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最終章
第82話 これから、そして最後の戦いへ
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カグヤとの準決勝に勝利した俺。若干ふらつきながら控室へ。
勝ったものの今回も激戦だったな。ギリギリの戦いで体力も限界だ。
汗かいちゃったし、更衣室に着いたらシャワーでも浴びようか。
そして俺は控室に行く。そこにはタオルを身にまとい、ベンチに座っているユピテルの姿があった。
シャワーを浴びた後がからか、白い肌に水滴がついている。筋肉質ながらも滑らかな肌がとても色っぽく感じる。
何かを考えこんでいるのだろうか、精神統一でもしているのだろうか。
腕を組み、目をつぶってじっとしている。
サナはいないし、カグヤはシャワーを浴びている。
ただ待ってるだけってのも時間がもったいない。
以前からユピテルには気になっていたことがある。ちょうどいい機会だし聞いてみよう。
「ユピテル、聞きたいことがあるんだけれどいいかな?」
「なんだ。決勝に関することか?」
ユピテルは毅然と言葉を返す。
「そうじゃない。ユピテルの昔に関することだ」
その言葉にユピテルは表情をはっとさせた。
「以前サナから聞いたんだ。どうして街を見捨てるなんてことをしたのか。昔、何があったのか、サナもよく教えてくれないし、出来ればでいいから教えてほしいんだ」
今の表情からして何か深い事情があるのだろう。
ユピテルは少しの間考えこんだ後、そっと口を開き始める。
「まだ俺が幼いころ。俺は同じ地域の奴から暴力を受けたことがあった。生意気な口をきいていたことが理由だったな」
確か、生まれた場所のサテライトって治安が悪い貧困層が住む場所だったな。
ということは大金が欲しいから街を飛び出したという事なのだろうか。
「そんな時、助けてくれた人物がいた。サングラスをつけていて顔はよくわからなかったが、背が高い若い男の人だっていうのは理解できた。話を聞くと誰からも見捨てられたエリアを解放しようと活動をしていた人物だ」
そんな人がいたのか。けれどサナはその人物のことは話さなかったな。
「それで、どうなったの?」
「俺は少しの間一緒になって行動した。貧しい人たちを助けたり、悪いことをしている人がいないか街を歩いたり」
そしてユピテルの表情がすこしだけ暗くなる。この後に、良くないことが起こるのだとすぐに理解できた。
「しかしそれは長くは続かなかった。それを黙って見ていなかった警備の兵士たちから目をつけられた。それでも活動をその人物は続けていた。兵士たちは迫った、この街での活動をやめるか、牢獄に行くか──」
「それで、どうなったの?」
「その人物はどちらもとらなかった。時期に姿も見せなくなり、街のみんなは彼の話題をだれもしなくなった。俺は、周囲の人にここは危ないからこっちへ来なさいと言われ、その後は見ていない。
だからその人がどうなったかもわからない」
意外な過去だ。ユピテルにそんな過去があったなんて……。
「俺は、その人物を追っている。もう一度会いたいと思っている。それだけじゃない、強くなって、自分もそんな風になりたいって思った。それと、やっぱり強くならなければ誰も俺のことを聞いてくれない。だから、魔法少女になって、成り上がって強くなろうと考えた。それが俺がこの街を去った理由だ」
ユピテルの顔を見上げながらの一言。
真剣な眼差しをしている彼女を見て俺は隣に座り込み、ぎゅっと手を握った。
そして微笑を浮かべ一言。
「なれると思う。今のユピテルなら」
その言葉にユピテルはプイっとそっぽを向きながら答える。
「おだてても、何も出ないぞ!」
「おだててなんかないよ。だって、以前より大人になったっていうか、周囲に優しくなって、危害を加えなくなったよね」
お世辞なんかじゃない。最初にあった時は戦いに負けているレテフをいたぶったりひどいことをしていた。けれど、この大会になってからそういう事はしていない。
むしろ負けたはずの俺に味方してくれてさえいる。
「ほめても、何も出ないぞ。お前に出会って、もっと強くならなければならない。こんな子供じみたことをしているのが恥ずかしいと思った。ただそれだけだ」
顔を赤くして、どこか照れているのがわかる。
どこか、丸くなった彼女。もしかしたら、これが本当の彼女なのかもしれない。
俺は、信じる。ユピテルが悪い奴なんかじゃない。
これからも一緒に戦っていこう。
俺たちが激戦を繰り広げていたころ。
「とうとう私とモルトケだけになってしまいましたね」
「……そうだな」
場所は王都から少し離れた所にある遺跡。
以前俺がバタフというエルフと出会い、鉄束団のことを知った場所だ。
当初は7人いたはずの鉄束団。しかし俺たちは彼らとの戦いに勝利していき、気が付けばここにいる2人だけとなった。
1人はモルトケ。今まで鉄束団の参謀役として作戦の計画や裏工作を行ってきた人物。
もう一人は。
「どうする、われらのこの世界を征服するという野望、あきらめるか?」
「愚問。この程度、この世界に住んでいる魔法少女ならばこうなることも予想出来ているケオス」
ケオス=レオポルド。実質的なこの国のトップであるドラパ=レオポルドの弟だ。
長髪で長身、筋肉質の男。いかにも悪人という目つきをしている。
「ならば、どうするのか。おとなしく降伏するというのか?」
その言葉にモルトケは一度だけ言葉を詰まらせた後、言葉を返す。
「あり得ない。策はある。協力してほしい──、われらの野望のため」
彼らは、共通している。周囲から見捨てられ、居場所を失っている。
だから、居場所は作るしかないのだ。
「了解した。我は、最後まで戦うつもりだ。貴様と」
こうして俺たちと鉄束団は最後の戦いへと進んでいく。
果たして、勝敗はいかに──、俺達は勝てるのだろうか。
激戦の火ぶたが、切って落とされようとしていた。
勝ったものの今回も激戦だったな。ギリギリの戦いで体力も限界だ。
汗かいちゃったし、更衣室に着いたらシャワーでも浴びようか。
そして俺は控室に行く。そこにはタオルを身にまとい、ベンチに座っているユピテルの姿があった。
シャワーを浴びた後がからか、白い肌に水滴がついている。筋肉質ながらも滑らかな肌がとても色っぽく感じる。
何かを考えこんでいるのだろうか、精神統一でもしているのだろうか。
腕を組み、目をつぶってじっとしている。
サナはいないし、カグヤはシャワーを浴びている。
ただ待ってるだけってのも時間がもったいない。
以前からユピテルには気になっていたことがある。ちょうどいい機会だし聞いてみよう。
「ユピテル、聞きたいことがあるんだけれどいいかな?」
「なんだ。決勝に関することか?」
ユピテルは毅然と言葉を返す。
「そうじゃない。ユピテルの昔に関することだ」
その言葉にユピテルは表情をはっとさせた。
「以前サナから聞いたんだ。どうして街を見捨てるなんてことをしたのか。昔、何があったのか、サナもよく教えてくれないし、出来ればでいいから教えてほしいんだ」
今の表情からして何か深い事情があるのだろう。
ユピテルは少しの間考えこんだ後、そっと口を開き始める。
「まだ俺が幼いころ。俺は同じ地域の奴から暴力を受けたことがあった。生意気な口をきいていたことが理由だったな」
確か、生まれた場所のサテライトって治安が悪い貧困層が住む場所だったな。
ということは大金が欲しいから街を飛び出したという事なのだろうか。
「そんな時、助けてくれた人物がいた。サングラスをつけていて顔はよくわからなかったが、背が高い若い男の人だっていうのは理解できた。話を聞くと誰からも見捨てられたエリアを解放しようと活動をしていた人物だ」
そんな人がいたのか。けれどサナはその人物のことは話さなかったな。
「それで、どうなったの?」
「俺は少しの間一緒になって行動した。貧しい人たちを助けたり、悪いことをしている人がいないか街を歩いたり」
そしてユピテルの表情がすこしだけ暗くなる。この後に、良くないことが起こるのだとすぐに理解できた。
「しかしそれは長くは続かなかった。それを黙って見ていなかった警備の兵士たちから目をつけられた。それでも活動をその人物は続けていた。兵士たちは迫った、この街での活動をやめるか、牢獄に行くか──」
「それで、どうなったの?」
「その人物はどちらもとらなかった。時期に姿も見せなくなり、街のみんなは彼の話題をだれもしなくなった。俺は、周囲の人にここは危ないからこっちへ来なさいと言われ、その後は見ていない。
だからその人がどうなったかもわからない」
意外な過去だ。ユピテルにそんな過去があったなんて……。
「俺は、その人物を追っている。もう一度会いたいと思っている。それだけじゃない、強くなって、自分もそんな風になりたいって思った。それと、やっぱり強くならなければ誰も俺のことを聞いてくれない。だから、魔法少女になって、成り上がって強くなろうと考えた。それが俺がこの街を去った理由だ」
ユピテルの顔を見上げながらの一言。
真剣な眼差しをしている彼女を見て俺は隣に座り込み、ぎゅっと手を握った。
そして微笑を浮かべ一言。
「なれると思う。今のユピテルなら」
その言葉にユピテルはプイっとそっぽを向きながら答える。
「おだてても、何も出ないぞ!」
「おだててなんかないよ。だって、以前より大人になったっていうか、周囲に優しくなって、危害を加えなくなったよね」
お世辞なんかじゃない。最初にあった時は戦いに負けているレテフをいたぶったりひどいことをしていた。けれど、この大会になってからそういう事はしていない。
むしろ負けたはずの俺に味方してくれてさえいる。
「ほめても、何も出ないぞ。お前に出会って、もっと強くならなければならない。こんな子供じみたことをしているのが恥ずかしいと思った。ただそれだけだ」
顔を赤くして、どこか照れているのがわかる。
どこか、丸くなった彼女。もしかしたら、これが本当の彼女なのかもしれない。
俺は、信じる。ユピテルが悪い奴なんかじゃない。
これからも一緒に戦っていこう。
俺たちが激戦を繰り広げていたころ。
「とうとう私とモルトケだけになってしまいましたね」
「……そうだな」
場所は王都から少し離れた所にある遺跡。
以前俺がバタフというエルフと出会い、鉄束団のことを知った場所だ。
当初は7人いたはずの鉄束団。しかし俺たちは彼らとの戦いに勝利していき、気が付けばここにいる2人だけとなった。
1人はモルトケ。今まで鉄束団の参謀役として作戦の計画や裏工作を行ってきた人物。
もう一人は。
「どうする、われらのこの世界を征服するという野望、あきらめるか?」
「愚問。この程度、この世界に住んでいる魔法少女ならばこうなることも予想出来ているケオス」
ケオス=レオポルド。実質的なこの国のトップであるドラパ=レオポルドの弟だ。
長髪で長身、筋肉質の男。いかにも悪人という目つきをしている。
「ならば、どうするのか。おとなしく降伏するというのか?」
その言葉にモルトケは一度だけ言葉を詰まらせた後、言葉を返す。
「あり得ない。策はある。協力してほしい──、われらの野望のため」
彼らは、共通している。周囲から見捨てられ、居場所を失っている。
だから、居場所は作るしかないのだ。
「了解した。我は、最後まで戦うつもりだ。貴様と」
こうして俺たちと鉄束団は最後の戦いへと進んでいく。
果たして、勝敗はいかに──、俺達は勝てるのだろうか。
激戦の火ぶたが、切って落とされようとしていた。
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