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アドナと最終戦編
唯一王 アドナと一騎打ち
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「もしこの勝負を引き受けないというのなら、このギルドが精霊たちを無許可で冒険者登録していることをばらします。世界ギルド統括協会に」
その言葉を聞いた瞬間の背筋に電流が走った。
するとレディナが聞いてくる。
「フライ、どういうことなの。統括協会にばらされるとまずいことでもあるの?」
「本来、ギルドに登録できる亜人は統括協会が許可した人種しかできない事になっている。
けれどこの世界には俺たちが把握できていない亜人なんて数えきれないほどいる。そんなことを手紙の往復で2か月もかかる距離の協会に許可なんて待っていたら仕事にならない。
だから現場のギルドで適当な人種ということで許可している。
いくら権力があるといたって協会だって世界中のギルドを細かく管理なんてできない。だからこれについては黙認状態なんだ」
「けれど、もし私がこのことを話したら、教会だって黙っているわけにはいきませんからね。建前があっても違法は違法なのですから。それにあんな奴ら、ちょっと金を渡したら簡単に意見を変えるでしょう」
俺は額に手を当て考えこむ。
今はリルナさんが許可しているおかげで、フリーゼは問題なくギルド登録をしている。
けれど、リルナさんはあくまでこのギルドに雇われているだけだ。もしギルドの統括側の人に「認めない」と言われればそうするしかできない。
そしてアドナはにやりと自信を持った笑みを浮かべ、俺に迫ってきた。
「どうだ、こいつらを除名されたくなかったら俺と勝負しろ。本当は決闘でもして直接お前を顔の形が変わるくらいボッコボコにしてやたかったが、それだけじゃ俺のかんじょうはおさまらない。お前がクズで無能で雑魚ってことをこの街全部にさらけ出させてやる! 隣にいる根暗女もな」
根暗女? その言葉に俺は感情を煮えたぎらせ、ギッとアドナをにらみつけた。俺を罵倒するだけならいい。だが、フリーゼは別だ。フリーゼはアドナに何もしていない。
そんな彼女に、自分の怒りをぶつけるためだけに危害を加えることなんて絶対にあってはならない。
「本来これは俺達には関係のない勝負だ。だから受ける気はなかった。とはいえフリーゼたちを危険視さらすわけにはいかない。わかったよ。その勝負、受けてやるよ」
「フライさん、私たちは大丈夫です。そんなことしなくても──」
「心配しなくて大丈夫フリーゼ。勝てばいいんだ」
俺一人を中傷したりする分には構わない。クエストの成果で返せばいいのだから。
けれど、フリーゼたちに危害を加えるというなら話は別だ。
全力で、抵抗させてもらう。
「フッ。この俺様の勝負を逃げずに受けたことは褒めてやるよ。だがお前などに負けるつもりはない。圧倒的な力の差というものを、見せつけて勝つ。 負けて吠え面を描く準備でもしていたらどうだ」
「──そうだね。ここでオオホラを語ったところで勝敗に影響はない。全力を尽くすよ」
こうして俺はアドナと勝負をすることになった。具体的に言うと俺がアドナの要求したクエストを受ける。
アドナも特例として水晶ドクロを集めるクエスト受けることができるらしい。
その後、アドナたちは満足げに大笑いをした後にギルドを去っていった。
「ではさらばだフライ。貴様が敗北して不様に這いつくばる姿、楽しみにしているぞ」
アドナの幼稚な挑発を俺は無視。
「フライさん。三人のギルド登録が終わりました」
そしてリルナさんにこれから遠出すること。しばらくこの街に帰ってこないことを告げる。
「そうですか。すみませんね、フライさんに私たち何もすることができなくて──」
「いえいえ。リルナさんには十分すぎるくらい世話になっています。本当にありがとうございました」
俺はぺこりと頭を下げる。当然だ、俺が前のパーティーにいた時から俺のことを心配してくれた。
それにフリーゼやレディナだって精霊という身分で登録してもらえるかわからなかったのに、リルナさんはすぐに大丈夫と言ってくれた。本当に感謝だ。
そして俺たちは水晶ドクロに関するクエストを引き受ける。
「了解です。アドナさんと一緒、気まずいかもしれませんがフライさんなら大丈夫でしょう」
「違うフィッシュ。あいつはフライに突っかかってきた敵だフィッシュ」
「ど、どういうことですか?」
ハリーセルのツッコミにリルナさんが戸惑う。とりあえず何が起こったのか説明しよう。
俺はリルナさんが席を外していた時、俺とアドナの間に起こったことをすべて話した。
「え、えっ? アドナさんが言っていたこととずいぶん違うのですが──」
「違う? アドナはどんなクエストを発注したのですか?」
「はい、私はフライさんと一緒に水晶ドクロを回収したいので今回だけお願いしたいと言われました。どうしてもと頼まれ、フライさんがいるとのこともあり仕方なく許可したのですが──。いまだに信じられません」
「何よアイツ。ギルドの人までダマしていたの? 本当に呆れるわ?」
レディナが腰に手を合ってながらやれやれとあきれる。
リルナさんは、何を信じていいのか迷い、オロオロしてしまう。
すると周囲で聞いていた冒険者がさっきまで起こったことを話す。当事者ではない第三者の説明を受けた。リルナさんは俺の言葉とアドナの説明、どちらが正しいかを理解する。
「そ、そうだったのですか──。申し訳ありません。今からでも取り消しにしましょうか?」
「いやいいです。どの道勝負を受けないわけにはいかないんで──」
その言葉を聞いた瞬間の背筋に電流が走った。
するとレディナが聞いてくる。
「フライ、どういうことなの。統括協会にばらされるとまずいことでもあるの?」
「本来、ギルドに登録できる亜人は統括協会が許可した人種しかできない事になっている。
けれどこの世界には俺たちが把握できていない亜人なんて数えきれないほどいる。そんなことを手紙の往復で2か月もかかる距離の協会に許可なんて待っていたら仕事にならない。
だから現場のギルドで適当な人種ということで許可している。
いくら権力があるといたって協会だって世界中のギルドを細かく管理なんてできない。だからこれについては黙認状態なんだ」
「けれど、もし私がこのことを話したら、教会だって黙っているわけにはいきませんからね。建前があっても違法は違法なのですから。それにあんな奴ら、ちょっと金を渡したら簡単に意見を変えるでしょう」
俺は額に手を当て考えこむ。
今はリルナさんが許可しているおかげで、フリーゼは問題なくギルド登録をしている。
けれど、リルナさんはあくまでこのギルドに雇われているだけだ。もしギルドの統括側の人に「認めない」と言われればそうするしかできない。
そしてアドナはにやりと自信を持った笑みを浮かべ、俺に迫ってきた。
「どうだ、こいつらを除名されたくなかったら俺と勝負しろ。本当は決闘でもして直接お前を顔の形が変わるくらいボッコボコにしてやたかったが、それだけじゃ俺のかんじょうはおさまらない。お前がクズで無能で雑魚ってことをこの街全部にさらけ出させてやる! 隣にいる根暗女もな」
根暗女? その言葉に俺は感情を煮えたぎらせ、ギッとアドナをにらみつけた。俺を罵倒するだけならいい。だが、フリーゼは別だ。フリーゼはアドナに何もしていない。
そんな彼女に、自分の怒りをぶつけるためだけに危害を加えることなんて絶対にあってはならない。
「本来これは俺達には関係のない勝負だ。だから受ける気はなかった。とはいえフリーゼたちを危険視さらすわけにはいかない。わかったよ。その勝負、受けてやるよ」
「フライさん、私たちは大丈夫です。そんなことしなくても──」
「心配しなくて大丈夫フリーゼ。勝てばいいんだ」
俺一人を中傷したりする分には構わない。クエストの成果で返せばいいのだから。
けれど、フリーゼたちに危害を加えるというなら話は別だ。
全力で、抵抗させてもらう。
「フッ。この俺様の勝負を逃げずに受けたことは褒めてやるよ。だがお前などに負けるつもりはない。圧倒的な力の差というものを、見せつけて勝つ。 負けて吠え面を描く準備でもしていたらどうだ」
「──そうだね。ここでオオホラを語ったところで勝敗に影響はない。全力を尽くすよ」
こうして俺はアドナと勝負をすることになった。具体的に言うと俺がアドナの要求したクエストを受ける。
アドナも特例として水晶ドクロを集めるクエスト受けることができるらしい。
その後、アドナたちは満足げに大笑いをした後にギルドを去っていった。
「ではさらばだフライ。貴様が敗北して不様に這いつくばる姿、楽しみにしているぞ」
アドナの幼稚な挑発を俺は無視。
「フライさん。三人のギルド登録が終わりました」
そしてリルナさんにこれから遠出すること。しばらくこの街に帰ってこないことを告げる。
「そうですか。すみませんね、フライさんに私たち何もすることができなくて──」
「いえいえ。リルナさんには十分すぎるくらい世話になっています。本当にありがとうございました」
俺はぺこりと頭を下げる。当然だ、俺が前のパーティーにいた時から俺のことを心配してくれた。
それにフリーゼやレディナだって精霊という身分で登録してもらえるかわからなかったのに、リルナさんはすぐに大丈夫と言ってくれた。本当に感謝だ。
そして俺たちは水晶ドクロに関するクエストを引き受ける。
「了解です。アドナさんと一緒、気まずいかもしれませんがフライさんなら大丈夫でしょう」
「違うフィッシュ。あいつはフライに突っかかってきた敵だフィッシュ」
「ど、どういうことですか?」
ハリーセルのツッコミにリルナさんが戸惑う。とりあえず何が起こったのか説明しよう。
俺はリルナさんが席を外していた時、俺とアドナの間に起こったことをすべて話した。
「え、えっ? アドナさんが言っていたこととずいぶん違うのですが──」
「違う? アドナはどんなクエストを発注したのですか?」
「はい、私はフライさんと一緒に水晶ドクロを回収したいので今回だけお願いしたいと言われました。どうしてもと頼まれ、フライさんがいるとのこともあり仕方なく許可したのですが──。いまだに信じられません」
「何よアイツ。ギルドの人までダマしていたの? 本当に呆れるわ?」
レディナが腰に手を合ってながらやれやれとあきれる。
リルナさんは、何を信じていいのか迷い、オロオロしてしまう。
すると周囲で聞いていた冒険者がさっきまで起こったことを話す。当事者ではない第三者の説明を受けた。リルナさんは俺の言葉とアドナの説明、どちらが正しいかを理解する。
「そ、そうだったのですか──。申し訳ありません。今からでも取り消しにしましょうか?」
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