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最終章
第92話 みんなで、一緒に
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「私に、力をください。一緒に、戦ってほしいんです」
絶望感に浸り、気持ちがネガティブになっているのが俺にもわかる。
それでもサナの表情は強気なままだ。
「どうせダメだろう」とか「どうじて……」みたいなあきらめの表情は全くない。
そんな自信に満ち溢れた表情でサナが街のみんなに作戦を説明していく。
かれこれ十分ほどだろうか。サナの説明が終わり、最後に頭を下げる。
「お願いします。あのホロウを倒すには、皆さんの協力が必要なんです。皆さんの力を、私達に貸してください!」
今まで、魔法少女が一般人に力をもらい、共に戦って敵を倒すなんてことはなかったのだろう。
街の人たちは戸惑いの表情を見せている。
「けど俺たちで、あんな強いやつを倒せるのかよ」
「そうだよ。力になんかなれないよ……」
そりゃそうだ。彼らは、魔法なんて使えない。使えたとしてもほんのわずかな魔力しかなく戦う事なんてできない。
ゆえに戦いは魔法少女たちに任せていた。
だから初めて自分たちが戦いに参加することに抵抗しているのだろう。
それでもサナはあきらめない。
「お願いします。皆さんの力を私にください。そうすれば、絶対に平和はやってきます」
俺も、見ているだけなのは嫌だ。
「俺からもお願いです。皆さんで力を合わせて、敵を倒しましょう」
俺も必死に説得をする。すると──。
「お姉ちゃんたちの力に、私もなりたい」
避難所の方から誰かの声が聞こえる。その人物に俺や避難所の人たちの視線が集まっていく。
エルフの子供、マイナだ。それだけじゃない、同じくらいの背丈の子供たちが何人かが固まっている。
エルフの長耳をしていたり、ウサギの耳をしていたり、いろいろな人種だ。
「みんな!」
「サナお姉ちゃん! 私達のこと、覚えてる?」
「ミーナちゃん。プラス君。よく遊んでるよね、覚えてるよ!」
どうやらサナが良く街で触れ合っている子供たちのようだ。
「私たち、いつもサナちゃんが必死になって街のために戦ったり、活動したりしているの知っているから」
「けど、いつも頼ってばかりいるのは嫌だ」
「そうニャ。サナが必死に私達のために頑張っているのは知ってるニャ。だから、今は私達がサナのために頑張る時。私はそう思っているニャ」
子供たちがごぞってサナに詰め寄る。そして周囲にも目を向けた。
それを見て俺は思ったことがある。
一部の大人たちはエルフというだけで石を投げたりしている。
けれど、子供たちにとって亜人とか人間かどうかなんてほんの些細なことなのだ。
一緒に友達として楽しみ、暮らしている。
そしてそんな言葉をかけられたサナ、うっすらと瞳に涙がにじませる。
「ありがとう──」
マイナの頭をそっとなでながらサナは呟いた。
そして間髪を入れず俺は周囲の人たちの方向に視線を送り再び言い放つ。
「皆さん。みんなより若い子供たちは、障害を乗り越えて、力を合わせようとしています。命をかけろなんて言いません。何かあったら俺たちが皆さんを守ります。だから皆さんの力を少しだけ、分けてくれないでしょうか。それだけでいいんです。お願いします」
その言葉に、大人たちはざわざわとし始め、互いに周囲と顔を合わせる。
少しずつだが、この場の雰囲気が変わっていっているのがわかる。
「わかったよ。協力すればいいんだろ──」
「そうよね。ここがなくなったら、私達居場所なんてないし」
「そ、そうだあそこは、俺たちの街だ。俺たちが守らなくてどうするんだよ」
そんな声が少しずつこの場を支配していく。空気が変わっていっていくのがわかる。
そして──。
「わかったよ。協力すればいいんだろ」
「ああ、だからいざというときは助けてくれよ──」
避難所のほとんどの人たちがサナの提案に乗ってくれた。
サナは目にほんのりと涙を浮かべてフッと笑う。
まるで女神の様な優しくて暖かい笑み。
「皆さん、本当にありがとうございます──」
そう言って深々と頭を下げた。
そして、最後に頼み込まなきゃいけない相手がいる。
正直、とてもいいずらい相手だ。彼女にとっては幼なじみでもありライバルでもある。
ホロウの襲撃によって破壊されたエリア。
その場所にその人物はいた。
腰に手を当て、破壊された故郷をじっと見ている彼女にサナは話しかける。
「ユピテルちゃん。話を手いてほしいんだ」
そう、話しかけたのはユピテルだ。
「何だサナ。逃げるのを決めたのか?」
「違う。やっぱり、戦いたい。作戦も練ってきた。話だけでも聞いて」
ユピテルは冷徹に腕を組みながら言葉を返す。
「わかった。だが、命がかかってる戦い半端な策では通らないぞ」
「──うん」
そしてサナは自分が考えた作戦をユピテルに説明する。
完ぺきではないかもしれない。しかし今の自分たちの戦力を考えたときに最大限ホロウ相手に戦える作戦だ。
そしてその説明を終えると、ユピテルはがれきの山に視線を向け、しばし考えこむ。
サナの目を見ずに言葉を返し始めた。
「確かにサナの説明した作戦は悪くない。お前ができるようになったこと、そして今の戦力を加味すれば悪くない案だといえる」
その言葉にサナの表情がはっとする。しかし──。
「だが、できるのか、サナ──。これは、お前にも多大な負担がいく。その負担に、耐えられるのか?」
ユピテルが真剣な表情でサナに詰め寄った。サナの提案は、俺たち全員がチームで戦うということ。
それは、誰か一人でも今くいかなかったら失敗するということだ。
もちろんトラウマによって恐怖に怯えていたサナもということ。
「あんな強敵相手に作戦が失敗するということ。それは、俺たちが全滅しかねないということだぞ」
もちろんそれもあり得る。
希望を追って無茶な作戦を行う。それは、確かにカッコイイかもしれないが、失敗すれば限られた戦力を無駄に浪費することにもつながる。
サナの表情に迷いはない。
サナは自信たっぷりの表情で答える。
「私一人では、出来ない」
予想だにしなかった答えに、ユピテルの表情が固まる。そしてサナが、続けてもう一言。
「けど、私達だったらできる!」
絶望感に浸り、気持ちがネガティブになっているのが俺にもわかる。
それでもサナの表情は強気なままだ。
「どうせダメだろう」とか「どうじて……」みたいなあきらめの表情は全くない。
そんな自信に満ち溢れた表情でサナが街のみんなに作戦を説明していく。
かれこれ十分ほどだろうか。サナの説明が終わり、最後に頭を下げる。
「お願いします。あのホロウを倒すには、皆さんの協力が必要なんです。皆さんの力を、私達に貸してください!」
今まで、魔法少女が一般人に力をもらい、共に戦って敵を倒すなんてことはなかったのだろう。
街の人たちは戸惑いの表情を見せている。
「けど俺たちで、あんな強いやつを倒せるのかよ」
「そうだよ。力になんかなれないよ……」
そりゃそうだ。彼らは、魔法なんて使えない。使えたとしてもほんのわずかな魔力しかなく戦う事なんてできない。
ゆえに戦いは魔法少女たちに任せていた。
だから初めて自分たちが戦いに参加することに抵抗しているのだろう。
それでもサナはあきらめない。
「お願いします。皆さんの力を私にください。そうすれば、絶対に平和はやってきます」
俺も、見ているだけなのは嫌だ。
「俺からもお願いです。皆さんで力を合わせて、敵を倒しましょう」
俺も必死に説得をする。すると──。
「お姉ちゃんたちの力に、私もなりたい」
避難所の方から誰かの声が聞こえる。その人物に俺や避難所の人たちの視線が集まっていく。
エルフの子供、マイナだ。それだけじゃない、同じくらいの背丈の子供たちが何人かが固まっている。
エルフの長耳をしていたり、ウサギの耳をしていたり、いろいろな人種だ。
「みんな!」
「サナお姉ちゃん! 私達のこと、覚えてる?」
「ミーナちゃん。プラス君。よく遊んでるよね、覚えてるよ!」
どうやらサナが良く街で触れ合っている子供たちのようだ。
「私たち、いつもサナちゃんが必死になって街のために戦ったり、活動したりしているの知っているから」
「けど、いつも頼ってばかりいるのは嫌だ」
「そうニャ。サナが必死に私達のために頑張っているのは知ってるニャ。だから、今は私達がサナのために頑張る時。私はそう思っているニャ」
子供たちがごぞってサナに詰め寄る。そして周囲にも目を向けた。
それを見て俺は思ったことがある。
一部の大人たちはエルフというだけで石を投げたりしている。
けれど、子供たちにとって亜人とか人間かどうかなんてほんの些細なことなのだ。
一緒に友達として楽しみ、暮らしている。
そしてそんな言葉をかけられたサナ、うっすらと瞳に涙がにじませる。
「ありがとう──」
マイナの頭をそっとなでながらサナは呟いた。
そして間髪を入れず俺は周囲の人たちの方向に視線を送り再び言い放つ。
「皆さん。みんなより若い子供たちは、障害を乗り越えて、力を合わせようとしています。命をかけろなんて言いません。何かあったら俺たちが皆さんを守ります。だから皆さんの力を少しだけ、分けてくれないでしょうか。それだけでいいんです。お願いします」
その言葉に、大人たちはざわざわとし始め、互いに周囲と顔を合わせる。
少しずつだが、この場の雰囲気が変わっていっているのがわかる。
「わかったよ。協力すればいいんだろ──」
「そうよね。ここがなくなったら、私達居場所なんてないし」
「そ、そうだあそこは、俺たちの街だ。俺たちが守らなくてどうするんだよ」
そんな声が少しずつこの場を支配していく。空気が変わっていっていくのがわかる。
そして──。
「わかったよ。協力すればいいんだろ」
「ああ、だからいざというときは助けてくれよ──」
避難所のほとんどの人たちがサナの提案に乗ってくれた。
サナは目にほんのりと涙を浮かべてフッと笑う。
まるで女神の様な優しくて暖かい笑み。
「皆さん、本当にありがとうございます──」
そう言って深々と頭を下げた。
そして、最後に頼み込まなきゃいけない相手がいる。
正直、とてもいいずらい相手だ。彼女にとっては幼なじみでもありライバルでもある。
ホロウの襲撃によって破壊されたエリア。
その場所にその人物はいた。
腰に手を当て、破壊された故郷をじっと見ている彼女にサナは話しかける。
「ユピテルちゃん。話を手いてほしいんだ」
そう、話しかけたのはユピテルだ。
「何だサナ。逃げるのを決めたのか?」
「違う。やっぱり、戦いたい。作戦も練ってきた。話だけでも聞いて」
ユピテルは冷徹に腕を組みながら言葉を返す。
「わかった。だが、命がかかってる戦い半端な策では通らないぞ」
「──うん」
そしてサナは自分が考えた作戦をユピテルに説明する。
完ぺきではないかもしれない。しかし今の自分たちの戦力を考えたときに最大限ホロウ相手に戦える作戦だ。
そしてその説明を終えると、ユピテルはがれきの山に視線を向け、しばし考えこむ。
サナの目を見ずに言葉を返し始めた。
「確かにサナの説明した作戦は悪くない。お前ができるようになったこと、そして今の戦力を加味すれば悪くない案だといえる」
その言葉にサナの表情がはっとする。しかし──。
「だが、できるのか、サナ──。これは、お前にも多大な負担がいく。その負担に、耐えられるのか?」
ユピテルが真剣な表情でサナに詰め寄った。サナの提案は、俺たち全員がチームで戦うということ。
それは、誰か一人でも今くいかなかったら失敗するということだ。
もちろんトラウマによって恐怖に怯えていたサナもということ。
「あんな強敵相手に作戦が失敗するということ。それは、俺たちが全滅しかねないということだぞ」
もちろんそれもあり得る。
希望を追って無茶な作戦を行う。それは、確かにカッコイイかもしれないが、失敗すれば限られた戦力を無駄に浪費することにもつながる。
サナの表情に迷いはない。
サナは自信たっぷりの表情で答える。
「私一人では、出来ない」
予想だにしなかった答えに、ユピテルの表情が固まる。そしてサナが、続けてもう一言。
「けど、私達だったらできる!」
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