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第2章
第67話 リヒレ、絶対取り戻すから
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俺のことを想ってくれているのはうれしいけど。本当に大丈夫だよ。安心して。
そんなことを話しているうちに、俺たちはリヒレの家へとたどり着く。
「リヒレ、戻ってきたよ」
彼女の店に入ると、食器を洗っているリヒレがそこにいた。俺たちのことを見るなり、表情がはあっと明るくなる。
よほど一緒が良かったんだな。
「ただいま。ごめんね、一緒に行けなくて。お詫びにパフェ、買って来たわ一緒に食べましょう」
「レテフ。あっ、だ、だ、大丈夫よ。しょうがないもんね。私が足を引っ張るわけにはいかないもん」
明らかに苦笑いをしている。いつか彼女に何かしてあげたいな……。
「とりあえず、座って。今開いているから、一緒にコーヒー飲もう」
そしてリヒレのパフェを渡されたさらに置いたその時。
ちょうど彼女がキッチンへ向かった時だった。
バタリ──。
リヒレが、糸がぷつりと切れたように意識を失い、倒れこむ。隣にいた俺はすぐに彼女の体を掴み、起き上がらせる。
「リヒレ、リヒレ、どうしたの。大丈夫?」
俺はリヒレを隣に抱きかかえながら声をかける。しかし彼女は目を閉じたまま動かない。
「こ、これ……」
レテフがリヒレのポケットに手を入れる。
すると、存在していた。
ポケットのそれがあることを信じたくないと思っているようなくらい表情。
「これ、タロットだよね──」
サナの言葉。信じたくなかった。彼女がタロットを手に入れてしまっているという事実。
しかし、受け入れる以外になかった。
「そうだね。タロットだね──」
目の前の現実に、かける言葉が見つからない。
「とりあえず、病院まで運ぼう」
俺はリヒレをおぶって2人と一緒に病院へ。
「そうですか。とりあえず、息はあります。しかし、意識が戻ることはまだないでしょう──」
受付に行って状況を説明する。受付のお姉さんの残念そうな表情。
今まで倒れた人を見ているからわかるのだろう。
その後、病院の人にリヒレを引き渡し、彼女が意識を失っているベッドの隣で座り込む。
「まさか、リヒレちゃんがあのタロットを使うなんて──」
「そうね。私も予想外だったわ──」
2人とも、うつむきながら話していて、とても落ち込んでいるのがわかる。
「そうだね。多分気にしていたんだよ。リヒレ、俺たちが魔法を使えるのに、彼女だけ魔法少女になれないだろ。それがコンプレックスだったんだと思う。魔法少女になりたいのに、自分だけなれない。鉄則団はそれを利用したんだ。絶対許せない!」
俺はそう言って拳を強く握った。それでも、どうして──という想いが出てしまう。
すると、隣にいたレテフがそっと俺の肩に手をかける。
「確かにそれもある。でも、違うと思う」
「どういうこと?」
「多分、あのセリフだと思う。この前、5人組に襲われた時、アグナムはリヒレにここにいてて、あとは俺たちに任せてって言ったでしょ」
ああ、魔力を無効化されて貞操が危うかった時か。
「申し訳ないけど、リヒレはここで待機してくれないかな。敵が何を仕掛けてくるかわからないし。そっちの方が安全だと思う」
「そ、そうだよね。わたし、足手まといだよね。ごめんね……」
あの時、リヒレは確かに肩をがっくりと落としていた。
俺はリヒレを危険な目に合わせたくないという意味で言ったのだが……。
「あれ、アグナムちゃんは、魔法を使えない彼女が傷ついたりするのを防ぐために言ったのはわかってる。けど、彼女からすると自分が足手まとい、なにもしなくていいそんな風に聞こえてしまう」
サナの言葉が、ナイフの様に心に突き刺さる。
「あなたにはそんな気持ちもなくても、リヒレにはそう聞こえてしまうわ。ほら、彼女魔法少女にあこがれていたでしょう」
確かに、この前も魔法少女になりたいって叫んで俺の服を借りたりしていた。
「リヒレがあなたの魔法少女の服を借りたのも、ただかわいいからじゃなくて、魔法少女になって人々のために戦いたいっていう気持ちが現れたんだと思う。リヒレ、いつも魔法少女の事、楽しそうに話してたの、よく覚えているわ」
レテフは俺よりずっと前から、彼女と一緒にいた。だから彼女のことをよく知っているのだろう。
考えてみれば、こんな経験自体初めて見たいなものだ。親友の事を考えたりした事なんて全くなかった。
というかまともに友達なんていなかった。
俺は、強くなってもそういう所はまだ未熟だ。もっと、周囲のことを理解しなくちゃ。
彼女だって、役に立ちたい。守られてばかりじゃ嫌だったということだ。守りたい、役に立ちたいということも理解しなくちゃいけないということだ。
「ありがとう、レテフ。俺、もっと周囲のこと考えなきゃいけないって思った。思ったんだぇど、ミュクシーの所に行くとき、リヒレ、残念そうな表情してた。その理由、今ならわかる。俺たちと、一緒にいたかったんだ。そばにいてほしかったんだと思う」
リヒレは、分別のある子だ。その彼女なら、自分が敵地に行けば危ない目に合うのは理解できるだろう。それでも、何か役に立ちたかったんだ。
そんな強い想い、俺は、気づけなかった。
「それは、私もよ。確かに起こってしまった事実は変えられない。だから、できることは一つしかないわ。絶対にリヒレを取り戻すわよ!」
「私だって、リヒレちゃんのこと、わかってあげなかった。だから、絶対助けたい!」
「俺も。力を合わせて、頑張ろう!」
そんなことを話しているうちに、俺たちはリヒレの家へとたどり着く。
「リヒレ、戻ってきたよ」
彼女の店に入ると、食器を洗っているリヒレがそこにいた。俺たちのことを見るなり、表情がはあっと明るくなる。
よほど一緒が良かったんだな。
「ただいま。ごめんね、一緒に行けなくて。お詫びにパフェ、買って来たわ一緒に食べましょう」
「レテフ。あっ、だ、だ、大丈夫よ。しょうがないもんね。私が足を引っ張るわけにはいかないもん」
明らかに苦笑いをしている。いつか彼女に何かしてあげたいな……。
「とりあえず、座って。今開いているから、一緒にコーヒー飲もう」
そしてリヒレのパフェを渡されたさらに置いたその時。
ちょうど彼女がキッチンへ向かった時だった。
バタリ──。
リヒレが、糸がぷつりと切れたように意識を失い、倒れこむ。隣にいた俺はすぐに彼女の体を掴み、起き上がらせる。
「リヒレ、リヒレ、どうしたの。大丈夫?」
俺はリヒレを隣に抱きかかえながら声をかける。しかし彼女は目を閉じたまま動かない。
「こ、これ……」
レテフがリヒレのポケットに手を入れる。
すると、存在していた。
ポケットのそれがあることを信じたくないと思っているようなくらい表情。
「これ、タロットだよね──」
サナの言葉。信じたくなかった。彼女がタロットを手に入れてしまっているという事実。
しかし、受け入れる以外になかった。
「そうだね。タロットだね──」
目の前の現実に、かける言葉が見つからない。
「とりあえず、病院まで運ぼう」
俺はリヒレをおぶって2人と一緒に病院へ。
「そうですか。とりあえず、息はあります。しかし、意識が戻ることはまだないでしょう──」
受付に行って状況を説明する。受付のお姉さんの残念そうな表情。
今まで倒れた人を見ているからわかるのだろう。
その後、病院の人にリヒレを引き渡し、彼女が意識を失っているベッドの隣で座り込む。
「まさか、リヒレちゃんがあのタロットを使うなんて──」
「そうね。私も予想外だったわ──」
2人とも、うつむきながら話していて、とても落ち込んでいるのがわかる。
「そうだね。多分気にしていたんだよ。リヒレ、俺たちが魔法を使えるのに、彼女だけ魔法少女になれないだろ。それがコンプレックスだったんだと思う。魔法少女になりたいのに、自分だけなれない。鉄則団はそれを利用したんだ。絶対許せない!」
俺はそう言って拳を強く握った。それでも、どうして──という想いが出てしまう。
すると、隣にいたレテフがそっと俺の肩に手をかける。
「確かにそれもある。でも、違うと思う」
「どういうこと?」
「多分、あのセリフだと思う。この前、5人組に襲われた時、アグナムはリヒレにここにいてて、あとは俺たちに任せてって言ったでしょ」
ああ、魔力を無効化されて貞操が危うかった時か。
「申し訳ないけど、リヒレはここで待機してくれないかな。敵が何を仕掛けてくるかわからないし。そっちの方が安全だと思う」
「そ、そうだよね。わたし、足手まといだよね。ごめんね……」
あの時、リヒレは確かに肩をがっくりと落としていた。
俺はリヒレを危険な目に合わせたくないという意味で言ったのだが……。
「あれ、アグナムちゃんは、魔法を使えない彼女が傷ついたりするのを防ぐために言ったのはわかってる。けど、彼女からすると自分が足手まとい、なにもしなくていいそんな風に聞こえてしまう」
サナの言葉が、ナイフの様に心に突き刺さる。
「あなたにはそんな気持ちもなくても、リヒレにはそう聞こえてしまうわ。ほら、彼女魔法少女にあこがれていたでしょう」
確かに、この前も魔法少女になりたいって叫んで俺の服を借りたりしていた。
「リヒレがあなたの魔法少女の服を借りたのも、ただかわいいからじゃなくて、魔法少女になって人々のために戦いたいっていう気持ちが現れたんだと思う。リヒレ、いつも魔法少女の事、楽しそうに話してたの、よく覚えているわ」
レテフは俺よりずっと前から、彼女と一緒にいた。だから彼女のことをよく知っているのだろう。
考えてみれば、こんな経験自体初めて見たいなものだ。親友の事を考えたりした事なんて全くなかった。
というかまともに友達なんていなかった。
俺は、強くなってもそういう所はまだ未熟だ。もっと、周囲のことを理解しなくちゃ。
彼女だって、役に立ちたい。守られてばかりじゃ嫌だったということだ。守りたい、役に立ちたいということも理解しなくちゃいけないということだ。
「ありがとう、レテフ。俺、もっと周囲のこと考えなきゃいけないって思った。思ったんだぇど、ミュクシーの所に行くとき、リヒレ、残念そうな表情してた。その理由、今ならわかる。俺たちと、一緒にいたかったんだ。そばにいてほしかったんだと思う」
リヒレは、分別のある子だ。その彼女なら、自分が敵地に行けば危ない目に合うのは理解できるだろう。それでも、何か役に立ちたかったんだ。
そんな強い想い、俺は、気づけなかった。
「それは、私もよ。確かに起こってしまった事実は変えられない。だから、できることは一つしかないわ。絶対にリヒレを取り戻すわよ!」
「私だって、リヒレちゃんのこと、わかってあげなかった。だから、絶対助けたい!」
「俺も。力を合わせて、頑張ろう!」
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