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第2章
第72話 こんな戦い方では、ダメだ!
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「そうだい。私だって、あんたと分かり合えるなんて、これぽっちも思っていないよ。私が憎いというのなら、全力で倒しに来な!」
わかったよ。そこまで言うなら、行くしかない。
はっきり言って彼女相手に攻勢に出るのは危険だ。どんな罠が待っているかわかったもんじゃない。
それでも、戦わなきゃ守れないものだってある。今も、サナとレテフは街のため、友のために必死になって戦っているだろう。
なのに、俺だけが逃げ続けるわけにはいかない。
スッ──!
俺は一気にミュクシーに接近。ミュクシーは俺に目掛けて銃弾を数発発射していくが、俺は剣を一振りしてその攻撃を叩き落とす。
そして一気に彼女の眼前まで急接近。一気に攻撃を仕掛けた。
ミュクシーはマスケット銃を剣のように扱い、俺の攻撃に対応する。
俺が攻撃を続け、攻勢に出る形になる。このまま押し切る。
そう思いミュクシーに向かって踏み込もうとした瞬間。にやりと彼女がほくそ笑む。
その瞬間俺は彼女の戦い方を思い出し、背筋が凍り付く。
スパッ──。
何と彼女は俺が前のめりになった瞬間に心臓を目掛けて鋭く銃を突きつけ弾丸を発射したのだ。
俺は背筋が凍り付いた瞬間にとっさに身をよじり攻撃をかすっただけで済んだ。
危ない、もしこのまま攻撃に出ていたら致命傷を食らう所だった。
俺は剣をミュクシーに向けながらいったん距離を取った。
「今のは行けると思ったんだけど、よくかわしたねぇ……」
「とっさに背筋が凍り付いて思い出した。お前はこうしていけると思わせて、その瞬間を狩ろとるのが得意だって」
そう、こいつが得意としているプレイスタイルがこれだ。
俺も戦ってきて分かったのだが、自分が強くなれば強くなるほど相手は自分に向かって攻撃を仕掛けてこなくなり、守りに入ってカウンター狙いが多くなってくる。
中には攻撃を放棄してしまうやつらだっている。それをどう対処するかが俺たちトップランクの腕の見せ所だった。
こいつは、そんな奴らにわざと隙を作り責めさせるのがうまいんだった。そして行けると思わせて一瞬のスキをついて相手を刈り取るのが得意中の得意なんだ。
それだけじゃない。相手がいつ、どうやって責めるか、それを感じ取るのがとても上手だった。
周囲からは心を読んでいるんじゃないかってくらいの最強クラスのプレイングが恐れられていたんだっけ。
「怖じ気図いたのかい。大したことないねぇ~~」
ニヤリと笑みを浮かべながらそう言うと、今度はミュクシーが俺との距離を詰め、接近戦を挑んできた。
俺はその攻撃を少しずつ後退しながら防いでいく。
しかし、いつさっきカウンターを食らいかけたことが心に残ってしまい、攻撃に出ることができない。
「どうしたんだい? さっきまでの威勢はどうしちまったのさ」
そんな俺をあざ笑うかのようにミュクシーは目にもとまらぬ速さで連続攻撃に出る。
そして──。
バァァァァン!
俺が攻撃を受けた直後に無理やり銃の方向を変えて俺の方向に発砲。右肩当たりに被弾しダメージを受けてしまう。
ウォォォォォォォォォォォォォォォ──。
ようやくの有効打に観客席から大歓声が出る。
「すげぇよあの金髪の魔法少女。あのアグナム相手に押しているぞ!」
「うん。アグナムちゃん、負けちゃうんじゃないの?」
さすがに心配の声が上がっている。確かに今の一撃は聞いた。
というか、目覚めた……。
俺はゆっくりと立ち上がりながら彼女に一言。
「ありがとうミュクシー」
「なんだい。自分の弱さを自覚したのかい?」
「違う。なんとなくわかった。こんな戦い方じゃダメだって」
確かに、彼女はとても強い。
現実世界で、誰からも愛情をもらえなくて、ゲーム世界の中だけが彼女の居場所だった。
唯一の居場所で、自分の存在をかけて戦っている彼女はすごい。
俺も、以前はそうだった。あの場所でしか居場所がなくて、その世界で勝つことだけを考えて戦っていた。
だから、ゲームの中で勝つためにはいかに自分がリスクを負わず、リターンだけを得られるように立ちまわっていた。
時には裏切り、仲間を蹴落とすことも、助けを放棄することもあった。
認められたいという自分の認証要求を満たすためだけに戦っていた。
けれど、俺は、あの時とは違う。
でも、大切な友だってできた。守りたいだけの理由だってある。
今は、どれだけ自分が傷ついても、目の前の敵に立ち向かいたい。そんな覚悟ができていた。
どんなことがあっても、ミュクシーを倒す。そんな鋼鉄のように強い覚悟が。
だったら、俺がやるべきことは一つしかない。
「精神集中──」
そう、俺の魔力を大幅に上げる術式。精神を落ち着けさせ、心をリラックスし、全身に魔力を感じ始める。
もっとも、ミュクシーは当然そんなこと認めるわけがない。激高して、叫ぶ。
「そんな術式を積むスキなんて、与えるかい!」
俺が精神を統一し、心を落ち着けさせると、ミュクシーはマスケット銃から魔力をともった弾丸を数は作り出す。
強力な魔力をもっていて、並の魔法少女であればそれだけで勝負が決まってしまうくらい強力な一撃だ。
無防備状態の俺が浴びれば致命傷になるだろう。これでミュクシーは俺が術式を積むのをやめると思っているんだろう。
「けど、止めない!」
わかったよ。そこまで言うなら、行くしかない。
はっきり言って彼女相手に攻勢に出るのは危険だ。どんな罠が待っているかわかったもんじゃない。
それでも、戦わなきゃ守れないものだってある。今も、サナとレテフは街のため、友のために必死になって戦っているだろう。
なのに、俺だけが逃げ続けるわけにはいかない。
スッ──!
俺は一気にミュクシーに接近。ミュクシーは俺に目掛けて銃弾を数発発射していくが、俺は剣を一振りしてその攻撃を叩き落とす。
そして一気に彼女の眼前まで急接近。一気に攻撃を仕掛けた。
ミュクシーはマスケット銃を剣のように扱い、俺の攻撃に対応する。
俺が攻撃を続け、攻勢に出る形になる。このまま押し切る。
そう思いミュクシーに向かって踏み込もうとした瞬間。にやりと彼女がほくそ笑む。
その瞬間俺は彼女の戦い方を思い出し、背筋が凍り付く。
スパッ──。
何と彼女は俺が前のめりになった瞬間に心臓を目掛けて鋭く銃を突きつけ弾丸を発射したのだ。
俺は背筋が凍り付いた瞬間にとっさに身をよじり攻撃をかすっただけで済んだ。
危ない、もしこのまま攻撃に出ていたら致命傷を食らう所だった。
俺は剣をミュクシーに向けながらいったん距離を取った。
「今のは行けると思ったんだけど、よくかわしたねぇ……」
「とっさに背筋が凍り付いて思い出した。お前はこうしていけると思わせて、その瞬間を狩ろとるのが得意だって」
そう、こいつが得意としているプレイスタイルがこれだ。
俺も戦ってきて分かったのだが、自分が強くなれば強くなるほど相手は自分に向かって攻撃を仕掛けてこなくなり、守りに入ってカウンター狙いが多くなってくる。
中には攻撃を放棄してしまうやつらだっている。それをどう対処するかが俺たちトップランクの腕の見せ所だった。
こいつは、そんな奴らにわざと隙を作り責めさせるのがうまいんだった。そして行けると思わせて一瞬のスキをついて相手を刈り取るのが得意中の得意なんだ。
それだけじゃない。相手がいつ、どうやって責めるか、それを感じ取るのがとても上手だった。
周囲からは心を読んでいるんじゃないかってくらいの最強クラスのプレイングが恐れられていたんだっけ。
「怖じ気図いたのかい。大したことないねぇ~~」
ニヤリと笑みを浮かべながらそう言うと、今度はミュクシーが俺との距離を詰め、接近戦を挑んできた。
俺はその攻撃を少しずつ後退しながら防いでいく。
しかし、いつさっきカウンターを食らいかけたことが心に残ってしまい、攻撃に出ることができない。
「どうしたんだい? さっきまでの威勢はどうしちまったのさ」
そんな俺をあざ笑うかのようにミュクシーは目にもとまらぬ速さで連続攻撃に出る。
そして──。
バァァァァン!
俺が攻撃を受けた直後に無理やり銃の方向を変えて俺の方向に発砲。右肩当たりに被弾しダメージを受けてしまう。
ウォォォォォォォォォォォォォォォ──。
ようやくの有効打に観客席から大歓声が出る。
「すげぇよあの金髪の魔法少女。あのアグナム相手に押しているぞ!」
「うん。アグナムちゃん、負けちゃうんじゃないの?」
さすがに心配の声が上がっている。確かに今の一撃は聞いた。
というか、目覚めた……。
俺はゆっくりと立ち上がりながら彼女に一言。
「ありがとうミュクシー」
「なんだい。自分の弱さを自覚したのかい?」
「違う。なんとなくわかった。こんな戦い方じゃダメだって」
確かに、彼女はとても強い。
現実世界で、誰からも愛情をもらえなくて、ゲーム世界の中だけが彼女の居場所だった。
唯一の居場所で、自分の存在をかけて戦っている彼女はすごい。
俺も、以前はそうだった。あの場所でしか居場所がなくて、その世界で勝つことだけを考えて戦っていた。
だから、ゲームの中で勝つためにはいかに自分がリスクを負わず、リターンだけを得られるように立ちまわっていた。
時には裏切り、仲間を蹴落とすことも、助けを放棄することもあった。
認められたいという自分の認証要求を満たすためだけに戦っていた。
けれど、俺は、あの時とは違う。
でも、大切な友だってできた。守りたいだけの理由だってある。
今は、どれだけ自分が傷ついても、目の前の敵に立ち向かいたい。そんな覚悟ができていた。
どんなことがあっても、ミュクシーを倒す。そんな鋼鉄のように強い覚悟が。
だったら、俺がやるべきことは一つしかない。
「精神集中──」
そう、俺の魔力を大幅に上げる術式。精神を落ち着けさせ、心をリラックスし、全身に魔力を感じ始める。
もっとも、ミュクシーは当然そんなこと認めるわけがない。激高して、叫ぶ。
「そんな術式を積むスキなんて、与えるかい!」
俺が精神を統一し、心を落ち着けさせると、ミュクシーはマスケット銃から魔力をともった弾丸を数は作り出す。
強力な魔力をもっていて、並の魔法少女であればそれだけで勝負が決まってしまうくらい強力な一撃だ。
無防備状態の俺が浴びれば致命傷になるだろう。これでミュクシーは俺が術式を積むのをやめると思っているんだろう。
「けど、止めない!」
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