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第2章
第65話 わかった、戦えばいいんだろ
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あっという間の彼女は下着だけの姿になってしまう。一瞬目を伏せようと思ったが、とある事実に気付く。
「お前、その痣。どうしたんだ?」
背中に、無数のあざや傷があるのがわかる。
その姿に俺もサナ、レテフも言葉を失ってしまう。
「両親は、私のことにまるで無関心でね。機嫌が悪いことが起こるたびに、私をサンドバッグの様に扱っていたよ」
「虐待ってやつよね──」
「そーよー」
「そんな中で唯一私が安寧な居場所でいられたのが魔法少女ってことさ」
恐らくその場所は、俺の世界のゲーム「魔法少女大戦」のことだ。この世界に以前の世界のことを悟られないためにぼかして言っているのだろう。
なるほど、そこしか自分の居場所がなかった。だから何十時間もゲームに没頭し、トップクラスの実力を持つようになったんだろう。
「虐待を受けていたということなの?」
「そうだよ、サナ。私にとっては魔法少女でいることが唯一の居場所だということだ。私は貴様たちとは違う。背負うものも、大切な友もいない。そんな世界で育ってきたんだ」
彼女はその時の体験を赤裸々に語る。
父親はアル中で毎日のように彼女に暴力をふるってきた。母親も、ギャンブル依存症で、自分に全く愛情を与えてくれなかった。
機嫌が悪い時のサンドバッグにされ、何度も泣いた。
そして、ある日魔法少女に目覚め、力を振り回すことへの気持ちよさ。周囲から羨望のまなざしを受けることへの快感から、この職業を続けるように至ったと。
「だから私には背負うものなんてない。周囲が傷つくとか、かわいそうだとかそんな感情なんてない。あるのは、利益への執着と、周囲が私に尊敬のまなざしを向けられることへの渇望。魔法少女は、そのための手段に過ぎないんだよ」
壮絶な育ちに、そこから来た彼女独特の価値観。俺も、サナもレテフも、あぜんとしていて言葉を失っている。
セルキールも、ソファーにちょこんと縮こまり、うつむいている。
「それで、お前の目的は何だ? 利益か。それとも強さか──」
するとミュクシーは紅茶がフッと笑みを浮かべて答える。
「さあねえ。名誉も、富も一通り築いちまった。もうそこまで欲なんてない。だから決めたのさ。私は私らしく生きる。やりたいようにやる。ただそれだけだ」
やりたいように、やる──か。
恐れくどれだけ説得しても留まることはないだろう。
こいつは、俺たちが持っているような周囲
「どうやら、どこかで戦う以外に解決法はないようだ」
「それで、話は終わりか。お前は俺たちに不幸自慢をしに呼んだのか?」
するとミュクシーがにやりと笑い、俺の方を向く。
「決戦をしたい。たくさんの観客を読んで、その前で俺とお前、どっちが戦って強いか、決めたい。私が勝って、それをみんなに見せてやるのさ」
そ、それだけか──。
別に悪くはない。俺たちが魔法少女。お前たちが鉄則団である限りどこかで戦わなくてはならない。
けど、以前ムエリットと戦った時の様に、街中で戦ったら絶対に被害が出てしまう。
しかし一対一で戦うというなら被害は出ない。
「──わかった。戦えばいいんだろ」
俺はその提案を了承。最後に、日付と場所の説明をして、この話は終了。
そして俺たちは帰ろうとする。
「すまんが、最後に、アグナムと2人だけで話がしたい。時間は掛けさせないから、ちょっと外にいててくれ」
「させないわ。どうせ、アグナムがあまりにもかわいいから、性欲を満たそうとしているんでしょ! 実はさっきの紅茶に睡眠薬が入っていて、私のアグナムが眠ったところで服を全部脱がして、あんなことやこんなことをして自身の欲望を満たそうとしたり、大人の階段を上らせようとしたりしているんでしょ! そんなこと、絶対にさせないわ。私がぐちゃぐちゃのひき肉のミンチ肉にしてやるわ!」
「だ、大丈夫だって、そんなことないから。俺は元気だよ。だからここはちょっと引いてて」
レテフが明らかに正気を失っている。お前じゃないんだから、そんなことしないよ。
俺が彼女の頭を優しくなでながら諭す。
するとレテフは、はぁっと大きく深呼吸をし、落ち着きを取り戻す。そしてうっとりとしながら俺の腕をぎゅっと腕全体で握る。
「わかったわ。じゃあ私たちは引くから、無事でいてね」
レテフが優しい笑みで言葉を返すと、この場を去っていく。続けてローチェとサナもこの場を去っていった。
女神セルキールは、無言でお盆に俺たちが使った高級そうな食器を置いて、奥の部屋へ。おそらく食器を洗いに行ったのだろう。
そして俺とミュクシーの2人っきりの空間となる。
当然下着姿のまま。張りのある胸と、しまった体系でとてもセクシーに見える。気を付けていないと思わず見とれてしまう。
互いに視線を合わせ、沈黙がこの空間が包む。まず、俺がいいずらそうに声を上げた。
「それで、俺に話したいことって何?」
するとミュクシーはフッと笑みを浮かべた後、言葉を返してくる。
「ローチェがお前に突っかかっていたよな。アグナムは男だって。それで、あんたはどう答えたんだい?」
「もちろん。違うって答えたよ。いくらあいつが証拠を見つけようと躍起になっても、証拠は見つけられなかった。当然だ。この通り、俺は男じゃないんだから──」
今はな……。
「お前、その痣。どうしたんだ?」
背中に、無数のあざや傷があるのがわかる。
その姿に俺もサナ、レテフも言葉を失ってしまう。
「両親は、私のことにまるで無関心でね。機嫌が悪いことが起こるたびに、私をサンドバッグの様に扱っていたよ」
「虐待ってやつよね──」
「そーよー」
「そんな中で唯一私が安寧な居場所でいられたのが魔法少女ってことさ」
恐らくその場所は、俺の世界のゲーム「魔法少女大戦」のことだ。この世界に以前の世界のことを悟られないためにぼかして言っているのだろう。
なるほど、そこしか自分の居場所がなかった。だから何十時間もゲームに没頭し、トップクラスの実力を持つようになったんだろう。
「虐待を受けていたということなの?」
「そうだよ、サナ。私にとっては魔法少女でいることが唯一の居場所だということだ。私は貴様たちとは違う。背負うものも、大切な友もいない。そんな世界で育ってきたんだ」
彼女はその時の体験を赤裸々に語る。
父親はアル中で毎日のように彼女に暴力をふるってきた。母親も、ギャンブル依存症で、自分に全く愛情を与えてくれなかった。
機嫌が悪い時のサンドバッグにされ、何度も泣いた。
そして、ある日魔法少女に目覚め、力を振り回すことへの気持ちよさ。周囲から羨望のまなざしを受けることへの快感から、この職業を続けるように至ったと。
「だから私には背負うものなんてない。周囲が傷つくとか、かわいそうだとかそんな感情なんてない。あるのは、利益への執着と、周囲が私に尊敬のまなざしを向けられることへの渇望。魔法少女は、そのための手段に過ぎないんだよ」
壮絶な育ちに、そこから来た彼女独特の価値観。俺も、サナもレテフも、あぜんとしていて言葉を失っている。
セルキールも、ソファーにちょこんと縮こまり、うつむいている。
「それで、お前の目的は何だ? 利益か。それとも強さか──」
するとミュクシーは紅茶がフッと笑みを浮かべて答える。
「さあねえ。名誉も、富も一通り築いちまった。もうそこまで欲なんてない。だから決めたのさ。私は私らしく生きる。やりたいようにやる。ただそれだけだ」
やりたいように、やる──か。
恐れくどれだけ説得しても留まることはないだろう。
こいつは、俺たちが持っているような周囲
「どうやら、どこかで戦う以外に解決法はないようだ」
「それで、話は終わりか。お前は俺たちに不幸自慢をしに呼んだのか?」
するとミュクシーがにやりと笑い、俺の方を向く。
「決戦をしたい。たくさんの観客を読んで、その前で俺とお前、どっちが戦って強いか、決めたい。私が勝って、それをみんなに見せてやるのさ」
そ、それだけか──。
別に悪くはない。俺たちが魔法少女。お前たちが鉄則団である限りどこかで戦わなくてはならない。
けど、以前ムエリットと戦った時の様に、街中で戦ったら絶対に被害が出てしまう。
しかし一対一で戦うというなら被害は出ない。
「──わかった。戦えばいいんだろ」
俺はその提案を了承。最後に、日付と場所の説明をして、この話は終了。
そして俺たちは帰ろうとする。
「すまんが、最後に、アグナムと2人だけで話がしたい。時間は掛けさせないから、ちょっと外にいててくれ」
「させないわ。どうせ、アグナムがあまりにもかわいいから、性欲を満たそうとしているんでしょ! 実はさっきの紅茶に睡眠薬が入っていて、私のアグナムが眠ったところで服を全部脱がして、あんなことやこんなことをして自身の欲望を満たそうとしたり、大人の階段を上らせようとしたりしているんでしょ! そんなこと、絶対にさせないわ。私がぐちゃぐちゃのひき肉のミンチ肉にしてやるわ!」
「だ、大丈夫だって、そんなことないから。俺は元気だよ。だからここはちょっと引いてて」
レテフが明らかに正気を失っている。お前じゃないんだから、そんなことしないよ。
俺が彼女の頭を優しくなでながら諭す。
するとレテフは、はぁっと大きく深呼吸をし、落ち着きを取り戻す。そしてうっとりとしながら俺の腕をぎゅっと腕全体で握る。
「わかったわ。じゃあ私たちは引くから、無事でいてね」
レテフが優しい笑みで言葉を返すと、この場を去っていく。続けてローチェとサナもこの場を去っていった。
女神セルキールは、無言でお盆に俺たちが使った高級そうな食器を置いて、奥の部屋へ。おそらく食器を洗いに行ったのだろう。
そして俺とミュクシーの2人っきりの空間となる。
当然下着姿のまま。張りのある胸と、しまった体系でとてもセクシーに見える。気を付けていないと思わず見とれてしまう。
互いに視線を合わせ、沈黙がこの空間が包む。まず、俺がいいずらそうに声を上げた。
「それで、俺に話したいことって何?」
するとミュクシーはフッと笑みを浮かべた後、言葉を返してくる。
「ローチェがお前に突っかかっていたよな。アグナムは男だって。それで、あんたはどう答えたんだい?」
「もちろん。違うって答えたよ。いくらあいつが証拠を見つけようと躍起になっても、証拠は見つけられなかった。当然だ。この通り、俺は男じゃないんだから──」
今はな……。
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