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そして表彰式。
俺は表彰台の一番上に立ちトロフィーを受け取る。
「アグナムちゃん、おめでとう」
「素晴らしいと思うわ、私のアグナム」
「俺に勝利して掲げるトロフィーだ。誇りを持てよ、アグナム」
もちろんだよユピテル。そして俺は受け取ったトロフィーを天に向かって上げる。
歓喜の瞬間。俺がトロフィーを掲げると同時に観客たちの興奮が最高潮に達した。
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──!!
「アグナムちゃんおめでとう~~」
「今日の試合、超かっこよかったよ──」
俺をほめたたえる言葉が会場一帯に飛び交う。こんな事、生まれて初めてだ。
心の底から嬉しい。辛い戦いばかりだったけど、頑張って良かったと心の底から思う。
そんなことを考えながらトロフィーを掲げていると──。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。
俺の体から何かが蒸発していくような感覚がし始めた。
それから首から下が肌寒くなり始めた。さらに体の重心が前のめりになる。
その感覚は、以前にもあった。ブラジャーを外して、押さえつけられていた俺の胸がプルンと解放され、身体の重心が前に傾く感覚だ。
まさか……。俺は念のため首から下の部分に視線を移す。
嫌な予感は的中。服を着ていない。確かに変身していて身にまとっていたはずの魔法少女の衣装。それがまるで蒸発してしまったかのように消えてしまっているのだ。
何が起こったのかわからず、混乱する俺。
するとパージが額に手を当て、言葉を発し始める。
ため息交じりの、何かをやってしまったかのような言葉使い。
「あ~あ、やっちゃったわね。限界を超えた力を使った代償ね。あまりに魔力を消費しすぎて、魔法少女の衣類の魔力まで維持しきれなくなってしまったのよ」
その言葉通り、今の俺は魔法少女の衣装が消えてしまい、全裸状態になってしまっていた。
おまけにトロフィーを掲げているせいでその姿が闘技場の観客全員に丸見え状態。
「いいねぇアグナムちゃん。優勝記念の大サービスかい」
「アグナムちゃんスタイル最高ね~~。うらやましいわぁ」
「いい体つきしているねぇ。ぜひ俺の嫁になってくれよ」
観客達もはやし立てるように言葉をかけてくる。予想もしなかった事態に俺の思考は完全にフリーズしてしう。
レテフは鼻血を噴き出し、気絶してしまった。
そしてユピテルがため息をつきながら俺にマントを渡してきた。
こんな展開、以前にもあったような──。
「ほら、貸してやるよ。本当に好きだな、人に裸を見せるの。ストリップの趣味でもあるのか?」
……俺は受け取ったマントを羽織り、トロフィーを隣にいたサナに渡す。
そして──。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──!!!!」
猛ダッシュで更衣室へと逃げていった。
更衣室。
ぶるぶると震えながらうずくまっている。
またやってしまった。全裸さらし──。
俺だって、心は男だったけど、今は女の子なんだぞ! そんな簡単に全裸をさらされるなんて嫌に決まっているだろう。
俺は、公衆の面前で二回も全裸をさらすことになってしまった。
俺は何か呪われているのか。
あまりの恥ずかしさで胸が締め付けられるような気持になってしまう。
そんなことを考えながらうずくまっていると、入り口のドアを誰かがノックしキィィィィィィ──と扉が開く。
慌てて胸の部分を隠す。やってきたのは──。
「「「アグナムちゃん、優勝おめでとう──!」
魔法少女の人たちだった。サナとレテフ、ユピテルもいる。
そして、彼女たちは料理やシャンパンを用意し始めた。
「アグナムさん。優勝、おめでとう。私達、アグナムさんのお祝いに来たよ!」
その数何と何十人。そこまで広くないこの部屋がいっぱいになってしまう。
「我も嬉しいニャ。おめでとうだニャ」
ピンク色の髪色をした猫耳の女の子、ニャロロも来ていた。久しぶりの出会い、思わず会話が弾む。
「お久しぶりだニャ。優勝おめでとうだニャ」
「こっちこそ久しぶり。元気にしていた?」
楽しく会話をしているうちに料理の準備が終わる。
サナからシャンパンが入ったワイングラスが渡された。
打ち上げパーティーのような雰囲気だ。
「じゃあ皆さん。シャンパンはいきわたった?」
「大丈夫です」
「じゃあ皆さん、乾杯~~!」
コン!
そして宴が始まる。
魔法少女たちは今までの辛い戦いを吹き飛ばすかのように、楽しく、いろいろなことを話す。
肩を組んで、絡んできたり、日常生活のことなどもいろいろ会話したりする。
「でね、聞いてよ聞いてよ」
「くぅ~~、次こそは、絶対優勝するもん」
楽しそうだったり、どこか安らいでいるような表情。
みんな、心から宴を楽しんでいるのが理解できる。
俺はそんな光景を見ながら感じたことがある。
可愛くて可憐な服装と、華々しい活躍ぶりとは裏腹に辛い戦いの連続だ。
強力な敵との戦い、時には大きく傷ついてしまうことだってある。
だからこそ、嬉しいことがあった場合は 互いに喜び合い、称えあっているんだろう。
「アグナムちゃん、聞いてよ。彼氏のことなんだけどさ~~」
時には悪酔いしてからんでくる子もいた。俺はその話を興味津々に聞く。
「アグナムちゃん。今度一緒にクエスト行こうよ」
「待ちなさい。私のアグナムに手出しはさせないわ!」
「まあまあレテフ、落ち着いて」
そこにやってきたのはレテフとサナ、リヒレだ。みんな顔がほんのりと赤い。
ほろ酔い気分になているのがわかる。
「落ち着いてられないわよリヒレ。もし私のアグナムに何かがあって大人の階段を先に渡ってしまったらどうするのよ!」
「だ、大丈夫だからねレテフ」
レテフは、いつもの通りだ。そしてサナは笑顔でワイングラスを片手に話しかけてきた。
「アグナムちゃん。ちゃんと楽しんでる??」
「うん。何とか楽しんでいるよ」
そして俺も、みんなと楽しく会話を楽しむ。そして最後に向かったのは──。
「なんだアグナム。おふざけならサナとでもすればいいだろう」
「ううん、俺はユピテルと話がしたい」
ユピテルだ。彼女は、誰とも話さずにただ料理を食べていた。昔の世界にいた俺みたいに──。せっかく集まったんだし、楽しめばいいのに。
「ユピテル。さっきの試合はお疲れ様。いい試合だったよ」
「俺は、ちっとも楽しくないぞアグナム。負けたのだからな」
相変わらずそっけない態度のユピテル。けど、それは分かっていた。それでも、ユピテルにはこの場を楽しんでほしい。
だから、こうしてみよう──。
「そんなことないよ。俺はユピテルと一緒に居たいもん。俺達一緒に戦った友達なんだからさ」
「友達など俺には似合わん。友情ごっこならサナとかを当たれ」
やはりツンとした態度をとっている。一筋縄にはいかないようだ。
「いやだ。俺はユピテルと友達になりたい。ユピテルが本当のことをよく考えていて、心優しい存在だということ、知っているから!」
「ブハァァッ──。ゴホッゴホッ──。バ、バカっ。そんなことを言いにいたのか?」
その言葉にさすがのユピテルも動揺してシャンパンを拭いてしまう。どこか動揺したユピテル。それを見た周囲の魔法少女たちが驚き始めた。
「へぇ~~、ユピテルさんも、あんな表情するんだ──。意外」
「ごめんね、なんか言いすぎちゃったみたいで」
「と、と、当然だ。俺と友達など、シャンパンを噴き出したぞ! だが──、俺を友だと言ってくれたのは、少しだけ嬉しかった。……これからも、その──。よろしくな」
言いづらそうだが、戸惑いながらの返事。ユピテルなりに、本音なのだろう。
「うん。これからも、よろしくね」
俺は満面の笑みで返す。ユピテルは、顔をほんのりと赤くして照れていた。
ユピテルも、俺と会った時より、どこか柔らかくなった気がする。時間はかかるかもしれないけれど、少しずつ打ち解けられるようになっていけるといいね。
そして、魔法少女たちが楽しく話しているのを見て、俺は感じた。
これから、俺達を待っているのは楽しいことばかりではない。辛いことや、厳しいことだってあるだろう。
けれど、共に戦う友がいて、称えあう戦友がいる。
守るべき人たちだっている。
どんな事があっても、みんなと一緒なら乗り切っていくことができるって自然に思うことができた。
だから俺だってこれからも頑張っていける。
これからもみんなと一緒に、頑張っていこう。
俺は表彰台の一番上に立ちトロフィーを受け取る。
「アグナムちゃん、おめでとう」
「素晴らしいと思うわ、私のアグナム」
「俺に勝利して掲げるトロフィーだ。誇りを持てよ、アグナム」
もちろんだよユピテル。そして俺は受け取ったトロフィーを天に向かって上げる。
歓喜の瞬間。俺がトロフィーを掲げると同時に観客たちの興奮が最高潮に達した。
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──!!
「アグナムちゃんおめでとう~~」
「今日の試合、超かっこよかったよ──」
俺をほめたたえる言葉が会場一帯に飛び交う。こんな事、生まれて初めてだ。
心の底から嬉しい。辛い戦いばかりだったけど、頑張って良かったと心の底から思う。
そんなことを考えながらトロフィーを掲げていると──。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。
俺の体から何かが蒸発していくような感覚がし始めた。
それから首から下が肌寒くなり始めた。さらに体の重心が前のめりになる。
その感覚は、以前にもあった。ブラジャーを外して、押さえつけられていた俺の胸がプルンと解放され、身体の重心が前に傾く感覚だ。
まさか……。俺は念のため首から下の部分に視線を移す。
嫌な予感は的中。服を着ていない。確かに変身していて身にまとっていたはずの魔法少女の衣装。それがまるで蒸発してしまったかのように消えてしまっているのだ。
何が起こったのかわからず、混乱する俺。
するとパージが額に手を当て、言葉を発し始める。
ため息交じりの、何かをやってしまったかのような言葉使い。
「あ~あ、やっちゃったわね。限界を超えた力を使った代償ね。あまりに魔力を消費しすぎて、魔法少女の衣類の魔力まで維持しきれなくなってしまったのよ」
その言葉通り、今の俺は魔法少女の衣装が消えてしまい、全裸状態になってしまっていた。
おまけにトロフィーを掲げているせいでその姿が闘技場の観客全員に丸見え状態。
「いいねぇアグナムちゃん。優勝記念の大サービスかい」
「アグナムちゃんスタイル最高ね~~。うらやましいわぁ」
「いい体つきしているねぇ。ぜひ俺の嫁になってくれよ」
観客達もはやし立てるように言葉をかけてくる。予想もしなかった事態に俺の思考は完全にフリーズしてしう。
レテフは鼻血を噴き出し、気絶してしまった。
そしてユピテルがため息をつきながら俺にマントを渡してきた。
こんな展開、以前にもあったような──。
「ほら、貸してやるよ。本当に好きだな、人に裸を見せるの。ストリップの趣味でもあるのか?」
……俺は受け取ったマントを羽織り、トロフィーを隣にいたサナに渡す。
そして──。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──!!!!」
猛ダッシュで更衣室へと逃げていった。
更衣室。
ぶるぶると震えながらうずくまっている。
またやってしまった。全裸さらし──。
俺だって、心は男だったけど、今は女の子なんだぞ! そんな簡単に全裸をさらされるなんて嫌に決まっているだろう。
俺は、公衆の面前で二回も全裸をさらすことになってしまった。
俺は何か呪われているのか。
あまりの恥ずかしさで胸が締め付けられるような気持になってしまう。
そんなことを考えながらうずくまっていると、入り口のドアを誰かがノックしキィィィィィィ──と扉が開く。
慌てて胸の部分を隠す。やってきたのは──。
「「「アグナムちゃん、優勝おめでとう──!」
魔法少女の人たちだった。サナとレテフ、ユピテルもいる。
そして、彼女たちは料理やシャンパンを用意し始めた。
「アグナムさん。優勝、おめでとう。私達、アグナムさんのお祝いに来たよ!」
その数何と何十人。そこまで広くないこの部屋がいっぱいになってしまう。
「我も嬉しいニャ。おめでとうだニャ」
ピンク色の髪色をした猫耳の女の子、ニャロロも来ていた。久しぶりの出会い、思わず会話が弾む。
「お久しぶりだニャ。優勝おめでとうだニャ」
「こっちこそ久しぶり。元気にしていた?」
楽しく会話をしているうちに料理の準備が終わる。
サナからシャンパンが入ったワイングラスが渡された。
打ち上げパーティーのような雰囲気だ。
「じゃあ皆さん。シャンパンはいきわたった?」
「大丈夫です」
「じゃあ皆さん、乾杯~~!」
コン!
そして宴が始まる。
魔法少女たちは今までの辛い戦いを吹き飛ばすかのように、楽しく、いろいろなことを話す。
肩を組んで、絡んできたり、日常生活のことなどもいろいろ会話したりする。
「でね、聞いてよ聞いてよ」
「くぅ~~、次こそは、絶対優勝するもん」
楽しそうだったり、どこか安らいでいるような表情。
みんな、心から宴を楽しんでいるのが理解できる。
俺はそんな光景を見ながら感じたことがある。
可愛くて可憐な服装と、華々しい活躍ぶりとは裏腹に辛い戦いの連続だ。
強力な敵との戦い、時には大きく傷ついてしまうことだってある。
だからこそ、嬉しいことがあった場合は 互いに喜び合い、称えあっているんだろう。
「アグナムちゃん、聞いてよ。彼氏のことなんだけどさ~~」
時には悪酔いしてからんでくる子もいた。俺はその話を興味津々に聞く。
「アグナムちゃん。今度一緒にクエスト行こうよ」
「待ちなさい。私のアグナムに手出しはさせないわ!」
「まあまあレテフ、落ち着いて」
そこにやってきたのはレテフとサナ、リヒレだ。みんな顔がほんのりと赤い。
ほろ酔い気分になているのがわかる。
「落ち着いてられないわよリヒレ。もし私のアグナムに何かがあって大人の階段を先に渡ってしまったらどうするのよ!」
「だ、大丈夫だからねレテフ」
レテフは、いつもの通りだ。そしてサナは笑顔でワイングラスを片手に話しかけてきた。
「アグナムちゃん。ちゃんと楽しんでる??」
「うん。何とか楽しんでいるよ」
そして俺も、みんなと楽しく会話を楽しむ。そして最後に向かったのは──。
「なんだアグナム。おふざけならサナとでもすればいいだろう」
「ううん、俺はユピテルと話がしたい」
ユピテルだ。彼女は、誰とも話さずにただ料理を食べていた。昔の世界にいた俺みたいに──。せっかく集まったんだし、楽しめばいいのに。
「ユピテル。さっきの試合はお疲れ様。いい試合だったよ」
「俺は、ちっとも楽しくないぞアグナム。負けたのだからな」
相変わらずそっけない態度のユピテル。けど、それは分かっていた。それでも、ユピテルにはこの場を楽しんでほしい。
だから、こうしてみよう──。
「そんなことないよ。俺はユピテルと一緒に居たいもん。俺達一緒に戦った友達なんだからさ」
「友達など俺には似合わん。友情ごっこならサナとかを当たれ」
やはりツンとした態度をとっている。一筋縄にはいかないようだ。
「いやだ。俺はユピテルと友達になりたい。ユピテルが本当のことをよく考えていて、心優しい存在だということ、知っているから!」
「ブハァァッ──。ゴホッゴホッ──。バ、バカっ。そんなことを言いにいたのか?」
その言葉にさすがのユピテルも動揺してシャンパンを拭いてしまう。どこか動揺したユピテル。それを見た周囲の魔法少女たちが驚き始めた。
「へぇ~~、ユピテルさんも、あんな表情するんだ──。意外」
「ごめんね、なんか言いすぎちゃったみたいで」
「と、と、当然だ。俺と友達など、シャンパンを噴き出したぞ! だが──、俺を友だと言ってくれたのは、少しだけ嬉しかった。……これからも、その──。よろしくな」
言いづらそうだが、戸惑いながらの返事。ユピテルなりに、本音なのだろう。
「うん。これからも、よろしくね」
俺は満面の笑みで返す。ユピテルは、顔をほんのりと赤くして照れていた。
ユピテルも、俺と会った時より、どこか柔らかくなった気がする。時間はかかるかもしれないけれど、少しずつ打ち解けられるようになっていけるといいね。
そして、魔法少女たちが楽しく話しているのを見て、俺は感じた。
これから、俺達を待っているのは楽しいことばかりではない。辛いことや、厳しいことだってあるだろう。
けれど、共に戦う友がいて、称えあう戦友がいる。
守るべき人たちだっている。
どんな事があっても、みんなと一緒なら乗り切っていくことができるって自然に思うことができた。
だから俺だってこれからも頑張っていける。
これからもみんなと一緒に、頑張っていこう。
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