104 / 122
最終章
第104話 速攻、しかし──
しおりを挟む
背後から誰かの声が聞こえ始めた。
そして身体が暖かく感じる。体中に魔力がみなぎっているような感覚だ。
「カグヤ、何をしている。罪滅ぼしか?」
「黙れ 私の、最後の意志だ」
背後を振り返ると倒れこんでいるカグヤの姿。苦しそうにこっちに右手を向けているのがわかる。そしてそこから感じる魔力。
「カグヤ──」
ユピテルも、同じように体に魔力を感じているのだろう。
そう、この与えられている魔力はカグヤから与えられたものだったのだ。
「私の力だ、そこまで残ってるわけじゃないが、使ってくれ」
「え、でもカグヤだって相当消耗しているはずじゃ──」
するとカグヤはフッと笑みを浮かべながら言葉を返して来る。
「ああ、確かに限界に近い。けれど、二人が必死になって私のために戦ってくれたんだ。今度は、私が二人のために力を振り絞る番だ!」
ボロボロながらも、どこか誇らし気な表情を見て、強く感じた。
「ありがとう、カグヤの勇気絶対に無駄にしないから」
「ああ、アグナムと一緒だ。礼を言うぞ」
確かにカグヤとはさっきまで敵同士で、互いに全力で戦っていた仲だ。
けれど、彼女が最後の力を振り絞って魔力をくれたんだ。勝つ以外、俺に道はない。
「フッ、幸いだったなアグナム。ユピテル。だがその程度の、焼け石に水の魔力で、我に勝てると思うなよ──」
「貴様こそ、俺の前で自分の力にうぬぼれていることが、どれだけ命とりかその身に教え込んでやる!」
「そうだ、ユピテルの言う通りだ。確かにお前に事情があったことは認める。けれど、俺達だって譲れないものがあるんだ。必死に戦ってきたんだ。それを自分勝手な思いで踏みにじられてたまるか!」
そうだ、俺達にだってまもるべきものがある。確かにこの街にも問題はあるけれど、だからといって全部打ち壊すなんて間違ってる。
間違いがあれば、正せばいい、少しずつでも、変えていけばいい。外から得体のしれない力を呼んで、全部破壊するなんて間違ってる。
だから、負けるわけにはいかないんだ!
「さあ、想いを通せるのは勝者のみ。我が憎いというならば、かかってこい!」
「望むところだ!」
そして一気にケオスに向かって切り込む。
俺は右から、ユピテルは左からほぼ同時のタイミングだ。
カグヤに回復させてもらったとはいえ完全には回復していない。
長期戦になれば魔力の差をつかれて不利は必至。ならば短期で決着をつけるしかない。
恐らくユピテルもそう考えていたのだろう。だからやることはほぼ同じだった。
恐らくユピテルもそう考えていたのだろう。だからやることはほぼ同じだった。
ケオスだってバカじゃない。そんな単純な攻撃はすぐに読まれ、対応されてしまう。
それでも俺たちは何とか突破口を見つけようと立て続けに攻撃を繰り出す。
コンビネーションは悪くない。最初は敵だったとはいえ、ずっと一緒にいた仲だ。十分連携はとれている。
ユピテルが思いっきり剣を振りかざすと、ケオスがそれに対して反応する。その瞬間、俺は逆方向から一気に攻め込んだ。
スピードを上げて一気に攻撃に入る。
ユピテルも俺の攻撃に合わせてスピードを上げた。ケオスは対応できない。
さっきまでの戦いで体力を消耗している分、すぐに決着をつけたい。
そう考え、この一撃で勝負を決めようと勝負に出た。恐らくユピテルもだろう。
そして両方同時に彼に向かって一撃を加える。
俺達の放った一撃はケオスに致命傷を与えた──はずだった。
「こ、攻撃が通らない??」
「どうした。この程度か?」
確かに俺とユピテルの一撃はケオスの腕に直撃した。特に障壁を張られているわけではない。
キリキリと音を立てながら彼の腕にダメージを与えようと必死に力を入れて切り込む。
まるで鋼鉄の分厚い壁に剣を入れているようで、彼の皮膚から先へ行かないのだ。
ケオスは余裕の笑みで言葉を返して来る。
「本気を出せ貴様ら。そのようなお遊戯ではこの私にかすり傷一つ負わすことはできぬぞ。それとも、すでに本気を出しているのかな?」
俺はその瞬間ケオスから離れ距離をとる。彼からただならぬ魔力を感じ、身の危険を案じたためだ。
ユピテルも、同じ反応をしていた。
「では、こちらの反撃と行かせてもらうぞ!」
そしてケオスが攻撃に出て来る。
目標は俺の方だ。俺は上段から振り下ろされる剣を受け止める。その瞬間今まで感じたことがない衝撃が襲い掛かる。ケオスはそのまま滅多打ちをするように連続攻撃を仕掛けてきた。
速さはそこまでではない。テクニカルな部分があるわけでもないのだが──。
「なんだ、この一撃」
「先ずはお前だ、沈めアグナム」
あまりのパワーに全くガードできない。規格外ともいえる一撃。
そして俺たちは体を吹き飛ばし、闘技場の壁にたたきつけられる。
おまけに乱雑に見えてスキが見えない。あまりの力任せの攻撃に受け流すことも出来ず、防戦一方だ。
こうして打ち合っているだけで魔力が削られていくのがわかる。
「どうした、我を倒すのではなかったのか?」
「まて、俺を無視するとはいい度胸だな!」
するとユピテルが背後からケオスに向かって切り込んでくるのがわかる。俺を相手にしながら背後からくるユピテルに対応するのは簡単ではないはずだ。
しかし──。
「甘いぞユピテル、その程度か?」
ケオスはその攻撃を簡単に防いでしまう。しかしユピテルの攻撃は止まらない。
「そんなわけなかろう。貴様を倒すまで、俺の攻撃は止まることはない」
そして身体が暖かく感じる。体中に魔力がみなぎっているような感覚だ。
「カグヤ、何をしている。罪滅ぼしか?」
「黙れ 私の、最後の意志だ」
背後を振り返ると倒れこんでいるカグヤの姿。苦しそうにこっちに右手を向けているのがわかる。そしてそこから感じる魔力。
「カグヤ──」
ユピテルも、同じように体に魔力を感じているのだろう。
そう、この与えられている魔力はカグヤから与えられたものだったのだ。
「私の力だ、そこまで残ってるわけじゃないが、使ってくれ」
「え、でもカグヤだって相当消耗しているはずじゃ──」
するとカグヤはフッと笑みを浮かべながら言葉を返して来る。
「ああ、確かに限界に近い。けれど、二人が必死になって私のために戦ってくれたんだ。今度は、私が二人のために力を振り絞る番だ!」
ボロボロながらも、どこか誇らし気な表情を見て、強く感じた。
「ありがとう、カグヤの勇気絶対に無駄にしないから」
「ああ、アグナムと一緒だ。礼を言うぞ」
確かにカグヤとはさっきまで敵同士で、互いに全力で戦っていた仲だ。
けれど、彼女が最後の力を振り絞って魔力をくれたんだ。勝つ以外、俺に道はない。
「フッ、幸いだったなアグナム。ユピテル。だがその程度の、焼け石に水の魔力で、我に勝てると思うなよ──」
「貴様こそ、俺の前で自分の力にうぬぼれていることが、どれだけ命とりかその身に教え込んでやる!」
「そうだ、ユピテルの言う通りだ。確かにお前に事情があったことは認める。けれど、俺達だって譲れないものがあるんだ。必死に戦ってきたんだ。それを自分勝手な思いで踏みにじられてたまるか!」
そうだ、俺達にだってまもるべきものがある。確かにこの街にも問題はあるけれど、だからといって全部打ち壊すなんて間違ってる。
間違いがあれば、正せばいい、少しずつでも、変えていけばいい。外から得体のしれない力を呼んで、全部破壊するなんて間違ってる。
だから、負けるわけにはいかないんだ!
「さあ、想いを通せるのは勝者のみ。我が憎いというならば、かかってこい!」
「望むところだ!」
そして一気にケオスに向かって切り込む。
俺は右から、ユピテルは左からほぼ同時のタイミングだ。
カグヤに回復させてもらったとはいえ完全には回復していない。
長期戦になれば魔力の差をつかれて不利は必至。ならば短期で決着をつけるしかない。
恐らくユピテルもそう考えていたのだろう。だからやることはほぼ同じだった。
恐らくユピテルもそう考えていたのだろう。だからやることはほぼ同じだった。
ケオスだってバカじゃない。そんな単純な攻撃はすぐに読まれ、対応されてしまう。
それでも俺たちは何とか突破口を見つけようと立て続けに攻撃を繰り出す。
コンビネーションは悪くない。最初は敵だったとはいえ、ずっと一緒にいた仲だ。十分連携はとれている。
ユピテルが思いっきり剣を振りかざすと、ケオスがそれに対して反応する。その瞬間、俺は逆方向から一気に攻め込んだ。
スピードを上げて一気に攻撃に入る。
ユピテルも俺の攻撃に合わせてスピードを上げた。ケオスは対応できない。
さっきまでの戦いで体力を消耗している分、すぐに決着をつけたい。
そう考え、この一撃で勝負を決めようと勝負に出た。恐らくユピテルもだろう。
そして両方同時に彼に向かって一撃を加える。
俺達の放った一撃はケオスに致命傷を与えた──はずだった。
「こ、攻撃が通らない??」
「どうした。この程度か?」
確かに俺とユピテルの一撃はケオスの腕に直撃した。特に障壁を張られているわけではない。
キリキリと音を立てながら彼の腕にダメージを与えようと必死に力を入れて切り込む。
まるで鋼鉄の分厚い壁に剣を入れているようで、彼の皮膚から先へ行かないのだ。
ケオスは余裕の笑みで言葉を返して来る。
「本気を出せ貴様ら。そのようなお遊戯ではこの私にかすり傷一つ負わすことはできぬぞ。それとも、すでに本気を出しているのかな?」
俺はその瞬間ケオスから離れ距離をとる。彼からただならぬ魔力を感じ、身の危険を案じたためだ。
ユピテルも、同じ反応をしていた。
「では、こちらの反撃と行かせてもらうぞ!」
そしてケオスが攻撃に出て来る。
目標は俺の方だ。俺は上段から振り下ろされる剣を受け止める。その瞬間今まで感じたことがない衝撃が襲い掛かる。ケオスはそのまま滅多打ちをするように連続攻撃を仕掛けてきた。
速さはそこまでではない。テクニカルな部分があるわけでもないのだが──。
「なんだ、この一撃」
「先ずはお前だ、沈めアグナム」
あまりのパワーに全くガードできない。規格外ともいえる一撃。
そして俺たちは体を吹き飛ばし、闘技場の壁にたたきつけられる。
おまけに乱雑に見えてスキが見えない。あまりの力任せの攻撃に受け流すことも出来ず、防戦一方だ。
こうして打ち合っているだけで魔力が削られていくのがわかる。
「どうした、我を倒すのではなかったのか?」
「まて、俺を無視するとはいい度胸だな!」
するとユピテルが背後からケオスに向かって切り込んでくるのがわかる。俺を相手にしながら背後からくるユピテルに対応するのは簡単ではないはずだ。
しかし──。
「甘いぞユピテル、その程度か?」
ケオスはその攻撃を簡単に防いでしまう。しかしユピテルの攻撃は止まらない。
「そんなわけなかろう。貴様を倒すまで、俺の攻撃は止まることはない」
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる