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第2章
第63話 じゃあ、僕についてきてよ!
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「皆さんこんにちはー。かわいいアイドルのローチェちゃんだよー!」
灰色の髪をなびかせ、腕を組んでいるローチェの姿があった。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう! あなたたちのせいでこうなっているのよ!」
レテフがローチェに険しい表情で詰め寄る。しかしローチェは動じない。ニヤリと、余裕の笑みを浮かべているのがわかる。
「まあまあ落ち着きなよー。怒ったって彼らは戻ってこないんだからさー」
「そんなことをして、よく平気でいられるよね」
「そんな誉められちゃって、照れちゃうよー。それで、話なんだけど。この紙を受け取ってほしいんだ」
その言葉通り、俺が一歩前へ出て紙を受け取る。恐る恐るおられてたその紙を開くとそこには地図があった。
その地図を開けると、この街のサテライト地区の地図と、とある場所に〇のサインがある。
「そこに、大きい広場があるんだけどぉ、明日の朝、そこに来てほしいんだ。いいもの見せてあげるからさあ」
「何が、待っている二かはついてからのお楽しみ。とりあえず、ヒントを言っちゃうと僕とミュクシーと、もう一人、待っている人がいるんだ。絶対言った方がいいと思うよ。。ちなみに、案内するのは僕たちの本拠地だからね」
その言葉につい体をビクンと震わせる。
本拠地だって?
絶対何かある。俺だけじゃなく、レテフも、サナも同じ表情をしている。怪しさたっぷりだけど、この騒動について、ローチェとミュクシーについて何かわかるかもしれない。
罠だとわかっていても、踏み込まない理由はない。
「わかった。その場所に行けばいいんだね。行こう──」
すると、レテフが俺の右手をぎゅっと握り、言葉を返してくる。
「待って。彼らは敵なのよ。それがこんなに、すんなりと本拠地に行かせてくれるはずがないわ」
「それは、そうだけど……」
「警戒してるねぇ~~。まあ、そんなひどいことしないから大丈夫だよ」
「それ、どうやって信じればいいの?」
責めるとようなレテフの特徴。とりあえず、俺が彼女を冷まさせてあげないと……。
「レテフ。落ち着いて、確かに手放しで喜ぶわけにはいかない。何かある可能性だってある。けれど、せっかくのチャンスなんだ。信用できないって言うなら、3人一緒になって、魔法少女の姿で行けばいい。それならすぐに戦えるでしょ。だから、一緒に行こう」
「アグナムがそう言うなら、わかったわ。私も行くわ」
「私だって、当然行くよ」
レテフは冷静になり、首を縦に振る。
サナも行くことを宣言。ローチェは安心したような表情になる。
「よかったよかった。皆着てくれるなんて、僕、嬉しいよ。じゃあ僕は帰るよ。また明日ね」
そしてローチェはこの場を去っていく。
彼女が、階段への扉を開け、視界から消えると、レテフが話しかけてくる。
「本当に大丈夫なの? もし捕まったりしたら──」
心配なのも当然だ。けど──。
「リスクのない賭けなんてない。どこかで危ない橋を渡らなきゃいけない。だったら、ローチェが歓迎していて、俺たち3人で行動できる。それも街中だから人目に付きやすいこのタイミングがいいと思うんだ」
「──わかったわ。アグナム、明日はよろしくね」
「私も、足を引っ張らないよう頑張るね!」
サナも同調してくれた。明日は一緒に頑張ろう。
そして──。
「私は……いかない方がいいわよね──」
「そ、そうだね。ちょっと、3人で行かせてくれるかな……」
これは、残念だけど仕方がない。これからローチェが指示した場所に行く。
ということは敵のアウェーに行くということだ。
これだけの人が倒れても平気な奴らだ。どんな手を使ってくるかわからない。
下手をしたら罠を仕掛けていて、命の危険さえある。
そんなところへ行って、魔法が使えない彼女を危険にさらすわけにはいかない。
「そ、そうだよね。私、足手まといだよね」
がっかりしているけれど、もしものことがあってからでは遅いんだ。今度、罪滅ぼしに何かできるといいな。
「リヒレちゃん。いいの?」
サナは彼女のことを心配する。当然だ、どう見ても残念そうな表情をしている。
「ううん。しょうがないよ。もし人質に取られるとかになったら目も当てられないし。頑張ってね。私、応援してるから」
そしてリヒレはどこか残念そうな表情になる。ごめんね……。
そして俺たちはこの場所を出る。急な話になっちゃったけど、いい話が聞けるといいな──。
翌日。俺とサナ、レテフは
一緒になって移動開始。
歩いて30分ほど。俺たちは目的の場所に近づく。
それは周囲の雰囲気で理解できた。
痩せこけている人が多数。
よれよれの服を着た人。古びた街並み。
貧しい人が暮らしているエリアだと一目で理解できる。
サナが生まれた地域、サテライトだ。彼女が懐かしそうな表情をしているのがわかる。
そして待ち合わせ場所に記してあった、噴水のある広場につく。その場所に彼はいた。
「アグナムちゃん。約束通りに来てくれたんだねっ。僕、嬉しいよ!」
ローチェだ。高いテンションで、陽気に話す。どう考えても、そんな状況ではないというのに。
「約束はきっちり守るのね。さあ案内してもらうわ。あなたたちの本拠地に!」
レテフの強気な言葉。それでもローチェは動じない。
余裕のある表情で俺たちの方を向いた後、歩き出す。
灰色の髪をなびかせ、腕を組んでいるローチェの姿があった。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう! あなたたちのせいでこうなっているのよ!」
レテフがローチェに険しい表情で詰め寄る。しかしローチェは動じない。ニヤリと、余裕の笑みを浮かべているのがわかる。
「まあまあ落ち着きなよー。怒ったって彼らは戻ってこないんだからさー」
「そんなことをして、よく平気でいられるよね」
「そんな誉められちゃって、照れちゃうよー。それで、話なんだけど。この紙を受け取ってほしいんだ」
その言葉通り、俺が一歩前へ出て紙を受け取る。恐る恐るおられてたその紙を開くとそこには地図があった。
その地図を開けると、この街のサテライト地区の地図と、とある場所に〇のサインがある。
「そこに、大きい広場があるんだけどぉ、明日の朝、そこに来てほしいんだ。いいもの見せてあげるからさあ」
「何が、待っている二かはついてからのお楽しみ。とりあえず、ヒントを言っちゃうと僕とミュクシーと、もう一人、待っている人がいるんだ。絶対言った方がいいと思うよ。。ちなみに、案内するのは僕たちの本拠地だからね」
その言葉につい体をビクンと震わせる。
本拠地だって?
絶対何かある。俺だけじゃなく、レテフも、サナも同じ表情をしている。怪しさたっぷりだけど、この騒動について、ローチェとミュクシーについて何かわかるかもしれない。
罠だとわかっていても、踏み込まない理由はない。
「わかった。その場所に行けばいいんだね。行こう──」
すると、レテフが俺の右手をぎゅっと握り、言葉を返してくる。
「待って。彼らは敵なのよ。それがこんなに、すんなりと本拠地に行かせてくれるはずがないわ」
「それは、そうだけど……」
「警戒してるねぇ~~。まあ、そんなひどいことしないから大丈夫だよ」
「それ、どうやって信じればいいの?」
責めるとようなレテフの特徴。とりあえず、俺が彼女を冷まさせてあげないと……。
「レテフ。落ち着いて、確かに手放しで喜ぶわけにはいかない。何かある可能性だってある。けれど、せっかくのチャンスなんだ。信用できないって言うなら、3人一緒になって、魔法少女の姿で行けばいい。それならすぐに戦えるでしょ。だから、一緒に行こう」
「アグナムがそう言うなら、わかったわ。私も行くわ」
「私だって、当然行くよ」
レテフは冷静になり、首を縦に振る。
サナも行くことを宣言。ローチェは安心したような表情になる。
「よかったよかった。皆着てくれるなんて、僕、嬉しいよ。じゃあ僕は帰るよ。また明日ね」
そしてローチェはこの場を去っていく。
彼女が、階段への扉を開け、視界から消えると、レテフが話しかけてくる。
「本当に大丈夫なの? もし捕まったりしたら──」
心配なのも当然だ。けど──。
「リスクのない賭けなんてない。どこかで危ない橋を渡らなきゃいけない。だったら、ローチェが歓迎していて、俺たち3人で行動できる。それも街中だから人目に付きやすいこのタイミングがいいと思うんだ」
「──わかったわ。アグナム、明日はよろしくね」
「私も、足を引っ張らないよう頑張るね!」
サナも同調してくれた。明日は一緒に頑張ろう。
そして──。
「私は……いかない方がいいわよね──」
「そ、そうだね。ちょっと、3人で行かせてくれるかな……」
これは、残念だけど仕方がない。これからローチェが指示した場所に行く。
ということは敵のアウェーに行くということだ。
これだけの人が倒れても平気な奴らだ。どんな手を使ってくるかわからない。
下手をしたら罠を仕掛けていて、命の危険さえある。
そんなところへ行って、魔法が使えない彼女を危険にさらすわけにはいかない。
「そ、そうだよね。私、足手まといだよね」
がっかりしているけれど、もしものことがあってからでは遅いんだ。今度、罪滅ぼしに何かできるといいな。
「リヒレちゃん。いいの?」
サナは彼女のことを心配する。当然だ、どう見ても残念そうな表情をしている。
「ううん。しょうがないよ。もし人質に取られるとかになったら目も当てられないし。頑張ってね。私、応援してるから」
そしてリヒレはどこか残念そうな表情になる。ごめんね……。
そして俺たちはこの場所を出る。急な話になっちゃったけど、いい話が聞けるといいな──。
翌日。俺とサナ、レテフは
一緒になって移動開始。
歩いて30分ほど。俺たちは目的の場所に近づく。
それは周囲の雰囲気で理解できた。
痩せこけている人が多数。
よれよれの服を着た人。古びた街並み。
貧しい人が暮らしているエリアだと一目で理解できる。
サナが生まれた地域、サテライトだ。彼女が懐かしそうな表情をしているのがわかる。
そして待ち合わせ場所に記してあった、噴水のある広場につく。その場所に彼はいた。
「アグナムちゃん。約束通りに来てくれたんだねっ。僕、嬉しいよ!」
ローチェだ。高いテンションで、陽気に話す。どう考えても、そんな状況ではないというのに。
「約束はきっちり守るのね。さあ案内してもらうわ。あなたたちの本拠地に!」
レテフの強気な言葉。それでもローチェは動じない。
余裕のある表情で俺たちの方を向いた後、歩き出す。
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