってしまったのだ。


 そして問題は寝る時。どんなレイアウトで寝るか、軽く議論になった。

「じゃあ、今からベッドの割り振りをしましょう?」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

俺の畑は魔境じゃありませんので~Fランクスキル「手加減」を使ったら最強二人が押しかけてきた~

うみ
ファンタジー
「俺は畑を耕したいだけなんだ!」  冒険者稼業でお金をためて、いざ憧れの一軒家で畑を耕そうとしたらとんでもないことになった。  あれやこれやあって、最強の二人が俺の家に住み着くことになってしまったんだよ。  見た目こそ愛らしい少女と凛とした女の子なんだけど……人って強けりゃいいってもんじゃないんだ。    雑草を抜くのを手伝うといった魔族の少女は、 「いくよー。開け地獄の門。アルティメット・フレア」  と土地ごと灼熱の大地に変えようとしやがる。  一方で、女騎士も似たようなもんだ。 「オーバードライブマジック。全ての闇よ滅せ。ホーリースラッシュ」  こっちはこっちで何もかもを消滅させ更地に変えようとするし!    使えないと思っていたFランクスキル「手加減」で彼女達の力を相殺できるからいいものの……一歩間違えれば俺の農地(予定)は人外魔境になってしまう。  もう一度言う、俺は最強やら名誉なんかには一切興味がない。    ただ、畑を耕し、収穫したいだけなんだ!

処理中です...