~~婚約破棄から始まる天才少女と占星王女の天聖革命~~ 最強無敵の冷徹令嬢は最愛の王女様を救うため、世界をやり直すようです

静内燕

文字の大きさ
上 下
5 / 105

私の部屋へ

しおりを挟む
 ふぅ──なんとかパーティーに戻って、正気を保つ。いまだに、夢なんかじゃないかなって思う。さっきのやり取り。ちなみにシャマシュは私にくっついてきたり、周囲に人たちと話をしていたり。

 固い服装が嫌いな私、いろいろな人と談笑をしながら会場の隅にいたら、いきなりのカイセド君の婚約破棄。本当にまさかだった。

 からのわたしへの婚約宣言。

 反撃したシャマシュに突然の魔獣襲来。シャマシュだけじゃ厳しいなとは思っていたら私に力を貸してほしいだって。

 あの時のシャマシュ、ちょっと頼もしく見えたなあ……まるで、ずっと死闘を経験してきた歴戦の戦士みたい。彼女、そんな戦いの経験なんてないのに。


 そして、シャマシュの頑張りを無駄にしないための、私の占星術の出番! 
 私の大活躍のおかげで、街は守られた。さすがは私!


 本当にいろいろあった。さすがに疲れちゃった。もうクタクタ。

 そして、記憶に焼け付いてしまう。あの唇の柔らかさ。一瞬シャマシュのほうを見て、思い出す。唇の柔らかさ。

 思い出して、ドギマギしてしまう。動揺が止まらない。隣にいる人とのやり取りで。

 えっ……えっ……あっ──。これ、夢じゃないよね、現実だよね。

 あ……えっっ? マジ??

 えっ──。私、何も聞いてないし。こういうのってパーティーの前にあらかじめ家を巻き込んで話し合いを繰り返していて、ここで行こなわれているのは答え合わせのようなもの。

 だから、聞いてもいないことをいまさら宣言されても返す言葉に困ってしまう。頭パニックで、すごいフリーズ。

 それに、婚約破棄だってそう。聞いてないし、こんな人々の目の前で。
 何があったのかな? 今度聞いてみよ。



 そのあとパーティーが終わると、私の部屋に戻るまで一緒に手をつないだ。私の部屋に、招待することになったのだ。だって、あんな終わり方じゃ絶対夜も眠れないし。

「ミシェウ、手がとても柔らかいですわ。一生握っていたいくらいですの」

 シャマシュと手をつなぎ部屋まで戻っていった。
 ちなみに、指と指を絡め合ってつなぐ、通称恋人つなぎというやつ。

 シャマシュの指、冷たくてなめらかで柔らかくて、ずっとつないでいたくなるくらいだ。ちなみに、シャマシュは時折腕をくっつけてくる。柔らかい。

 いきなり恋人つなぎはちょっと驚いたけど、シャマシュは私の手を求めているかのように何度も指をくっつけてくる。


 そのたびに、どきどきが止まらない。

「ということです。こちらこそ、2人の愛をどうぞよろしくお願いいたします」

 自信をもって宣言して、周囲に視線を配ったあの時。

 大半ははったりかもしれないけど、ここでオドオドしたりしたら周囲になめられる。こっちが主導権を渡さない。

 そう周りに印象付けるのが大事なのだ。

 さらに、カイセドと話をしたいがそう言ってはいられない。明日にでも、話を聞いてみよう。
 そんなことを考えながら部屋に戻る。

「ただいま~~」

「お嬢様お帰りなさい。シャマシュ様もですね、もうお楽しみにするつもりですか?」

「いいんですか? さっきのキス、はじめてなのに息ぴったりだったですし、今夜も楽し……」

「誤解を生むようなこと言わないで! 」

 シャマシュの言葉を強引に遮ってから来客用のソファーに座らせ、山積みになっていた資料がのっている政務用の机に強引に片付ける。

「ごめん、調べ物が長引いてごっちゃごちゃでさ──」

「お気になさらず。構いませんわ。別に来客というわけでもありませんもの」

「すぐに、紅茶を入れます」

 お辞儀をしてきたのは侍女のララーナ。
 青白いセミロングの髪。小柄な体つき。私より一回り年上で、幼い顔つきの人。落ち着いた性格で、私のことをよくわかってくれる人。

「聞きましたよ、パーティーでの出来事。ミシェウ様──相変わらずですね」

 あきれ顔で、ため息をつくララーナ。もうそこまで情報が行ってたんだ……。


「しかし、いきなり 同性同士の婚約。お嬢様が奇想天外だというのは理解しておりましたが、まさかこんなことになるとは」

「私だって、ほんとに意外だったんだよ!」


 手を大きく降って弁解する。そうしないと、賛同してるって思われちゃうから。

「いいじゃないですか、変わり者同士。いいコンビだと思いますよ」

「誉め言葉、ありがとうございます」

 私が変わり者ってことは、否定しないんだ……。自覚はあったから、私も否定しないけど。シャマシュは、うれしそうに微笑むも表情を崩さない。
 表情に自分の感情を出しすぎない。そういうところ、令嬢として一流よね。

「とりあえず、立ち話もなんだしなんか飲みながら話でもしない?」

「そうですね」

 ララーナは特に驚いた様子もなく私の方をじっと見た。ララーナもまた、冷静さを持っている。
 それに、私が子供のころから隣にいてくれた人。
 だから、私の性格や癖──行動パターンはすべてわかっている。だから、かける言葉もかなり踏み込んだものになっているのだ。

「まあ、私は貴族たちの間で疎まれていましたから、体のいい厄介払いってことで反応も悪くないでしょう」


 同志ってやつ? 偶然だね──。
 いらない余ったやつがくっつく分には構わないってこと? 体のいい厄介払いだよね?

「まあ、周囲から見ればそうでしょうね」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

処理中です...