TS! 俺、女の子になってるっ? 魔法少女になった俺は、最強になって百合展開を楽しむようです

静内燕

文字の大きさ
上 下
15 / 122

第15話 初めての強敵 幻虚獣(ホロウ)

しおりを挟む
 そして早歩きで20分ほど。

「ここが目的地ね」

 目的の東エリアに到達。とりあえず周囲を見回してみると──。

(随分と貧しい街だな)

 不規則に並ぶ古びた家屋。街を歩く人々の服はどこかボロボロだったりみずほらしかったりしていて、貧しい人達が暮らしている。簡単に説明するとスラム街という印象だった。
 そしてスラム街の入り口に入るとすぐにその巨体に気づく。

 動物のグリズリーにそっくりだが、まず違うのは大きさと色。20メートルほどの巨体に、真黒な肉体。

「あれが幻虚獣ホロウ

 通常の兵器ではダメージを与えられない。魔法少女の攻撃のみが彼への有効打となる。
 その種類は無数にあり、見つけた動物や人間を襲い続けるという習性をもっている。


 彼らの特徴は一人一人が魔法少女10~100人分の強さを持っているということだ。
 尋常ではない強さ、周囲から魔法少女たちの悲鳴が次々と上がる。

 グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!

 目の前にいるのは数10メートルともあるどす黒いオーラに包まれた巨体。そして最も特徴的なのが3つに分かれた首。

 周囲を威嚇するような強い雄叫び、それだけで周囲の民間人や魔法少女たちを震え上がらせる威圧感を感じさせていた。

「あれが敵ということだな?」

「うん。けど最初は他のま──」


?」



 自信満々に俺は叫ぶ。サナはあわあわと手を振り始めた。

「そうだけど、幻虚獣ホロウ
 って強いから、いつもは他の魔法少女と連携をとって倒すの」

 なるほど、けど魔法少女達、苦戦してるようだ。彼女たちの顔に焦りと戸惑いが浮かんできてるぞ。

 俺は隣にいる青髪の魔法少女にあいつがどんな幻虚獣ホロウなのか聞いてみる。すると──。

「あの幻虚獣ホロウ、復活するんですよ。倒しても倒してもキリがないんです」

 疲れ切った表情をしながらの言葉。確かゲームでもこういうタイプの敵はいたな。確か倒すには復活できないくらいのダメージで1撃必殺をするか、回復の隙を与えないくらいの連続攻撃で倒しきるかのどっちかだな。

 とりあえず変身するか。

 シャイニング・フレア・プリズムダスト・エンブレス

 キャミソールに近く、灰色と白を基調としたフリフリの衣装。昨日も感じていたけど、やっぱり派手な衣装だなこれ。

 そしてサナも変身をする。

 エンシェント・エンライズ・ピーチハート・コーティング

 サナの衣装は髪色と同じピンク色を基調としたかわいい系の衣装。ピンク色のメイド服に近く、肩が露出していて色気を出している。

 ユピテル戦ではよく見てなかったけどかわいさがあふれる衣装だ。

「サナ、俺に作戦がある。ちょっと協力してほしい」

 そして俺はサナに耳打ちしてその作戦を話す。引き受けてくれるといいな。

 すると──。


「わかった。遠距離なら私得意だから、任せてよ」


 とりあえず首を縦に振ってくれた。よかった。

 そして俺は幻虚獣ホロウに視線を向ける。確かゲームでも見たことがあるな、名前は確かダークライト・エンド・ドラゴンだっけ。


 3つの首が一斉に咆哮を上げる。

 その姿に暗鬱な雰囲気だったこの場所のあちこちから悲鳴や恐怖の声が聞こえてくる。

「あれ、強いよ勝てるわけないよ」

「どうしよう」

 そんな弱音を吐く魔法少女たちの前に俺は立つ。

「あとは俺たちに任せて、俺たちに撤退して」

「そんな、たった1人で。無理ですよ」

「大丈夫。あとは俺たちがやるから」

 そして俺が幻虚獣ホロウをにらみつける。すると幻虚獣ホロウの口が一つ開いた。
 そこに大量の魔力が渦を巻いているのがわかる。

(来る──!)




「みんな、逃げろ!」

 その叫び声とともに、ほかの魔法少女はその口の先から全力で逃げ出す。

 数秒後、幻虚獣ホロウの口から放たれたどす黒い光線が、その先にある石畳の道や建物を跡形もなく吹き飛ばした。

「まともに食らったら終わりだな」

 そう俺は覚悟を決める。しかし、行かなければ倒すことはできない。行く以外に道はない。

 俺は深呼吸して呼吸を整えると、幻虚獣ホロウに急接近する。

 幻虚獣ホロウはそれに気づき巨大な咆哮を浴びせ、3つの首たちがそれぞれ光線を放ち始める。

 グォォォォォォォォォォォォォォォォォ!

 俺はその光線を横に、上に、ギリギリでかわしながら大きく飛び跳ね、敵の首元で剣を振り下ろす。

 ズバァァァァァァァァァァ!

 幻虚獣ホロウの首から下がバサッと切断される。そして着地の際にほかの首からの光線が来るのがわかる。

 俺は幻虚獣の足元に着地、これなら攻撃は来ない。至近距離ではなったら自分まで焼かれるからな。

 攻撃は前方の建物に直撃、豪快な爆発音を上げ周囲は廃墟と化す。


「下がって!」

 サナの叫ぶ声が聞こえる。俺はその言葉通り後方に大きくジャンプする。

 その瞬間、俺の頭上を巨大な魔力が伴った攻撃が飛んでいくのがわかる。
 攻撃は幻虚獣ホロウに直撃、回復しようとした肉体は大きく損傷。

「このスキ、一気に決める」

 幻虚獣ホロウは口からさっきより小さな砲弾のような攻撃を口から出してくる。さっきより威力は少ないものの連続攻撃ができるようだ。さっき切り落とした首は今回復中でそこから攻撃が出ない分攻撃の密度は低い。

 俺はその連続攻撃をかわしながら一気に接近。大きく飛ぶともう1つの首を切り落とした。これで首はあと1つ──。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...