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最後の戦い
第121話 勝者は──
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俺の、最後の一撃がユピテルを目掛けて解き放たれる。
解き放った攻撃はユピテルが放った攻撃を一瞬で粉砕。
そのままユピテルを切り刻んだ。
ズバァァァァァァァァァァァァァァァ──!!!!
ユピテルの肉体が数メートルほど吹き飛び、ゴロゴロと転がり込んだ後、そのまま倒れこむ。
そして立ち上がろうともがき始めるが、立ち上がることができない。
さっきまでは俺が全く歯が立たないくらいの強さだったのに、確かに今の一撃は今までにないくらい強力なものだったが、何があったのだろうか。
するとパージは一息をついて何かを理解したのか、口を開き始める。
「一見最強の力を持つようにユピテル。そんな彼女の数少ないともいえるウィークポイント。それは強大な力を使えるがゆえに消費するパワーもそれだけ多いこと。彼女の全力を尽くし、相手をねじ伏せるという戦闘スタイル上、それパワーを生かして戦う以外の選択をとってこなかったことよ」
ギリギリで戦っていたのは、俺だけじゃないということだ。
なるほどね、ユピテルは確かに強い。純粋な精神的な部分だけでなく今の成長曲線の様に生まれ持った才覚にも。
けれど、それが必ずプラスになるほどは限らなかった。
現にユピテルはずっと俺の攻撃を力づくではじき返してきた。おまけに彼女は自身のパワーを生かして戦い続けている。
それを支えるだけの体力や魔力は常人をはるかに越えるものになる。
「膨大なエネルギー、今のユピテルは完全なガス欠状態。戦うことはおろか、意識を保つことすら、困難な状態よ」
確かにそうだ。俺との死闘、ユピテルは全く手加減していなかった。ずっと全力で戦い、俺の最後の一撃を受けた。
いくらユピテルがあきらめていなくとも、魔力そのものが尽きてしまえば、どうすることも出来ない。
よろよろのユピテル。崩れそうになる身体を剣で支え、何とか立ち上がる。
自身のすべてを使い果たしもう戦うことはできないだろう。
しかし全てが尽き果てても、ほんの少しでも意識が残っているのなら、戦う意思があるなら。
情けなく見えても、あきらめが悪いと言われても。
「俺は、目をそらしたりはしない」
ユピテルは倒れることはない。ずっと一緒に戦ってきた中だからわかる。
──最後まで戦うと決めたもののやるべき事なのだから。
ユピテルはよろめきながらも俺に向かって視線を上げた。
そしてフッと微笑を浮かべながら、ただ一言口にする。
「次こそは、俺が勝って見せる──」
「ううん、次も俺が勝って見せるよ」
俺はにっこりと自信を浮かべた笑みで、言葉を返した。
ドサッ──。
そしてユピテルは地面に倒れこんだ。
ほどなくして、勝敗を告げる審判の声がこの会場一帯に鳴り響く。
「ユピテル選手、意識喪失。よってアグナム選手の勝利!」
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
その瞬間、会場が今までにないくらいの大歓声に包まれた。
観客たちは俺の勝利に大興奮している。
「すげえぇぇ、あのユピテルを倒したぜ」
「それだけじゃないわ。あれだけボロボロになって 私も、これから頑張らないと」
「アグナムちゃんありがとう。 いっぱい勇気、もらったわ!!」
俺がみんなに勇気を与えたというだけで、とても嬉しく誇らしい気持ちになる。
頑張った甲斐がとても合った。これからも、みんなに勇気を与えられるようになろう。
それだけじゃない。誰かが観客席からこっちへと向かってくる。
サナとレテフ、リヒレ、パージだ
「アグナムちゃん。優勝おめでとう。すごかったよ、すごかったよ」
「素晴らしいわ。流石は私のアグナムよっ。私の未来の夫、生涯を共にする人」
四人とも俺に抱き着きながら話しかけてきた。
レテフに至っては俺に頬ずりをしてきている。おかしいことを言っているけれど、今回ばかりは見逃してあげよう。
「ありがとう、サナ、レテフ」
「もう、一時はどうなるかと思ったわ」
「パージも、来てくれて嬉しいよ」
「全くもう。アグナムが会場から吹っ飛んだときはどうなるかと思ったわ。けどおめでとう、やっぱりあんたは私が見込んだ魔法少女よ」
──なんか、誇らしいな。とても頑張った甲斐があると自分でも感じる。
そう考えていると、自分の体からスッと力が抜け、その場にへたり込んでしまった。
何とか立ち上がろうとするが、力が入らない。
「もう、そんなボロボロになるまで戦って、やるじゃない」
「ありがとう、パージ」
「立てないの? じゃあ私がお姫様抱っこをして力のキスをしてあげるわ、私のアグナム」
「──それって、キスが目的だよね」
こんな時まで積極的なレテフ。まあ、また今度デートしてあげよう。大人の階段は、流石にできないけど……。
すると会場の係員たちが、表彰の準備をしはじめた。
それをサナたちと眺めながらものの数分もすると、少しだが身体に力が戻り始める。
係員の人が表彰式を行うと言い出したので、俺は体に力を入れて立ち上がり、表彰台へと向かった。
そして表彰式。
俺は表彰台の一番上に立ちトロフィーを受け取る。
解き放った攻撃はユピテルが放った攻撃を一瞬で粉砕。
そのままユピテルを切り刻んだ。
ズバァァァァァァァァァァァァァァァ──!!!!
ユピテルの肉体が数メートルほど吹き飛び、ゴロゴロと転がり込んだ後、そのまま倒れこむ。
そして立ち上がろうともがき始めるが、立ち上がることができない。
さっきまでは俺が全く歯が立たないくらいの強さだったのに、確かに今の一撃は今までにないくらい強力なものだったが、何があったのだろうか。
するとパージは一息をついて何かを理解したのか、口を開き始める。
「一見最強の力を持つようにユピテル。そんな彼女の数少ないともいえるウィークポイント。それは強大な力を使えるがゆえに消費するパワーもそれだけ多いこと。彼女の全力を尽くし、相手をねじ伏せるという戦闘スタイル上、それパワーを生かして戦う以外の選択をとってこなかったことよ」
ギリギリで戦っていたのは、俺だけじゃないということだ。
なるほどね、ユピテルは確かに強い。純粋な精神的な部分だけでなく今の成長曲線の様に生まれ持った才覚にも。
けれど、それが必ずプラスになるほどは限らなかった。
現にユピテルはずっと俺の攻撃を力づくではじき返してきた。おまけに彼女は自身のパワーを生かして戦い続けている。
それを支えるだけの体力や魔力は常人をはるかに越えるものになる。
「膨大なエネルギー、今のユピテルは完全なガス欠状態。戦うことはおろか、意識を保つことすら、困難な状態よ」
確かにそうだ。俺との死闘、ユピテルは全く手加減していなかった。ずっと全力で戦い、俺の最後の一撃を受けた。
いくらユピテルがあきらめていなくとも、魔力そのものが尽きてしまえば、どうすることも出来ない。
よろよろのユピテル。崩れそうになる身体を剣で支え、何とか立ち上がる。
自身のすべてを使い果たしもう戦うことはできないだろう。
しかし全てが尽き果てても、ほんの少しでも意識が残っているのなら、戦う意思があるなら。
情けなく見えても、あきらめが悪いと言われても。
「俺は、目をそらしたりはしない」
ユピテルは倒れることはない。ずっと一緒に戦ってきた中だからわかる。
──最後まで戦うと決めたもののやるべき事なのだから。
ユピテルはよろめきながらも俺に向かって視線を上げた。
そしてフッと微笑を浮かべながら、ただ一言口にする。
「次こそは、俺が勝って見せる──」
「ううん、次も俺が勝って見せるよ」
俺はにっこりと自信を浮かべた笑みで、言葉を返した。
ドサッ──。
そしてユピテルは地面に倒れこんだ。
ほどなくして、勝敗を告げる審判の声がこの会場一帯に鳴り響く。
「ユピテル選手、意識喪失。よってアグナム選手の勝利!」
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
その瞬間、会場が今までにないくらいの大歓声に包まれた。
観客たちは俺の勝利に大興奮している。
「すげえぇぇ、あのユピテルを倒したぜ」
「それだけじゃないわ。あれだけボロボロになって 私も、これから頑張らないと」
「アグナムちゃんありがとう。 いっぱい勇気、もらったわ!!」
俺がみんなに勇気を与えたというだけで、とても嬉しく誇らしい気持ちになる。
頑張った甲斐がとても合った。これからも、みんなに勇気を与えられるようになろう。
それだけじゃない。誰かが観客席からこっちへと向かってくる。
サナとレテフ、リヒレ、パージだ
「アグナムちゃん。優勝おめでとう。すごかったよ、すごかったよ」
「素晴らしいわ。流石は私のアグナムよっ。私の未来の夫、生涯を共にする人」
四人とも俺に抱き着きながら話しかけてきた。
レテフに至っては俺に頬ずりをしてきている。おかしいことを言っているけれど、今回ばかりは見逃してあげよう。
「ありがとう、サナ、レテフ」
「もう、一時はどうなるかと思ったわ」
「パージも、来てくれて嬉しいよ」
「全くもう。アグナムが会場から吹っ飛んだときはどうなるかと思ったわ。けどおめでとう、やっぱりあんたは私が見込んだ魔法少女よ」
──なんか、誇らしいな。とても頑張った甲斐があると自分でも感じる。
そう考えていると、自分の体からスッと力が抜け、その場にへたり込んでしまった。
何とか立ち上がろうとするが、力が入らない。
「もう、そんなボロボロになるまで戦って、やるじゃない」
「ありがとう、パージ」
「立てないの? じゃあ私がお姫様抱っこをして力のキスをしてあげるわ、私のアグナム」
「──それって、キスが目的だよね」
こんな時まで積極的なレテフ。まあ、また今度デートしてあげよう。大人の階段は、流石にできないけど……。
すると会場の係員たちが、表彰の準備をしはじめた。
それをサナたちと眺めながらものの数分もすると、少しだが身体に力が戻り始める。
係員の人が表彰式を行うと言い出したので、俺は体に力を入れて立ち上がり、表彰台へと向かった。
そして表彰式。
俺は表彰台の一番上に立ちトロフィーを受け取る。
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