~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕

文字の大きさ
上 下
34 / 203
フリジオ王国編

唯一王 新たな精霊と出会う

しおりを挟む
「ここが、フリジオ王国か」

「──そうみたいですね」

 俺たちは準備を終え、馬車を手配。そして数日かけてフリジオ王国、王都クラムに到着した。
 馬主に金貨十枚の報酬を渡し、街を歩き始めた。

「おおっ、なんかおしゃれできれいな街だフィッシュ」

 その街並みを見てハリーセルが歓喜の声を上げる。
 街並み一つ一つがとてもきれいで、おしゃれな雰囲気だと俺も思う。

 確かこの街クラムは文化の中心といわれていたんだっけ。それだけあってとても華やかな街だと思う。


 そして街を歩き始めるとフリーゼが質問をしてくる。

「そういえば、街についてからどうすればいいのか聞いていません。どうすればいいのですか?」

「とりあえずギルドに行こう。精霊のことについてわかる人が出るまで聞き込み調査をしよう」

 この街に俺たちの知り合いなんていない。地味なやり方だけれど、それ以外にない。
 疲れるかもしれもしれないけれど、頑張ろう。

「そうですね。それしかないと思います。ではいきましょう」

 そして俺たちはギルドへ。
 歩いて三十分ほど。俺たちがいた街のギルドより一回り大きく、ちょっとファンシーな、そんな小ぎれいでいい雰囲気のギルドにたどり着く。


 すぐに扉を開けると、いろいろな冒険者がいる。
 掲示板の前でクエストを探していたり、受付の人と話していたり。机で話し合っていたり。


「とりあえず、聞いてみようか」

 俺たちは机で談笑している冒険者に精霊について聞いてみる。すると──。

「ああ、確か聞いた事があるよ」

「なんか、今は一人で行動しているみたいよ」

 あっさり情報を聞き出せた。これは予想できなかった。何か罠なんじゃないかと疑うほどだ。

「すいません。この街では精霊ってそれほど有名なのですか?」

 フリーゼも疑問に思ったのか問いかける。
 斧を持った中年の冒険者が、何の迷いもなく答えた。

「まあね。噂にはなっているよ。会いたいのかい。確か──」

「街の図書館によく表れるって聞くよ」

 隣にいるお姉さんが言葉を遮るように答えた。

「分かりました。ありがとうございます」

 他に当てがあるわけでもないし。とりあえず図書館に行ってみよう。そこで聞き込みをすれば、何かわかるかもしれないし。

「フライさん。図書館に行くということですね」

「ああ、行ってみよう」

 それから俺たちは会話をした冒険者に図書館の位置を教えてもらった後、ギルドを出た。
 なんかあっさりわかっちゃったな。後で変などんでん返しがないといいが──。


 ギルドを出た俺たち。にぎやかな商店が連なるエリアや、偉い人が集まる官庁街を抜けると、その場所にたどり着いた。


「ここ、みたいだね」

 古風なつくりだが、街の中でも巨大で権威がありそうな建物。
 高さも五回くらいまではありそう。

「とりあえず、入ってみましょう」

「そうだね」

 そして俺たちは中へと入っていく。
 おしゃれな雰囲気の図書館。

 精霊が誰だかわかるのはフリーゼとハリーセルだけのため、二人の後追いで図書館の中を探る。
 まず一階。いろいろな昔の本が置いてあるエリア。身分が高そうな人をちらほら見かけるが──。

「いません。上の回に行ってみましょう」

「そうフィッシュね」

 俺たちは階段を上がり二階へ。
 まずは化学に関する本が保管されているエリアを探索するが、それらしき人はいない。

 それから二階のテラス席。ガラス窓から外を一望できるカウンター席、その人物はいた。
 一人の赤髪の女の子をフリーゼが指をさす。

 肩までかかったセミロングで、少々ふんわりとカールがかかった印象だ。
「おそらくはあの人物よ。彼女が精霊の一人よ」

 あの人か。背中しか見えないからどんな人物かわからない。
 変な人じゃなければいいな──。

 俺たちはその人物に近づく。フリーゼがその人物の肩をツンツンと叩くと、その人物はこっちを向いた。

「何よ──、ってあんたフリーゼ。なんでここにいるのよ!」

「レディナ。あなただったのね」


 少々釣り目で、淡い赤色の瞳をしている女の子。
 ふんわりとしたカールの髪と相まって、どこか大人びた少女という印象だ。


 レディナっていうのか。
 フリーゼとハリーセルを不思議そうな表情で見つめながら言葉を返し始める。

「あなたたち、どうやって遺跡から脱出したのよ。この男の人?」

「はい。あなたこそ。どうして一人でいるのですか?」

 その言葉にレディナは警戒した素振りで左右をきょろきょろし始める。そして俺たちにぐっと近づき、ひそひそ声で──。

「悪いけど、こんな人が多い場所で話せることじゃないわ。屋上に人気がいないところがあるからそこで話しましょう」

「分かりました」

 確かに正論だ。この中に精霊の情報を悪用しようとしているやつらがいる可能性だってある。

 そして俺たちは階段を登っていく。
 五階の上、階段の先のドアを開ける。

 キィィィィィィ──。

 その先は、ところどころにベンチのある屋上となっていた。
 柵からは街を一望でき、眺めはいい。

「ここならだれもいないから、思う存分本音を話せるわ」

 確かにほとんど人気はなく、盗み聞きをされる心配はない。
 人がいない場所のベンチに腰掛け、話が始まる。

「とりあえず自己紹介をするわ。私はレディナ。精霊の一人よ。よろしくね」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」  騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。  この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。  ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。  これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。  だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。  僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。 「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」 「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」  そうして追放された僕であったが――  自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。  その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。    一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。 「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」  これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...