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第28話 初めての友
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「ニャロロ選手、意識消失。よってアグナム選手の勝ち」
ふう、手ごたえはなかったな。まあ、1回戦だしこんなものだろう。問題は次だ。
「大丈夫? 立てる?」
ぐったりしたニャロロ。まあ仕方がない。
俺はニャロロと握手をした後、肩を貸しながら一緒に控室に戻っていった。
控室に戻った俺。
サナとレテフが詰め寄ってくる。
「どうだった?」
「勝ったよ。ちょっと危ういところもあったけど」
「すごい、よかったね」
「さすがは私のアグナムね。素晴らしいとしか言いようがないわ」
もう突っ込むのはよそう。2人とも勝つといいな。するとニャロロは立ち上がり身が笑いをし始める。
「アグナムさん強すぎるニャ。レベルが全然違うニャ。絶対優勝するニャ」
優勝か。本当にそこまでいくかな……。俺は変身モードを解除し普段着に戻る。すると──。
「汗かいちゃったから着替えるニャ」
だから服を脱ぐのはやめてくれ。彼女の純白の肌や下着が丸見えになってしまう。慌てて視線を逸らす。
「とりあえず。外で待ってるよ。試合のほうがんばってね」
「うん、ありがとう。絶対勝つよ」
「絶対勝ちあがって、あなたと愛の対決をするわ。それまで待ってて」
何か突っ込みどころの多い言葉があったが、それを無視して俺は一声かけて外へ。正直この部屋にいると理性が持たない。恥ずかしくて頭がおかしくなりそうだ。
というわけで、俺はすぐにこの部屋から出て、外へ向かう。
1時間ほど周囲を散策していると、2人が会場から帰ってくるのを目撃。どっちも勝ったみたいだ。リヒレも一緒になり帰路へ。
「当たり前じゃない。あなたと愛の対決をするまでは、絶対に負ける気なんてないわ」
レテフの言葉には突っ込まず、楽しい話をしながら家へと帰っていく。
大会も、戦いもどんなことが待っているかわからないけれど絶対に勝とう。
帰りの道を歩きながら、サナがレテフに話しかける。
「そういえば、2人ってどうやって知り合ったの?」
サナの質問に2人は数秒互いに顔を合わせてから、リヒレが答え始めた。
「両親がね、商売でよく取引をしているなかだったの。それで、商談をしている間にしゃべったりしているうちに仲が良くなっていったって感じかしら」
「へぇ~~、どんな取引をしていたの?」
「私の家はね、両親が貿易商人をしているの。それでレテフちゃんの両親とコーヒー豆を取引していたわ」
「コーヒー豆、コーヒーショップでもやっているの?」
するとレテフは俺と腕がくっつくくらい接近する。ち、近すぎだって……。
「そうよ。私、一家でコーヒーショップを経営しているの。今度連れて行ってあげるわ」
そしてにっこりと笑顔を見せるとウィンクをする。コーヒーの専門店か、なんか見てみたいな。
「それでね。両親が商談をしている隣で出会ったのが付き合いのきっかけだったの」
「それからはいつも友たちとして、相談に乗ったり、遊んでいたりしたわ」
なるほどね、両親がきっかけか。そういうのよくあるよね。すると今度はサナが2人に接近。
「じゃあ、これからは、私達も友達でいてくれるかな?」
サナの質問にリヒレは首を縦に振る。するとレテフが微笑を浮かべてサナの方を向き、微笑を浮かべる。
「いいわ。こうして出会ったのも何かの縁だし。これからもよろしくね」
前から思ってたけど、リヒレって上品な態度でいるときはとてもきれいに感じる。本当にお嬢様みたいだよなあ……。
「私も。2人と会えて、とてもうれしいわ。ぜひとも、親しい仲でいさせてください」
リヒレはこっちを向いて頭を下げる。彼女、前から思っていたけど仕草が上品だよな……。1つ1つが丁寧で上流階級の人という感じが本当にする。
「こちらこそ、改めてよろしくね」
俺が言葉を返すとレテフが俺とリヒレの間に入って俺をじーっと見つめてくる。
「な、何かな?」
「今の親しい仲という言葉。私も含まれると認識していいの?」
迫ってくるレテフの姿に驚きつつも俺は作り笑いをして言葉を返す。
「と、当然だよ。レテフもよろしくね」
「ありがとう──」
するとレテフは俺に急接近し。
チュッ──。
レテフが俺のほっぺにキスをする。以前のような獣のような強さで一方的に思いを伝えるようなものではなく、優しく、唇の柔らかさが伝わってくるようなキス。
マシュマロのような柔らかさと、その意外な行動に俺は驚いて言葉を失う。
顔は真っ赤、恥ずかしさでレテフから目をそらしてしまう。
「フフッ。顔が真っ赤よ」
「だ、だって、しょうがないだろ」
サナはほをかむり、リヒレはレテフを見て笑みを浮かべる。
「絶対に、あなたのハートを奪うわ。それまでは、親しい友でよろしくお願いね」
女神のような笑み。その綺麗さに見とれてしまう。
まあ、強引なことをしないならいいか。友達ができたのはうれしい。大切にしよう。
強く胸に刻む。
そして俺たちは互いの家に帰っていく。今日もいろいろあった1日だったな。
夜。サナの家に帰り、ご飯。
食器を洗った後にシャワーを浴びる。
昨日も感じてはいたがこの体は、肌が繊細だ。男だった時の感覚でタオルで体を洗おうとすると、皮膚が赤くなり、痛みが出てくる。
なのでタオルを使わずにもみしだくように体を強くこする。
絹のようななめらかですべすべした肌。嫌でも自分の性を教えられてしまう。
柔らかい肌、手でつかみきれないくらいの大きな胸。 男であれば理性が吹き飛んで飛びついてしまいそうな、そんな理想的な体型。
問題は、それが自分の体だということだ。
本当に違和感しかない。体は女の子になっても、心は男のまま。体を見るだけで、恥ずかしくなり目をそらしてしまうので、いつもそっぽを向きながら体を洗っている。
そして別のことを考え気を紛らわす。そうでもしないと恥ずかしさで頭がおかしくなる。
サナに、レテフ、リヒレ。最初は女の子との交流なんてなかった俺が友達なんてできるか不安だった。
けれど、みんな俺を友として認識してくれた。まあ、表現がど直球すぎて戸惑ったやつも1人いるけど。
魔法少女としての、この世界での活躍、何とかうまくいきそうだな。
思えば元の世界では俺は1人だった。学校ではいつも1人だったし、廃人になってからはまともにコミュニケーションをとったことすら数えるほどしかない。
そんな俺に3人は友達として扱ってくれた。そんな友を、俺は大切にしたい。
それができる魔法少女に、俺は絶対になる!
その後、シャンプーとリンスで髪を洗う。このサラサラの髪を保つのも、大変だ。
そして俺は浴室を出る。明日も、楽しい日になるといいな……。
ふう、手ごたえはなかったな。まあ、1回戦だしこんなものだろう。問題は次だ。
「大丈夫? 立てる?」
ぐったりしたニャロロ。まあ仕方がない。
俺はニャロロと握手をした後、肩を貸しながら一緒に控室に戻っていった。
控室に戻った俺。
サナとレテフが詰め寄ってくる。
「どうだった?」
「勝ったよ。ちょっと危ういところもあったけど」
「すごい、よかったね」
「さすがは私のアグナムね。素晴らしいとしか言いようがないわ」
もう突っ込むのはよそう。2人とも勝つといいな。するとニャロロは立ち上がり身が笑いをし始める。
「アグナムさん強すぎるニャ。レベルが全然違うニャ。絶対優勝するニャ」
優勝か。本当にそこまでいくかな……。俺は変身モードを解除し普段着に戻る。すると──。
「汗かいちゃったから着替えるニャ」
だから服を脱ぐのはやめてくれ。彼女の純白の肌や下着が丸見えになってしまう。慌てて視線を逸らす。
「とりあえず。外で待ってるよ。試合のほうがんばってね」
「うん、ありがとう。絶対勝つよ」
「絶対勝ちあがって、あなたと愛の対決をするわ。それまで待ってて」
何か突っ込みどころの多い言葉があったが、それを無視して俺は一声かけて外へ。正直この部屋にいると理性が持たない。恥ずかしくて頭がおかしくなりそうだ。
というわけで、俺はすぐにこの部屋から出て、外へ向かう。
1時間ほど周囲を散策していると、2人が会場から帰ってくるのを目撃。どっちも勝ったみたいだ。リヒレも一緒になり帰路へ。
「当たり前じゃない。あなたと愛の対決をするまでは、絶対に負ける気なんてないわ」
レテフの言葉には突っ込まず、楽しい話をしながら家へと帰っていく。
大会も、戦いもどんなことが待っているかわからないけれど絶対に勝とう。
帰りの道を歩きながら、サナがレテフに話しかける。
「そういえば、2人ってどうやって知り合ったの?」
サナの質問に2人は数秒互いに顔を合わせてから、リヒレが答え始めた。
「両親がね、商売でよく取引をしているなかだったの。それで、商談をしている間にしゃべったりしているうちに仲が良くなっていったって感じかしら」
「へぇ~~、どんな取引をしていたの?」
「私の家はね、両親が貿易商人をしているの。それでレテフちゃんの両親とコーヒー豆を取引していたわ」
「コーヒー豆、コーヒーショップでもやっているの?」
するとレテフは俺と腕がくっつくくらい接近する。ち、近すぎだって……。
「そうよ。私、一家でコーヒーショップを経営しているの。今度連れて行ってあげるわ」
そしてにっこりと笑顔を見せるとウィンクをする。コーヒーの専門店か、なんか見てみたいな。
「それでね。両親が商談をしている隣で出会ったのが付き合いのきっかけだったの」
「それからはいつも友たちとして、相談に乗ったり、遊んでいたりしたわ」
なるほどね、両親がきっかけか。そういうのよくあるよね。すると今度はサナが2人に接近。
「じゃあ、これからは、私達も友達でいてくれるかな?」
サナの質問にリヒレは首を縦に振る。するとレテフが微笑を浮かべてサナの方を向き、微笑を浮かべる。
「いいわ。こうして出会ったのも何かの縁だし。これからもよろしくね」
前から思ってたけど、リヒレって上品な態度でいるときはとてもきれいに感じる。本当にお嬢様みたいだよなあ……。
「私も。2人と会えて、とてもうれしいわ。ぜひとも、親しい仲でいさせてください」
リヒレはこっちを向いて頭を下げる。彼女、前から思っていたけど仕草が上品だよな……。1つ1つが丁寧で上流階級の人という感じが本当にする。
「こちらこそ、改めてよろしくね」
俺が言葉を返すとレテフが俺とリヒレの間に入って俺をじーっと見つめてくる。
「な、何かな?」
「今の親しい仲という言葉。私も含まれると認識していいの?」
迫ってくるレテフの姿に驚きつつも俺は作り笑いをして言葉を返す。
「と、当然だよ。レテフもよろしくね」
「ありがとう──」
するとレテフは俺に急接近し。
チュッ──。
レテフが俺のほっぺにキスをする。以前のような獣のような強さで一方的に思いを伝えるようなものではなく、優しく、唇の柔らかさが伝わってくるようなキス。
マシュマロのような柔らかさと、その意外な行動に俺は驚いて言葉を失う。
顔は真っ赤、恥ずかしさでレテフから目をそらしてしまう。
「フフッ。顔が真っ赤よ」
「だ、だって、しょうがないだろ」
サナはほをかむり、リヒレはレテフを見て笑みを浮かべる。
「絶対に、あなたのハートを奪うわ。それまでは、親しい友でよろしくお願いね」
女神のような笑み。その綺麗さに見とれてしまう。
まあ、強引なことをしないならいいか。友達ができたのはうれしい。大切にしよう。
強く胸に刻む。
そして俺たちは互いの家に帰っていく。今日もいろいろあった1日だったな。
夜。サナの家に帰り、ご飯。
食器を洗った後にシャワーを浴びる。
昨日も感じてはいたがこの体は、肌が繊細だ。男だった時の感覚でタオルで体を洗おうとすると、皮膚が赤くなり、痛みが出てくる。
なのでタオルを使わずにもみしだくように体を強くこする。
絹のようななめらかですべすべした肌。嫌でも自分の性を教えられてしまう。
柔らかい肌、手でつかみきれないくらいの大きな胸。 男であれば理性が吹き飛んで飛びついてしまいそうな、そんな理想的な体型。
問題は、それが自分の体だということだ。
本当に違和感しかない。体は女の子になっても、心は男のまま。体を見るだけで、恥ずかしくなり目をそらしてしまうので、いつもそっぽを向きながら体を洗っている。
そして別のことを考え気を紛らわす。そうでもしないと恥ずかしさで頭がおかしくなる。
サナに、レテフ、リヒレ。最初は女の子との交流なんてなかった俺が友達なんてできるか不安だった。
けれど、みんな俺を友として認識してくれた。まあ、表現がど直球すぎて戸惑ったやつも1人いるけど。
魔法少女としての、この世界での活躍、何とかうまくいきそうだな。
思えば元の世界では俺は1人だった。学校ではいつも1人だったし、廃人になってからはまともにコミュニケーションをとったことすら数えるほどしかない。
そんな俺に3人は友達として扱ってくれた。そんな友を、俺は大切にしたい。
それができる魔法少女に、俺は絶対になる!
その後、シャンプーとリンスで髪を洗う。このサラサラの髪を保つのも、大変だ。
そして俺は浴室を出る。明日も、楽しい日になるといいな……。
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