73 / 122
第2章
第73話 ようやくの勝利
しおりを挟む
「けど、止めない!」
銃弾が俺に直撃。体が宙を舞う。正直きつい。もう一発食らったら終わりだと思う。
けれど、それに似合うだけのリターンはもらった。
その瞬間、俺の体と剣が今までないくらい強く光始めた。
これで俺の攻撃の威力は2倍。これなら有利に戦える!
そう思うだけで、力が湧いてくる。俺は両足に力を入れ、ゆっくりと立ち上がった。
立ち上がる姿を見たミュクシーが驚愕し、一歩後ずさりをする。
「お前、どうして立ち上がれる」
「応用して、いたんだ。魔力を、ダメージ軽減に。お前の攻撃を耐えられるように調整してね」
俺は攻撃を受ける直前、身体を纏う魔力を強化したのだ。それも、あの攻撃を見極めて、ミュクシーの攻撃を食らっても勝負が決まらないくらいの魔力を。
もっとも口で言うほど簡単なことじゃない。少しでも観測を誤ればそのまま致命傷を食らい、回しすぎれば、攻撃の上昇幅が小さくなってしまい、攻撃の通りが悪くなってしまう。
今までの勘と、魔力を目視で計測する戦術眼がなければできない芸当だ。
そして俺は再び立ち上がり、剣をミュクシーに向けた。
「これで、威力はほぼ2倍だ!」
「ふん。器用なことをするねぇ~~」
確かに手痛いダメージだった。けれど、これで魔力は倍になった。
そして俺は一気に立ち上がり、ミュクシーとの距離を詰める。
彼女が威嚇で銃弾を撃ってくるが気にしない。
至近距離の乱打戦。俺は再び攻勢に出る。さっきより倍以上の威力。たとえミュクシーといえども簡単には受けきれない。
「ケッ、狂人が──」
攻撃に出る。彼女が相手ということもあり、前に出すぎないように慎重にではあるが。
徐々に押し始める俺。ミュクシーの表情から、余裕がなくなっていっているのがわかる。
攻撃を受けるのに、精一杯という感じだ。
攻撃を連打しながら、感じ始める。
ミュクシー、確かにお前は強い。
けれど、俺にはあって、貴様にないものだってある。
お前と違って、絶対に負けられない理由がある。
その差を、全力で味わってもらう。
「これで、勝負を決める!」
俺はガードのことなど考えずに全力の攻撃を彼女に叩き込む。
ミュクシーも、似たようなことを考えているのだろう。今までないくらい強力な魔力を纏い、俺に向かってきている。
そして、両者は急接近した後、その武器を一気に相手に振り下ろす。
ズバァァァァァァァァァァァァァァ──!
「ぐああああああああああああああ!」
「グハァァッ──」
俺とミュクシーは相手に攻撃を与えたと同時に攻撃を受ける。
互いに相手からの必殺技を食らう形となり、後方に吹き飛ばされた。
そのまま両方とも闘技場の壁にたたきつけられ、地面に力なく落ちる。
俺は、大ダメージを受け魔力が消滅。正直生きていただけ、ありがたい。そしてミュクシーがどうなったか気になり、視線を前方へ向けた。
ミュクシーも、魔力が尽きたようだ。これで決着はついた。
そう考えたとき──。
ズルズル……。タッ!
マジかよ……。ミュクシーはボロボロになりながらもゆっくりと立ち上がり始める。
そして1歩1歩俺に近づいてきた。
多少時間がかかったが俺の足元へ。
腕をポキポキと鳴らし、叫びだす。
「さすがだよアグナム。だが、私にも意地ってもんがある。一発、殴らせてもらおうか」
マジかよ。執念深いやつだな。
そしてミュクシーが殴りかかろうとしたが──。
スッ。
「お前たち。倒しちまったんかい……」
俺とミュクシーの間に現れたのはサナとレテフ。2人が俺の前に立ちはだかる。
「私のアグナムに、指一本触れさせないわ!」
「うん。観念して、捕まりなさい!」
2人は、ボロボロになりながらもまだ魔法少女として戦える状況。
すでに戦えない。ボロボロになっているミュクシーでは、2人に勝つのは無理だろう。勝負はあった。
ミュクシーが俺に話しかけてくる。
「なぜガードしなかったお前!」
「なぜって? する必要がないからだよ。お前を倒せばそれでいい。」
今回はエンペラーカップのような1対1の大会とは違う。別に俺が無理して勝利する必要がない。
貴様さえ止めれば、それでいい。俺が無視して勝つ必要はない。
けれど、お前は違う一人で乗り込んだせいで。俺に勝利しなければいけない。
「お前の負けだ。ミュクシー、おとなしく捕まってくれ」
ミュクシーは倒れこんだまま微笑を浮かべる。
「ああ、今回は私の負けだ。認めてやるよ」
そして兵士たちが出て来た。まあ、幻虚獣を繰り出してきたのだから当然だ。ミュクシーを縄で縛り上げ、闘技場の外へ。
その姿を見ながら、俺はつぶやいた。
「本当に強かった。ギリギリの戦いだった」
恐らく次やっても勝てるかわからない。とても強い相手。
それでも、勝つことができた。
その事実にサナとレテフが喜んで俺に抱き着いてきた。
「アグナム。おめでとう。すごいわ」
「まあ、運が良かったからね──」
俺は考えた。ミュクシーとは、敵味方抜きにしてまた会いたい。いろいろ話したり、戦ったりしてみたい。
だから、また会おう!
そして、俺はこの場所を去っていった。
銃弾が俺に直撃。体が宙を舞う。正直きつい。もう一発食らったら終わりだと思う。
けれど、それに似合うだけのリターンはもらった。
その瞬間、俺の体と剣が今までないくらい強く光始めた。
これで俺の攻撃の威力は2倍。これなら有利に戦える!
そう思うだけで、力が湧いてくる。俺は両足に力を入れ、ゆっくりと立ち上がった。
立ち上がる姿を見たミュクシーが驚愕し、一歩後ずさりをする。
「お前、どうして立ち上がれる」
「応用して、いたんだ。魔力を、ダメージ軽減に。お前の攻撃を耐えられるように調整してね」
俺は攻撃を受ける直前、身体を纏う魔力を強化したのだ。それも、あの攻撃を見極めて、ミュクシーの攻撃を食らっても勝負が決まらないくらいの魔力を。
もっとも口で言うほど簡単なことじゃない。少しでも観測を誤ればそのまま致命傷を食らい、回しすぎれば、攻撃の上昇幅が小さくなってしまい、攻撃の通りが悪くなってしまう。
今までの勘と、魔力を目視で計測する戦術眼がなければできない芸当だ。
そして俺は再び立ち上がり、剣をミュクシーに向けた。
「これで、威力はほぼ2倍だ!」
「ふん。器用なことをするねぇ~~」
確かに手痛いダメージだった。けれど、これで魔力は倍になった。
そして俺は一気に立ち上がり、ミュクシーとの距離を詰める。
彼女が威嚇で銃弾を撃ってくるが気にしない。
至近距離の乱打戦。俺は再び攻勢に出る。さっきより倍以上の威力。たとえミュクシーといえども簡単には受けきれない。
「ケッ、狂人が──」
攻撃に出る。彼女が相手ということもあり、前に出すぎないように慎重にではあるが。
徐々に押し始める俺。ミュクシーの表情から、余裕がなくなっていっているのがわかる。
攻撃を受けるのに、精一杯という感じだ。
攻撃を連打しながら、感じ始める。
ミュクシー、確かにお前は強い。
けれど、俺にはあって、貴様にないものだってある。
お前と違って、絶対に負けられない理由がある。
その差を、全力で味わってもらう。
「これで、勝負を決める!」
俺はガードのことなど考えずに全力の攻撃を彼女に叩き込む。
ミュクシーも、似たようなことを考えているのだろう。今までないくらい強力な魔力を纏い、俺に向かってきている。
そして、両者は急接近した後、その武器を一気に相手に振り下ろす。
ズバァァァァァァァァァァァァァァ──!
「ぐああああああああああああああ!」
「グハァァッ──」
俺とミュクシーは相手に攻撃を与えたと同時に攻撃を受ける。
互いに相手からの必殺技を食らう形となり、後方に吹き飛ばされた。
そのまま両方とも闘技場の壁にたたきつけられ、地面に力なく落ちる。
俺は、大ダメージを受け魔力が消滅。正直生きていただけ、ありがたい。そしてミュクシーがどうなったか気になり、視線を前方へ向けた。
ミュクシーも、魔力が尽きたようだ。これで決着はついた。
そう考えたとき──。
ズルズル……。タッ!
マジかよ……。ミュクシーはボロボロになりながらもゆっくりと立ち上がり始める。
そして1歩1歩俺に近づいてきた。
多少時間がかかったが俺の足元へ。
腕をポキポキと鳴らし、叫びだす。
「さすがだよアグナム。だが、私にも意地ってもんがある。一発、殴らせてもらおうか」
マジかよ。執念深いやつだな。
そしてミュクシーが殴りかかろうとしたが──。
スッ。
「お前たち。倒しちまったんかい……」
俺とミュクシーの間に現れたのはサナとレテフ。2人が俺の前に立ちはだかる。
「私のアグナムに、指一本触れさせないわ!」
「うん。観念して、捕まりなさい!」
2人は、ボロボロになりながらもまだ魔法少女として戦える状況。
すでに戦えない。ボロボロになっているミュクシーでは、2人に勝つのは無理だろう。勝負はあった。
ミュクシーが俺に話しかけてくる。
「なぜガードしなかったお前!」
「なぜって? する必要がないからだよ。お前を倒せばそれでいい。」
今回はエンペラーカップのような1対1の大会とは違う。別に俺が無理して勝利する必要がない。
貴様さえ止めれば、それでいい。俺が無視して勝つ必要はない。
けれど、お前は違う一人で乗り込んだせいで。俺に勝利しなければいけない。
「お前の負けだ。ミュクシー、おとなしく捕まってくれ」
ミュクシーは倒れこんだまま微笑を浮かべる。
「ああ、今回は私の負けだ。認めてやるよ」
そして兵士たちが出て来た。まあ、幻虚獣を繰り出してきたのだから当然だ。ミュクシーを縄で縛り上げ、闘技場の外へ。
その姿を見ながら、俺はつぶやいた。
「本当に強かった。ギリギリの戦いだった」
恐らく次やっても勝てるかわからない。とても強い相手。
それでも、勝つことができた。
その事実にサナとレテフが喜んで俺に抱き着いてきた。
「アグナム。おめでとう。すごいわ」
「まあ、運が良かったからね──」
俺は考えた。ミュクシーとは、敵味方抜きにしてまた会いたい。いろいろ話したり、戦ったりしてみたい。
だから、また会おう!
そして、俺はこの場所を去っていった。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる