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アドナと最終戦編
アドナ ユニコーンと死闘そして爆発
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ユニコーンはニ十体以上。アドナたちを取り囲むように位置している。
「──行くしかないで」
「ああ、オラたちは、そのために来たんだもんな」
囲まれているというのは最悪な配置だ。普通はそうならないように周囲に気を配ったりする。しかし、ただでさえ険悪な雰囲気だったことに加え、石英を目の前にして気が緩んでいた。なのでこんな状況になってしまったのだ。
戦うしかないこの状況。
覚悟を決めた村の冒険者たち。互いににらみ合い、出方をうかがう。
「グルルルルルルルルルァァァァ──」
明らかにユニコーンたちはアドナたちに敵意を向け、威嚇している。
数秒ほどたつと、ユニコーンたちが一斉にアドナたちに襲い掛かる。アドナ達もそれに応戦して各自対応。
アドナたちとユニコーンたちの戦いが始まる。
アドナたちは連携などまるでないので、個人個人で対応していく。が──。
「やっぱりつぇぇでこいつら」
たちまちユニコーン相手に押されてしまう。一対一では有利に戦えても、ユニコーンたちの連携をとった攻撃になすすべなく押されてしまうのだ。
当然といえば当然だ。
彼らは先までのデュラハンとの戦いで大きく消耗してしまっている。おまけに準備など何もしていないので、いきなり陣形も策もなく行き当たりばったりで戦っているのだ。
全く連携が取れていない。各自バラバラ。
こんな状況でまともにユニコーンと戦えるわけがない。ユニコーンの集団での戦術に翻弄され、圧倒されるばかり。
当然大苦戦。そして一人づつなぎ倒されていく。
「ぐほっ!!」
「なんだこいつら、全然勝てないで」
アドナも、何とか対応しているものの、集団での攻撃にまともに攻撃を当てることすらできない。
「こいつらもだ。雑魚のくせにちょこまかとしやがってぇぇぇ」
剣を大ぶりに、力むくらいの力でユニコーンたちに攻撃を仕掛けていく。
当然、そんな戦術もない感情に任せた攻撃。当たるはずもない。
完全に追い詰められてしまう。
おまけに他の冒険者がやられた分、アドナにユニコーンが集中してしまい、ドンドン状況が悪化。
「使えないやつらめ。やはりあいつらは使えない。雑魚野郎だ!」
アドナは後ずさりしながら、状況を何とか打破しようとする。
(さすがにまずいぞ。こいつら、まともに攻撃が当たらん。ふざけるな、この最強の俺様がやられるだと? ありえないありえないありえないありえない)
あり得る。現実だ。
そして苦戦を続け、彼の脳裏に敗北の二文字が浮かぼうとしたとき、一つの作戦が思い浮かぶ。
(そうだ、あの術式ならこの状況を打開できる──)
しかしそれは、この場を打開できるかもしれないと同時に大きなリスクを伴う諸刃の剣でもあった。
おまけに、倒れた仲間たちが、取り返せなくなるかもしれないというリスクもある。
流石にそうなれば、村でどういわれるかわからない。
簡単に発動することも出来ず、考え込んでしまう。
(クソが──。こいつらのせいでこうなったんだぞ。どうしてくれる!!)
必死に今の境遇を周囲のせいにするアドナ。確かに他の冒険者も実力不足だったかもしれない。
しかし、他の冒険者は戦っているときもアドナはユニコーンに致命傷を与えられなかった。
だから、今の彼ではユニコーンには勝てないのだ。
俺やミュアがいない今の彼では、ユニコーンに勝つ実力はない。
しかしそれを認めるということは、自分の弱さを認めてしまうということ。だからアドナは意地でも自分の弱さを認めようとしないのだ。
(そうだ。こいつらはクズなんだ。雑魚を気遣う理由なんてない。見捨てて最後に俺が勝つ。これで行こう。すまなかったな、)
そしてアドナは決意。
自らの勝利のため、他の冒険者を見捨てることを──。
深呼吸して自らの体に魔力をありったけため込む。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
途方もない大きな大爆発。ユニコーンたちも予想外の事態だったため、攻撃をまともに受けてしまう。
そう、アドナが解き放った攻撃。それは自身の魔力をすべて爆発エネルギーに変え、大爆発を起こす術式。
強力な威力を持つ一方、リスクも高く。自分も大ダメージを受ける、周囲にある味方も巻き込んでしまうという欠点もあった。
なのでこの術式は正攻法では絶対に勝てない相手や、どうしてもここで倒さなければけない相手にしか使用しない。
アドナにとって、そのタイミングが今だということだ。
ユニコーン達は爆発に巻き込まれ、次から次へと吹き飛ばされる。
ユニコーンだけではなく、村の冒険者たちも──。
そして爆発後──。
粉塵が立ち込める中、アドナは石英があった方へと足を運ぶ。
「フフフ……、俺様をコケにした報いだ。これで、貴様たちは戦えまい」
アドナも、術式の代償として大ダメージを受け、ほとんど魔力を持っていない。
体力も限界に来ていて足元がフラフラ。
それでも、目的の物がそこにあるということがアドナを石英の方へと足を向かわせる。
そして、石英がある大きな元へとたどり着くと、そこにある光景に驚愕した。
「何故だ、なぜここにあるはずだった石英がない──」
アドナは表情を固まらせ、囁く。その言葉通り、戦う前までは木陰に大量に置かれていた石英。それが、まるで神隠しかなにかにあったようになくなってしまっているのだ。
目の前にある現実に言葉を失い、身体を震わせる。
すると、他の冒険者たちも、動けるようになってきたのか、この場にやってきた。
「ああっ、ここにあったはずの石英がなくなってるべ」
「多分だが、ユニコーンが持っていったんだと思うべ」
冒険者の一人がそうささやく。その言葉にアドナの顔が真っ青になる。
ジュゴルさんは、ユニコーンに一定の知識がるらしく、何かを思い出す。
「だな。あいつらは身を滅ぼしてまで戦うことはまれだ。こういう大きな攻撃があると、大事なものを持って逃げ出すだ」
そう、ユニコーンにとってこの戦いは命を懸けてまで戦うようなものではない。
なので、一部の個体が障壁を張って、撤退を開始したのだ。
そして脱出する寸前、そのユニコーン達は石英を持ち去ってしまった。おかげでアドナたちは石英を手に入れられなくなることが確定した。
「くぅぅぅぅ……この俺様が、このクズどものせいでクズどものせいで。どうしてくれる、どうしてくれる!!」
アドナは拳を震わせながら冒険者たちに言い放つ。
冒険者達は全部自分たちが悪いかのような言葉に怒りを爆発させる。怒鳴り散らすような物言いで言葉を返し始めた。
「なんだべさ。全部俺たちのせいだってのかよ!!」
「そうだ。お前達のせいだ」
「何が元Sランクだこの詐欺師野郎。クソザコじゃねぇか、俺達をダマしやがって!!」
「そうだそうだ。態度だけでかくてろくに戦えなでねぇか。馬鹿野郎!!」
「ああ? それはお前たちがクソザコだからだろうが」
冒険者達の言葉に怒り狂うアドナ。
目的の物が手に入らなかったという事実。そして勝てると思い込んでいたユニコーンに大苦戦し、もてあそばれていたということに怒りが止まらない。
そして彼らは取っ組み合いのけんかにまで発展してしまった。
「上等だべ。ぶっ飛ばしてやるかんな。このニセAランク野郎」
互いに罵詈雑言を飛ばしあい、殴り合う。
感情をむき出しに──。
しばらく彼らは本能そのままに怒りをぶつけあい、大きく言い争いになる。
その後、アドナは彼らから背を向けて、元来た道へと歩きだし、叫ぶ。
「ふざけるな!! 貴様たちの面など、二度と見たくはない。俺は帰らせてもらう。貴様たちのことなど知ったことか!!」
「それはこっちのセリフだ!! もう顔も見とうないわ」
ジュゴルも、負けずに怒鳴り返すが、アドナは振り返らない。
アドナはそのまま村へと帰っていった。ボロボロになった村人たちを置き去りにして。
そしてその判断が、アドナの運命を大きく決めてしまう。彼がそのことに気付くのは、この少し後なのであった。
「──行くしかないで」
「ああ、オラたちは、そのために来たんだもんな」
囲まれているというのは最悪な配置だ。普通はそうならないように周囲に気を配ったりする。しかし、ただでさえ険悪な雰囲気だったことに加え、石英を目の前にして気が緩んでいた。なのでこんな状況になってしまったのだ。
戦うしかないこの状況。
覚悟を決めた村の冒険者たち。互いににらみ合い、出方をうかがう。
「グルルルルルルルルルァァァァ──」
明らかにユニコーンたちはアドナたちに敵意を向け、威嚇している。
数秒ほどたつと、ユニコーンたちが一斉にアドナたちに襲い掛かる。アドナ達もそれに応戦して各自対応。
アドナたちとユニコーンたちの戦いが始まる。
アドナたちは連携などまるでないので、個人個人で対応していく。が──。
「やっぱりつぇぇでこいつら」
たちまちユニコーン相手に押されてしまう。一対一では有利に戦えても、ユニコーンたちの連携をとった攻撃になすすべなく押されてしまうのだ。
当然といえば当然だ。
彼らは先までのデュラハンとの戦いで大きく消耗してしまっている。おまけに準備など何もしていないので、いきなり陣形も策もなく行き当たりばったりで戦っているのだ。
全く連携が取れていない。各自バラバラ。
こんな状況でまともにユニコーンと戦えるわけがない。ユニコーンの集団での戦術に翻弄され、圧倒されるばかり。
当然大苦戦。そして一人づつなぎ倒されていく。
「ぐほっ!!」
「なんだこいつら、全然勝てないで」
アドナも、何とか対応しているものの、集団での攻撃にまともに攻撃を当てることすらできない。
「こいつらもだ。雑魚のくせにちょこまかとしやがってぇぇぇ」
剣を大ぶりに、力むくらいの力でユニコーンたちに攻撃を仕掛けていく。
当然、そんな戦術もない感情に任せた攻撃。当たるはずもない。
完全に追い詰められてしまう。
おまけに他の冒険者がやられた分、アドナにユニコーンが集中してしまい、ドンドン状況が悪化。
「使えないやつらめ。やはりあいつらは使えない。雑魚野郎だ!」
アドナは後ずさりしながら、状況を何とか打破しようとする。
(さすがにまずいぞ。こいつら、まともに攻撃が当たらん。ふざけるな、この最強の俺様がやられるだと? ありえないありえないありえないありえない)
あり得る。現実だ。
そして苦戦を続け、彼の脳裏に敗北の二文字が浮かぼうとしたとき、一つの作戦が思い浮かぶ。
(そうだ、あの術式ならこの状況を打開できる──)
しかしそれは、この場を打開できるかもしれないと同時に大きなリスクを伴う諸刃の剣でもあった。
おまけに、倒れた仲間たちが、取り返せなくなるかもしれないというリスクもある。
流石にそうなれば、村でどういわれるかわからない。
簡単に発動することも出来ず、考え込んでしまう。
(クソが──。こいつらのせいでこうなったんだぞ。どうしてくれる!!)
必死に今の境遇を周囲のせいにするアドナ。確かに他の冒険者も実力不足だったかもしれない。
しかし、他の冒険者は戦っているときもアドナはユニコーンに致命傷を与えられなかった。
だから、今の彼ではユニコーンには勝てないのだ。
俺やミュアがいない今の彼では、ユニコーンに勝つ実力はない。
しかしそれを認めるということは、自分の弱さを認めてしまうということ。だからアドナは意地でも自分の弱さを認めようとしないのだ。
(そうだ。こいつらはクズなんだ。雑魚を気遣う理由なんてない。見捨てて最後に俺が勝つ。これで行こう。すまなかったな、)
そしてアドナは決意。
自らの勝利のため、他の冒険者を見捨てることを──。
深呼吸して自らの体に魔力をありったけため込む。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
途方もない大きな大爆発。ユニコーンたちも予想外の事態だったため、攻撃をまともに受けてしまう。
そう、アドナが解き放った攻撃。それは自身の魔力をすべて爆発エネルギーに変え、大爆発を起こす術式。
強力な威力を持つ一方、リスクも高く。自分も大ダメージを受ける、周囲にある味方も巻き込んでしまうという欠点もあった。
なのでこの術式は正攻法では絶対に勝てない相手や、どうしてもここで倒さなければけない相手にしか使用しない。
アドナにとって、そのタイミングが今だということだ。
ユニコーン達は爆発に巻き込まれ、次から次へと吹き飛ばされる。
ユニコーンだけではなく、村の冒険者たちも──。
そして爆発後──。
粉塵が立ち込める中、アドナは石英があった方へと足を運ぶ。
「フフフ……、俺様をコケにした報いだ。これで、貴様たちは戦えまい」
アドナも、術式の代償として大ダメージを受け、ほとんど魔力を持っていない。
体力も限界に来ていて足元がフラフラ。
それでも、目的の物がそこにあるということがアドナを石英の方へと足を向かわせる。
そして、石英がある大きな元へとたどり着くと、そこにある光景に驚愕した。
「何故だ、なぜここにあるはずだった石英がない──」
アドナは表情を固まらせ、囁く。その言葉通り、戦う前までは木陰に大量に置かれていた石英。それが、まるで神隠しかなにかにあったようになくなってしまっているのだ。
目の前にある現実に言葉を失い、身体を震わせる。
すると、他の冒険者たちも、動けるようになってきたのか、この場にやってきた。
「ああっ、ここにあったはずの石英がなくなってるべ」
「多分だが、ユニコーンが持っていったんだと思うべ」
冒険者の一人がそうささやく。その言葉にアドナの顔が真っ青になる。
ジュゴルさんは、ユニコーンに一定の知識がるらしく、何かを思い出す。
「だな。あいつらは身を滅ぼしてまで戦うことはまれだ。こういう大きな攻撃があると、大事なものを持って逃げ出すだ」
そう、ユニコーンにとってこの戦いは命を懸けてまで戦うようなものではない。
なので、一部の個体が障壁を張って、撤退を開始したのだ。
そして脱出する寸前、そのユニコーン達は石英を持ち去ってしまった。おかげでアドナたちは石英を手に入れられなくなることが確定した。
「くぅぅぅぅ……この俺様が、このクズどものせいでクズどものせいで。どうしてくれる、どうしてくれる!!」
アドナは拳を震わせながら冒険者たちに言い放つ。
冒険者達は全部自分たちが悪いかのような言葉に怒りを爆発させる。怒鳴り散らすような物言いで言葉を返し始めた。
「なんだべさ。全部俺たちのせいだってのかよ!!」
「そうだ。お前達のせいだ」
「何が元Sランクだこの詐欺師野郎。クソザコじゃねぇか、俺達をダマしやがって!!」
「そうだそうだ。態度だけでかくてろくに戦えなでねぇか。馬鹿野郎!!」
「ああ? それはお前たちがクソザコだからだろうが」
冒険者達の言葉に怒り狂うアドナ。
目的の物が手に入らなかったという事実。そして勝てると思い込んでいたユニコーンに大苦戦し、もてあそばれていたということに怒りが止まらない。
そして彼らは取っ組み合いのけんかにまで発展してしまった。
「上等だべ。ぶっ飛ばしてやるかんな。このニセAランク野郎」
互いに罵詈雑言を飛ばしあい、殴り合う。
感情をむき出しに──。
しばらく彼らは本能そのままに怒りをぶつけあい、大きく言い争いになる。
その後、アドナは彼らから背を向けて、元来た道へと歩きだし、叫ぶ。
「ふざけるな!! 貴様たちの面など、二度と見たくはない。俺は帰らせてもらう。貴様たちのことなど知ったことか!!」
「それはこっちのセリフだ!! もう顔も見とうないわ」
ジュゴルも、負けずに怒鳴り返すが、アドナは振り返らない。
アドナはそのまま村へと帰っていった。ボロボロになった村人たちを置き去りにして。
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