106 / 203
ウェレン王国編
最果ての雪国、ウェレン王国へ
しおりを挟む
アドナとの一件があった直後、俺達は早速動き出した。
向かったのはいつもの街のギルド。
この前アドナが暴れて、フリーゼに蹴り飛ばされた場所。壁に修復された跡があり、まだ直っていないことがわかる。
何をするかは、決まっている。リルナさんへの相談だ。
俺達は、熾天使を探しにウェレンへ行くと決めたはいいが、俺たち全員初めて行く街。知っている人など誰もいない。
そんな中でどこにいるかわからない熾天使を探し当てるなど、雲をつかむような話だ。
そう考えていると、受付にピンク色のぽわぽわとした背が低い女の人、リルナさんがやってくる。
「おはようございます、フライさん。今日はどのような御用で?」
「俺たち、これからウェレン王国に行くんです。それにあたって聞きたいことがあります」
「本当ですか、フライさん。あんな最果ての地へ行くんですか?」
リルナさんはその言葉に驚いて口元を抑える。恐らくここから遠い場所。そんなところにわざわざ行くことがよほど珍しく感じているのだろう。
「はい。どうしても調べたいことがありまして。それで、リルナさんに相談したいことがあるんです」
「な、何でしょうか……」
「はい、ウェレン王国の情報。それから、あちらである程度信頼がある人物を紹介していただきたいのですが、よろしいでしょうか」
するとリルナさんは事務室へ戻っていった。少しすると、数枚の書類を持ってきて、俺たちに見せてくる。
「これがこのギルドでわかるウェレン王国の資料です。精霊や大天使に対する信仰。ああ、調べるってフリーゼさん達に関することですか?」
「はい、そんなところです」
俺は何とかお茶を濁して答える。流石に、熾天使やこの世界に関することは言えない。そしてその資料を目に通してレディナに渡す。
レディナは記録係として、白紙にその内容を記録。流石にギルドの重要な資料。持ち出すことなんてできない。
そしてリルナさんの口から一人の人物が出て来た。
「一人知っています。メイルという人物です。確か、以前大きな行事があるので、警備に雇う冒険者を集めていると、各ギルドに招集をかけていたことがあります。私達の街でもウェレン王国へ行ったパーティーがいましね。その人たちにあたってみるのもいいでしょう」
「メイルという人物ですか、分かりました。ありがとうございます」
そして俺達はウェレンへ行った人たちから情報を聞き出す。さらに、メイルという人物と手紙でやり取り。ウェレンに着いたら案内をしてくれるということになった。
この人には、本当に頭が上がらない。いつか、この恩を返したいと、心から思った。
それから、遠征への準備は完了。メイルという人物へ、出発したこと、ついてからのやり取りなども無事成功。
俺達は、新たな精霊たちを探すため、馬車で道をひたすら北へ。
どこまでも広がる草原を抜け、荒涼とした土地がどこまでも広がるステップ気候の土地を抜ける。
やはり北国ということで、途中から寒さが増してきた。俺たちはあらかじめ用意していた防寒着を身に包む。
そして一週間ほど移動をつづけ、険しい雪山を抜けていくと、俺達は目的の場所にたどり着く。
「ハ、ハックション! 寒いフィッシュ」
「そうだねハリーセル。防寒着たりてる?」
予想以上の空気の冷たさに、思わず身震いがしてしまう。
北国特有の、寒さから身を守るための分厚い石つくりの家屋。
そしてこの街の象徴ともいえるのが、街のいたるところに存在している教会。
それが、この街が信仰深い街であるウェレン王国であることが象徴されている。
北方向にはこの聖都の政府の役割をしている大聖堂が遠目に見えた。
ウェレンの王都の象徴である『ミーミル』大聖堂その圧倒的な存在感は、大天使の権威をこの国中に表わしていた。
「この街、なんか神秘的で素敵ですね、フライさん」
「そうだねフリーゼ」
フリーゼが寒がりながら話しかけてくる。確かにそうだ。見たことがない建造物に神秘的な雰囲気の教会。
そして足元に積もっている雪が今まで見たことがないような空気を醸し出している。
この空気から、人々は大天使を信仰をするようになったのだろうか。
「これからもっと冷えてきそう。だから襟元を閉めなさい」
するとレディナが俺の目の前に寄ってくる。そして首元に手を回してきた。
手袋越しでもわかるレディナの細くて絹の様に滑らかな指の感覚。
思わずドキッとして胸が高まってしまう。
「ほら、これなら大丈夫よ、フライ」
「あ、ありがとう──」
するとフリーゼが俺の肩にツンツンと触れてくる。
「ほらっ、フライさん。遊んでいないで行きますよ」
「ああ、ごめんフリーゼ」
フリーゼが、そっぽを向いて残念そうな表情をしている。俺、何かしちゃったかな?
「フリーゼ、俺何か嫌な事しちゃった? なんか嫌そうな表情をしているけど──」
「いいえ、何でもありません。行きましょう。街の大聖堂へ」
そしてフリーゼの言う通り俺たちは大聖堂を目指そうしたその時──。
「その服装。あなたたちが、フライさん達でよろしいですか?」
向かったのはいつもの街のギルド。
この前アドナが暴れて、フリーゼに蹴り飛ばされた場所。壁に修復された跡があり、まだ直っていないことがわかる。
何をするかは、決まっている。リルナさんへの相談だ。
俺達は、熾天使を探しにウェレンへ行くと決めたはいいが、俺たち全員初めて行く街。知っている人など誰もいない。
そんな中でどこにいるかわからない熾天使を探し当てるなど、雲をつかむような話だ。
そう考えていると、受付にピンク色のぽわぽわとした背が低い女の人、リルナさんがやってくる。
「おはようございます、フライさん。今日はどのような御用で?」
「俺たち、これからウェレン王国に行くんです。それにあたって聞きたいことがあります」
「本当ですか、フライさん。あんな最果ての地へ行くんですか?」
リルナさんはその言葉に驚いて口元を抑える。恐らくここから遠い場所。そんなところにわざわざ行くことがよほど珍しく感じているのだろう。
「はい。どうしても調べたいことがありまして。それで、リルナさんに相談したいことがあるんです」
「な、何でしょうか……」
「はい、ウェレン王国の情報。それから、あちらである程度信頼がある人物を紹介していただきたいのですが、よろしいでしょうか」
するとリルナさんは事務室へ戻っていった。少しすると、数枚の書類を持ってきて、俺たちに見せてくる。
「これがこのギルドでわかるウェレン王国の資料です。精霊や大天使に対する信仰。ああ、調べるってフリーゼさん達に関することですか?」
「はい、そんなところです」
俺は何とかお茶を濁して答える。流石に、熾天使やこの世界に関することは言えない。そしてその資料を目に通してレディナに渡す。
レディナは記録係として、白紙にその内容を記録。流石にギルドの重要な資料。持ち出すことなんてできない。
そしてリルナさんの口から一人の人物が出て来た。
「一人知っています。メイルという人物です。確か、以前大きな行事があるので、警備に雇う冒険者を集めていると、各ギルドに招集をかけていたことがあります。私達の街でもウェレン王国へ行ったパーティーがいましね。その人たちにあたってみるのもいいでしょう」
「メイルという人物ですか、分かりました。ありがとうございます」
そして俺達はウェレンへ行った人たちから情報を聞き出す。さらに、メイルという人物と手紙でやり取り。ウェレンに着いたら案内をしてくれるということになった。
この人には、本当に頭が上がらない。いつか、この恩を返したいと、心から思った。
それから、遠征への準備は完了。メイルという人物へ、出発したこと、ついてからのやり取りなども無事成功。
俺達は、新たな精霊たちを探すため、馬車で道をひたすら北へ。
どこまでも広がる草原を抜け、荒涼とした土地がどこまでも広がるステップ気候の土地を抜ける。
やはり北国ということで、途中から寒さが増してきた。俺たちはあらかじめ用意していた防寒着を身に包む。
そして一週間ほど移動をつづけ、険しい雪山を抜けていくと、俺達は目的の場所にたどり着く。
「ハ、ハックション! 寒いフィッシュ」
「そうだねハリーセル。防寒着たりてる?」
予想以上の空気の冷たさに、思わず身震いがしてしまう。
北国特有の、寒さから身を守るための分厚い石つくりの家屋。
そしてこの街の象徴ともいえるのが、街のいたるところに存在している教会。
それが、この街が信仰深い街であるウェレン王国であることが象徴されている。
北方向にはこの聖都の政府の役割をしている大聖堂が遠目に見えた。
ウェレンの王都の象徴である『ミーミル』大聖堂その圧倒的な存在感は、大天使の権威をこの国中に表わしていた。
「この街、なんか神秘的で素敵ですね、フライさん」
「そうだねフリーゼ」
フリーゼが寒がりながら話しかけてくる。確かにそうだ。見たことがない建造物に神秘的な雰囲気の教会。
そして足元に積もっている雪が今まで見たことがないような空気を醸し出している。
この空気から、人々は大天使を信仰をするようになったのだろうか。
「これからもっと冷えてきそう。だから襟元を閉めなさい」
するとレディナが俺の目の前に寄ってくる。そして首元に手を回してきた。
手袋越しでもわかるレディナの細くて絹の様に滑らかな指の感覚。
思わずドキッとして胸が高まってしまう。
「ほら、これなら大丈夫よ、フライ」
「あ、ありがとう──」
するとフリーゼが俺の肩にツンツンと触れてくる。
「ほらっ、フライさん。遊んでいないで行きますよ」
「ああ、ごめんフリーゼ」
フリーゼが、そっぽを向いて残念そうな表情をしている。俺、何かしちゃったかな?
「フリーゼ、俺何か嫌な事しちゃった? なんか嫌そうな表情をしているけど──」
「いいえ、何でもありません。行きましょう。街の大聖堂へ」
そしてフリーゼの言う通り俺たちは大聖堂を目指そうしたその時──。
「その服装。あなたたちが、フライさん達でよろしいですか?」
0
お気に入りに追加
264
あなたにおすすめの小説

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

俺の畑は魔境じゃありませんので~Fランクスキル「手加減」を使ったら最強二人が押しかけてきた~
うみ
ファンタジー
「俺は畑を耕したいだけなんだ!」
冒険者稼業でお金をためて、いざ憧れの一軒家で畑を耕そうとしたらとんでもないことになった。
あれやこれやあって、最強の二人が俺の家に住み着くことになってしまったんだよ。
見た目こそ愛らしい少女と凛とした女の子なんだけど……人って強けりゃいいってもんじゃないんだ。
雑草を抜くのを手伝うといった魔族の少女は、
「いくよー。開け地獄の門。アルティメット・フレア」
と土地ごと灼熱の大地に変えようとしやがる。
一方で、女騎士も似たようなもんだ。
「オーバードライブマジック。全ての闇よ滅せ。ホーリースラッシュ」
こっちはこっちで何もかもを消滅させ更地に変えようとするし!
使えないと思っていたFランクスキル「手加減」で彼女達の力を相殺できるからいいものの……一歩間違えれば俺の農地(予定)は人外魔境になってしまう。
もう一度言う、俺は最強やら名誉なんかには一切興味がない。
ただ、畑を耕し、収穫したいだけなんだ!

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる