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最終章
第100話 現れたのは──
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「アグナム、私と戦おう──といいたいところだが、すでにカグヤと戦いを終えてボロボロのようだな。ということで二人とも始末させてもらう」
「やはり、私も始末されるということか──」
カグヤがあきらめたような表情でため息をつく。
モルトケは、そんな表情に気にも留めない。
「フッ、二度も同じ奴に敗北した奴など、仲間にする必要なんてない! お前はもう不要だ」
「ふざけるな!」
その言葉に俺は大きく憤慨する。
確かに、カグヤとは敵同士だったけれど彼女からは感じた。絶望に浸っていて、それから何とかはい出ようとしているのがわかる。
そんな彼女に対して、見捨てるなんてことはできない。
彼女を、トカゲのしっぽきりになんかさせない。そんなことは、絶対に許せない。
「モルトケ、カグヤには、指一本触れさせない。彼女は俺が絶対に守る」
俺はカグヤの前に立ちふさがる。戦えないのを、理解しながらモルトケをにらみつけた。
モルトケはそんな状況を理解しているようで、余裕のある笑みで言葉を返して来る。
「貴様とカグヤは敵同士ではなかったのか。なぜこんなやつの味方をする?」
「そうだアグナム。どうして私をかばう?」
カグヤは俺が抱きかかえたまま、弱り切った眼で言葉を返す。
「当然だよ。同じ魔法少女だ。消すなんて、あってはいけない。カグヤがいなくなるなんて俺は絶対に嫌だ!」
俺は彼女をじっと見ながらそう叫んだ。カグヤは、顔を赤くしながら、ただ俺をじっと見ている。
「ほほう、この私に逆らうというのか? そんなボロボロの状態で、私を止めるつもりか?」
確かに、カグヤとの激戦を終え俺はすでに満身創痍。これでモルトケと真正面から戦うというのはさすがにきつい。
どうすればいい。こいつの強さこそわからないものの鉄束団のリーダーであることから相当な実力があることは間違いない。
果たして、俺に勝つことはできるのか。
「さあ、この私と戦わないのか。それとも勝てないということか?」
どうすればいい。頭の中で思考を張り巡らせているとき、一人の声が聞こえ始めた。
男勝りで、強気な少女の声。
「待て貴様。お前の相手は俺だ!」
入口から聞こえたその人物の方向に視線を向ける。
「ユピテル。どうして貴様がここに──」
そう、ユピテルだった。
「サナから聞いた。アグナムがこの場所に来ていると──」
俺のこと、考えていてくれたのか。普段は話しかけにくいけど、優しい所もあるんだな。
そしてユピテルはスッとモルトケに自身の剣を向けた。
「卑怯だと思わないか。カグヤにアグナムが戦っている中自分は高みの見物。そしてカグヤが負けたらハゲタカの様に手負いのアグナムに戦いを挑み、彼女はトカゲのしっぽ切りのようにポイ捨て。どうなんだ、答えてみろ!」
「フン。勝たなければ何の意味もない。どんな事をしても勝利しなければならない」
その言葉に罪悪感や戸惑いはない。
するとユピテルはモルトケをじっと睨みつけ、言葉を返す。
「ほう、貴様も俺と同じような考えをしているな。俺もお前にはどんなことをしてでも勝ちたいと考えていた」
「確かに奇遇だ。であれば──」
「俺たちがやるべきことは一つ」
そして二人は一触即発の状態になる。俺は競技場を離れカグヤと一緒に観客室へ。
体力の消耗が激しいせいか、歩けないようで、お姫様抱っこで運ぶ形となった。
観客たちは、二人が戦おうとしている様子を見て大きく盛り上がる。
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──。
「すげぇぇ、あのユピテルが乱入で勝負? とんだサプライズだぜぇぇぇ」
「ぜってぇぇ見るぞ。存分に傷めつけちゃってくれ」
モルトケは審判に詰め寄り始め──。
ということだ、俺とユピテルの試合、よろしく頼むぞ。
「りょ、了解しました」
こうして二人の戦いが急遽決まり、二人は競技場の中心でにらみ合う。
それを観客席で見守っていると、隣にいるカグヤが話しかけてくる。
魔力を消耗しつくし、ぐったりとした様子だ。
「助けてくれて、ありがとう」
「いいよ。放っておけなかったし」
カグヤは弱り切った表情で俺をじっと見つめる。ほっぺがほんのりと赤く、安心したような表情。
「ありがとう、それに、君は罪深き少女だ。責任は、取ってもらうよ──」
「せ、責任?」
その言葉に俺は動揺する。なんか悪いことしちゃったのかな?
そんなことを考えている場合じゃない。今はユピテルの試合に集中しないと──。
そして競技場では試合の合図が鳴り響き、ユピテルとモルトケの一騎打ちが始まる。ユピテル、絶対勝ってくれよ。
「来い、お前は、この俺が倒す」
「望むところだ」
二人が言葉を発した瞬間審判から「試合開始」の合図が発せられる。
大きな歓声に包まれる中、まず仕掛けたのはモルトケのほうだ。
「 聖槍<ライトニング・スピア・スターライト>」
モルトケの武器は、二メートルくらいはあるであろう大きな槍、そこから発せられる魔力は魔法少女でもトップクラスだろうというのがわかる。
そして体を斜めに沈みこませ、一気にユピテルに接近。
このモルトケの立ち上がりにユピテルは特に動じることはなく剣を召還。
しかしユピテルが召喚したのは剣だけではない。
「なんだあの大きな球は──」
「やはり、私も始末されるということか──」
カグヤがあきらめたような表情でため息をつく。
モルトケは、そんな表情に気にも留めない。
「フッ、二度も同じ奴に敗北した奴など、仲間にする必要なんてない! お前はもう不要だ」
「ふざけるな!」
その言葉に俺は大きく憤慨する。
確かに、カグヤとは敵同士だったけれど彼女からは感じた。絶望に浸っていて、それから何とかはい出ようとしているのがわかる。
そんな彼女に対して、見捨てるなんてことはできない。
彼女を、トカゲのしっぽきりになんかさせない。そんなことは、絶対に許せない。
「モルトケ、カグヤには、指一本触れさせない。彼女は俺が絶対に守る」
俺はカグヤの前に立ちふさがる。戦えないのを、理解しながらモルトケをにらみつけた。
モルトケはそんな状況を理解しているようで、余裕のある笑みで言葉を返して来る。
「貴様とカグヤは敵同士ではなかったのか。なぜこんなやつの味方をする?」
「そうだアグナム。どうして私をかばう?」
カグヤは俺が抱きかかえたまま、弱り切った眼で言葉を返す。
「当然だよ。同じ魔法少女だ。消すなんて、あってはいけない。カグヤがいなくなるなんて俺は絶対に嫌だ!」
俺は彼女をじっと見ながらそう叫んだ。カグヤは、顔を赤くしながら、ただ俺をじっと見ている。
「ほほう、この私に逆らうというのか? そんなボロボロの状態で、私を止めるつもりか?」
確かに、カグヤとの激戦を終え俺はすでに満身創痍。これでモルトケと真正面から戦うというのはさすがにきつい。
どうすればいい。こいつの強さこそわからないものの鉄束団のリーダーであることから相当な実力があることは間違いない。
果たして、俺に勝つことはできるのか。
「さあ、この私と戦わないのか。それとも勝てないということか?」
どうすればいい。頭の中で思考を張り巡らせているとき、一人の声が聞こえ始めた。
男勝りで、強気な少女の声。
「待て貴様。お前の相手は俺だ!」
入口から聞こえたその人物の方向に視線を向ける。
「ユピテル。どうして貴様がここに──」
そう、ユピテルだった。
「サナから聞いた。アグナムがこの場所に来ていると──」
俺のこと、考えていてくれたのか。普段は話しかけにくいけど、優しい所もあるんだな。
そしてユピテルはスッとモルトケに自身の剣を向けた。
「卑怯だと思わないか。カグヤにアグナムが戦っている中自分は高みの見物。そしてカグヤが負けたらハゲタカの様に手負いのアグナムに戦いを挑み、彼女はトカゲのしっぽ切りのようにポイ捨て。どうなんだ、答えてみろ!」
「フン。勝たなければ何の意味もない。どんな事をしても勝利しなければならない」
その言葉に罪悪感や戸惑いはない。
するとユピテルはモルトケをじっと睨みつけ、言葉を返す。
「ほう、貴様も俺と同じような考えをしているな。俺もお前にはどんなことをしてでも勝ちたいと考えていた」
「確かに奇遇だ。であれば──」
「俺たちがやるべきことは一つ」
そして二人は一触即発の状態になる。俺は競技場を離れカグヤと一緒に観客室へ。
体力の消耗が激しいせいか、歩けないようで、お姫様抱っこで運ぶ形となった。
観客たちは、二人が戦おうとしている様子を見て大きく盛り上がる。
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──。
「すげぇぇ、あのユピテルが乱入で勝負? とんだサプライズだぜぇぇぇ」
「ぜってぇぇ見るぞ。存分に傷めつけちゃってくれ」
モルトケは審判に詰め寄り始め──。
ということだ、俺とユピテルの試合、よろしく頼むぞ。
「りょ、了解しました」
こうして二人の戦いが急遽決まり、二人は競技場の中心でにらみ合う。
それを観客席で見守っていると、隣にいるカグヤが話しかけてくる。
魔力を消耗しつくし、ぐったりとした様子だ。
「助けてくれて、ありがとう」
「いいよ。放っておけなかったし」
カグヤは弱り切った表情で俺をじっと見つめる。ほっぺがほんのりと赤く、安心したような表情。
「ありがとう、それに、君は罪深き少女だ。責任は、取ってもらうよ──」
「せ、責任?」
その言葉に俺は動揺する。なんか悪いことしちゃったのかな?
そんなことを考えている場合じゃない。今はユピテルの試合に集中しないと──。
そして競技場では試合の合図が鳴り響き、ユピテルとモルトケの一騎打ちが始まる。ユピテル、絶対勝ってくれよ。
「来い、お前は、この俺が倒す」
「望むところだ」
二人が言葉を発した瞬間審判から「試合開始」の合図が発せられる。
大きな歓声に包まれる中、まず仕掛けたのはモルトケのほうだ。
「 聖槍<ライトニング・スピア・スターライト>」
モルトケの武器は、二メートルくらいはあるであろう大きな槍、そこから発せられる魔力は魔法少女でもトップクラスだろうというのがわかる。
そして体を斜めに沈みこませ、一気にユピテルに接近。
このモルトケの立ち上がりにユピテルは特に動じることはなく剣を召還。
しかしユピテルが召喚したのは剣だけではない。
「なんだあの大きな球は──」
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