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あの作戦
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「うう~~狭苦しい。不自由」
ドレスを着て、私の部屋を出たミシェウ明らかに不満そうに、顔をぷくっと膨らませている。
「走れない、きつい」
「とっても素敵でかわいいですよ。美人です」
「それは……ありがと」
ちょっとうれしそう。まずは、ミシェウを国政に出来るだけかかわらせたい。あまり無理強いは、させたくないけど。
赤絨毯の道をしばらく歩いて、目的の場所に到着。ミシェウは、終始不満そうにぷくっと口を膨らませていた。
「うぅ……早く本読みたい~~」
「我慢してください。国民のためなんですから。あと、立案者のリクエストで食事をしながらの会議になるそうです」
優しくなだめる。だって、これから向かう会議では、国の未来を左右する重要な軍事作戦が立案されているのだから。というか、食事しながら……ちょっと珍しいわね。
向かったのは王宮一の広さを持つ会議用の部屋。中には、兵士や冒険者たちを指揮する立場の男の人が何十人も席に座っていた。
席で酒を飲んだり、タバコを吸ったり。というかタバコを吸う人が多くて、部屋が煙たい……。
全体的に軍服を着た年配や中年の人が多い。
我慢して上座の席へ。部屋の一番上座の席には、今回私たちを呼び出した主の、男の人がいた。
無駄に金銀で絡められたキラキラした騎士の鎧。
明らかに戦闘には向いていなく、私たちに自分の権威を見せつけたいだけなのだというのがわかる。そして、胸のあたりにはまるで見せつけるかのごとく飾られている勲章の数々。
小太りで、ひげを蓄えにやりと笑みを浮かべている中年の男。
現在、兵務担当の最高指揮者。ウェルダー・ホーネルカーだ。
ただ、それも自分が権威のある人間だと見せつけるために部下に作らせただけの、実質的には何の意味もないものだというのは知っている。こいつは、いつもこうやって無駄に勲章を作らせたり、権威を見せつけて周囲に自分を誇示しているのだ。
そんな彼が、にやりと笑みを浮かべてこっちを見てきた。正直、こいつを見ただけで顔をぶんなぐりたくなる衝動に駆られる。それくらいのクソ野郎なんだこいつは。
「これはこれはミシェウ様にシャマシュ様。お会いできて光栄です」
手を差し出してきたので、一応握手。今は感情を隠さないと。
彼こそが、兵務大臣を務めいて、現在王国で作戦の立案や現場を担当している人物。(なお能力ではなく、親が同じ大臣を務めていてその後を継いだだけの模様)
そして多くの冒険者たちを無駄死にさせ不幸とそこに陥れる男だ。
少しの時間がたって、会議室の席が埋まる。すぐに、扉が開いて食事が出された。今回は、こいつの指示によって食事をしながら行うことになっている。
コーヒーにサラダとパン、それに──。
「何だ、この肉は?」
見たことが無い肉を焼いた料理が中心にある。恐らくこれがメインの料理なのだろうが──。
う~~ん、この料理は初めて見たわ。誰か知っている人とかいるのかしら。
そしてちらりとミシェウに視線を向けてみると物珍しそうに料理を見ている。ほかの貴族たちもだ。周囲の貴族たちも、物珍しそうに肉を見ている。
それは、指2つ分に切られていた焼かれた肉。
牛肉でも豚肉でもない、見たことがない動物の肉だというのはわかる。
気になるのは、ちょっと癖のあるにおい。おいしいのかな??
「私もこの料理は見たことが無いです」
他の貴族の人たちも互いにきょろきょろと顔を合わせながら戸惑っているのがわかる。何か秘密でもあるのだろうか。
「うん、これとってもおいしいね~~」
ミシェウは、謎の肉をにっこりとした笑顔でとてもおいしそうにほおばっていた。
何の肉かわからないのに──まあ、ここでみんなに出しているんだから食べられないわけではないよね。
そんな風に考えて、肉をじっと見ていると、ホーネルカーはにやりと笑みを浮かべて自慢げに話し始めた。
なお、ミシェウはそんなことお構いなしに今度はサラダをほおばっている。
「皆さん、この与えられた肉が何かわからなくて困惑しているようですね」
「ああ、こんなにおいが独特な肉、初めて食べるぞ」
「なんの肉だかわからん。教えてくれ」
「了解しました。教えましょう、それはジンギスカンという羊の肉を使った料理です
そしてこれから私が提案する作戦、それはジンギスカンが関係しているのです」
だからわざわざ食事をはさむなんてまどろっこしい手段をとったのだろう。
こういうところは、無駄に考えたことをやる。だから無駄に人を引き付けてしまい、なかなか無能さは表に現れない。
「これは全く別世界にある伝説上の国、その世界のほとんどを征服した伝説の大国が行っていた食料や物資の補給法なのですが──」
確かに、人里離れた場所で戦わせるとき、どうやって物資。特に食料を安定的に補給するかは以前からの課題だった。
戦況が長引くにつれ、前線で戦っている冒険者たちへの食糧や武器の供給が滞り、逃げだす人が続出したり飢えに苦しん無人が出て戦いどころではなくなってしまったのだ。
また、人がいる場所であっても過剰な食料の調達は現地の人の反感を招いている。冒険者の中には、食料を強奪に近い形で奪っていくやつもあるからだ。
みんな、それに対しての回答ということで関心を持っているのだろう。もっとも、こいつの策はそんな上等なものじゃない。愚策中の愚策で幼稚極まりないのもなのだが。
ドレスを着て、私の部屋を出たミシェウ明らかに不満そうに、顔をぷくっと膨らませている。
「走れない、きつい」
「とっても素敵でかわいいですよ。美人です」
「それは……ありがと」
ちょっとうれしそう。まずは、ミシェウを国政に出来るだけかかわらせたい。あまり無理強いは、させたくないけど。
赤絨毯の道をしばらく歩いて、目的の場所に到着。ミシェウは、終始不満そうにぷくっと口を膨らませていた。
「うぅ……早く本読みたい~~」
「我慢してください。国民のためなんですから。あと、立案者のリクエストで食事をしながらの会議になるそうです」
優しくなだめる。だって、これから向かう会議では、国の未来を左右する重要な軍事作戦が立案されているのだから。というか、食事しながら……ちょっと珍しいわね。
向かったのは王宮一の広さを持つ会議用の部屋。中には、兵士や冒険者たちを指揮する立場の男の人が何十人も席に座っていた。
席で酒を飲んだり、タバコを吸ったり。というかタバコを吸う人が多くて、部屋が煙たい……。
全体的に軍服を着た年配や中年の人が多い。
我慢して上座の席へ。部屋の一番上座の席には、今回私たちを呼び出した主の、男の人がいた。
無駄に金銀で絡められたキラキラした騎士の鎧。
明らかに戦闘には向いていなく、私たちに自分の権威を見せつけたいだけなのだというのがわかる。そして、胸のあたりにはまるで見せつけるかのごとく飾られている勲章の数々。
小太りで、ひげを蓄えにやりと笑みを浮かべている中年の男。
現在、兵務担当の最高指揮者。ウェルダー・ホーネルカーだ。
ただ、それも自分が権威のある人間だと見せつけるために部下に作らせただけの、実質的には何の意味もないものだというのは知っている。こいつは、いつもこうやって無駄に勲章を作らせたり、権威を見せつけて周囲に自分を誇示しているのだ。
そんな彼が、にやりと笑みを浮かべてこっちを見てきた。正直、こいつを見ただけで顔をぶんなぐりたくなる衝動に駆られる。それくらいのクソ野郎なんだこいつは。
「これはこれはミシェウ様にシャマシュ様。お会いできて光栄です」
手を差し出してきたので、一応握手。今は感情を隠さないと。
彼こそが、兵務大臣を務めいて、現在王国で作戦の立案や現場を担当している人物。(なお能力ではなく、親が同じ大臣を務めていてその後を継いだだけの模様)
そして多くの冒険者たちを無駄死にさせ不幸とそこに陥れる男だ。
少しの時間がたって、会議室の席が埋まる。すぐに、扉が開いて食事が出された。今回は、こいつの指示によって食事をしながら行うことになっている。
コーヒーにサラダとパン、それに──。
「何だ、この肉は?」
見たことが無い肉を焼いた料理が中心にある。恐らくこれがメインの料理なのだろうが──。
う~~ん、この料理は初めて見たわ。誰か知っている人とかいるのかしら。
そしてちらりとミシェウに視線を向けてみると物珍しそうに料理を見ている。ほかの貴族たちもだ。周囲の貴族たちも、物珍しそうに肉を見ている。
それは、指2つ分に切られていた焼かれた肉。
牛肉でも豚肉でもない、見たことがない動物の肉だというのはわかる。
気になるのは、ちょっと癖のあるにおい。おいしいのかな??
「私もこの料理は見たことが無いです」
他の貴族の人たちも互いにきょろきょろと顔を合わせながら戸惑っているのがわかる。何か秘密でもあるのだろうか。
「うん、これとってもおいしいね~~」
ミシェウは、謎の肉をにっこりとした笑顔でとてもおいしそうにほおばっていた。
何の肉かわからないのに──まあ、ここでみんなに出しているんだから食べられないわけではないよね。
そんな風に考えて、肉をじっと見ていると、ホーネルカーはにやりと笑みを浮かべて自慢げに話し始めた。
なお、ミシェウはそんなことお構いなしに今度はサラダをほおばっている。
「皆さん、この与えられた肉が何かわからなくて困惑しているようですね」
「ああ、こんなにおいが独特な肉、初めて食べるぞ」
「なんの肉だかわからん。教えてくれ」
「了解しました。教えましょう、それはジンギスカンという羊の肉を使った料理です
そしてこれから私が提案する作戦、それはジンギスカンが関係しているのです」
だからわざわざ食事をはさむなんてまどろっこしい手段をとったのだろう。
こういうところは、無駄に考えたことをやる。だから無駄に人を引き付けてしまい、なかなか無能さは表に現れない。
「これは全く別世界にある伝説上の国、その世界のほとんどを征服した伝説の大国が行っていた食料や物資の補給法なのですが──」
確かに、人里離れた場所で戦わせるとき、どうやって物資。特に食料を安定的に補給するかは以前からの課題だった。
戦況が長引くにつれ、前線で戦っている冒険者たちへの食糧や武器の供給が滞り、逃げだす人が続出したり飢えに苦しん無人が出て戦いどころではなくなってしまったのだ。
また、人がいる場所であっても過剰な食料の調達は現地の人の反感を招いている。冒険者の中には、食料を強奪に近い形で奪っていくやつもあるからだ。
みんな、それに対しての回答ということで関心を持っているのだろう。もっとも、こいつの策はそんな上等なものじゃない。愚策中の愚策で幼稚極まりないのもなのだが。
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