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サヴィンビ編
これが、お前の弱点
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ギルドにたどり着いた幸一達、すぐに中に入る。中に入った瞬間彼がいることがすぐに分かった。独特のオーラがギルドの中に渦巻いていたからであった。 額に汗を浮かべ始める
「俺様を待たせるとはいい度胸だな。俺様は寛大だ、話だけは聞いてやろうぞ。」
マンネルへイムであった。多数の取り巻きの兵士たちに囲まれながらギルドの中に独特の存在感を放っている。
これでも本来の約束の約束よりも前に来ていたのだが──、相変わらずの傲慢な物言いであった。
「やはりあなたの一人で戦うと言う考えは受け入れられない。みんなで戦うべきだ、それがここにいるみんなの総意だ。あなたにもこの街のため力になっていただきたい」
「あや、勇者よ、先日の決闘もう忘れてしまったのか? 負け犬風情が俺様に意見だと? ずいぶんと偉くなったな、唯一王の勇者めが」
「あなたの好きにはさせません。私たちだって何もしていなかったわけではなかったんです」
サラが強気な視線を送りへイムに言葉を送る。へイムは無言でサラを睨む。
「ほう、無残にも敗北し表に姿を見せなかった犬どもがずいぶん自信に満ちた態度を見せるな、どんな悪あがきをするというのだ?」
すると今度は青葉がサラの前に出る。
「世界中に伝えるわ、あんたが自分の功績のために街中に余計な犠牲を出しても何とも思わない人物だってね。あんたの名声その物が地に落ちることになるわ。こっちだって何もやっていないわけじゃなかったのよ」
へイムの無言の睨みに青葉は一歩も引かず自信に満ちた態度で反論する。その通りだった、幸一達は決して表舞台で派手な活躍をしてはいない。そして見えないところでこの街の人の話しを聞き、理解しようとしていた。そして最高ではないが今現実的にできる最善の答えを何とか出していたのであった。
そしてこの状況を今どうすればいいか、圧倒的なカリスマ性と強さを持つこの人物を相手にして出した答え、それを青葉が言い放つ。
それを援護するようにへストリアが幸一の隣まで歩きへイムに向って反論する。
「お言葉ですがへイム様、今の彼らの言葉は妄言でもジョークでもございません。本当の言葉です」
「どういうことだ?」
いつものように冷静さを失わないながらもどこかとげのあるような物言い。
「へイム様、あなたの強さとその功績、存じております。尊敬の念を抱いております。
しかし私は国民たちの命を守ると言う使命がありますゆえこの命令を取り消すことは出来ません」
「あなたを尊敬している私から申し上げさせていただきます。私たちは どうかへイム様も同じ魔王軍と戦う御身分故ご協力をお願いいたします。あなたを敵として扱うつもりはありません、どうか魔王軍との戦い」
申し訳なさそうに頭を下げながらも彼は一歩も引こうとはしない。
もし魔王軍との戦いをボイコットするようなことがあればたちまちこのうわさは世界中に広まり彼のカリスマ性と名声は確実に落ちる。
そうなれば彼の冒険者で世界を作ると言う野望への道は間違いなく遠くなる。
もっとも彼が感情的にならず冷静に物事を判断出来ればの話ではあるが──。
「マンネルへイム、これが貴様の弱点だ。周りがすべて敵になれば例え貴様と言えど意見を変えざる追えない」
幸一は彼に惨敗した後考えた。確かに今の自分ではマンネルへイムを倒すことは出来ない。でも彼らを見殺しにすることなんてできない。
へイムをじっとにらみながら最後に一言こう囁く。
「貴様の壮大な野望、そして権威の失墜。それ自身が弱点だ」
国家や神などすべてを否定し自分を中心として冒険者が世界の頂点になり皇帝になった果のように権力を振るうこの計画。
それもまるで神であるかのような伝説が必要になる。つまり彼が一番恐れているのは自らの権威や威光の失墜であった。
だから支持者を全て失うことを認めるようなことは出来ない。
皮算用であることも理解していたが今幸一ができるへイムに対する唯一の対抗策だった。
「どうだ? 俺は確かにお前には勝てない。この前の戦いで嫌というほど思い知った。だが戦いに勝てなくても貴様を追い詰めることは出来る」
「私からもお願いいたします、私たちも確かに一つになれないところもあり大変未熟です。しかしこの街を守ると言う想いは一つになっています。厳しいことがあっても戦いぬくと誓っています。勇者さんだけではなく私達この街の冒険者全員の意見です」
へストリアも言葉を発した後、沈黙がこの世界を支配する。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
マンネルへイムは右手を額に当てながら高らかに大笑いをしだす。
「幸一よ、まさかそんな手を使うとはな──。一本取られたぞ、分かった、今回は貴様に協力してやろう。私は寛大で慈悲深い男だ。今回は協力してやろう」
何とか鼻につく言い方ながらも彼も賛成に回ってくれた。安堵する幸一達。
ひやっとする、すると──。
「なんだ、せっかくこの俺様が譲歩してやると言っているんだ、素直に喜んだらどうだ? この俺様がお望み通り貴様協力するんだぞ? 恐らくは二度とない行為なのだぞ」
「ありがとうございます。ではともに魔王軍と戦い平和を勝ち取りましょう。よろしくお願いいたしますマンネルへイム様」
気にいらない態度ではあったが彼の気分を損ねさせないため、黙って頭を下げる。その後、へストリアたちと一緒に陣形や作戦の相談などを行う。
そしてへイムが立ち去っていく。
姿が見えなくなると──。
「この世界に来て初めてだ、こんな冷や汗かいてドキドキしたのは──」
へたり込む幸一。イレーナが気になる質問する。
「どういうこと?」
「俺様を待たせるとはいい度胸だな。俺様は寛大だ、話だけは聞いてやろうぞ。」
マンネルへイムであった。多数の取り巻きの兵士たちに囲まれながらギルドの中に独特の存在感を放っている。
これでも本来の約束の約束よりも前に来ていたのだが──、相変わらずの傲慢な物言いであった。
「やはりあなたの一人で戦うと言う考えは受け入れられない。みんなで戦うべきだ、それがここにいるみんなの総意だ。あなたにもこの街のため力になっていただきたい」
「あや、勇者よ、先日の決闘もう忘れてしまったのか? 負け犬風情が俺様に意見だと? ずいぶんと偉くなったな、唯一王の勇者めが」
「あなたの好きにはさせません。私たちだって何もしていなかったわけではなかったんです」
サラが強気な視線を送りへイムに言葉を送る。へイムは無言でサラを睨む。
「ほう、無残にも敗北し表に姿を見せなかった犬どもがずいぶん自信に満ちた態度を見せるな、どんな悪あがきをするというのだ?」
すると今度は青葉がサラの前に出る。
「世界中に伝えるわ、あんたが自分の功績のために街中に余計な犠牲を出しても何とも思わない人物だってね。あんたの名声その物が地に落ちることになるわ。こっちだって何もやっていないわけじゃなかったのよ」
へイムの無言の睨みに青葉は一歩も引かず自信に満ちた態度で反論する。その通りだった、幸一達は決して表舞台で派手な活躍をしてはいない。そして見えないところでこの街の人の話しを聞き、理解しようとしていた。そして最高ではないが今現実的にできる最善の答えを何とか出していたのであった。
そしてこの状況を今どうすればいいか、圧倒的なカリスマ性と強さを持つこの人物を相手にして出した答え、それを青葉が言い放つ。
それを援護するようにへストリアが幸一の隣まで歩きへイムに向って反論する。
「お言葉ですがへイム様、今の彼らの言葉は妄言でもジョークでもございません。本当の言葉です」
「どういうことだ?」
いつものように冷静さを失わないながらもどこかとげのあるような物言い。
「へイム様、あなたの強さとその功績、存じております。尊敬の念を抱いております。
しかし私は国民たちの命を守ると言う使命がありますゆえこの命令を取り消すことは出来ません」
「あなたを尊敬している私から申し上げさせていただきます。私たちは どうかへイム様も同じ魔王軍と戦う御身分故ご協力をお願いいたします。あなたを敵として扱うつもりはありません、どうか魔王軍との戦い」
申し訳なさそうに頭を下げながらも彼は一歩も引こうとはしない。
もし魔王軍との戦いをボイコットするようなことがあればたちまちこのうわさは世界中に広まり彼のカリスマ性と名声は確実に落ちる。
そうなれば彼の冒険者で世界を作ると言う野望への道は間違いなく遠くなる。
もっとも彼が感情的にならず冷静に物事を判断出来ればの話ではあるが──。
「マンネルへイム、これが貴様の弱点だ。周りがすべて敵になれば例え貴様と言えど意見を変えざる追えない」
幸一は彼に惨敗した後考えた。確かに今の自分ではマンネルへイムを倒すことは出来ない。でも彼らを見殺しにすることなんてできない。
へイムをじっとにらみながら最後に一言こう囁く。
「貴様の壮大な野望、そして権威の失墜。それ自身が弱点だ」
国家や神などすべてを否定し自分を中心として冒険者が世界の頂点になり皇帝になった果のように権力を振るうこの計画。
それもまるで神であるかのような伝説が必要になる。つまり彼が一番恐れているのは自らの権威や威光の失墜であった。
だから支持者を全て失うことを認めるようなことは出来ない。
皮算用であることも理解していたが今幸一ができるへイムに対する唯一の対抗策だった。
「どうだ? 俺は確かにお前には勝てない。この前の戦いで嫌というほど思い知った。だが戦いに勝てなくても貴様を追い詰めることは出来る」
「私からもお願いいたします、私たちも確かに一つになれないところもあり大変未熟です。しかしこの街を守ると言う想いは一つになっています。厳しいことがあっても戦いぬくと誓っています。勇者さんだけではなく私達この街の冒険者全員の意見です」
へストリアも言葉を発した後、沈黙がこの世界を支配する。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
マンネルへイムは右手を額に当てながら高らかに大笑いをしだす。
「幸一よ、まさかそんな手を使うとはな──。一本取られたぞ、分かった、今回は貴様に協力してやろう。私は寛大で慈悲深い男だ。今回は協力してやろう」
何とか鼻につく言い方ながらも彼も賛成に回ってくれた。安堵する幸一達。
ひやっとする、すると──。
「なんだ、せっかくこの俺様が譲歩してやると言っているんだ、素直に喜んだらどうだ? この俺様がお望み通り貴様協力するんだぞ? 恐らくは二度とない行為なのだぞ」
「ありがとうございます。ではともに魔王軍と戦い平和を勝ち取りましょう。よろしくお願いいたしますマンネルへイム様」
気にいらない態度ではあったが彼の気分を損ねさせないため、黙って頭を下げる。その後、へストリアたちと一緒に陣形や作戦の相談などを行う。
そしてへイムが立ち去っていく。
姿が見えなくなると──。
「この世界に来て初めてだ、こんな冷や汗かいてドキドキしたのは──」
へたり込む幸一。イレーナが気になる質問する。
「どういうこと?」
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