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フィテアトル編
絶対に違わない!!
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レベリオと戦った2日後、幸乃達3皇戦を戦った6人は突然ボルフス=マルク宮殿に集められた。全員激戦の傷が完全に癒えきっておらず、所々身体に傷が残っていた。
とくにひどかったのがベルで身体の各所に傷があり、まだ治療が必要な状態だった。
そこで使用人たちに誘導され一室に案内される。
豪華さは無いが適度な広さの空間に備品が置かれている。
ゴミ一つ見当たらないのを見ると掃除が行き届いているのがよくわかる。
5分程するとノックの音が聞こえて誰かが入ってくる。
ヴェラッティである。
彼は早速話を始める。内容は以前リルカ達が潜入捜査をした72師団の資料の内容についての話だった。
ヴェラッティはさらに言葉を進める、それはいつものすらすらとした話し方ではなくどこか言いづらそうな話し方で──。
「それで、資料の中に俺達と裏切っていたやつが分かってそいつを検挙した、問題はここから何だが……」
そう言うとヴェラッティはレオポルトの方をちらっと見る、そして真実を騙り出す。
その機密情報を横流しして裏切っていた人物こそがレオポルトの部下だったのであったと。
全員が彼の方向を見る、レオポルトには事前に通達が来ていたようでそこまで驚いていた様子はなかったがやはり重い表情をしていた。
「先日の戦い、見事だった、」
「まだ戦いは残っている、彼をどうするのか、お前たちで決めてく」
レオポルトはショックを隠せなかった。
元々彼は対立感情が強かったエーリッヒ家出身の貴族で人1倍自尊心が強く、誰かに弱みを握られることを悪としていた。貴族同士で対立しているときは弱みを握られればすぐに付け込まれ、自分立場が危うくなっていくからである。
なのでその時の考え方が強く残っていて今回のことは彼にとっては重要な大問題だった。
それこそ3皇戦に出続ける事を考えなおすこともある得るほどの……
「こんなはずじゃなかった、そんなことを言いたげな表情ですわね」
彼らが自らが敵と心に誓っていた冥王たちの味方だったなど
今回は自分達が絶対の信頼を置いていた が裏切っていた。今も彼はそれを受け入れようとしていた。
しかし彼の心がどこか今もそれを受け入れようとしなかった。
「じれったいわね、いまさらあんたに対する考えなんて変わらないわよ、何も話す事なんてないでしょ、最後の戦い、今までと同じように力を合わせて戦うのよ、それでみんなに示すのよ、もうそんなことで争う時代は終わりだってね」
「簡単に言うな、俺とお前では立場が」
「違わない!!」
レオポルトの反論に真っ向から否定する幸乃、確かに彼の言う事にも一理ある。レオポルトとは違い幸乃は異世界から来た冒険者、この世界のこともよくわからず、家系に縛られるなんて事もなかった。
でもレオポルトにも幸乃にも共通する事はあった。
「大切な人達を守る、その目的は私もあんたも変わらないでしょ!!」
幸乃はそんな感情を込めて叫び語りかける。
そうだった、どんだけ優しくいったって乗り越えていくしかない、ミリートとの戦いもそうだった。
乗り越える、大切の人たちのために!!
ただそれだけだった。
ただそれだけだった──
幸乃は今までにないくらい感情をむき出しにして叫び語りかける
「プライドが何よ、そんなものより大事な物があるんじゃないの?だからまた一緒に戦うの、拒否なんて選択肢なんてないわ」
シンクレアも彼の隣にスッと移動し背中を押すように語りかける。
「私は忘れていませんわ。先日のあの戦い、あなたがレベリオの弱点であった攻撃の反射までのタイムラグに気付いてくれたこと、あれがなければレベリオを消滅させることは出来ませんでしたわ」
彼があの瞬間にレベリオの反射のスキ、それを彼が見つけなかったらレベリオに勝つことは出来なかった。その事をシンクレアは思い出し語りかける。
「少なくとも私たちはあなたの事を大切な仲間だと思っています、一緒に戦ったじゃないですか、市民や兵士たちはあの姿を見て貴族間で争うことに疑問を持っています、あとはあなたが1歩を出すだけです。私からもお願いします」
そう言ってシンクレアは頭を下げる。レベリオと幸乃達との戦いはヴェラッティの力、ライトニング・ビジョンを通してフィテアトルの市民全員が見ていた。
すると幸乃達が力を合わせて敵と戦っている姿を見て貴族達が対立しあっている事に疑問を呈する意見が増えてきていた。
その事は彼らにも伝わっていた。しばしの間沈黙が流れる、そしてレオポルトはゆっくりと口を開き始める。
「わかったよ、不本意ではあるが、協力するよ……」
レオポルトはどこか素直じゃない口調で答える。
全員が安堵の表情を浮かべ始める。
幸乃はそんな黙っているみんなを見て明るい口調でこの場を盛り上げようと話しかけ始める。
「ほら、みんな暗いよ、喜ばなきゃ!!せっかく彼が素直になって協力してくれるって決めてくれたんだから明るく明るく、祝ってもいいくらいなんだから!!」
それを見たヴェラッティは感じ始める、最後の戦い、絶対に勝てる──。
とくにひどかったのがベルで身体の各所に傷があり、まだ治療が必要な状態だった。
そこで使用人たちに誘導され一室に案内される。
豪華さは無いが適度な広さの空間に備品が置かれている。
ゴミ一つ見当たらないのを見ると掃除が行き届いているのがよくわかる。
5分程するとノックの音が聞こえて誰かが入ってくる。
ヴェラッティである。
彼は早速話を始める。内容は以前リルカ達が潜入捜査をした72師団の資料の内容についての話だった。
ヴェラッティはさらに言葉を進める、それはいつものすらすらとした話し方ではなくどこか言いづらそうな話し方で──。
「それで、資料の中に俺達と裏切っていたやつが分かってそいつを検挙した、問題はここから何だが……」
そう言うとヴェラッティはレオポルトの方をちらっと見る、そして真実を騙り出す。
その機密情報を横流しして裏切っていた人物こそがレオポルトの部下だったのであったと。
全員が彼の方向を見る、レオポルトには事前に通達が来ていたようでそこまで驚いていた様子はなかったがやはり重い表情をしていた。
「先日の戦い、見事だった、」
「まだ戦いは残っている、彼をどうするのか、お前たちで決めてく」
レオポルトはショックを隠せなかった。
元々彼は対立感情が強かったエーリッヒ家出身の貴族で人1倍自尊心が強く、誰かに弱みを握られることを悪としていた。貴族同士で対立しているときは弱みを握られればすぐに付け込まれ、自分立場が危うくなっていくからである。
なのでその時の考え方が強く残っていて今回のことは彼にとっては重要な大問題だった。
それこそ3皇戦に出続ける事を考えなおすこともある得るほどの……
「こんなはずじゃなかった、そんなことを言いたげな表情ですわね」
彼らが自らが敵と心に誓っていた冥王たちの味方だったなど
今回は自分達が絶対の信頼を置いていた が裏切っていた。今も彼はそれを受け入れようとしていた。
しかし彼の心がどこか今もそれを受け入れようとしなかった。
「じれったいわね、いまさらあんたに対する考えなんて変わらないわよ、何も話す事なんてないでしょ、最後の戦い、今までと同じように力を合わせて戦うのよ、それでみんなに示すのよ、もうそんなことで争う時代は終わりだってね」
「簡単に言うな、俺とお前では立場が」
「違わない!!」
レオポルトの反論に真っ向から否定する幸乃、確かに彼の言う事にも一理ある。レオポルトとは違い幸乃は異世界から来た冒険者、この世界のこともよくわからず、家系に縛られるなんて事もなかった。
でもレオポルトにも幸乃にも共通する事はあった。
「大切な人達を守る、その目的は私もあんたも変わらないでしょ!!」
幸乃はそんな感情を込めて叫び語りかける。
そうだった、どんだけ優しくいったって乗り越えていくしかない、ミリートとの戦いもそうだった。
乗り越える、大切の人たちのために!!
ただそれだけだった。
ただそれだけだった──
幸乃は今までにないくらい感情をむき出しにして叫び語りかける
「プライドが何よ、そんなものより大事な物があるんじゃないの?だからまた一緒に戦うの、拒否なんて選択肢なんてないわ」
シンクレアも彼の隣にスッと移動し背中を押すように語りかける。
「私は忘れていませんわ。先日のあの戦い、あなたがレベリオの弱点であった攻撃の反射までのタイムラグに気付いてくれたこと、あれがなければレベリオを消滅させることは出来ませんでしたわ」
彼があの瞬間にレベリオの反射のスキ、それを彼が見つけなかったらレベリオに勝つことは出来なかった。その事をシンクレアは思い出し語りかける。
「少なくとも私たちはあなたの事を大切な仲間だと思っています、一緒に戦ったじゃないですか、市民や兵士たちはあの姿を見て貴族間で争うことに疑問を持っています、あとはあなたが1歩を出すだけです。私からもお願いします」
そう言ってシンクレアは頭を下げる。レベリオと幸乃達との戦いはヴェラッティの力、ライトニング・ビジョンを通してフィテアトルの市民全員が見ていた。
すると幸乃達が力を合わせて敵と戦っている姿を見て貴族達が対立しあっている事に疑問を呈する意見が増えてきていた。
その事は彼らにも伝わっていた。しばしの間沈黙が流れる、そしてレオポルトはゆっくりと口を開き始める。
「わかったよ、不本意ではあるが、協力するよ……」
レオポルトはどこか素直じゃない口調で答える。
全員が安堵の表情を浮かべ始める。
幸乃はそんな黙っているみんなを見て明るい口調でこの場を盛り上げようと話しかけ始める。
「ほら、みんな暗いよ、喜ばなきゃ!!せっかく彼が素直になって協力してくれるって決めてくれたんだから明るく明るく、祝ってもいいくらいなんだから!!」
それを見たヴェラッティは感じ始める、最後の戦い、絶対に勝てる──。
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