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最終章
第101話 俺は、進化している
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しかしユピテルが召喚したのは剣だけではない。
「なんだあの大きな球は──」
「すっげえ魔力だあれ」
観客たちが驚いたもの。それは背後に出現した魔力を伴った球状の砲弾だ。
魔力もかなり強大だ。
「破壊しつくせ、<漆黒のクリムゾン・デス・ブラスト>」
そしてユピテルは剣を振るうと彼女の背後に滞空していた砲弾は勢いよく打ち出され、モルトケへと襲い掛かる。
競技場の全体を包み込むような大爆発。
モルトケは回避することなどできず直撃。しかもそれだけじゃない。
モルトケを襲った爆発に向かって次々とほかの砲弾が追撃として襲い掛かる。
何回もの大爆発のおかげで、俺からモルトケの姿を見ることができないほどだ。
普通なら、何十人もの魔法少女を集めて初めてできる力。
一人の魔法少女を倒すには過剰すぎる暴力だ。
それでも──。
「まったく、効いていないようだ」
カグヤの言葉通りだ。
ようやく攻撃が終わり、モルトケの姿を確認。
その体には傷一つついていない。
「なるほど、さすがは最強といったところか──」
そして一気にユピテルへと向かっていく。
魔力を強く身にまとい、自らも前へ踏み込む。
そして二人は自身の武器で大きく相手に切りかかる。両者の武器が衝突したその瞬間──。
「ぐぉっ、何だこの衝撃」
「今何か向かってきたぞ」
この競技場全体を何かが襲い始めた。それは、二人が武器を衝突した際に放たれる衝撃波だ。
それも最初だけではない。
二人の武器が衝突するたびに衝撃波が飛び会場のフェンスや椅子が大きく揺れる。
今までないくらいのエネルギーのぶつかり合い。
しかしそれだけのエネルギーが飛び交いながらも二人は互いに一歩も引かない。
全力で剣と槍がぶつかり合う。
それを十数回ほど繰り返した後──。
ドォォォォォォォォン!
今までより数倍大きい、もはや爆発音ともいえる轟音と衝撃波を響かせた後、両者は後方にある壁まで吹き飛ばされる。
今までの見たことがない、圧倒的なパワーの殴り合い。
観客たちのボルテージが大きく高まる。
「すっげぇぇ、さすがはユピテルだぜぁぁ」
「けどモルトケってやつもすごすぎだろ、あの攻撃をねじ伏せるなんてよ」
俺も、すごいと思う。さすがはユピテルだ。高いレベルのパワー勝負にまったくパワー負けしていない。
「それは、今までの俺だ。今の俺とは違う。鍛錬を重ね、強くなった」
「私は以前目撃した。山奥の誰もない場所で、爆発音が聞こえるからとクエストで行ってみた時だ」
すると、隣にいたカグヤが話しかけてくる。
「そこにユピテルがいた」
話によると、人知れず、ずっと自分の短所を補うために、修行を重ねていたそうだ。
必死に修行を重ね強化したのか。自身の弱点である
「当たり前だ。自分の強さに縋り付いている奴に未来はない。常に高みを目指すからこそ、今の俺がある」
素晴らしいの一言だ。常に高みを目指すストイックさ。これが彼女の今の強さを作っているのだろう。
俺も見習わなきゃ──。
それから、競技場の二人に視線を移す。
二人は、一端距離を取り互いに見つめあっていた。
「なるほど、素晴らしいパワーだ。この私と互角に渡り合えるとはな」
ユピテルはじっとモルトケを見つめ、剣を彼女に向け言い放つ。
「その割には腕を抑えているぞ。このまま刃を交えればお前の腕は使い物にならなくなっていたはずだ」
その忠告にモルトケは動じない。
「軽く腕がしびれる程度、これでは私を倒すことなどできぬぞ」
そう告げるモルトケの素振りと表情には、どこか余裕がある。
「その余裕、すぐに打ち砕いてやる」
「打ち砕かれるのは、貴様の方だ!」
そしてユピテルは自身の剣を正面に構える。
刀身に魔力を込め始め──。
「さあ、お前の敗北の時間だ」
ユピテルの剣に込められている魔力が大きく膨張。
その魔力が巨大になり──。
「さあ、これをどう交わしていく!」
「すさまじい魔力だ──」
カグヤの言う通り、並の魔法少女何十人ともいえる圧倒的なパワー。
普通ならこれだけで勝負が決まってしまいそうだ。
しかし、この圧倒的ピンチを目の前にしてもモルトケは微動だにしない。
そしてその攻撃が迫ってくるとスッと聖槍を前に向ける。
「確かにその攻撃は素晴らしい、だがその程度の子供だましで私を打ち抜くなどできぬぞ──」
そう言葉を返して聖槍を天に向かって上げる。するとモルトケを取り囲むように灰色に光る透明な障壁を展開。
ユピテルの放った攻撃がその障壁に衝突。大爆発を起こす。
──がユピテルの放った攻撃は通らない。
「フッ、たわいもない」
しかし──。
「あれ? ユピテルの姿がないぞ」
その先にユピテルの姿はない。恐らくだけど、この攻撃自体はおとりであり防がれることは想定していた。
そして爆発で視界が聞かなくなったことを利用してそのスキに一気に攻め込む作戦だったのだろう。
ユピテルはイノシシの様に力任せの攻撃しかできない魔法少女ではない。
駆け引きに強く、相手の弱点を突くような戦いだってできるオールラウンダーだ。
「上か!」
その通りユピテルがいたのはモルトケの真上。
そこから剣を一気に振り下ろす。
モルトケもそれに気づき聖槍を横にして攻撃を防ごうと対応。
しかしとっさの判断だったため、悪い体制でのガードになってしまう。
「甘いぞモルトケ」
「なんだあの大きな球は──」
「すっげえ魔力だあれ」
観客たちが驚いたもの。それは背後に出現した魔力を伴った球状の砲弾だ。
魔力もかなり強大だ。
「破壊しつくせ、<漆黒のクリムゾン・デス・ブラスト>」
そしてユピテルは剣を振るうと彼女の背後に滞空していた砲弾は勢いよく打ち出され、モルトケへと襲い掛かる。
競技場の全体を包み込むような大爆発。
モルトケは回避することなどできず直撃。しかもそれだけじゃない。
モルトケを襲った爆発に向かって次々とほかの砲弾が追撃として襲い掛かる。
何回もの大爆発のおかげで、俺からモルトケの姿を見ることができないほどだ。
普通なら、何十人もの魔法少女を集めて初めてできる力。
一人の魔法少女を倒すには過剰すぎる暴力だ。
それでも──。
「まったく、効いていないようだ」
カグヤの言葉通りだ。
ようやく攻撃が終わり、モルトケの姿を確認。
その体には傷一つついていない。
「なるほど、さすがは最強といったところか──」
そして一気にユピテルへと向かっていく。
魔力を強く身にまとい、自らも前へ踏み込む。
そして二人は自身の武器で大きく相手に切りかかる。両者の武器が衝突したその瞬間──。
「ぐぉっ、何だこの衝撃」
「今何か向かってきたぞ」
この競技場全体を何かが襲い始めた。それは、二人が武器を衝突した際に放たれる衝撃波だ。
それも最初だけではない。
二人の武器が衝突するたびに衝撃波が飛び会場のフェンスや椅子が大きく揺れる。
今までないくらいのエネルギーのぶつかり合い。
しかしそれだけのエネルギーが飛び交いながらも二人は互いに一歩も引かない。
全力で剣と槍がぶつかり合う。
それを十数回ほど繰り返した後──。
ドォォォォォォォォン!
今までより数倍大きい、もはや爆発音ともいえる轟音と衝撃波を響かせた後、両者は後方にある壁まで吹き飛ばされる。
今までの見たことがない、圧倒的なパワーの殴り合い。
観客たちのボルテージが大きく高まる。
「すっげぇぇ、さすがはユピテルだぜぁぁ」
「けどモルトケってやつもすごすぎだろ、あの攻撃をねじ伏せるなんてよ」
俺も、すごいと思う。さすがはユピテルだ。高いレベルのパワー勝負にまったくパワー負けしていない。
「それは、今までの俺だ。今の俺とは違う。鍛錬を重ね、強くなった」
「私は以前目撃した。山奥の誰もない場所で、爆発音が聞こえるからとクエストで行ってみた時だ」
すると、隣にいたカグヤが話しかけてくる。
「そこにユピテルがいた」
話によると、人知れず、ずっと自分の短所を補うために、修行を重ねていたそうだ。
必死に修行を重ね強化したのか。自身の弱点である
「当たり前だ。自分の強さに縋り付いている奴に未来はない。常に高みを目指すからこそ、今の俺がある」
素晴らしいの一言だ。常に高みを目指すストイックさ。これが彼女の今の強さを作っているのだろう。
俺も見習わなきゃ──。
それから、競技場の二人に視線を移す。
二人は、一端距離を取り互いに見つめあっていた。
「なるほど、素晴らしいパワーだ。この私と互角に渡り合えるとはな」
ユピテルはじっとモルトケを見つめ、剣を彼女に向け言い放つ。
「その割には腕を抑えているぞ。このまま刃を交えればお前の腕は使い物にならなくなっていたはずだ」
その忠告にモルトケは動じない。
「軽く腕がしびれる程度、これでは私を倒すことなどできぬぞ」
そう告げるモルトケの素振りと表情には、どこか余裕がある。
「その余裕、すぐに打ち砕いてやる」
「打ち砕かれるのは、貴様の方だ!」
そしてユピテルは自身の剣を正面に構える。
刀身に魔力を込め始め──。
「さあ、お前の敗北の時間だ」
ユピテルの剣に込められている魔力が大きく膨張。
その魔力が巨大になり──。
「さあ、これをどう交わしていく!」
「すさまじい魔力だ──」
カグヤの言う通り、並の魔法少女何十人ともいえる圧倒的なパワー。
普通ならこれだけで勝負が決まってしまいそうだ。
しかし、この圧倒的ピンチを目の前にしてもモルトケは微動だにしない。
そしてその攻撃が迫ってくるとスッと聖槍を前に向ける。
「確かにその攻撃は素晴らしい、だがその程度の子供だましで私を打ち抜くなどできぬぞ──」
そう言葉を返して聖槍を天に向かって上げる。するとモルトケを取り囲むように灰色に光る透明な障壁を展開。
ユピテルの放った攻撃がその障壁に衝突。大爆発を起こす。
──がユピテルの放った攻撃は通らない。
「フッ、たわいもない」
しかし──。
「あれ? ユピテルの姿がないぞ」
その先にユピテルの姿はない。恐らくだけど、この攻撃自体はおとりであり防がれることは想定していた。
そして爆発で視界が聞かなくなったことを利用してそのスキに一気に攻め込む作戦だったのだろう。
ユピテルはイノシシの様に力任せの攻撃しかできない魔法少女ではない。
駆け引きに強く、相手の弱点を突くような戦いだってできるオールラウンダーだ。
「上か!」
その通りユピテルがいたのはモルトケの真上。
そこから剣を一気に振り下ろす。
モルトケもそれに気づき聖槍を横にして攻撃を防ごうと対応。
しかしとっさの判断だったため、悪い体制でのガードになってしまう。
「甘いぞモルトケ」
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