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第17話 赫焉(かくえん)なる斬撃 ホープ・ソード・スレイシング
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隣にいるピンク色の髪をした魔法少女が思わずつぶやく。そう、その通りだ。こいつの最大の特徴。
それは左手に持っているスコップで戦うということだ。
とある巨大な敵の襲撃と戦うバトル。「レイド戦」では何百人がかりでも倒せなかった魔王や、1000匹以上いた手下のゾンビをほとんど1人で倒したと伝説になった。
俺もこいつのゾンビ退治を見たがまさに鬼神ともいえるパワーとスピードとしか言えなかった。
「馬鹿野郎ムエリット。姿を見せるやつがあるか」
すると彼女の背後からもう1人の人物が出てくる。
筋肉質で茶色の肉体。豚のように横に太めの体。明らかに人間ではないのがわかる。
オークとかいうやつだ。
「隠密行動が原則だって言っただろう」
「気にすんなよドイデ。要は全員ここでぶった押せばいいんだろ」
「しょうがねぇやつだな。ま、俺のほうは目的は済んだ。撤退させてもらうからな」
するとムエリットはガッツポーズをしながら俺たちに向かって叫ぶ。というかあのオークドイデっていうのか。
「遠慮はいらねぇ、お前たち、かかってこい」
その自信たっぷりの言葉に魔法少女たちはきょろきょろと互いに目を合わせ、攻撃をためらってしまう。
「何だよ。臆病な奴ばかりだな。じゃあ──こっちから行かせてもらうぜ!!」
そしてムエリットはこっちに向かってくる。
「何よ。スコップなんかで私たち全員に勝てると思ってるの?」
魔法少女たちとムエリットの交戦が始まる。俺は、彼女の戦いをもう一度見てみよう。ネトゲでしかこいつの戦いっぷりは見てないからな。
「何だ貴様ら、この程度か?」
「やっぱり、レベルが違う」
次々と魔法少女たちが倒されていく。レベルが違う、ムエリットの素早さとパワーにほかの魔法少女たちは全くついていけていない。止まっているように見えるくらいだ。
「私も、協力しないと」
慌ててサナも戦いに参加しようとするが、俺はサナの肩に手をポンと置いて止めさせる。
「おそらくサナはいたところで無駄だ。一瞬で返り討ちだ」
「で、でも──」
現に俺たちが話している間にほとんどの魔法少女はムエリットに手出しすらできずに敗北している。
「だから、ここは俺が戦う」
「だ、大丈夫?」
サナの心配そうな顔に、俺は笑顔を見せて言葉を返す。
「大丈夫、以前戦ったことがある。勝てないわけじゃない」
戦い方を見ても、ネトゲの時と戦い方は一緒だ。圧倒的な素早さとパワーで相手に何もさせずに一方的に封殺する手法。
スコップ相手となめていた魔法少女たちはみな、ムエリットに倒され倒れこんでいる。
当の本人は特に疲れている様子もなく不満げな表情。
「雑魚の相手はもう飽きた、アグナム。やっぱりお前がいないとな、再戦だ。来い」
仕方ない。ここは行くしかないか。
「わかったよ。相手になるよ」
真っ先に俺がムエリットに間合いを詰めると、目に見えぬ速度でその剣を振り下ろす。
しかしムエリットは構えていたスコップを振り上げ、跳ね除ける。
ゲームではこいつはパワーを生かした戦いが得意だったな。だったら、こう戦おう。
俺は跳ねられた剣の進路を変え、目にも見えない速さで一気に切り下す。
ムエリットはスコップを横に構え、それを防ぐ。それでも俺は左足を踏み込み、さらに切り上げる。
「すごい、2人とも攻撃が全然見えない」
「レベル高いなあ……」
周囲から2人の戦いに戸惑いの声が漏れる。これが俺の得意技だ。
1つ1つの攻撃のつなぎが、あまりに早く、並の相手なら俺の攻撃を受けきることができない。
それに 駆け引きを駆使して、相手を誘導しているのだ。
俺が右の脇腹に突きを入れると、何とムエリットは攻撃をよけずに攻撃を受けたのだ。
そしてそのまま俺をめがけてスコップを切り上げる。
俺はとっさに後ろに飛び下がり、ギリギリで攻撃をかわす。
俺は半ば反射的に力を返し、真っ向から受け止めた。腕の感覚がなくなるくらい重い、スコップと剣がぶつかり、火花がまき散っている。
仕方ない、ここは勝負に出るしかない。
ふわりと体が宙に浮きあがったような感覚 ぐるりと天地が逆転した。
俺を、投げ飛ばしただと。
宙に浮いていた もがこうとするが、どこも触れていない空中では力の入れようがない
「これで決まりだぁ!!」
ダーク・ストーム・フレア
ムエリットも勝利を確信したのか。一気に前に出る。
そして、相手が勝利を確信したこの時、俺も勝利を確信した。
万物を加護する守りの象徴。今顕現せよ!
ファイアーウォール・テンペストガード
俺はムエリットとの間に炎でできた障壁を繰り出す。ほとんど距離がないところに召喚したためムエリットの斬撃はほとんど威力をつけることができず障壁に阻まれてしまう。
俺の行動は障壁でムエリットからは見えない。勝負を決めるには絶好の機会だ。
再び剣に魔力をこめる。
障壁の先にいるムエリットめがけて──。
そしてその攻撃が障壁に衝突しようとした瞬間パッと障壁を消す。
その光景を見たムエリットはただ驚くだけ、ガードもしていない。
脳裏には1つの術式が浮かぶ。名前からして、ここで浮かんだことからも斬撃の術式だろう。
悠久なる輝きをまとい、赫焉なる斬撃、ここに現れよ
ホープ・ソード・スレイシング
ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ──!!
俺の剣にまとっていた魔力が何倍も増幅する。これだけあればこいつを倒せる。
俺の振り上げた斬撃がムエリットの胴体を引き裂く。ガードをすることもできず直撃。そして彼女の肉体は後方に吹き飛び廃墟と化したがれきに衝突する。
ムエリットの肉体から魔力が消えかけている。もう勝負はついた。
それは左手に持っているスコップで戦うということだ。
とある巨大な敵の襲撃と戦うバトル。「レイド戦」では何百人がかりでも倒せなかった魔王や、1000匹以上いた手下のゾンビをほとんど1人で倒したと伝説になった。
俺もこいつのゾンビ退治を見たがまさに鬼神ともいえるパワーとスピードとしか言えなかった。
「馬鹿野郎ムエリット。姿を見せるやつがあるか」
すると彼女の背後からもう1人の人物が出てくる。
筋肉質で茶色の肉体。豚のように横に太めの体。明らかに人間ではないのがわかる。
オークとかいうやつだ。
「隠密行動が原則だって言っただろう」
「気にすんなよドイデ。要は全員ここでぶった押せばいいんだろ」
「しょうがねぇやつだな。ま、俺のほうは目的は済んだ。撤退させてもらうからな」
するとムエリットはガッツポーズをしながら俺たちに向かって叫ぶ。というかあのオークドイデっていうのか。
「遠慮はいらねぇ、お前たち、かかってこい」
その自信たっぷりの言葉に魔法少女たちはきょろきょろと互いに目を合わせ、攻撃をためらってしまう。
「何だよ。臆病な奴ばかりだな。じゃあ──こっちから行かせてもらうぜ!!」
そしてムエリットはこっちに向かってくる。
「何よ。スコップなんかで私たち全員に勝てると思ってるの?」
魔法少女たちとムエリットの交戦が始まる。俺は、彼女の戦いをもう一度見てみよう。ネトゲでしかこいつの戦いっぷりは見てないからな。
「何だ貴様ら、この程度か?」
「やっぱり、レベルが違う」
次々と魔法少女たちが倒されていく。レベルが違う、ムエリットの素早さとパワーにほかの魔法少女たちは全くついていけていない。止まっているように見えるくらいだ。
「私も、協力しないと」
慌ててサナも戦いに参加しようとするが、俺はサナの肩に手をポンと置いて止めさせる。
「おそらくサナはいたところで無駄だ。一瞬で返り討ちだ」
「で、でも──」
現に俺たちが話している間にほとんどの魔法少女はムエリットに手出しすらできずに敗北している。
「だから、ここは俺が戦う」
「だ、大丈夫?」
サナの心配そうな顔に、俺は笑顔を見せて言葉を返す。
「大丈夫、以前戦ったことがある。勝てないわけじゃない」
戦い方を見ても、ネトゲの時と戦い方は一緒だ。圧倒的な素早さとパワーで相手に何もさせずに一方的に封殺する手法。
スコップ相手となめていた魔法少女たちはみな、ムエリットに倒され倒れこんでいる。
当の本人は特に疲れている様子もなく不満げな表情。
「雑魚の相手はもう飽きた、アグナム。やっぱりお前がいないとな、再戦だ。来い」
仕方ない。ここは行くしかないか。
「わかったよ。相手になるよ」
真っ先に俺がムエリットに間合いを詰めると、目に見えぬ速度でその剣を振り下ろす。
しかしムエリットは構えていたスコップを振り上げ、跳ね除ける。
ゲームではこいつはパワーを生かした戦いが得意だったな。だったら、こう戦おう。
俺は跳ねられた剣の進路を変え、目にも見えない速さで一気に切り下す。
ムエリットはスコップを横に構え、それを防ぐ。それでも俺は左足を踏み込み、さらに切り上げる。
「すごい、2人とも攻撃が全然見えない」
「レベル高いなあ……」
周囲から2人の戦いに戸惑いの声が漏れる。これが俺の得意技だ。
1つ1つの攻撃のつなぎが、あまりに早く、並の相手なら俺の攻撃を受けきることができない。
それに 駆け引きを駆使して、相手を誘導しているのだ。
俺が右の脇腹に突きを入れると、何とムエリットは攻撃をよけずに攻撃を受けたのだ。
そしてそのまま俺をめがけてスコップを切り上げる。
俺はとっさに後ろに飛び下がり、ギリギリで攻撃をかわす。
俺は半ば反射的に力を返し、真っ向から受け止めた。腕の感覚がなくなるくらい重い、スコップと剣がぶつかり、火花がまき散っている。
仕方ない、ここは勝負に出るしかない。
ふわりと体が宙に浮きあがったような感覚 ぐるりと天地が逆転した。
俺を、投げ飛ばしただと。
宙に浮いていた もがこうとするが、どこも触れていない空中では力の入れようがない
「これで決まりだぁ!!」
ダーク・ストーム・フレア
ムエリットも勝利を確信したのか。一気に前に出る。
そして、相手が勝利を確信したこの時、俺も勝利を確信した。
万物を加護する守りの象徴。今顕現せよ!
ファイアーウォール・テンペストガード
俺はムエリットとの間に炎でできた障壁を繰り出す。ほとんど距離がないところに召喚したためムエリットの斬撃はほとんど威力をつけることができず障壁に阻まれてしまう。
俺の行動は障壁でムエリットからは見えない。勝負を決めるには絶好の機会だ。
再び剣に魔力をこめる。
障壁の先にいるムエリットめがけて──。
そしてその攻撃が障壁に衝突しようとした瞬間パッと障壁を消す。
その光景を見たムエリットはただ驚くだけ、ガードもしていない。
脳裏には1つの術式が浮かぶ。名前からして、ここで浮かんだことからも斬撃の術式だろう。
悠久なる輝きをまとい、赫焉なる斬撃、ここに現れよ
ホープ・ソード・スレイシング
ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ──!!
俺の剣にまとっていた魔力が何倍も増幅する。これだけあればこいつを倒せる。
俺の振り上げた斬撃がムエリットの胴体を引き裂く。ガードをすることもできず直撃。そして彼女の肉体は後方に吹き飛び廃墟と化したがれきに衝突する。
ムエリットの肉体から魔力が消えかけている。もう勝負はついた。
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