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最後の戦い
第120話 最後の一撃
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俺は大きく飛び上がり、再びユピテルの元へ向かっていった。
闘技場の壁を飛び越え、俺は再び会場へ。
会場から、歓喜の声が上がる。
「おおっ、アグナムじゃねぇか」
「やっぱり こんなところじゃ終わらねぇよな」
「アグナム、流石じゃない。まさか自分の運命を、越えていくなんて」
観客席から久しぶりに聞いた声が聞こえ、思わず後ろを向く。
サナの隣に声の主はいた。長身でのお姉さんっぽい外見。俺をこの世界に導いてくれた女神、パージの姿だ。
「パージ、運命を超えるって、どういうこと?」
「簡単よ」
そして彼女は俺にもう一度魔力がみなぎってきた理由を教えてくれた。
魔力には、その人自身が生まれながらに持っている総量のようなものがある。
しかし、選ばれしものが絶対に勝ちたいという強い意志を持った時、その運命を越えてその総量がもう一度よみがえることがあるという。
「アグナム。あなたの強い意志が、自身の運命を越えた力を生み出したのよ」
「そ、そうなのか。ありがとうパージ」
強い意志か、それならじゃあやることは一つ、ユピテルに勝つ。それだけだ。
そしてパージは親指を上げ、俺に言い放った。
「アグナム。あんたかっこいいわ。以前の世界と違ってね。だから、絶対に優勝しなさい」
「わかったよ、パージ」
そういう事か。それなら、やることなんて一つしかない。
「ユピテル、負けないよ」
俺は微笑を浮かべながら、そう告げた。
しかしユピテルはフッと笑みを浮かべ、刀の切っ先を俺に向けてくる。
「さすがだアグナム。お前はどんな不利にも屈さず、絶望的な状況でもあきらめない。そうやってお前は今まで俺と共にしてきた。そんなお前が常識を一つ打ち破ったところで今更驚きはしない」
「誉め言葉、ありがとうユピテル」
「お前がここで立ち上がってくる。それも計算のうちだ。であれば俺がすることなど決まっている。貴様を、真っ向からねじ伏せるのみ!」
流石としか言いようがない。俺が奇跡を起こしても、それを真っ向から乗り越えようとしてくるその強さは。
するとユピテルな深呼吸をした後、突然叫び始めた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
同時に、ユピテルの肉体に目に見える変化が生じた。
ユピテルの体が光りだした。眩しく、見えなくなるくらい強く。
な、何が起こったんだ。観客席のサナたちも驚愕しているのがわかる。
「ユピテルちゃん、すごい光ってる」
「ええ、それに解き放ってる魔力も桁違いよ」
レテフの言う通り、ユピテルがらまるでオーラの様に解き放っているオーラ。
これは今まで俺が見てきたことがないほどの強さだ。
そしてパージが驚きながらしゃべり始めた。
「わかったわ。アグナムと一緒の限界を超えた力、ユピテルもそれを習得していたのよ。強い意志と力によって」
「正解だ。限界を超えることができるのは、お前だけではない」
「それだけじゃないわ。あまりの強い魔力に、周囲のエネルギーが、すべて彼女に吸い寄せられているのよ」
「ありがとうパージ」
なるほどね。俺が奇跡を起こしても、軽々とそれを越えてくる。
それでこそユピテルだ。それでこそ俺の最高のライバルだ。
だからこそ、それを乗り越えたいという気持ちになる。俺が勝ちたいという気持ちになれる。
さあユピテル、俺たちの最高の戦い。
決着をつけよう。俺の勝利という最高の決着で。
そしてユピテルは自身の剣を持ち上げた。
その後、俺に対して正面に構え、強く輝く剣を持ち上げ、俺に向ける。
「アグナム、恐らく次の攻撃が最後になるであろう。だから今、言わせてもらう」
ユピテルはまっすぐ、俺を見つめながら告げる。
「お前と一緒にいた日々。とても楽しかった、共に戦った日々も。俺の戦友として、生涯最高のライバルとして最もふさわしい存在だ。そして最後に、俺が勝つ!
ユピテルは、今まで孤高の存在だった。友などとは無縁の存在。
自分が常に最強の存在であり、ライバルなどいなかった。
そんな彼女が、俺をライバルと、戦友と認めてくれた。
その言葉に思わず苦笑いを浮かべてしまう。
それならどうすればいい? って返す言葉なんてとっくに決まっている。
「その言葉、ありがとう。けれど、勝つのは──俺だ!」
「フッ、それでこそお前だ」
当然だ。互いに自分が勝つために戦っているのだから。ここまで自分を強くしてきたのだから。そして俺たちは再び戦い始める。
俺たちの戦いの、最後の交錯。
ユピテルも、この一撃にすべてをかけているのがわかる。
「わかったわ。限界を超えた力 それを、突き破っていくのよ」
この一撃で勝負は決まる。それは心の底で感じていた。
ユピテルは剣を持っている右手を上げた後、その剣を俺に向け、俺に突っ込んできた。
ユピテルは 恐らく勝利を感じたんだ。この一撃で、俺を倒せるという──。
俺も負けじと突っ込んでいく。逃げたところでどこかで追いつかれ、それで勝負は終わる。だったら、立ち向かった方がいい。
俺は理解していた。何も考えずに立ち向かっていったら俺は絶対にユピテルにかなわない。かといって生半可な奇襲や小手先の小技なんて通用しない。
ユピテルに勝ちたかったら、彼女以上のパワーでねじ伏せるしかない。
たとえどれだけスキがあろうとも。
けどユピテルはこういう勝負を決めるとき、絶対に逃げるなんて選択肢はとらない。必ず真っ向勝負で俺をねじ伏せに来る。
だからおれがやることはただ一つ。どれだけスキがあってもいいから、最高の力を込めた一撃をユピテルに叩き込むこと。
俺は左手で剣を握りながら右手で剣の切っ先を思いっきり引っ張る。
そして力をためた後、右手を話し、バネの様に力を放出。これで今までよりずっと早い速度で剣を振り回す。
ためを作ることで、普通に剣をふるうよりはるかに速い速度で剣をふるったのだ。
そしてユピテルに体を回転させながら突っ込んでいく。遠心力を生かして、少しでも攻撃の威力を高めるためだ。
ユピテルも、思いっきり剣を引き、そこから俺に向かって振りかざしてくる。この一
撃で勝負をつけると──。
「さあユピテル、どっちが勝つか勝負だ」
「望むところだ、アグナム!」
俺とユピテルの攻撃が激突する。
勝負は一瞬。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
俺の、最後の一撃がユピテルを目掛けて解き放たれる。
闘技場の壁を飛び越え、俺は再び会場へ。
会場から、歓喜の声が上がる。
「おおっ、アグナムじゃねぇか」
「やっぱり こんなところじゃ終わらねぇよな」
「アグナム、流石じゃない。まさか自分の運命を、越えていくなんて」
観客席から久しぶりに聞いた声が聞こえ、思わず後ろを向く。
サナの隣に声の主はいた。長身でのお姉さんっぽい外見。俺をこの世界に導いてくれた女神、パージの姿だ。
「パージ、運命を超えるって、どういうこと?」
「簡単よ」
そして彼女は俺にもう一度魔力がみなぎってきた理由を教えてくれた。
魔力には、その人自身が生まれながらに持っている総量のようなものがある。
しかし、選ばれしものが絶対に勝ちたいという強い意志を持った時、その運命を越えてその総量がもう一度よみがえることがあるという。
「アグナム。あなたの強い意志が、自身の運命を越えた力を生み出したのよ」
「そ、そうなのか。ありがとうパージ」
強い意志か、それならじゃあやることは一つ、ユピテルに勝つ。それだけだ。
そしてパージは親指を上げ、俺に言い放った。
「アグナム。あんたかっこいいわ。以前の世界と違ってね。だから、絶対に優勝しなさい」
「わかったよ、パージ」
そういう事か。それなら、やることなんて一つしかない。
「ユピテル、負けないよ」
俺は微笑を浮かべながら、そう告げた。
しかしユピテルはフッと笑みを浮かべ、刀の切っ先を俺に向けてくる。
「さすがだアグナム。お前はどんな不利にも屈さず、絶望的な状況でもあきらめない。そうやってお前は今まで俺と共にしてきた。そんなお前が常識を一つ打ち破ったところで今更驚きはしない」
「誉め言葉、ありがとうユピテル」
「お前がここで立ち上がってくる。それも計算のうちだ。であれば俺がすることなど決まっている。貴様を、真っ向からねじ伏せるのみ!」
流石としか言いようがない。俺が奇跡を起こしても、それを真っ向から乗り越えようとしてくるその強さは。
するとユピテルな深呼吸をした後、突然叫び始めた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
同時に、ユピテルの肉体に目に見える変化が生じた。
ユピテルの体が光りだした。眩しく、見えなくなるくらい強く。
な、何が起こったんだ。観客席のサナたちも驚愕しているのがわかる。
「ユピテルちゃん、すごい光ってる」
「ええ、それに解き放ってる魔力も桁違いよ」
レテフの言う通り、ユピテルがらまるでオーラの様に解き放っているオーラ。
これは今まで俺が見てきたことがないほどの強さだ。
そしてパージが驚きながらしゃべり始めた。
「わかったわ。アグナムと一緒の限界を超えた力、ユピテルもそれを習得していたのよ。強い意志と力によって」
「正解だ。限界を超えることができるのは、お前だけではない」
「それだけじゃないわ。あまりの強い魔力に、周囲のエネルギーが、すべて彼女に吸い寄せられているのよ」
「ありがとうパージ」
なるほどね。俺が奇跡を起こしても、軽々とそれを越えてくる。
それでこそユピテルだ。それでこそ俺の最高のライバルだ。
だからこそ、それを乗り越えたいという気持ちになる。俺が勝ちたいという気持ちになれる。
さあユピテル、俺たちの最高の戦い。
決着をつけよう。俺の勝利という最高の決着で。
そしてユピテルは自身の剣を持ち上げた。
その後、俺に対して正面に構え、強く輝く剣を持ち上げ、俺に向ける。
「アグナム、恐らく次の攻撃が最後になるであろう。だから今、言わせてもらう」
ユピテルはまっすぐ、俺を見つめながら告げる。
「お前と一緒にいた日々。とても楽しかった、共に戦った日々も。俺の戦友として、生涯最高のライバルとして最もふさわしい存在だ。そして最後に、俺が勝つ!
ユピテルは、今まで孤高の存在だった。友などとは無縁の存在。
自分が常に最強の存在であり、ライバルなどいなかった。
そんな彼女が、俺をライバルと、戦友と認めてくれた。
その言葉に思わず苦笑いを浮かべてしまう。
それならどうすればいい? って返す言葉なんてとっくに決まっている。
「その言葉、ありがとう。けれど、勝つのは──俺だ!」
「フッ、それでこそお前だ」
当然だ。互いに自分が勝つために戦っているのだから。ここまで自分を強くしてきたのだから。そして俺たちは再び戦い始める。
俺たちの戦いの、最後の交錯。
ユピテルも、この一撃にすべてをかけているのがわかる。
「わかったわ。限界を超えた力 それを、突き破っていくのよ」
この一撃で勝負は決まる。それは心の底で感じていた。
ユピテルは剣を持っている右手を上げた後、その剣を俺に向け、俺に突っ込んできた。
ユピテルは 恐らく勝利を感じたんだ。この一撃で、俺を倒せるという──。
俺も負けじと突っ込んでいく。逃げたところでどこかで追いつかれ、それで勝負は終わる。だったら、立ち向かった方がいい。
俺は理解していた。何も考えずに立ち向かっていったら俺は絶対にユピテルにかなわない。かといって生半可な奇襲や小手先の小技なんて通用しない。
ユピテルに勝ちたかったら、彼女以上のパワーでねじ伏せるしかない。
たとえどれだけスキがあろうとも。
けどユピテルはこういう勝負を決めるとき、絶対に逃げるなんて選択肢はとらない。必ず真っ向勝負で俺をねじ伏せに来る。
だからおれがやることはただ一つ。どれだけスキがあってもいいから、最高の力を込めた一撃をユピテルに叩き込むこと。
俺は左手で剣を握りながら右手で剣の切っ先を思いっきり引っ張る。
そして力をためた後、右手を話し、バネの様に力を放出。これで今までよりずっと早い速度で剣を振り回す。
ためを作ることで、普通に剣をふるうよりはるかに速い速度で剣をふるったのだ。
そしてユピテルに体を回転させながら突っ込んでいく。遠心力を生かして、少しでも攻撃の威力を高めるためだ。
ユピテルも、思いっきり剣を引き、そこから俺に向かって振りかざしてくる。この一
撃で勝負をつけると──。
「さあユピテル、どっちが勝つか勝負だ」
「望むところだ、アグナム!」
俺とユピテルの攻撃が激突する。
勝負は一瞬。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
俺の、最後の一撃がユピテルを目掛けて解き放たれる。
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