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フリジオ王国編

唯一王 レディナとのデートに戸惑う

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 フリーゼと幸せな日を送ってから数日後、最後はレディナとのデート日だ。


 俺は、レディナと一緒にお花畑のような場所を歩いている。

「ここ、いいじゃない。いろいろな花が咲いていてとても素敵な場所だと思うわ」

 レディナは目の前にあるハーブを眺めながら話しかけてくる。
 俺も目の前に咲いているいくつもの花を見ながら言葉を返す。

「そうだね。俺も始めてきたけれどとってもいい場所だと思う」

 ここは、街のはずれ、山の中腹にあるハーブ園。いろいろな花が規則的に並んでいる。
 ミントにチューリップなど、この辺りでは見たことない綺麗な植物が多くとても興味がわく。

 それから、俺達は周囲にある色とりどりの花たちを見ながら、石畳の道を歩く。
 今日はレディナとのデート日。どうしてここに来たのかというと──。






 話はレディナとのデートの日の二日前にさかのぼる。
 三人とのデート企画も最後となった。


 そして次は一番気を遣わなきゃいけない相手、レディナだ。

 フリーでとハリーセルは、異性ではあるがどこかラフというか、友達のように気軽に接せる部分があり、どこかデートとしておかしい所があっても見逃してくれるイメージがあった。
 けれど、レディナはそういう所厳しそうだ。

 おせっかいみたいな感じで「あれはダメ」とか「こうしなさい」とかの嵐になりそうな気がする。

 考えるだけで胃が痛くなる。気がめいってしまいそうだ。


 それでも、やれるだけのことはやっていこうと考える。

 俺は鏡を見て寝癖や目やになどおかしい所がないか確認してから部屋を出発。
 歩いて十五分ほどすると、約束の場所に到着。まだレディナは来てないな。

 そこは噴水のある大きな公園。緑の原っぱが一面に広がっている。
 家族づれの親子や、若いカップルがいたりしてどこかほんわかした雰囲気の中、背後からレディナはやってきた。

「お待たせフライ。待った?」

「俺も今来たばかりだよ」

「それで、今日はどこに行く?」

 出た、鬼門の言葉。質問形でありながらこれは「私をデートするのにふさわしい場所はどこ?」という意味に等しい。生半可な場所では彼女からツッコミが入ってしまうこと間違いなしだ。

 だから俺はレディナのその言葉にちゃんと答えることができるような場所を選んだ。
 それがこのハーブ園ということだ。





 このハーブ園はいろいろな植物を飾っている研究所のような場所だ。
 ここは研究費を稼ぐために入場料を払えば誰でも入ることができるようになっている。

 ハーブだけでなく様々な植物が飾られている。
 そしてこの辺りはローズに関する植物が色とりどりに咲いているエリア。

 気品のある建物の庭の前には何十種類もの色や形をしたローズが規則正しく飾られている。
 俺はその中の赤いローズの前に鼻を近づけ、香りをかぐ。

「このローズ、とてもいい匂い。レディナも嗅いで見なよ」

 そしてレレディナは俺の言葉通り、目の前にある一つのローズの香りを嗅いでみる。

「あ、いいじゃない、素敵な香りだわ」

 レディナもこの香りはとても気に入っている、甘くて上品な香りがとても素晴らしいと俺も感じる。

 それからも俺はいろいろな花を見たり香りを楽しんだりしてこの場を去っていく。
 時間は、
 良かった、レディナが楽しいんでくれて本当に何よりだ。


 それから、道端で営業をしていた屋台でパフェを買う。クリームがたっぷりで甘そうなフルーツが乗っかっている。
 そしておいしいパフェを食べ歩きしながら、俺はレディナに話しかける・

「レディナ、ちょっといいかな」

「何よ」


「この後は、夕日の景色がいいレストランとかどう?」

 俺はこの後に考えている予定を説明する。せっかくの夕方の時間帯、それを生かせるような店で食事をとりたい。

 ギルドなんかで展望が良くて夕日がよく見えるレストランをいくつかピックアップしておいたのでそこに行こうとしたのだが──。

「ふ~ん。あんたらしくよく考えているのね。けど、今度は私の行きたい所へ行く番よ。大丈夫?」

 レディナは機嫌が良くなったようにフッと笑って話す。
 レディナの行きたいところ? どんなところなのかな──。

「大丈夫だよ。じゃあそっちに行こうか」

「じゃあ私が行きたかった場所、ついていきなさいね」

 そしてレディアは俺の前を歩き始める。
 上機嫌でステップを踏んでいるような彼女の足取り、俺は後を追うようについていく。



 日が傾き始めた道のりを歩き始めて三十分ほど。

「ここが私が行きたかったところよ」

「ここは、海岸?」

 そう、レディナが案内したのは街の海沿いの道。
 所々に船があり、その先には地平線まで続く海。

 そして夕日。夕日は地平線へとわずかに沈んでおり、その陽光で海がオレンジ色に反射していてとても綺麗に見える。

 レディナは、潮風でなびく髪をそっと抑えながら言葉を返す。

「どう、この時間のここの海はすごい綺麗なの。もし良いムードでデートができたら、最後にここに行ってみたいってずっと考えていたわ」

「確かに、すごい綺麗だね。すごいセンスあるじゃん」

「ありがとう。じゃあ、一緒に歩きましょう」


 レディナは俺に向かって右手をクイクイを動かす。おそらく手をつなぎたいという合図なのだと考え俺はレディナの手をぎゅっと握る。

 レディナの柔らかかくて冷たくて、繊細な手。それを意識するだけでドキッとしてしまう。

 強すぎないように優しく握りながら、俺たちは海沿いの道を歩く。
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