TS! 俺、女の子になってるっ? 魔法少女になった俺は、最強になって百合展開を楽しむようです

静内燕

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第32話 覚悟しろ──、ニャ

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 リヒレは何も言わずに首を縦に振る。
 涙目ながらも、その瞳には強い意志が混じっているのを強く感じた。


「とりあえず、今からでも行ってみよう。リヒレ、今大丈夫?」

 再びリヒレは首を縦に振る。できるだけしゃべりたくないのだろう。

「アグナムちゃん。私たちは、どうすればいいの?」

「そうよ、私だって力になりたいわ。そして私のアグナムを危険な目にあわせようとしたら、ぐちゃぐちゃのひき肉にしてやるわ」

 ひき肉は無視するとして、さすがに2~3人でいたら相手だって警戒するだろうし、そうだ、レテフだ。

「じゃあ2人はレテフの護衛に入ってレテフを後ろからそっと見守ってくれ。それでいい?」

「わかった! ちゃんとお守りするよ」

「わかったわ。リヒレやあなたの護衛ということね」

 2人が顔を合わせて納得する。とりあえず作戦は決まりだ。
 そして俺たちは外に出る。

 歩いて20分程。俺たちはリヒレの家の近くの通り魔が出現している地区にたどり着く。すでに日は傾き始め、夕日が俺の体を照らす。

「とりあえず作戦の決行だ。俺が先頭で街を歩く。3人はばれないように俺の後ろをついてきてくれ。それと、あの作戦の準備、よろしく」

「わかったわ。あなたは私が守るから。それと、その準備だね」

 レテフの言葉に同調するようにサナとリヒレも首を縦に振る。

 俺はそこから1人になり、魔法少女姿になる。そして1人で歩を進め始める。

 できるだけ怪しまれないよう、周囲を見たり、裏路地に入ったりパトロールをしているような雰囲気を醸し出す。




 コトッ――。


 背後から何か物音がした。思わず振り向くが誰もいない。




「アグナムさん。後ろから通り魔が来てます」

 リヒレがすぐに叫びだす。すぐに背後を振り向く。人が走ってくるのがわかる。

 落ち葉だ。足音が聞こえないたとしても、踏んだ時に割れる葉っぱからどこにいるかを推測できる。

 俺が街を移動している間にサナとレテフが仕掛けた罠だ。

 俺はそいつに立ち向かおうとする。すると敵は──。

「くらうニャー!」


 白い光線のような攻撃を繰り出す。姿が見えなく、攻撃も予想できないのでどうすることもできず。攻撃を食らってしまう。

 俺の体は2,3メートルほど吹き飛ぶ。ダメージは受けたとはいってもボロボロになるほどではない。
 ユピテルや みたいな強敵とは大違い。間違いなく勝てる

「覚悟しろ、──ニャ」

「――ニャ?」

 自分の意志は裏腹に発してしまった言葉に驚く。こいつ、これが目的だったのか?

「こいつ、やってくれた……ニャ」

「いい気味ニャ。一度食らったらもうあらがえないニャ」

 抵抗すればするほど頭の中にニャをつけたいという強迫観念が心の中を支配してしまう。そして1回にニャというと胸の中が満たされるという感覚に包まれる。

「こ、こいつ……ニャ。絶対に倒す――ニャ」

 言いたくない語尾を半ば強制的に付けられ、恥ずかしさで顔は真っ赤になり、胸がぎゅっと締め付けられるような思いになる。

「これはこれで、いい♡」

 レテフは目をキラキラさせながら俺を見つめてくる。いや、冗談じゃない、本当に恥ずかしいんだって。

 こいつめ、絶対に許さない!

 俺は彼女に向かって間合いを詰める。

 そして一気に剣を振り下ろし接近戦に入る。以前も戦っていたが、バトルの強さ自体はそれほどでもない。


 しかし、気になるな。俺は少し剣を交えて感じた。

 そもそも勝負に勝つ気ならあの猫語にしたときにもっと致命傷になる攻撃を与えているはずだ。

 しかし彼女はそこまで危害を加えてこない。何か理由でもあるのか?


 押されていると感じたのか、彼女がいったん後方に下がる。けど落ち葉がある限りお前の場所はまるわかりだ。


 落ち葉の音からニャロロの場所を当てる。右に行ってから俺の向こうに飛び跳ねてくる。
 もう不様にやられはしない。次で勝負を決める。

 俺は思いっきり左手で剣を振り上げ、魔力を込める。

 集いし希望の光よ、その思いを結集させ、新たな希望を照らし出せ!!

 スターダスト・ボルテックス・エアレイド

 俺の剣から赤い稲妻が放たれる、そしてそれは流星群のように無数の星へと姿が変わる。
 強い魔力を感じる星、それらが一斉にローチェのところへ向かっていく。

 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!

 そして2~3mほどの距離で大きな爆発音。攻撃が直撃したのがわかる。

 直撃した後、その場に1人の少女が現れる、意識を失ってステルス術式が切れたのだろう。
 ふわふわしたピンクの髪型にとんがり帽子、この前見たニャロロの顔と一緒だ。


 ザッ──!

 吹き飛ぶニャロロの体。10メートルほど吹き飛んだところで地面にたたきつけられる。そしてその近くに俺やサナたちが接近。

「ん、んんん……ニャ」

 すぐにニャロロは意識を取り戻す。
 俺は自分の件を彼女ののど元に突きつける。もう魔法は使えない、これで勝負ありだ。

「さあ、これで勝負ありだ……ニャ。観念しろ! ニャ」


 俺が恥ずかしがりながらもなんとか叫ぶ。まずはみんなの言葉を取り戻させることからだな。
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