140 / 221
巨大なる襲撃編
信じてる。頼むよ
しおりを挟む
「何だァテメェラ──、ここは貴様のようなボンクラが来るところじゃねェんだぞォ」
「フン、まだ俺達の実力を貴様は知らないはずだ。その油断と甘さが貴様の命取りになるとも知らずにな」
「二人とも、今も組んでいたのか……」
「はい、私ルーデルさんについていかせていただいています。とても学びになりますしまだまだ足を引っ張ってしまう時もありますけど──」
幸一は自分と会った後の二人について噂は耳にしていた。シスカは彼を慕い一緒に行動していたのだった。
ルーデルとシスカは幸一達が様々な活動を行っている中、目立たないところで魔王軍についての捜査や地方で魔王軍と戦いなどを行ったりしていたと聞いている。
噂によると地方で魔獣たちと戦っていてそれなりの成果を上げていたらしい。
しかし二人は元々いがみ合っていた事もあり彼女がここまでルーデルを慕っているとは思っていなかった。
「貴様たちは己の目的に盲目になりて気を作り過ぎた。その酬いを受ける時が来た」
「どういう事ですか? 言いたいことがあったらはっきりと言ったらどうです?」
トマスの言葉にも二人は動じずに睨みを聞かせながら言葉を返していく。
「貴様たちに恨みを持っているのはこいつらだけではないということだ」
「わかっていますか? あなたたちがどれだけの人を傷つけていたか? あなたたちの好き放題になんかさせません」
シスカも怯えながらも強気な口調でフィリポ達に向かって叫ぶ。恐らく今までルーデルと戦って来た事でこの程度のことでは動じなくなったのだろう。俺が初めて出会った時よりどこか強くなっていると感じた。
「何? あなたは今まで道端に落ちている石ころを数えているっていうの?」
フィリポはシスカの言葉に何のためらいもなくやれやれと答える。
シスカはそれでも彼女をギッと睨みつける。
「たとえあなたから見たら石ころにしか見えなくても。私たちは最後まで戦います。そして石ころとしか見ていなかった事を必ず後悔させます」
その挑発ともいえる言動に幸一は驚き言葉を失う。彼が知っていたシスカは兎を殺すのもためらうくらい気弱な性格であった。
「なるほど、シスカ……、強くなったんだな」
そうぼそりとつぶやく幸一にルーデルが腕を組み始め話しかける。
「そうだ、こいつはの成長は驚くばかりだ。昔のシスカだと思い込んでいたら確実に痛い目に会う」
お墨付きを与えるルーデル。
ルーデルは動物を狩るのに躊躇していたシスカを最初は毛嫌いしていたが行動するうちに強くなりシスカを認めるようになっていったのだった。
「俺達も協力させろ。貴様がいくら実力があろうとも二つの戦場で同時に戦う事は出来ない。お前の戦友はお前がやれ、眼前にいる忌々しい化け物は──、俺達が片付ける」
幸一は彼の言葉に首を縦に振る。彼の目を見れば明らかに理解できた、彼の決心の強さ、魔王軍への怒りの強さ、殺意が──。そしてもう一人戦う事に手を上げる人物がいた。
「幸君、私も戦う!!」
イレーナだった。彼女はフィリポ達に不意をつかれ幸一のピンチの間意識を失っていた。その悔しさに握りこぶしをしながら覚悟を決めた。
「私たちはあなたたち人類に自分から手出しは出来ません。だからここでお別れですわね」
「そうだなァ。今回はここまでにしておいてやるよォ」
「おい待て、こんなことをしておいて逃げるのか!!」
ピッ──。
フィリポが幸一の言葉を無視して指をはじく。すると──。
シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。
二人の天使は蒸発するように消滅していった。悔しがり歯ぎしりをするイレーナとルーデル。
「じゃあ、私もこの場を去るとするわ。またどこかで会いましょう……」
「待て、逃げる気か!!」
一瞬だけこの場に閃光が走り幸一達が目をつぶってしまう。そして次の瞬間に幸一達が目を開けると──。
「くっ、すでにいないか──」
グロリアはすでにいなかった。そして残された四人に青葉が話しかける。
「残念ね、じゃあ戦う覚悟は出来たかしら?」
「ああ青葉、俺は絶対にお前に勝つ!!」
青葉の挑発じみた言葉に幸一が強気な態度で返す。
唯一心配なのは外にいる魔獣たちの事だが──。
「あの大型魔獣は俺達が相手をする。一般冒険者にはそのほかの普通の魔獣と戦わせる。これでだいじょうぶだろう」
「わかった。イレーナ、シスカ、ルーデル、信じてる。頼むよ」
ルーデルの言葉に幸一が即答。これで心置きなく青葉との決戦に集中できる事となった。
そんな幸一にイレーナが勇気づけるように話しかける。
「頑張って幸君。私、応援してるからね!」
イレーナは理解していた。今までずっと戦って来た友と戦う事は、どんな強大な敵と戦うよりも覚悟がいる事だろうと。
彼女にはその経験はない、しかし想像は出来る。今の彼がどれだけつらいか──。言葉足らずだったかもしれないがこれが精いっぱいの言葉だった。
そして青葉は幸一を指差し──。
「じゃあ幸君。私と戦うために素晴らしい戦場へ連れて行ってあげるわ。」
そう宣言するとその指が光り出し、光は幸一の所に向かって進む。そして光が幸一を包み込み始め──。
シュウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──。
二人の姿が消えるように消滅していった。
「これで脅威の一つは消えた。奴の実力を信じるしかあるまい」
そしてルーデル達は巨大魔獣と相対する。
「フン、まだ俺達の実力を貴様は知らないはずだ。その油断と甘さが貴様の命取りになるとも知らずにな」
「二人とも、今も組んでいたのか……」
「はい、私ルーデルさんについていかせていただいています。とても学びになりますしまだまだ足を引っ張ってしまう時もありますけど──」
幸一は自分と会った後の二人について噂は耳にしていた。シスカは彼を慕い一緒に行動していたのだった。
ルーデルとシスカは幸一達が様々な活動を行っている中、目立たないところで魔王軍についての捜査や地方で魔王軍と戦いなどを行ったりしていたと聞いている。
噂によると地方で魔獣たちと戦っていてそれなりの成果を上げていたらしい。
しかし二人は元々いがみ合っていた事もあり彼女がここまでルーデルを慕っているとは思っていなかった。
「貴様たちは己の目的に盲目になりて気を作り過ぎた。その酬いを受ける時が来た」
「どういう事ですか? 言いたいことがあったらはっきりと言ったらどうです?」
トマスの言葉にも二人は動じずに睨みを聞かせながら言葉を返していく。
「貴様たちに恨みを持っているのはこいつらだけではないということだ」
「わかっていますか? あなたたちがどれだけの人を傷つけていたか? あなたたちの好き放題になんかさせません」
シスカも怯えながらも強気な口調でフィリポ達に向かって叫ぶ。恐らく今までルーデルと戦って来た事でこの程度のことでは動じなくなったのだろう。俺が初めて出会った時よりどこか強くなっていると感じた。
「何? あなたは今まで道端に落ちている石ころを数えているっていうの?」
フィリポはシスカの言葉に何のためらいもなくやれやれと答える。
シスカはそれでも彼女をギッと睨みつける。
「たとえあなたから見たら石ころにしか見えなくても。私たちは最後まで戦います。そして石ころとしか見ていなかった事を必ず後悔させます」
その挑発ともいえる言動に幸一は驚き言葉を失う。彼が知っていたシスカは兎を殺すのもためらうくらい気弱な性格であった。
「なるほど、シスカ……、強くなったんだな」
そうぼそりとつぶやく幸一にルーデルが腕を組み始め話しかける。
「そうだ、こいつはの成長は驚くばかりだ。昔のシスカだと思い込んでいたら確実に痛い目に会う」
お墨付きを与えるルーデル。
ルーデルは動物を狩るのに躊躇していたシスカを最初は毛嫌いしていたが行動するうちに強くなりシスカを認めるようになっていったのだった。
「俺達も協力させろ。貴様がいくら実力があろうとも二つの戦場で同時に戦う事は出来ない。お前の戦友はお前がやれ、眼前にいる忌々しい化け物は──、俺達が片付ける」
幸一は彼の言葉に首を縦に振る。彼の目を見れば明らかに理解できた、彼の決心の強さ、魔王軍への怒りの強さ、殺意が──。そしてもう一人戦う事に手を上げる人物がいた。
「幸君、私も戦う!!」
イレーナだった。彼女はフィリポ達に不意をつかれ幸一のピンチの間意識を失っていた。その悔しさに握りこぶしをしながら覚悟を決めた。
「私たちはあなたたち人類に自分から手出しは出来ません。だからここでお別れですわね」
「そうだなァ。今回はここまでにしておいてやるよォ」
「おい待て、こんなことをしておいて逃げるのか!!」
ピッ──。
フィリポが幸一の言葉を無視して指をはじく。すると──。
シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。
二人の天使は蒸発するように消滅していった。悔しがり歯ぎしりをするイレーナとルーデル。
「じゃあ、私もこの場を去るとするわ。またどこかで会いましょう……」
「待て、逃げる気か!!」
一瞬だけこの場に閃光が走り幸一達が目をつぶってしまう。そして次の瞬間に幸一達が目を開けると──。
「くっ、すでにいないか──」
グロリアはすでにいなかった。そして残された四人に青葉が話しかける。
「残念ね、じゃあ戦う覚悟は出来たかしら?」
「ああ青葉、俺は絶対にお前に勝つ!!」
青葉の挑発じみた言葉に幸一が強気な態度で返す。
唯一心配なのは外にいる魔獣たちの事だが──。
「あの大型魔獣は俺達が相手をする。一般冒険者にはそのほかの普通の魔獣と戦わせる。これでだいじょうぶだろう」
「わかった。イレーナ、シスカ、ルーデル、信じてる。頼むよ」
ルーデルの言葉に幸一が即答。これで心置きなく青葉との決戦に集中できる事となった。
そんな幸一にイレーナが勇気づけるように話しかける。
「頑張って幸君。私、応援してるからね!」
イレーナは理解していた。今までずっと戦って来た友と戦う事は、どんな強大な敵と戦うよりも覚悟がいる事だろうと。
彼女にはその経験はない、しかし想像は出来る。今の彼がどれだけつらいか──。言葉足らずだったかもしれないがこれが精いっぱいの言葉だった。
そして青葉は幸一を指差し──。
「じゃあ幸君。私と戦うために素晴らしい戦場へ連れて行ってあげるわ。」
そう宣言するとその指が光り出し、光は幸一の所に向かって進む。そして光が幸一を包み込み始め──。
シュウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ──。
二人の姿が消えるように消滅していった。
「これで脅威の一つは消えた。奴の実力を信じるしかあるまい」
そしてルーデル達は巨大魔獣と相対する。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
色のない虹は透明な空を彩る〜空から降ってきた少年は、まだ『好き』を知らない〜
矢口愛留
ファンタジー
虹色の髪を持つ子爵令嬢、パステル・ロイドは、色を見分けることができない。
パステルは人との関わりを拒否し、社交シーズンでも領地で少数の使用人とのんびり過ごしていた。
閉ざされた世界で静かに暮らすパステルの元に、ある日、突然空からセオと名乗る少年が降ってきた。
セオは、感情を持たず、何処から来たかも分からない不思議な少年だった。
他人に必ずと言っていいほど憐憫や嫌悪、好奇の目を向けられるパステルは、何の感情も向けずに真っ直ぐ自分に向き合うセオに、徐々に惹かれていく。
だが、セオには「好き」の意味が分からない。
さらには、パステルの眼と、セオの失われた感情には、隠された秘密があって——?
不器用に、一歩ずつ、それでも成長しようともがく二人。
欠けている二人の、不思議な関係が始まる——。
【序章】
主人公の少女パステルと、不思議な少年セオとの出会いと交流を描く。
【本編】
失われた『色』と記憶、感情を取り戻すために二人は精霊たちを探して旅に出る。
*タイトルに◆が付いている回は過去の回想を含む回です。
*タイトルに★が付いている回は他者視点の回です。
*パステルは虹色の髪、灰色の瞳。セオは水色の髪、金色の瞳です(色を識別出来ないという設定上、人物描写が物語後半になりますので、混乱を避けるために載せています)。
*「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
*コンテスト履歴
『第8回カクヨムWeb小説コンテスト(ライト文芸)』中間選考通過
『マンガBANG×エイベックス・ピクチャーズ 第一回WEB小説大賞』一次選考通過
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む
兵郎桜花
ファンタジー
勇者になってもてたい少年イサミは王城を救ったことをきっかけに伝説の勇者と言われ姫とまぐわう運命を辿ると言われ魔王軍と戦うことになる。姫アステリアと隣国の王女クリム、幼馴染貴族のリンネや騎士学校の先輩エルハと婚約し彼女達王女の力を鎧として纏う。王になりたい少年王我は世界を支配することでよりよい世界を作ろうとする。そんな時殺戮を望む壊羅と戦うことになる。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる