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アドナと最終戦編
対等な条件
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その不安は、この後的中することとなる。
そしてため息をついて言葉を返した。
「──ふう。それもそうね。じゃあその格の違いを見せつけるために、頑張りなさいね」
半ばあきれ始めるヴィーザル。そしてそのままアドナから離れていった。
「じゃあな。赤い水晶ドクロ、絶対に手に入れてやっからよ」
そして歩きながらヴィーザルが話しかける。
「とりあえず、私が付き添えるのはこの辺りまでよ。契約通りね」
「分かってる分かってる。お前はこの地ではお尋ね者なんだろ。その分魔力をもらっているんだから大丈夫だ」
そう、この地はかつて熾天使たちに侵略された地。だから熾天使であるヴィーザルは歓迎されない存在。
だから最初の契約時に伝えておいたのだ。魔力を与える代わりにここでは姿をくらますと。
アドナは一人でも問題ない。(と思い込んでいる)ので軽く了承。
そしてアドナは一人で目的の場所へと進む。
比較的広い通りを横に狭い道へ。
少し歩くとその場所にたどり着く。木造でできたこの村ではよくある藁ぶきの簡素な建物。
「おい、誰かいるか──」
そしてアドナは戸をドンドンとノックをして開け、勝手に中へ入る。
薄暗い廊下を進み、一番奥の横開きのドアをガラガラと開ける。
そこに一人の人物がいた。
その人物は白髪のおばあさんという印象。目をつぶって正座をしながらアドナに話しかけた。
「なんじゃ貴様。挨拶も出来んのか。無礼極まる奴じゃ」
「んあ? ああすまんすまん。あんたがカムロスさんでいいのか」
「ああ。何の用だで、無礼者
そう、先ほど、露店のおじさんがアドナに紹介した人物、カムロスさんだ。
そしてアドナは自らが欲しがっていた赤い水晶ドクロについて質問。
「──ということなんだよ。どうやったら手に入れられるか早く教えてくれ。頼むよ頼むよ」
アドナは自分が頼んでいる側とはとは思えない程尊大な態度でカムロスさんにどなる。
はたから見れば初対面、それも頼み込むはずの相手にどうしてそんな態度をとれるか疑問がわくが、アドナのことをずっと見てきた俺なら別の不思議ではない。
Sランク時代は俺、その後はミュアがパーティーの交渉役にあたっていて、アドナはそれをただ見ているだけだった。
労いの言葉なんてかけてもらった覚えなんて当然ない。
恐らく、俺やミュアができるなら自分には楽勝なのだと考えているアドナだ。人との交渉など誰でもできる簡単な仕事だと思っているのだろう。
現実はそう簡単な作業ではない。交渉を成功するために、相手の礼儀作法などを理解して 失礼が無いようにしなければならない。
そのためには交渉相手の文化や考え方を理解する。価値観が違う相手に対し、どうすれば自分の考えや要求を理解してもらえるか考えなければいけない。
今のアドナに、当然そんな発想はない。自分は強いという思い込みが、さらに彼の意識を肥大化させ、より尊大な態度になってしまっていたのだ。
「態度がでかいやつさね。まあ、作ってやらんこともなが。条件があるで」
カムロスさんは、ため息をつきながらもアドナの要求にこたえてくれた。
その条件とは、俺たちの時と同じユニコーンのことだ。場所こそ違うが、こっちでも石英がある場所に、ユニコーンがいるらしい。
その言葉にアドナの表情がはっとにやける。
「ユニコーン? ああ、以前Sランクだったときに完膚なきまでに叩きのめしたことがある。俺の実力さえあれば、簡単に駆除出来る」
「まあ、戦ってくれるなら文句は言わないだ。村のモンと協力しでユニコーンの奴らを追っ払ってくれれば、作ってやんよ。水晶ドクロ」
自信満々な態度で言葉を返すアドナ。むろん、それは思い込みだ。
あの時は俺の加護があったので、前線で戦っていたアドナやウェルキには楽勝に感じただけで、決して弱い相手ではない。
しかし俺の加護はもちろん、ミュアやキルコの護衛まで過小評価し、Sランク時代の成果は全て自分の活躍だと思い込んでいた。
他の奴らは切り捨てても変わりがいるし、どうでもいいやつとしか考えていなかったのだ。
「ま、俺様が本気を出して、全部ぶっ殺してやるよ。楽しみに待っててくれや」
「そうかそうか。それはそれは心強いだ。確か村の冒険者たちは明後日に出発すると聞く。と良い敵だと聞いておる。用心して一緒に旅立つとええ」
「あんがとな。じゃあ一緒に行かせてもらうぞ。まあ、村人の力などなくともこの俺様一人で片付くだろうがな」
そう言った後、アドナはカムロスから、遠征についての話を聞く。
それから、村のしきたりややってはいけないことなどを話す。
「わかった。守ればいいのだろう守れば」
「──よろしく頼むぞ」
カムロスは半信半疑な思いながらも、彼に一連の想いを託した。
その後、彼はこの場を去っていく。この時アドナは思いもしなかった。俺の加護も、ミュアたちの援護もない自分自身がいかに無力で弱い存在であったかを。
そして、自分の弱さから目をそらし続けてきた報いを受けることになるのであった。
そしてため息をついて言葉を返した。
「──ふう。それもそうね。じゃあその格の違いを見せつけるために、頑張りなさいね」
半ばあきれ始めるヴィーザル。そしてそのままアドナから離れていった。
「じゃあな。赤い水晶ドクロ、絶対に手に入れてやっからよ」
そして歩きながらヴィーザルが話しかける。
「とりあえず、私が付き添えるのはこの辺りまでよ。契約通りね」
「分かってる分かってる。お前はこの地ではお尋ね者なんだろ。その分魔力をもらっているんだから大丈夫だ」
そう、この地はかつて熾天使たちに侵略された地。だから熾天使であるヴィーザルは歓迎されない存在。
だから最初の契約時に伝えておいたのだ。魔力を与える代わりにここでは姿をくらますと。
アドナは一人でも問題ない。(と思い込んでいる)ので軽く了承。
そしてアドナは一人で目的の場所へと進む。
比較的広い通りを横に狭い道へ。
少し歩くとその場所にたどり着く。木造でできたこの村ではよくある藁ぶきの簡素な建物。
「おい、誰かいるか──」
そしてアドナは戸をドンドンとノックをして開け、勝手に中へ入る。
薄暗い廊下を進み、一番奥の横開きのドアをガラガラと開ける。
そこに一人の人物がいた。
その人物は白髪のおばあさんという印象。目をつぶって正座をしながらアドナに話しかけた。
「なんじゃ貴様。挨拶も出来んのか。無礼極まる奴じゃ」
「んあ? ああすまんすまん。あんたがカムロスさんでいいのか」
「ああ。何の用だで、無礼者
そう、先ほど、露店のおじさんがアドナに紹介した人物、カムロスさんだ。
そしてアドナは自らが欲しがっていた赤い水晶ドクロについて質問。
「──ということなんだよ。どうやったら手に入れられるか早く教えてくれ。頼むよ頼むよ」
アドナは自分が頼んでいる側とはとは思えない程尊大な態度でカムロスさんにどなる。
はたから見れば初対面、それも頼み込むはずの相手にどうしてそんな態度をとれるか疑問がわくが、アドナのことをずっと見てきた俺なら別の不思議ではない。
Sランク時代は俺、その後はミュアがパーティーの交渉役にあたっていて、アドナはそれをただ見ているだけだった。
労いの言葉なんてかけてもらった覚えなんて当然ない。
恐らく、俺やミュアができるなら自分には楽勝なのだと考えているアドナだ。人との交渉など誰でもできる簡単な仕事だと思っているのだろう。
現実はそう簡単な作業ではない。交渉を成功するために、相手の礼儀作法などを理解して 失礼が無いようにしなければならない。
そのためには交渉相手の文化や考え方を理解する。価値観が違う相手に対し、どうすれば自分の考えや要求を理解してもらえるか考えなければいけない。
今のアドナに、当然そんな発想はない。自分は強いという思い込みが、さらに彼の意識を肥大化させ、より尊大な態度になってしまっていたのだ。
「態度がでかいやつさね。まあ、作ってやらんこともなが。条件があるで」
カムロスさんは、ため息をつきながらもアドナの要求にこたえてくれた。
その条件とは、俺たちの時と同じユニコーンのことだ。場所こそ違うが、こっちでも石英がある場所に、ユニコーンがいるらしい。
その言葉にアドナの表情がはっとにやける。
「ユニコーン? ああ、以前Sランクだったときに完膚なきまでに叩きのめしたことがある。俺の実力さえあれば、簡単に駆除出来る」
「まあ、戦ってくれるなら文句は言わないだ。村のモンと協力しでユニコーンの奴らを追っ払ってくれれば、作ってやんよ。水晶ドクロ」
自信満々な態度で言葉を返すアドナ。むろん、それは思い込みだ。
あの時は俺の加護があったので、前線で戦っていたアドナやウェルキには楽勝に感じただけで、決して弱い相手ではない。
しかし俺の加護はもちろん、ミュアやキルコの護衛まで過小評価し、Sランク時代の成果は全て自分の活躍だと思い込んでいた。
他の奴らは切り捨てても変わりがいるし、どうでもいいやつとしか考えていなかったのだ。
「ま、俺様が本気を出して、全部ぶっ殺してやるよ。楽しみに待っててくれや」
「そうかそうか。それはそれは心強いだ。確か村の冒険者たちは明後日に出発すると聞く。と良い敵だと聞いておる。用心して一緒に旅立つとええ」
「あんがとな。じゃあ一緒に行かせてもらうぞ。まあ、村人の力などなくともこの俺様一人で片付くだろうがな」
そう言った後、アドナはカムロスから、遠征についての話を聞く。
それから、村のしきたりややってはいけないことなどを話す。
「わかった。守ればいいのだろう守れば」
「──よろしく頼むぞ」
カムロスは半信半疑な思いながらも、彼に一連の想いを託した。
その後、彼はこの場を去っていく。この時アドナは思いもしなかった。俺の加護も、ミュアたちの援護もない自分自身がいかに無力で弱い存在であったかを。
そして、自分の弱さから目をそらし続けてきた報いを受けることになるのであった。
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