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最終章
第98話 激闘
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「久しぶりだな、アグナム」
「ああ、こんなところでは、会いたくはなかったけどね──」
「俺は、貴様に敗れてからすべてを失った。名声も、矛地も、もはや私に失うものは何もない。貴様から勝利を奪い取り、最強の座をいただく!」
カグヤの目を見る。覚悟を決めた目つきだ。言葉でどれだけ説得したところで、彼女の心に届くことはないだろう。
だから、戦うしかない!
そして俺とカグヤは所定の位置につく。すると仮面をつけた審判が叫んだ。
「では両者とも、これより決闘を始めさせていただきます」
俺は腰を低くして武器を召喚。戦う準備に入る。
「互いに命を懸けた決戦。負けてもギブアップは無し。ただいたぶられるのみ、果たして勝つのはどちらか──、それでは……試合開始!」
その言葉を聞いた瞬間俺はすぐにカグヤとの間合いを詰めていく。
そしてカグヤも接近戦を得意とする魔法少女だけあってすぐに距離を詰め、戦闘が始まったのだが──。
「なんだこれは──」
カグヤは素早い踏み込みから、綺麗な太刀筋を描いて一気に攻撃を仕掛けてくる。
以前と比べて明らかに攻撃的になっている。
俺は剣を腰を低くして構えながら左に避けるが、振り上げられたはずのカグヤの剣は俺の動きを察知しているように素早く軌道を変えてきた。
「危ない……」
間一髪でおでこの部分を剣がかすり、再び距離を取る。
するとすぐにカグヤが距離を詰めてくる。
俺が振り上げた攻撃が、カグヤが振り下ろした攻撃と真正面からぶつかり合う。
互いに剣に力を入れ、ミシミシと剣が悲鳴を上げる。
「どうした。私の強さにおじけづいたのか?」
戦い方がまるで違う。以前と比べて、相手を食い殺さんばかりに攻撃的になっている。
「いや、この前闘った時と、別人みたいだから驚いただけだよ」
「言っただろうアグナム。今の俺は、今までのようなお行儀が良いお嬢ちゃんじゃない。勝つためなら、惜しむ物も何もなくなった。それだけだ──」
「なるほどね──」
「もう、優しき心もいらない。騎士道たる精神もいらない、相手をリスペクトする精神もいらない。今の私の心にある感情はただ一つ。どんな手段を使っても、貴様に勝利するという渇望だけだ!」
──今までカグヤとは全く違う。
雰囲気も、目つきも……。おそらくだけど、覚悟を据えたんだ。
「さあ来いアグナム! 私の全力を持って、貴様を粉砕してやる」
これが、カグヤの出した答えなのだろう。だったら、俺が返す答えなんて一つしかない。
お前に勝つ。ただそれだけだ!
お前の出した答えを、真正面から受け止めて、それを打ち破る。
全力で戦って、勝つ。
俺はさらに魔力の供給を上げる。
その分息切れが早くなってしまうが、こうでもしないといずれ攻撃を受けきれなくなり勝負がついてしまう。
その前に、俺がカグヤに有効打を与え、勝利する。それしかない。
そして互いに剣に力を入れる。すると力に押し負けのけぞったのはカグヤだ。
しかし先に体勢を立て直したのもカグヤの方。
カグヤか剣をくるりと回転させ、俺の力を逃がしてくる。俺もすぐに構えなおし、追撃を許さない。
そして少しの時間がたつと、互いににらみ合ったまま動かなくなる。どちらも下手に動いたら何が飛んでくるかわからないからだ。
純粋なパワーと速さであれば俺とカグヤはほぼいい勝負だ。それどころか勝っている場合すらある。
しかし一つ一つの反応や動作。攻撃の移り変わりや出だしは俺より二歩も三歩も速い。
恐らく長年の彼女が努力して磨け上げてきたのだろう。
ポッと出で力を与えられてきた俺では到底追いつきそうにない。
そして地面から舞い上がるようなカグヤの切り上げた攻撃を背後に一歩ステップを踏んで回避、そこに追撃をかけてきたカグヤに力任せのカウンターを放つが、それをカグヤは受け流してしまう。
カグヤは速度を上げ一気に切りかかってくる。
今までないくらいの打ち込み。
俺はそれを受け止めたが、息をつく暇もないくらいの速度で次の攻撃が襲ってきた。
とっさに攻撃をしのいだものの、わき腹にかすり傷を負ってしまう。
さらにそんなことを考える暇もないくらいの速さで頭部、左もも、首、右足──。
連撃。それもこの前の戦いより大幅に強化されている。
この攻撃、もはや芸術といってもいい。本当にスキがない。ついていくのに精いっぱいだ。
そして、戦っていくうちに周囲の状況にも変化が生じ始めた。
観客席が、静まり返っているのだ。
さっきまで殺せ、ぶちのめせなど下品なヤジばかり叫んでいた観客たちも、俺たちの決死の攻防を見ているうちに次第に口数が少なくなっていく。視線は俺とカグヤの激しい攻防に釘付けになっている。
それだけ、彼女の攻撃が見るものを魅了させる力を持っているのだろう。
しかし、だからといって負けていられない。
俺は彼女と戦ったことはあるし、ユピテルに負けた時のことも聞いた事がある。
そして見つけ出した攻略の一つが、対応できないような力で押し込むことだ。
それもたった一撃でいい。そうすればカグヤはこの連撃と止めざるを得なくなる。
圧倒的な攻撃を当てて、パワーで押し込むことだ。
カグヤの欠点、しいて言うならユピテルのような圧倒的な一撃がないということだ。
強いと言えば強いがユピテルほどではない。
俺は全力を込めて、カグヤの突きを叩き落とす様に振り下ろす。しかしカグヤはその攻撃を受け流してしまう。そしてくるりと手首を返しすぐにカウンターを仕掛けてきた。
しかしそれもカグヤは理解していたように身を引いて、すぐにステップを踏んで攻撃を繰り出してきた。
「ああ、こんなところでは、会いたくはなかったけどね──」
「俺は、貴様に敗れてからすべてを失った。名声も、矛地も、もはや私に失うものは何もない。貴様から勝利を奪い取り、最強の座をいただく!」
カグヤの目を見る。覚悟を決めた目つきだ。言葉でどれだけ説得したところで、彼女の心に届くことはないだろう。
だから、戦うしかない!
そして俺とカグヤは所定の位置につく。すると仮面をつけた審判が叫んだ。
「では両者とも、これより決闘を始めさせていただきます」
俺は腰を低くして武器を召喚。戦う準備に入る。
「互いに命を懸けた決戦。負けてもギブアップは無し。ただいたぶられるのみ、果たして勝つのはどちらか──、それでは……試合開始!」
その言葉を聞いた瞬間俺はすぐにカグヤとの間合いを詰めていく。
そしてカグヤも接近戦を得意とする魔法少女だけあってすぐに距離を詰め、戦闘が始まったのだが──。
「なんだこれは──」
カグヤは素早い踏み込みから、綺麗な太刀筋を描いて一気に攻撃を仕掛けてくる。
以前と比べて明らかに攻撃的になっている。
俺は剣を腰を低くして構えながら左に避けるが、振り上げられたはずのカグヤの剣は俺の動きを察知しているように素早く軌道を変えてきた。
「危ない……」
間一髪でおでこの部分を剣がかすり、再び距離を取る。
するとすぐにカグヤが距離を詰めてくる。
俺が振り上げた攻撃が、カグヤが振り下ろした攻撃と真正面からぶつかり合う。
互いに剣に力を入れ、ミシミシと剣が悲鳴を上げる。
「どうした。私の強さにおじけづいたのか?」
戦い方がまるで違う。以前と比べて、相手を食い殺さんばかりに攻撃的になっている。
「いや、この前闘った時と、別人みたいだから驚いただけだよ」
「言っただろうアグナム。今の俺は、今までのようなお行儀が良いお嬢ちゃんじゃない。勝つためなら、惜しむ物も何もなくなった。それだけだ──」
「なるほどね──」
「もう、優しき心もいらない。騎士道たる精神もいらない、相手をリスペクトする精神もいらない。今の私の心にある感情はただ一つ。どんな手段を使っても、貴様に勝利するという渇望だけだ!」
──今までカグヤとは全く違う。
雰囲気も、目つきも……。おそらくだけど、覚悟を据えたんだ。
「さあ来いアグナム! 私の全力を持って、貴様を粉砕してやる」
これが、カグヤの出した答えなのだろう。だったら、俺が返す答えなんて一つしかない。
お前に勝つ。ただそれだけだ!
お前の出した答えを、真正面から受け止めて、それを打ち破る。
全力で戦って、勝つ。
俺はさらに魔力の供給を上げる。
その分息切れが早くなってしまうが、こうでもしないといずれ攻撃を受けきれなくなり勝負がついてしまう。
その前に、俺がカグヤに有効打を与え、勝利する。それしかない。
そして互いに剣に力を入れる。すると力に押し負けのけぞったのはカグヤだ。
しかし先に体勢を立て直したのもカグヤの方。
カグヤか剣をくるりと回転させ、俺の力を逃がしてくる。俺もすぐに構えなおし、追撃を許さない。
そして少しの時間がたつと、互いににらみ合ったまま動かなくなる。どちらも下手に動いたら何が飛んでくるかわからないからだ。
純粋なパワーと速さであれば俺とカグヤはほぼいい勝負だ。それどころか勝っている場合すらある。
しかし一つ一つの反応や動作。攻撃の移り変わりや出だしは俺より二歩も三歩も速い。
恐らく長年の彼女が努力して磨け上げてきたのだろう。
ポッと出で力を与えられてきた俺では到底追いつきそうにない。
そして地面から舞い上がるようなカグヤの切り上げた攻撃を背後に一歩ステップを踏んで回避、そこに追撃をかけてきたカグヤに力任せのカウンターを放つが、それをカグヤは受け流してしまう。
カグヤは速度を上げ一気に切りかかってくる。
今までないくらいの打ち込み。
俺はそれを受け止めたが、息をつく暇もないくらいの速度で次の攻撃が襲ってきた。
とっさに攻撃をしのいだものの、わき腹にかすり傷を負ってしまう。
さらにそんなことを考える暇もないくらいの速さで頭部、左もも、首、右足──。
連撃。それもこの前の戦いより大幅に強化されている。
この攻撃、もはや芸術といってもいい。本当にスキがない。ついていくのに精いっぱいだ。
そして、戦っていくうちに周囲の状況にも変化が生じ始めた。
観客席が、静まり返っているのだ。
さっきまで殺せ、ぶちのめせなど下品なヤジばかり叫んでいた観客たちも、俺たちの決死の攻防を見ているうちに次第に口数が少なくなっていく。視線は俺とカグヤの激しい攻防に釘付けになっている。
それだけ、彼女の攻撃が見るものを魅了させる力を持っているのだろう。
しかし、だからといって負けていられない。
俺は彼女と戦ったことはあるし、ユピテルに負けた時のことも聞いた事がある。
そして見つけ出した攻略の一つが、対応できないような力で押し込むことだ。
それもたった一撃でいい。そうすればカグヤはこの連撃と止めざるを得なくなる。
圧倒的な攻撃を当てて、パワーで押し込むことだ。
カグヤの欠点、しいて言うならユピテルのような圧倒的な一撃がないということだ。
強いと言えば強いがユピテルほどではない。
俺は全力を込めて、カグヤの突きを叩き落とす様に振り下ろす。しかしカグヤはその攻撃を受け流してしまう。そしてくるりと手首を返しすぐにカウンターを仕掛けてきた。
しかしそれもカグヤは理解していたように身を引いて、すぐにステップを踏んで攻撃を繰り出してきた。
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