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最終章
第106話 二人の力
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「黙れ、俺は、貴様などに負けん。俺は、貴様とは違う──」
「違う? どういうことだ」
ユピテルは自分のボロボロな状況に全く動じない。あきらめを感じさせないその強き瞳でケオスを見つめながら話を続ける。
「どんな時も、自分を捨てずに最後まで戦い続けるそれができなかったから、そこから逃げだしたから貴様はそんな力におぼれてしまったんだ」
その言葉にケオスはイラッとしたためか舌打ちをする。そしてユピテルを指さし反論した。
「黙れ負け犬、その体力では、減らす口をたたこうと私と戦う事は不可能。おとなしく負けを認め、降参せよ」
しかしユピテルは一層表情を厳しくさせ、言葉を返していく。
その表情に、あきらめや降参を表わすような表情は全くない。まだ戦いをあきらめていない、強い闘志を持った目つきだ。
「降参など、何があってもしない、俺は常にそうやって生きてきた。目の前の障害も、敵も全て打ち倒し、この地位まで上り詰めた。これからもだ」
「ほほう、口先だけは一級品だな。その諦めの悪さと、強い闘志、さすがは最強だということか」
「口先だけではない。俺は自分の持てる力をすべて使い、全力でそして最後には、必ず貴様を倒す!」
ユピテルだってカグヤとの死闘に、さっきの大ダメージ、体力も魔力もかなり消耗して相当苦しいはずだ。
それでも持てる力を振り絞って最後まで戦おうとしている。それを見て俺は強く思った。
俺だって負けてはいられない。
「俺もだ。俺も、お前のやり方は間違っているだから、俺も最後まで戦う!」
俺とユピテルはゆっくりと立ち上がる。相当ダメージを受けている。次同じ一撃を食らったらもう立ち直れないだろう。
それでも、俺達は戦うことをやめない。
「ほほう、そこまでボロボロになってなお、我に挑むというのか、大した勇気だ」
「当然だ。まだ俺たちは戦える。だから、こんなところであきらめるわけにはいかない」
そして俺たちは再びケオスの元へと向かっておく。
再び撃ち合い、少しでも有利をとれるようにケオスの前後から挟み撃ちになるように俺とユピテルは戦いを挑む。
──がパワーが足りないのは変わらない。防戦一方の戦いは続く。
「ハハハ、どうした。我を倒すのではなかったのか? この程度のお遊戯では、我に致命傷を与えることなどできぬぞ!」
ケオスの言葉通り正直言って、戦況は最悪。
ケオスが一方的に俺たちを責め続ける展開だ。
反撃するスキも全くない。
「フッ、やはり貴様らなど、われの足元にも及ばぬ」
「黙れ!」
ユピテルは負けずに叫び返すが、このままでは二人とも魔力が尽きて敗北してしまうのは誰の目にも明らかだ。
けれど、だからといって勝ち筋がないまま勝負を挑んでいたわけじゃない。
「さあ、遊びは終わりだ。これで貴様を片付けてやる」
そう叫んだケオスが一気に俺に急接近してくる。
そしてその剣からマシンガンのような連続攻撃を繰り出してきた。
どうにかして受けようとするが数発くらった後、とうとうよけきれなくなり、剣を出して攻撃を防ごうとする。
「これで貴様は終わりだ。散れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
ケオスはここが勝負の決め所だと感じ取り、今までより一段階強いパワーで攻撃を出してくる。
俺はその攻撃を──、受けきることができなかった。予想外の強いパワーに体が吹き飛んでしまい、数メートルほど体が吹き飛んだあと地面に落下する。
慌てて体制を立て直すが、この大チャンスをケオスが見逃すはずもなく、立ち上がろうとしたときにはすでに彼は手前まで迫っていた。
「アグナム!」
ユピテルがそのピンチに思わず叫び救援に向かってくる。──が距離的に間に合いそうもない。
体制を立てなおした瞬間だけにうまく受け身をとることも出来ない。
「さあ、これで貴様終わりだ!」
ケオスが俺に向かって剣を振り下ろしてくる。
あらがうことができない、俺が敗北するその瞬間。そしてそれは、俺が勝利するための唯一の勝ち筋でもあった。
聞いた言葉がある。戦いに有利な側が油断する数少ない場所の一つ。
それは勝利を確信したとき。ハンターで例えるなら獲物を捕らえた瞬間だ。
その瞬間、今までの緊張から勝ったと心が安堵してどうしても油断してしまうのだ。
そして俺はケオスの攻撃を真正面から受ける。
──がその瞬間俺も最後の力を振り絞り反撃に出る。
ケオスの攻撃が俺に直撃した瞬間、俺も最後の力を振り絞ってケオスに向かって剣を突き刺す。
完全に勝利を確信していたケオスは予想もしなかった行動に対応することができない。
そのまま俺の剣がケオスの腹に突き刺す。魔力があり、出血こそしていないもののかなりのダメージが入っていることがわかる。
「ぐほっ、貴様。ふざけた真似を──」
「馬鹿め、行ったはずだ。負けられないって、その気持ちを、軽く見ていた貴様の負けだ!」
「だが貴様もダメージを受けすでに虫の息、次の攻撃で終わりだ」
「次なんてないよ。な、ユピテル」
「ああ。そこだ。俺がいることを忘れるなっ!」
背後にいたユピテルは当然そのチャンスを逃さなかった。俺に気を取られていて無防備な背中をユピテルが一撃で突き刺す。
ケオスは慌てて背後に障壁を出現させるが──。
「そんなガラス細工。打ち砕いてやる!」
ユピテルの一撃は、ケオスの出した障壁を一瞬で打ち砕く。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
さっきのケオスの一撃よりもはるかに強くて激しい一撃
ケオスは体を大きく吹き飛ばし、彼の肉体が壁にたたきつけられる。
そしてそのまま意識を失い、ぐったりと倒れこんだ。
それを見たユピテル、審判に視線を送るなり叫ぶ。
「おい審判、決着はもう着いただろう。早く宣言をしろ!」
審判はその言葉を聞いてあわてて我に返る。そして──。
「勝者、アグナム、ユピテル!」
「違う? どういうことだ」
ユピテルは自分のボロボロな状況に全く動じない。あきらめを感じさせないその強き瞳でケオスを見つめながら話を続ける。
「どんな時も、自分を捨てずに最後まで戦い続けるそれができなかったから、そこから逃げだしたから貴様はそんな力におぼれてしまったんだ」
その言葉にケオスはイラッとしたためか舌打ちをする。そしてユピテルを指さし反論した。
「黙れ負け犬、その体力では、減らす口をたたこうと私と戦う事は不可能。おとなしく負けを認め、降参せよ」
しかしユピテルは一層表情を厳しくさせ、言葉を返していく。
その表情に、あきらめや降参を表わすような表情は全くない。まだ戦いをあきらめていない、強い闘志を持った目つきだ。
「降参など、何があってもしない、俺は常にそうやって生きてきた。目の前の障害も、敵も全て打ち倒し、この地位まで上り詰めた。これからもだ」
「ほほう、口先だけは一級品だな。その諦めの悪さと、強い闘志、さすがは最強だということか」
「口先だけではない。俺は自分の持てる力をすべて使い、全力でそして最後には、必ず貴様を倒す!」
ユピテルだってカグヤとの死闘に、さっきの大ダメージ、体力も魔力もかなり消耗して相当苦しいはずだ。
それでも持てる力を振り絞って最後まで戦おうとしている。それを見て俺は強く思った。
俺だって負けてはいられない。
「俺もだ。俺も、お前のやり方は間違っているだから、俺も最後まで戦う!」
俺とユピテルはゆっくりと立ち上がる。相当ダメージを受けている。次同じ一撃を食らったらもう立ち直れないだろう。
それでも、俺達は戦うことをやめない。
「ほほう、そこまでボロボロになってなお、我に挑むというのか、大した勇気だ」
「当然だ。まだ俺たちは戦える。だから、こんなところであきらめるわけにはいかない」
そして俺たちは再びケオスの元へと向かっておく。
再び撃ち合い、少しでも有利をとれるようにケオスの前後から挟み撃ちになるように俺とユピテルは戦いを挑む。
──がパワーが足りないのは変わらない。防戦一方の戦いは続く。
「ハハハ、どうした。我を倒すのではなかったのか? この程度のお遊戯では、我に致命傷を与えることなどできぬぞ!」
ケオスの言葉通り正直言って、戦況は最悪。
ケオスが一方的に俺たちを責め続ける展開だ。
反撃するスキも全くない。
「フッ、やはり貴様らなど、われの足元にも及ばぬ」
「黙れ!」
ユピテルは負けずに叫び返すが、このままでは二人とも魔力が尽きて敗北してしまうのは誰の目にも明らかだ。
けれど、だからといって勝ち筋がないまま勝負を挑んでいたわけじゃない。
「さあ、遊びは終わりだ。これで貴様を片付けてやる」
そう叫んだケオスが一気に俺に急接近してくる。
そしてその剣からマシンガンのような連続攻撃を繰り出してきた。
どうにかして受けようとするが数発くらった後、とうとうよけきれなくなり、剣を出して攻撃を防ごうとする。
「これで貴様は終わりだ。散れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
ケオスはここが勝負の決め所だと感じ取り、今までより一段階強いパワーで攻撃を出してくる。
俺はその攻撃を──、受けきることができなかった。予想外の強いパワーに体が吹き飛んでしまい、数メートルほど体が吹き飛んだあと地面に落下する。
慌てて体制を立て直すが、この大チャンスをケオスが見逃すはずもなく、立ち上がろうとしたときにはすでに彼は手前まで迫っていた。
「アグナム!」
ユピテルがそのピンチに思わず叫び救援に向かってくる。──が距離的に間に合いそうもない。
体制を立てなおした瞬間だけにうまく受け身をとることも出来ない。
「さあ、これで貴様終わりだ!」
ケオスが俺に向かって剣を振り下ろしてくる。
あらがうことができない、俺が敗北するその瞬間。そしてそれは、俺が勝利するための唯一の勝ち筋でもあった。
聞いた言葉がある。戦いに有利な側が油断する数少ない場所の一つ。
それは勝利を確信したとき。ハンターで例えるなら獲物を捕らえた瞬間だ。
その瞬間、今までの緊張から勝ったと心が安堵してどうしても油断してしまうのだ。
そして俺はケオスの攻撃を真正面から受ける。
──がその瞬間俺も最後の力を振り絞り反撃に出る。
ケオスの攻撃が俺に直撃した瞬間、俺も最後の力を振り絞ってケオスに向かって剣を突き刺す。
完全に勝利を確信していたケオスは予想もしなかった行動に対応することができない。
そのまま俺の剣がケオスの腹に突き刺す。魔力があり、出血こそしていないもののかなりのダメージが入っていることがわかる。
「ぐほっ、貴様。ふざけた真似を──」
「馬鹿め、行ったはずだ。負けられないって、その気持ちを、軽く見ていた貴様の負けだ!」
「だが貴様もダメージを受けすでに虫の息、次の攻撃で終わりだ」
「次なんてないよ。な、ユピテル」
「ああ。そこだ。俺がいることを忘れるなっ!」
背後にいたユピテルは当然そのチャンスを逃さなかった。俺に気を取られていて無防備な背中をユピテルが一撃で突き刺す。
ケオスは慌てて背後に障壁を出現させるが──。
「そんなガラス細工。打ち砕いてやる!」
ユピテルの一撃は、ケオスの出した障壁を一瞬で打ち砕く。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
さっきのケオスの一撃よりもはるかに強くて激しい一撃
ケオスは体を大きく吹き飛ばし、彼の肉体が壁にたたきつけられる。
そしてそのまま意識を失い、ぐったりと倒れこんだ。
それを見たユピテル、審判に視線を送るなり叫ぶ。
「おい審判、決着はもう着いただろう。早く宣言をしろ!」
審判はその言葉を聞いてあわてて我に返る。そして──。
「勝者、アグナム、ユピテル!」
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