23 / 221
シスカのアミラージ狩り
しおりを挟む
翌日。
三人は仕事をするために再びギルドに向かっていった。今日は特別な教育訓練をギルド全体で行う日になっている。
この世界では女性を教育するという感覚があまりなく、学校で教育させるより家で仕事をさせるという考えが強かった。
しかし魔法適性の強い女性が外に出る機会が増えていくようになる。なので教育を推進していくために研修という形で、外でどういった行動をとればいいかを教育する動き出来るようになる。
また、男性と接する機会が少なく、それが彼女たちが冒険者として育てていく上で弊害になってしまうのではないかという声も高まり、彼女たちの将来のことも考え男性と接する機会も与えようとのこともあっての開催であった。
湿地帯を抜け、拠点の林に到着する。
辺りには森が広がり、時折ウサギやシカなどの野生動物も垣間見える。
ここでは動物の狩猟や捌き方を教わることになっていた。
また、サラやイレーナも動物を捌いたことはないらしく、これから遠い異世界へ冒険をするかもしれない。そうなった時、自分で食料を調達の必要がある。なので、参加することになった。
また、ギルドで使う薬草を集めることになっており班分けが始める。
他にはアミラージと呼ばれる、シカのような角が生えたウサギを捕まえて捌くまでを行うようになっている。
黒髪で長髪の女性教官のオイグメールがこちらにやって来た、すると幸一たちに話しかけてくる。
「悪いが、少し頼みがあるんだけどいいかな?」
二人ほど同じグループで行動してほしいと説明。
一人はシスカという小さい女の子で年齢が低すぎてなかなかグループに入れてもらえず、実力にあるイレーナがいるなら大丈夫だと教官が考えて今回だけ組んでもらうというものである。
もう一人はルーデル・ラインハルトという人物で冒険者の中で数少ない男性の一人だった。
いつも1人でいて親しい者はいなく同じ男性がいるこのグループで行動させた方がいいということだった。
もちろん大丈夫です、と──。
「強がらなくたっていいんだよ、女の子がいっぱいいたほうがいいって正直に言えば?」
イレーナが茶化すように話に入る。するとそのルーデルがこの場にやってくる。
190cmくらいはありそうな身長、紫色で蟹とヒトデを足して2で割ったような髪型で幸一と同じくらいの年齢をした男性。
「あなたがルーデルさんですね? よろしくお願いいたします」
そう言って幸一は握手をしようと手を差し伸べる、しかし──。
「……」
手を差し伸べるどころか何も言わないルーデル。するとイレーナの隣からどこか弱弱しくかすれたような声で誰かが話しかけてくる。
「あのう、イレーナさんと幸一さんの所ってここですか?」
「うん、そうだよ」
イレーナが声がした方を向いて言葉を返す。そしてそこにいるのは小さい女の子でシスカと名乗り、そこには兎のような毛耳をした少女がいたのだが……。
「何でそんなぼろい服を着ているの?」
イレーナが思わず問いただす。まずその子はどう考えても12~3歳くらいしかない子供だった。さらに着ている服はボロボロで、髪の毛は幸一が見てもわかるくらい明らかに手入れがされていないのがわかる。
しかし髪の毛だけは整っていて、三つ編みおさげをしていた。
「魔力適性が群を抜いて他の人よりも高いんです」
サラはこの子の事情を知っているらしくそれを思い出して説明し始める。
彼女は元々貧困層で生まれた亜人であった。しかし魔力適正がとても高いことがわかり、すぐに多額の金を渡して士官学校に飛び級で入学する。
しかし元々16歳以上が入学条件だったため11歳の子が士官学校に入ること自体前例がなく、そのため彼女に会った制服が存在しないのでもっていた服はスラム街にいた時と変わらない服であった。
この街では貧富の差が激しく、スラム街がいたるところに存在していた。
彼女にとってここでなり上がることができなければ再びスラム街での生活、すなわち貧困へ一直線だという事を示すため必死になっていたのだが──。
「後薬草だ、俺はそういうの全然分からないけど知っている人は?」
幸一の質問にイレーナとサラが知っていると答える。
「2人は知ってる?」
幸一はシスカとルーデルに話を振る、しかしシスカは首を横にブンブンと振ってよくわかりませんと一言、ルーデルは──。
「そんなの興味はない!!」
そうぶっきらぼうに一言言うだけだった。
なので幸一はイレーナとサラが薬草を集め、残り3人でアミラージの狩りをしようと提案した。
何とかイレーナにも納得してもらい狩りがスタート。
3人は口をつぐみだして耳を澄ます。
アミラージは俺達の姿を確認するや否や跳躍してこっちに向かって襲いかかってきた。
「ひっ──」
それに驚くシスカ、構わず幸一はアミラージ角の部分を左手でつかむ、
そして背中にナイフを突き刺す、ガクッとアミラージが事切れる引っこ抜いたと同時に血が吹き出る。
幸一は手際よく、林の中にいたアミラージを捌く。
シスカを見ると、何もせずもじもじと後ろでおびえながら立っているだけ。
明らかに怖がっている。
すると森から一匹アミラージが出てきて幸一の方に向かってきた、と思ったら弱そうだと判断したのかシスカを襲おうとする。
「まずい!!」
三人は仕事をするために再びギルドに向かっていった。今日は特別な教育訓練をギルド全体で行う日になっている。
この世界では女性を教育するという感覚があまりなく、学校で教育させるより家で仕事をさせるという考えが強かった。
しかし魔法適性の強い女性が外に出る機会が増えていくようになる。なので教育を推進していくために研修という形で、外でどういった行動をとればいいかを教育する動き出来るようになる。
また、男性と接する機会が少なく、それが彼女たちが冒険者として育てていく上で弊害になってしまうのではないかという声も高まり、彼女たちの将来のことも考え男性と接する機会も与えようとのこともあっての開催であった。
湿地帯を抜け、拠点の林に到着する。
辺りには森が広がり、時折ウサギやシカなどの野生動物も垣間見える。
ここでは動物の狩猟や捌き方を教わることになっていた。
また、サラやイレーナも動物を捌いたことはないらしく、これから遠い異世界へ冒険をするかもしれない。そうなった時、自分で食料を調達の必要がある。なので、参加することになった。
また、ギルドで使う薬草を集めることになっており班分けが始める。
他にはアミラージと呼ばれる、シカのような角が生えたウサギを捕まえて捌くまでを行うようになっている。
黒髪で長髪の女性教官のオイグメールがこちらにやって来た、すると幸一たちに話しかけてくる。
「悪いが、少し頼みがあるんだけどいいかな?」
二人ほど同じグループで行動してほしいと説明。
一人はシスカという小さい女の子で年齢が低すぎてなかなかグループに入れてもらえず、実力にあるイレーナがいるなら大丈夫だと教官が考えて今回だけ組んでもらうというものである。
もう一人はルーデル・ラインハルトという人物で冒険者の中で数少ない男性の一人だった。
いつも1人でいて親しい者はいなく同じ男性がいるこのグループで行動させた方がいいということだった。
もちろん大丈夫です、と──。
「強がらなくたっていいんだよ、女の子がいっぱいいたほうがいいって正直に言えば?」
イレーナが茶化すように話に入る。するとそのルーデルがこの場にやってくる。
190cmくらいはありそうな身長、紫色で蟹とヒトデを足して2で割ったような髪型で幸一と同じくらいの年齢をした男性。
「あなたがルーデルさんですね? よろしくお願いいたします」
そう言って幸一は握手をしようと手を差し伸べる、しかし──。
「……」
手を差し伸べるどころか何も言わないルーデル。するとイレーナの隣からどこか弱弱しくかすれたような声で誰かが話しかけてくる。
「あのう、イレーナさんと幸一さんの所ってここですか?」
「うん、そうだよ」
イレーナが声がした方を向いて言葉を返す。そしてそこにいるのは小さい女の子でシスカと名乗り、そこには兎のような毛耳をした少女がいたのだが……。
「何でそんなぼろい服を着ているの?」
イレーナが思わず問いただす。まずその子はどう考えても12~3歳くらいしかない子供だった。さらに着ている服はボロボロで、髪の毛は幸一が見てもわかるくらい明らかに手入れがされていないのがわかる。
しかし髪の毛だけは整っていて、三つ編みおさげをしていた。
「魔力適性が群を抜いて他の人よりも高いんです」
サラはこの子の事情を知っているらしくそれを思い出して説明し始める。
彼女は元々貧困層で生まれた亜人であった。しかし魔力適正がとても高いことがわかり、すぐに多額の金を渡して士官学校に飛び級で入学する。
しかし元々16歳以上が入学条件だったため11歳の子が士官学校に入ること自体前例がなく、そのため彼女に会った制服が存在しないのでもっていた服はスラム街にいた時と変わらない服であった。
この街では貧富の差が激しく、スラム街がいたるところに存在していた。
彼女にとってここでなり上がることができなければ再びスラム街での生活、すなわち貧困へ一直線だという事を示すため必死になっていたのだが──。
「後薬草だ、俺はそういうの全然分からないけど知っている人は?」
幸一の質問にイレーナとサラが知っていると答える。
「2人は知ってる?」
幸一はシスカとルーデルに話を振る、しかしシスカは首を横にブンブンと振ってよくわかりませんと一言、ルーデルは──。
「そんなの興味はない!!」
そうぶっきらぼうに一言言うだけだった。
なので幸一はイレーナとサラが薬草を集め、残り3人でアミラージの狩りをしようと提案した。
何とかイレーナにも納得してもらい狩りがスタート。
3人は口をつぐみだして耳を澄ます。
アミラージは俺達の姿を確認するや否や跳躍してこっちに向かって襲いかかってきた。
「ひっ──」
それに驚くシスカ、構わず幸一はアミラージ角の部分を左手でつかむ、
そして背中にナイフを突き刺す、ガクッとアミラージが事切れる引っこ抜いたと同時に血が吹き出る。
幸一は手際よく、林の中にいたアミラージを捌く。
シスカを見ると、何もせずもじもじと後ろでおびえながら立っているだけ。
明らかに怖がっている。
すると森から一匹アミラージが出てきて幸一の方に向かってきた、と思ったら弱そうだと判断したのかシスカを襲おうとする。
「まずい!!」
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる