~~婚約破棄から始まる天才少女と占星王女の天聖革命~~ 最強無敵の冷徹令嬢は最愛の王女様を救うため、世界をやり直すようです

静内燕

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2章

私が、かわいい??

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「いいですよ。私とどんな店に行きたいか、とても気になります」

 私と一緒がいいってお店。とっても気になる。ミシェウは私の手を引っ張るようにして進んでいく。

 向かったのは、商業地区でも多くの店が立ち並んでいる一角。
 人通りがまばらな閑静なエリア。さっきまでと比べると、こじんまりとした店が多い。

「ここ、パーティーで使う香水とかかってるんだけど、たまには一緒にどうかなって思って」

「へぇ~~、おしゃれそうでいいお店だと思うわ」

 小さいが、どこか高級感のある建物に入ると、心を落ち着かせる香りが漂ってくる。
 商品が陳列してある棚にはキレイで色とりどりのガラス瓶が置いてあり、それぞれが個性のある香りを醸し出していた。

「香水、色々見てみようよ。これから、使うことが増えるかもしれないし」

「そうですね」

 まあ、デートにはちょうどいい場所だ。いつもはララーナかと相談して何を買うか決めているが、話しているのはあそこの要人はにおいに敏感だから薄めの方がいいとか、○○の人はこっちの方がいいとか業務に関することばかり。だからこうして「純粋に何がいいかな」とか2人だ話したり──ちょっと楽しそう。

 これから先、パーティーもある。少しでもいい香水を手に入れるなら、行く意味もある。
 カラフルなガラス瓶を手で取って、ふたを開けて色々と香りをかいでみる。

 甘い香り。いつも私がつけているようなさわやか系の香り。酸っぱかったり──色々とある。
 いっぱいあって、迷ってしまう──どうすればいいのだろうか。初めてのお店だし。そんなことを考えていると、ミシェウがオレンジ色の瓶を手に取り、私に見せてきた。

「ここさ、色々なお花とかを原料にした香水があるんだよね。確か、種類では街で一番だったと思う」

「確かに、いっぱいあるわね」

 周囲に目を向けると、何段もの棚になん十種類もの香水。確かに、行ったことある店よりも種類が多い。


「私は、柑橘系の香水好きなの。特に、甘酸っぱいくて、さわやか系のとか」

「いいんじゃないですか? ミシェウにとても合っていると思います」

 確かに、このオレンジの瓶の奴は──さわやかで、甘酸っぱいにおい。オレンジとかかな?
 明るくて活動的なミシェウに、とても合っているいいなぁ。

 そして、無意識のうちにミシェウの腕に近づいてクンクンと匂いを嗅いでしまった。慌ててミシェウが2歩ほど後ずさりする。

「ってさりげなく人の匂いをかがないでよ。まあ、王都にいる間は気を付けてるけど、万が一ってこともあるじゃん」

「あ、申し訳ありません」

 ちょっと、行き過ぎてしまった。真剣モードじゃない時にミシェウがここまで言って来るとは思わなかった。そして、ぷくっと口を膨らませてから言う。


「もう……いくらシャマシュでも嫌だもん。デリカシーってもんがあるでしょう。汗の匂いとか、あったら恥ずかしいよ~~」

「そ、そうね。ごめん」

「気を付けてね」

 あ~~ちょっと、失敗しちゃったな。でも、ミシェウの意外な一面が見られて新鮮な気持ち。
 甘酸っぱい系の香りと、ミシェウから出る甘い系の匂い。それが合わさって、天国のように感じられた。

 それから、今度は私の番。いつもは、さわやか系の香水を買っていた私。たまには違う系統の物を買ってみたいと思うけれど、何がおすすめなのかはわからない。何せ初めての店だし。

「おすすめのものとかある?」

「えーとね。シャマシュ似合うのかこれじゃない?」

 そう言って、ミシェウは青色の瓶を手に取り、私に差し出してきた。これは──何?

「甘い系の香りかな」

 試しに嗅いでみると、甘ったるい感じがする。う~~ん、思わず表情が険しくなる。
 私がかわいいなんて、どう考えてもお世辞にしか見えない。

 いつもは──お花でも、さわやか系やすっきりした香りの物をつけているから、こういった種類のものは抵抗がある。


 香水の前で腕組をして、むむむと首を傾けて考え込む。

「えーとね。甘い系のお花の香りをブレンドさせたやつ。ちょっと高いけど、人気みたい」

「甘い香り? 多分、合わないと思いますよ」

「いいじゃん。かわいい女の子って感じで」

「そんなことないですよ」

「かわいいって! シャマシュ、いつもすっきり系だったけど、たまにはかわいいを前面に押し出すようなのもいいかなって思って。絶対にあってるよ」

「私が──かわいい……ですか??」

 思わず首をかしげてしまう。おかしいでしょ。私、不愛想だし、感情表現がうまくないし。
 すると、ミシェウはニコッと笑って顔を近づけてきた。だから、顔を近づけないでよ……心臓が止まるかと思ったじゃない。

「うん。ミシェウ、スタイルいいしたまに笑みを見せた時なんかとってもかわいいし。自分のこと、もっと自信持ってもいいよ」

「自信、ですか?」

「うん」

 満面の笑みを浮かべるミシェウ。そこまで言われると、断るわけにわいかないかな。

「うん。いつも隣にいてて思ったんだよね。シャマシュ、とってもかわいいって。いつもは来るだけどさ、必死に戦っているときはすごいりりしかったり、逆にうれしいことがあった時とかはふっと表情が緩くなったりさ。そういうのを見ていると、かわいいじゃんってすごい思ってるんだよね。だからさ、かわいいよ」

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