~~婚約破棄から始まる天才少女と占星王女の天聖革命~~ 最強無敵の冷徹令嬢は最愛の王女様を救うため、世界をやり直すようです

静内燕

文字の大きさ
上 下
89 / 105
3章

乗り込む船

しおりを挟む

「まあ、楽しいお茶会(ティーパーティー)になりそうね」

 そう、彼らにとっては痛い思いでもある「お茶会事件」の始まりだ。








 あの騒動から2週間後。船の出航や、クリークの書類からの下調べを経て、場所や日時を特定。

 今日は、その船が出航する日。その船を抑えて、現行犯としてとらえるために、私たちは行動に出る。

 私とミシェウと、アルル。それから集めてきた兵士の人が十数人。兵士は、秘密を知られても問題ないような信頼できるような人で固めている。

 ローラシア王都にある港。マーシャル港。

 王都という立地と港として使用するのに恵まれた地形条件から、ここから国内や時には海外に向けた大きな船が飛び交っている。

 貿易目的で他国へ向かおうとするガレオン船が何隻もあり──。

「とりあえず、まずはどの船がソボロフ──に行く船なんだっけ?」

「えーと、調べた限り一番奥にある船です」

「じゃあ、行きましょ」

 兵士の人に資料を見せてもらい、私達は港を歩いていく。大丈夫だとは思うが、周囲から見られるとどうしても緊張してしまう。
 もっとも査察という名目だから問題はないし、キョドキョドした態度をとっていたら逆に怪しまれる。冷静さを保たないと。
 下調べは済んでいる。いちばん奥に着くと、大きな船。
 その近くで、肌が焼けた筋肉質な船乗りたちが船の中に何かを運んでいるのがわかる。
 四角くて茶色い布でできた何かを船の中へ1つ1つ。あれの一体何割が、違法な物品なのだろうか。

「あれ、どうやって調べようか?」

「まあ、全部調べるなんて不可能だわ。手掛かりはあるの?」


「多分だけど。全部が全部薬物なんてことはない。そこをピンポイントで探り当てる必要があるんだけど、わかる?」

「あのさ、多分普通の茶葉や貿易品と分けていたり、目印みたいなものをつけているんだと思う。それも、一般の船乗りにはわからないような」

「隠し場所みたいなものがあると思う。そこを探して──当てればいいと思う」

「理屈はわかったわ。でもどうするの? 隠し場所というわけだから、簡単に見つからなさそうよ」

「それはわかってます。一応策は考えています」

 そして、私は2人に耳打ち。自分が考えていた策を話す。

「わかったわ。それで行きましょ」

「粗がないとは言い切れないけど、他に代案がないのも事実ね」

 2人は賛成してくれた。そして、私たちは作戦を実行。人気のない物陰に隠れてチャンスをうかがう。
 港では、船乗りの人たちが荷車を使ったり担いだりして荷物を運んでいた。

 そんな時間が十数分ほど過ぎる。あまり時間が経つと船が出発してしまう。早く船長の人が来ないかな。

 そんな風に焦りの気持ちが出てきたあたり──一人の人物がやってきた。

 確か、あの人だっけ。水色と白の縞々のシャツを着た、小太りの男の人。
 両手のポケットに手を突っ込みながら、がに股で船へ向かって歩いていた。

「あの人が船長よ、行きましょう」

「はい」

 私達が兵士たちを引き連れて早足でその人のところまで歩いていく。
 そして、男の人の肩を叩いた。

「申し訳ありません、お話したいことがあるのですがよろしいですか?」

 突然の事態に、慌てて驚く船長。

「な、な、なんだいきなり。何の用だ? というか貴様たちはいったい何だ?」


 こっちが王国の物だという証明の書類を見せる。船長の人は、驚きつつその書類に目を通していた。

「申し訳ありません。王国の兵士の物です」

「い、一体なんでしょうか? そろそろ出航の準備をしないといけないのだが」

「大丈夫です。そこまで時間はとらせません。出航になりそうになったら教えてください」



「大丈夫です。そこまで時間はとらせません。出航になりそうになったら教えてください。身を引きますから」

「急なんだけど、それくらいことが急いでるって事なの。下手をしたら、後々まずいことになってしまうわ。だから、協力させてほしいわもしかしたら、あなただって罪を問われることになるかもしれないの。それで処罰なんて絶対に嫌でしょう?」

 アルルの言葉に、船長は考え込んで──言葉を返してきた。

「そこまで言うなら、わかった」

 査察に関する書類に、アルルの共犯者になるかもしれないという言葉に船長の人は反論できなくなったのか、コクリと首を振ってくれた。「ありがとうございます」と3人でお礼を言って、船の中へ。船員たちの邪魔にならないように列を作って進んでいく。

 船の中、薄暗い廊下。物を運んでいる人たちを見ながら歩いていく。

 特におかしい所はない。

 無限にここにいられるわけではない。何か手掛かりはないのだろうか。

 周囲を見ながら変わったところ──わからない。ひそひそ声で、アルルに話しかけた。

「何か、わかったことある?」

「う~~ん。全体図とか見たり、もう少し雰囲気とか見ないとわからないかな」


 それから、しばらく周囲を歩く。
 私は怪しそうな動きや仕草をしている人がいないかよく探す。

 アルルが先頭になって、色々歩く。大きな荷物が大量にある部屋を見たり、かといえば部屋の周りを一周したり。

 そして、とある部屋周りを周回した後、アルルはパタリと足を止めて優しく壁に手を触れた。

「ここ、空間ができてない?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

報酬を踏み倒されたので、この国に用はありません。

白水緑
ファンタジー
魔王を倒して報酬をもらって冒険者を引退しようとしたところ、支払いを踏み倒されたリラたち。 国に見切りを付けて、当てつけのように今度は魔族の味方につくことにする。 そこで出会った魔王の右腕、シルヴェストロと交友を深めて、互いの価値観を知っていくうちに、惹かれ合っていく。 そんな中、追っ手が迫り、本当に魔族の味方につくのかの判断を迫られる。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

処理中です...