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第3話 スカート姿。何か慣れないな……
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明るい表情で見つめてくるサナ。っていうか顔が近い、目の前にいる。以前の俺ではありえなかった。絶対サナ、俺が元男ってこと知らないだろ。
思わずドキッとして顔を赤らめてしまう。
「そ、そうだね」
噛み気味に返事をした後、サナが俺の握った手を強く引っ張って部屋を出る。
あたりを見てみるとここは教会のような場所らしく、礼拝所があったりシスターの服を着た人がいたりと物珍しい雰囲気を感じた。
そして教会を出て2人は外の世界に出る。
その光景に俺は興味しんしんで周囲に視線を向ける。
俺達の目の前に、中世ヨーロッパのような街並みが広がる。
多くの人々でごった返していてにぎやかな繁華街。
見たことが無いような果物や野菜を打っている露店
多くの荷物を乗せた台車と、それを引く大きな動物。
獣のような顔立ちをした人もいて、亜人がいることも分かる。
俺はその風景を物珍しそうに見る。すると、それを察したサナが明るく話しかけてくる。
「アグナムちゃんの世界は、こういう風景って無いの?」
「まあね。何百年も前の風景がこんな感じだったって本に書いてあった」
「何百年も前? そんな世界にいたんだ。今度詳しく聞かせて!!」
サナが興味しんしんそうに聞いてきた。まあ、今度じっくり話すとしよう。
そして俺はサナと一緒に街並みを見ながら歩いて行くのだが──。
「どうしたの? アグナムちゃん、足元をじろじろ見て」
「あ、何でもない──、大丈夫。歩こう」
生まれて初めてのスカート。太ももが少し見えるくらいの短めのミニスカート。
よくいえば通気性が高いんだろうけど、今までズボンで生きてきた俺にとってはスースーしすぎて違和感しかない。
風がなびけば、すぐにひらりとめくれて周囲にサービスシーンのご提供になるだろう。何かズボンと比べて頼りないな……。
「うわああああ!!」
背後から叫び声。振り向くと荷物を載せた台車がどんがらがっしゃんと荷崩れ似ているのが分かる。
俺とサナはすぐにその場に小走りで移動。
木の箱や、それに入っていた果物や野菜などが散乱していた。すぐに落ちていた果物や野菜を拾い、木の箱に入れる。
そしてある程度こぼした果物と野菜を入れた木の箱を持ち上げようとしたのだが……。
(えっ、こんなに重いの?)
予想外の重さ、木の箱の重さに振りまわされそうになる。
慌ててサナが近寄る。
「無理しないで! 一緒にもとう」
そして2人で木の箱を持ち上げ、荷台に戻す。
以前ならこんな箱、簡単に持てたのに──。
これくらいなら持ち上がる。という俺のイメージに反して、俺の今の少女の腕では持ち上げるのがやっとで、荷物の重さに体を振りまわされ方向を制御できない。
やはり女の子になって筋力が落ちてる……。男だった時の感覚で重い物を持つのはやめた方がいいな。
「嬢ちゃん達、ありがとうね。これ、お礼に受け取っておくれ」
「あ、いえいえ。別にお礼が目的でやったわけではないですし──」
「いや、礼くらいさせておくれ。自慢のドライフルーツだ、いつもはあの先で売っているんだ。いつでも売っているからぜひ来ておくれ」
「──わかりました、受け取っておきます。ありがとうございます」
リンゴのような甘酸っぱいドライフルーツを歩きながら食べると話しの本題に入る。
そう、俺にとっては死活問題となるあの話だ。
「あのさぁ──。この世界では魔法少女っていうのがあるって聞いたんだけれど。本当なの?」
「本当だよ。私もそうだし」
心の中で飛び上がり、テンションは最高潮に達する。
やっぱりこの世界は魔法少女がいるんだ。魔法少女になれるんだ。わくわくしてきた。
「知らないみたいなら、ざっくりと説明した方がいいか──」
そしてサナが街を歩きながらこの世界の魔法少女の説明に入り始める。
「この世界にはね、魔法少女が存在するんだけどね。体内に魔力を宿し、魔法が使える素質がある少女が変身をして魔法少女になるの」
「彼女達の主な仕事は、街の外で狩りをしたり、悪の組織と戦ったりすることが1つ。さらに政府の要人に雇われて傭兵のような存在になるの。それで護衛を行ったり作戦を実行したりするのが1つ。そしてね、もう1つが「レート」と言われる行為。なんだけどね」
(レート? 何だそれは、ちょっと想像がつかないな)
「一言で表現すると観客達の前で1対1で戦う競技。それを行って報酬を得る行為なの。もうすぐそれをやっている建物が見えるから、実際に戦っている所を見てみる方が分かると思う」
2人が街中を歩く事10分ほど、コロッセオのような外観をした建物が現れた。
サナの説明によるとここが目的の建造物のようだ。
(なるほど、ここで観客が見ている前で決闘みたいなことをして収入を得るってことか)
入口で門番の兵士に入場料を請求される。まずい、俺はお金を持っていない──、と考えていたらサナが俺の分まで払ってくれた。ありがとう、いつかこの分は返すよ。
そして建物の中に入ると観客の歓声が聞こえ出す。
ウォォ──、ウォォォ────!!!!!
「サナ、もう試合始まっているんじゃないのか?」
「えっ? 多分選手紹介だと思うよ。試合なら爆発音とか聞こえているはずだし」
選手紹介、戦いだけではなくエンタメ性もあるのか。ちょっと興味あるな──。
そして少し長めの道を抜け、闘技場の中に入る。
思わずドキッとして顔を赤らめてしまう。
「そ、そうだね」
噛み気味に返事をした後、サナが俺の握った手を強く引っ張って部屋を出る。
あたりを見てみるとここは教会のような場所らしく、礼拝所があったりシスターの服を着た人がいたりと物珍しい雰囲気を感じた。
そして教会を出て2人は外の世界に出る。
その光景に俺は興味しんしんで周囲に視線を向ける。
俺達の目の前に、中世ヨーロッパのような街並みが広がる。
多くの人々でごった返していてにぎやかな繁華街。
見たことが無いような果物や野菜を打っている露店
多くの荷物を乗せた台車と、それを引く大きな動物。
獣のような顔立ちをした人もいて、亜人がいることも分かる。
俺はその風景を物珍しそうに見る。すると、それを察したサナが明るく話しかけてくる。
「アグナムちゃんの世界は、こういう風景って無いの?」
「まあね。何百年も前の風景がこんな感じだったって本に書いてあった」
「何百年も前? そんな世界にいたんだ。今度詳しく聞かせて!!」
サナが興味しんしんそうに聞いてきた。まあ、今度じっくり話すとしよう。
そして俺はサナと一緒に街並みを見ながら歩いて行くのだが──。
「どうしたの? アグナムちゃん、足元をじろじろ見て」
「あ、何でもない──、大丈夫。歩こう」
生まれて初めてのスカート。太ももが少し見えるくらいの短めのミニスカート。
よくいえば通気性が高いんだろうけど、今までズボンで生きてきた俺にとってはスースーしすぎて違和感しかない。
風がなびけば、すぐにひらりとめくれて周囲にサービスシーンのご提供になるだろう。何かズボンと比べて頼りないな……。
「うわああああ!!」
背後から叫び声。振り向くと荷物を載せた台車がどんがらがっしゃんと荷崩れ似ているのが分かる。
俺とサナはすぐにその場に小走りで移動。
木の箱や、それに入っていた果物や野菜などが散乱していた。すぐに落ちていた果物や野菜を拾い、木の箱に入れる。
そしてある程度こぼした果物と野菜を入れた木の箱を持ち上げようとしたのだが……。
(えっ、こんなに重いの?)
予想外の重さ、木の箱の重さに振りまわされそうになる。
慌ててサナが近寄る。
「無理しないで! 一緒にもとう」
そして2人で木の箱を持ち上げ、荷台に戻す。
以前ならこんな箱、簡単に持てたのに──。
これくらいなら持ち上がる。という俺のイメージに反して、俺の今の少女の腕では持ち上げるのがやっとで、荷物の重さに体を振りまわされ方向を制御できない。
やはり女の子になって筋力が落ちてる……。男だった時の感覚で重い物を持つのはやめた方がいいな。
「嬢ちゃん達、ありがとうね。これ、お礼に受け取っておくれ」
「あ、いえいえ。別にお礼が目的でやったわけではないですし──」
「いや、礼くらいさせておくれ。自慢のドライフルーツだ、いつもはあの先で売っているんだ。いつでも売っているからぜひ来ておくれ」
「──わかりました、受け取っておきます。ありがとうございます」
リンゴのような甘酸っぱいドライフルーツを歩きながら食べると話しの本題に入る。
そう、俺にとっては死活問題となるあの話だ。
「あのさぁ──。この世界では魔法少女っていうのがあるって聞いたんだけれど。本当なの?」
「本当だよ。私もそうだし」
心の中で飛び上がり、テンションは最高潮に達する。
やっぱりこの世界は魔法少女がいるんだ。魔法少女になれるんだ。わくわくしてきた。
「知らないみたいなら、ざっくりと説明した方がいいか──」
そしてサナが街を歩きながらこの世界の魔法少女の説明に入り始める。
「この世界にはね、魔法少女が存在するんだけどね。体内に魔力を宿し、魔法が使える素質がある少女が変身をして魔法少女になるの」
「彼女達の主な仕事は、街の外で狩りをしたり、悪の組織と戦ったりすることが1つ。さらに政府の要人に雇われて傭兵のような存在になるの。それで護衛を行ったり作戦を実行したりするのが1つ。そしてね、もう1つが「レート」と言われる行為。なんだけどね」
(レート? 何だそれは、ちょっと想像がつかないな)
「一言で表現すると観客達の前で1対1で戦う競技。それを行って報酬を得る行為なの。もうすぐそれをやっている建物が見えるから、実際に戦っている所を見てみる方が分かると思う」
2人が街中を歩く事10分ほど、コロッセオのような外観をした建物が現れた。
サナの説明によるとここが目的の建造物のようだ。
(なるほど、ここで観客が見ている前で決闘みたいなことをして収入を得るってことか)
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そして建物の中に入ると観客の歓声が聞こえ出す。
ウォォ──、ウォォォ────!!!!!
「サナ、もう試合始まっているんじゃないのか?」
「えっ? 多分選手紹介だと思うよ。試合なら爆発音とか聞こえているはずだし」
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