TS! 俺、女の子になってるっ? 魔法少女になった俺は、最強になって百合展開を楽しむようです

静内燕

文字の大きさ
上 下
9 / 122

第9話 サナ、あんまり抱きつかないで

しおりを挟む
「どういうつもり?」



 その時になってやっとレテフはサナに視線を向け始めた。

 まるで、初めてサナがいることに気が付いたようなキョトンとした表情で彼女を見つめる。すると──?

「なんのつもり? 私の愛の邪魔をするなら、あなたを微粒子レベルまで粉々にしてやるわ!!」

「何のつもりは、こっちのセリフだよ!! いきなりアグナムに何するの?」

「何って、キスのこと?」

「それ以外に何があるの! いきなりキスなんてどう考えてもおかしいでしょ!!」

 サナの言葉にレテフがため息を漏らし──。

「別に? 私にとってはふつうよ。でもそれがあなたにどう関係しているの? 2人の問題でしょう? 彼女がそれを望むなら特に異論はないはずよ」



「それは……」

「それとも、あなたはアグナムの何なの? 恋人? 婚約者? 彼女?」

 レテフの反論にサナは思わず黙ってしまう。確かに、こういうのは俺がやめてくれと言わないと、止める理由がなくなってしまう。



 一方当の被害者である、俺はというと──。

(生まれて初めての、キス──)

 あまりのショックに言葉を失い呆然としている。そんな俺にサナが詰め寄り叫ぶ。

「もう、アグナムもなんか言ってよ。いきなりキスなんて非常識ってちゃんと言わないと!!」

 あ、ああ……。そうだった。

「さ、さすがにいきなりキスは、ないんじゃないかな──」

 俺は彼女の予想外の行為に圧倒されながらも、作り笑いをしながら優しく言葉を返した。

 しかしレテフは1歩も引かない。

「そんなことないわ。私は、あなたにお姫様だっこされた時に好きになってしまったの。その唇が欲しいって体中が疼いてしまったのよ。キスがなかったら、私は欲望を抑えきれなくなってもっとエッチな事をしてしまっているわ。私を惚れさせた責任をとって!!」

 すごい必死なのが分かる。演技ではなさそうだ。そして……。


 (ちょっと待ってそれはさすがにーー)

 今まで女の子とキスをしたことがない事に帳尻を合わせると言わんばかりの、濃厚で野獣のような、獣のようなディープキス。

 時間にして数10秒だったかもしれないが、俺にとっては永遠に感じられた。そして終わった後はあまりの衝撃にレイプ目で茫然となり、サナに肩を貸してもらいながら何とか彼女が住む部屋に帰ったのだった。








 そして夜、街の中心部の住宅街にあるサナの部屋にすむ事になった俺。

「ちょっと、散らかっててごめんね」



「そ、そんなことないよ」



 心からそう思う。サナの部屋は豪華ではないものの、シンプルで片付いている。綺麗な花が飾られている花瓶や、かわいい小道具などがあってとても女の子っぽいと感じた。



 今日はいろいろあって疲れた。俺がソファーでぐったりと倒れているとサナが話かけてくる。

「じゃあ、私先にシャワー浴びちゃうね」



 するとサナはなんと突然自分の服を脱ぎ始めたのだ。まて、今の体は確かに女だけど心は男のままなんだぞ!! 
 彼女のスイカのようなたわわな胸とその綺麗さを引き立てるような純白の下着が目の前に現れる。

 思わす俺は目をそらし体を後ろに向ける。サナは不思議そうな表情をし始め、何食わぬ表情で俺に抱きついてくる。

「何で驚いているの? 別に女の子同士何だから問題ないでしょ」

 背中には大きなマシュマロの感覚2つ。理性がぶっ飛びそう──。

 恐らく本人としてはスキンシップの自摸にでやっているのだろうが……。だがこれ以上取り乱すと流石に怪しまれると思い、俺は冷静な態度を取り戻す。

「ああ、こめんね。そ、そうだよね……」

「そうだよ、一緒に行動するんだから、ちゃんと親睦を深めないと!!」

 サナが目をキラキラさせながら言葉を返す。

「じゃあ、私先にシャワー浴びてくるね!!」



 そして彼女はシャワー室に向かっていった。



 ポツンと部屋に残された俺は頭を抱える。

 確実に彼女は俺が男であったことを知らない。下着姿を見てしまった以上言えない。

 俺を確実に女の子として扱ってくる。





 何かにつけて抱きついてくるし、何より距離が近い。歩いている時も、冗談交じりに腕を組んできたり、腕をくっつけたりしてくる。

 理性が持つのだろうか、心配になる。

 ──なんとか頑張ろう。

 そして10分ほどするとサナがシャワーを浴び終える。体にバスタオルを巻いた姿。お風呂に入って体がほでっていて、とても色気があるように見える。

「じゃ、じゃあ次は俺が入るよ」

 そして更衣室に入り、服を脱いで風呂に入る。

 あれっ、お尻が引っかかる。
 

 最初に違和感を覚えたのはパンツを脱ごうとした時だった。なんとパンツが大きいお尻に引っかかってしまい脱ぐことができない。
 仕方なく、ゆっくりと丁寧にパンツを脱ぐ。

 今度はシャツを脱ごうとしたとき。

 う、うそ……、胸が引っかかる。

 今度は大きい自分の胸が引っかかってしまうのだ。仕方なく、脱ぎ方を変える。
 腕を交差して裾を持ち、胸がこすれないようにしてゆっくりとシャツを脱ぐ。

 いわゆる女の子脱ぎという脱ぎ方だ。

 
 ただ服を脱ぐだけだったのに、自分の性別を嫌というほど痛感させられた脱ぎ方だった。こんなことがこれから続くのか、大変だな……。

 俺がシャワーを浴びながら、今日のことを思い出す。

(いろいろあったな今日、うまくいくように頑張らないと)

 そんなことを考えていると──。





 ガラガラガラガラ、コトッ。

 更衣室から物音がする。

 誰かが入ってくるのか? 俺は思わずその方向に視線を向ける。すると――。



「ふふふ――。おまたせ」

 俺は予想もしなかった光景に思わずフリーズしてしまう。

「レテフ、だっけ――。何でここにいるんだ?」

 そうレテフだ。別れたはずの彼女がここにいる。それも全く服を着てない全裸。そして両手で胸と大事な部分を隠しながら微笑を浮かべている。

 その微笑は──、獲物を捕らえようとする肉食動物のような目つきだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...