TS! 俺、女の子になってるっ? 魔法少女になった俺は、最強になって百合展開を楽しむようです

静内燕

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第39話 俺は、魔法少女なんだよ!

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いわゆるレイプ目というやつだ。まるで2人の意志がそこにないかのよう。

「2人に何をする気だ。今すぐ元通りに戻せ」

「お前、こいつらを利用する気だな」

「勘がいいなユピテル。安心しろ。俺は2人を傷つけるようなことはしない。俺はな」



 意味深な言葉に俺は首をかしげる。しかし俺は、その意味をすぐに体で理解することになる。

「ご主人様。私たちはどのようにすればいいのですか?」

 レテフの発した感情のこもっていない言葉で俺は理解した。

「お前、2人を洗脳したのか?」

「フッ、物分かりがいい相手だな。説明が省けて助かるぜ」

 こいつ、卑怯な奴だな。絶対ぶっ飛ばしてやる。

「2人に命令だ。目の前にいる敵、アグナムを完膚なきまでに叩きのめせ」

「「わかりました。ご主人様」」

 そして2人が同時に俺の方向へ向かってくる。まずい、予想していなかった。

 まずはサナが俺に攻撃を仕掛けてくる。

 振り下ろした一撃を受け止め後方にバックステップ、その瞬間。





(危ない──)

 今度はレテフの矢が俺をめがけて飛んでくる。

 間一髪で身を左に投げて、何とか攻撃を防ぐ。このままじゃ負ける、仕方がない、攻撃するしかない。

 俺がその覚悟を決め、剣を強く握ったその時。

「待て。こんなやり方ヤメだ。俺が直接戦う!!」

 ムエリットが大声で叫ぶ。ドイデはそれに大声で反論する。

「ムエリット、思い出せ、俺たちが戦う理由を。俺たちはな、どんな手段を使っても、勝たなくっちゃいけないんだよ」

「馬鹿野郎。俺は鉄束団である前に、魔法少女なんだよ。正々堂々と真正面から勝ちたいんだ」

 ドイデはあきれたような、あきらめたような表情でため息をつき、コクリとうなづく。きっとムエリットは1度決めたら曲げない性格なのだろう。

 説得をする様子は一切なかった。



「わかったよ。そこまで真っ向勝負が好きなら、好きにしろ。だが負けたらお前のせいだし、死んでも責任はとれないからな」

 仲間割れか? それなら都合がいい。そのスキにユピテルが俺とサナたちの間に入る。

「こいつらは俺に任せろ」

「「私たちも加わります」」

 他の魔法少女たちも率先してユピテルの所にやってくるが……。

「必要ない。お前たちは住民たちの避難と住民からの警護を頼む」

 と一括。彼女の迫力に、他の魔法少女たちはおろおろと互いに顔を合わせた後、住民たちへ向かう。

「ずいぶんと余裕だな。1人でいいのか?」

「半端な奴がいたところで、かえって邪魔なだけだ。下手をすれば2人のように敵にされる可能性だってある」

 彼女の言葉は本当だ。ドイデは洗脳術を持っているし、素の実力もある。並程度の魔法少女がいたところで返り討ちになるのがオチだし、下手をすれば洗脳され逆に不利になってしまう。

 何、俺はユピテルと戦ったことがあるから大丈夫。あいつなら勝てる。
 ユピテルの自信満々な表情を見れば一目瞭然だ。

 そして俺は本来の敵、ムエリットに視線を向ける。

「ありがとな、真っ向から敵に立ち向かい勝利をもぎ取る。これでこそ魔法少女だ」

「僕もそう思う、そのうえでお前を打ち破って、勝利する」

 そしてムエリットは俺と対峙し、真っ向からにらみ合う展開になる。

「とりあえず、行こうか」

「おう!」

 その言葉を合図に、俺たちの戦いが始まる。



 俺とムエリットの戦いが始まったころ、ユピテルはすでに戦いを始めていた。

 「レテフ、サナ。俺にかかって来い!」

 操られているサナとレテフがユピテルに一方的に攻撃を仕掛ける。友と考えていたサナとは思えないほど、相手を全力で殴りかかる。

 だが──。

「甘い!」

 右からレテフが、左からサナが一気に切りかかってくる。

 しかしユピテルは全く動じない。自身の剣を振りかざし1回転。

 ユピテルは理解していた。操られている2人、行動原理は俺たちをただ闇雲に攻撃するだけ。戦略や作戦なんてない。

 だからサナは突撃するだけ、レテフに至っては得意な遠距離戦を行わず、不得意な接近戦を自ら挑んでくる始末。



 全くユピテルの敵ではなかった。



 ユピテルが剣をかざし1回転。2人の体が吹き飛んでいく。

「魂もない、ただ目の前の敵に食いついているだけの貴様たちに負ける俺様ではない」

 さすがは最強の魔法少女だ。あっという間に2人を倒してしまった。

 そしてサナとレテフから紫色の光が消える。目に光がともり、意識を取り戻しているのがわかる。



「あれ、私、何してたの?」

 サナとレテフは正気を取り戻し、キョロキョロと周囲を見回す。困惑している2人にユピテルが叫ぶ。

「それは後で話す。お前たちは観客席でアグナムを見守っていろ。何かあったら戦えるように準備しててくれ」

「いいえ、私のアグナムがあんなに戦っているの。私も戦いたい!」

「うん。私も!」



「いいや。ダメだ、今のお前では足を引っ張るだけだ」

 正しい、2人は突然の出来事に動揺している。こんな状態で戦わせたところでかえって足手まといになってしまうだけだ。

 ましてや奴は、かなりの強敵。ユピテルだって2人のおもりをしながら戦うというのはハンデになるだろう。

 そしてユピテルはドイデをにらみつけ始める。

「さあ、安っぽい小手先の技はもう通用しない。次は貴様が敗れる番だ」
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