~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕

文字の大きさ
上 下
18 / 203

唯一王 ポルセドラと対決

しおりを挟む
「ちょっと待て、ここから先は何かがおかしい」

 予想通りというか、ウェルキは言うことを聞かず、にやりと笑いながら俺に言い放ってきた。

「怖じ気図いたのかよ、どうせ見掛け倒しの雑魚トラップだろ。お前には脅威かもしれないけど、S級ランクの俺たちなら怖くもなんともねぇよ!」
 
 無警戒に進んでいくウェルキ。それに ──わかったよ。勝手にしてくれ。

 そしてそう考えた直後、異変が起こり始める。






 ゴゴゴゴゴゴゴ──。

 この場一帯にそんな音が流れ始めると、地震が起きたような横揺れがし始めた。

「皆さん何か来ます。気を付けてください」

 フリーゼの叫び声に周囲が視線をきょろきょろさせる。




 その瞬間──。


「グォォォォォォォォォォォォォォ──」


 突然この広間の中心に巨大なモンスターが出現し始めた。


 体長は十メートルほど。怪獣のような外見に、深海魚のような奇妙な顔つき、俺はこんな外見見たことがない。

 すると、フリーゼはその正体を知っているようで、こいつの情報を周囲に向かって伝え始めた。

「彼は上級魔物の一人、ポルセドラ。ここにいる魔物たちを束ねる主です。強力な魔物です。心してかかってください」

 そしてポルセドラが完全に出現した瞬間、水が道の奥に吸い込まれるようになくなっていき、最後には完全になくなってしまう。

「おい、水が消えたぞ。これで動きやすくなった」

 冒険者の一人が叫ぶ。確かにそうだ。
 そして俺は神経を集中させ、フリーゼやアドナたちに加護の力を与えた。
 あいつらに力を与えるのは抵抗あるけれど、ここはポルセドラを倒すのがまず大事だ。仕方がない。

 そしてフリーゼとアドナたちは一斉にポルセドラに立ち向かっていく。
 フリーゼと俺が最初に遠くから攻撃を繰り出す。

 攻撃はポルセドラに直撃。命中はするものの大したダメージにはならない。
 しかし、そのスキを他の冒険者が見逃すはずがない。

「ぶっ殺してやるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 そう叫んだウェルキとアドナ、そしてトランが一気に突っ込んでいく。

 俺が与えた加護のおかげで、普段より威力が倍近くになっている。

 そして彼らが与えた斬撃に、ポルセドラが大きく叫んで悲鳴を上げる。

 それからしばらく、冒険者たちとポルセドラの激しい戦いが続いた。両者とも力を消耗していき、冒険者側には、脱落者も出始めた。

 それでも、俺たちは戦い続けた。決してよいコンビネーションではなかったが、それでもポルセドラを追い詰めていく。

 そして最後──。


「もうちょっとね、これでとどめよ!」

 そう叫んだキルコが杖をポルセドラに向け始め、魔力を杖に込める。強力な術式を打ち込むつもりなのだろう。

 そしてキルコも魔力によって杖が黄色く光始めたその時。

 グォォォォォォォォォォォォォォッ──。

「ちょ、ちょっと、何よ!」

 何とポルセドラが叫ぶ声を上げ、キルコの方に向かってきたのだ。
 キルコは動揺し、慌てて後方に移動し距離を取る。

「確か、ポルセドラは黄色を見るとそれに向かってくる習性があるんです。気を付けてください」

「んなこと、最初に言えよバカ」

 そう叫んだウェルキ、アドナと一緒に慌ててキルコのところに向かうが間に合わない。

 俺はすぐにキルコとポルセドラの間に立つ。

 グォォォォォォォォォォォォォォ!

 大きく叫び声を上げながら俺に襲い掛かってくるポルセドラ。
 俺は冷静になり深呼吸をする。そして剣をポルセドラに向け──。

 ──殲滅せよ。スターダスト・エアレイド──

 そして魔力を伴った手のひらサイズの星が出現。星たちは意志を持ったようにポルセドラへと向かっていき──。

 ドォォォォォォォォォォォォォォォン!

 大爆発を起こし、ポルセドラの肉体が宙に吹き飛んでいく。

「これでとどめです!」

 そこにフリーゼが飛び上がっていき、その肉体を一刀両断。
 ポルセドラの体は地面に墜落。真っ二つに切断された肉体を見て理解。


 勝負は、ついた。



 俺たちに、安堵の表情がこぼれだす。


「とりあえず、大きな敵は倒しましたね」

「あと、問題はこれからだな」


 周囲の状況をよく観察する。俺たちや、まかりなりにもSランクの肩書を持つアドナたち。実力のあるトランはそこまでダメージを受けていない。

 しかし、他のパーティーたちは体力を消耗していたり、中には怪我をしている人もいた。

 そしてこれからどんな罠が待っているかわからない。

 それを鑑みて俺は一つの判断を下した。
 その言葉を継げるために、俺はCランク、Dランクのパーティーたちのところに行った。

「すまない。これから先、どんな罠が待っているかわからない。だから、君たちを返したい」

 気まずい時間が俺たちの中に流れる。

 そう、俺が下した決断。
 ウェルキたちと、トランのパーティー以外はすべて返すという決断だ。

「あ、私はまだ戦えます」

 そのうちの一人が手を剥げて話しかけてくる。確かに一人一人見れば、中には戦える人もいるだろう。
 しかし、個別に返すと彼らは一人で戦うか、普段から連携をとっていない人と一緒に戦うこととなる。
 コンビネーションが取れない状態では実力を発揮することができない。

 戦えるものを返すのは惜しい部分もあるが。命を落としてしまっては元も子もない。
 そう丁寧に説明する。

「おい、早くしろよ。そんな雑魚のために、俺たちを待たせるんじゃねぇ」

 ウェルキの罵声。もう慣れた。俺はため息をついた後、言葉を返す。

「ちょっと待て、こいつらを返したらすぐ行くから」

「では、皆さんを今から返します。今までありがとうございました。お疲れ様です。もしギルドから報酬をいただけたら、分け前は必ずお渡しいたしますので。それでは──」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...