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夜の繁華街へ
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魔王軍の襲撃から二日後。幸一は秘密にとある行動に出る。
俺はこの席に来たばかりで当然この世界のことをよく知らない。空いた時間に図書館に行ったり、サラやイレーナから話を聞いていたり宮殿の中やギルドに行ったりしていた。
しかし、それはいずれも表の世界のことであり当然裏社会というのも存在する。幸一の世界にも存在しているように──。
宮殿にいても本をあさっても裏社会の情報は出てこない。あるのは政治学や歴史、哲学に関する本ばかり。
だったら自分の目で見て判断するのが一番だと考え、夜の繁華街をうろつくことにした。
特にこういった夜の店では、近くの客がよからぬ秘密を会話したり、要人がお忍びで夜遊びをしていたりすることもある。この世界の実情を知るチャンスでもあり、是非行って見ようと幸一は決意。
幸一は心の中で叫ぶ。
断じて、断じて断じて可愛い女の子といちゃいちゃしたりエッチなことをしたいとかいう下心があるわけではない。
──と。
夜の繁華街。回りを見ると通りかかる人の半分くらいは酔っぱらっていて、千鳥足で道端を歩いてみたり、もう一軒行こう!! と誰かが叫びながら店を出る犬の耳をした亜人の団体。
べろんべろんに酔っぱらったゴブリンの中年男性や、酔いつぶれて歩けず仲間に両肩を借りながら連れて行かれる老人など、夜の繁華街ならでばの光景が見られた。
中心街から少し歩き、小さな路地に入ると小さな店が視界に入る。埃っぽくて小汚そうな店。やや年季が入った様な木製の建物。デメテルと書かれており、恐らくはバーの様なものであると幸一が予想する。
「ここにしてみるか?」
幸一がそう囁き店のドアを開ける。マスターらしき長身で整ったひげを蓄えたような人物がカウンターから声をかける。
「いらっしゃいませ、見ない顔ですね……」
「ええ、最近この街に来たんでね……」
そう世間話をしながらカウンター席に座る。
そしてメニューを開きながら何をいただこうか、幸一が考え始める、そして──。
「ちょっと俺酒が飲めない体質なんでミルクでよいですか?」
明らかにマスターが不機嫌な顔になる。ここは酒屋だぞ、何でそんな物を出さなきゃいけないんだという表情をしだす。
バーだからってミルクを頼んじゃいけない決まりなんてないだろ、と考えながら自分が酒が飲めないと説明し了承する。
さらに小腹がすいていたので、パエリアも一緒に頼んだ。
周囲の話しを聞きながら二十分ほどで料理が出てくる。
「あいよ、兄ちゃん」
その食事を口に入れ、味を確かめる。
「高級料理ではないけど先日の料理よりはおいしいな」
先日の様な限度を超えるようなまずい食事ではなく、そこそこおいしい味に安堵し、ほっとする。
おいしそうに幸一が食事を続けていると、何やらきな臭い話しをする人物がいた。
食べながら幸一は周囲の会話を盗み聞き。周りでは公然と薬物や奴隷の話しが聞こえてくる。
黒いジャケット、両耳には宝石が飾ってあるピアス、腕にはタトゥーをしている人物。
(やはり奴隷制度ってあるのか……)
言葉を聞くだけで複雑な感情になる。
幸一が周りの会話の聞き取りに夢中になっていると、誰かが空いていた右隣に話しかけてくる。
「あのう、ちょっとよろしいですか?」
肩をつんつんと、やや派手な黄色のネイルの指で触る。幸一が反応し振り返る。
「あなた、炎の唯一王さんですよね? 私、リーラと申します」
作り笑顔を浮かべ、リーラが幸一に急接近する。
「記者なんです。あなたと会えるのがとてもうれしく思っています。良かったです会えて。活躍聞きましたよ、炎の唯一王様、もう活躍されているんですって? とても素晴らしいと思います」
「ああ、そうですか、そう思っていただいてうれしいです」
幸一は彼女の積極的なアプローチに驚き苦笑い、動揺しながら何とか対応する。
「じゃあ憧れの勇者さんと会えたことですし……」
そう言うや否やリーラは幸一にさらに急接近し耳元でこう囁いた。
「いろいろお話しましょ──」
その言葉に幸一は思わずドキッとする。彼はそういった行為とは今まで無縁の存在で交際歴など全くなかった。初めての光景に頭が真っ白になる。
そしてリーラが話しを始める。互いのこと、職業や趣味のことなど。
話す中で幸一は本能的にあまりかかわっていると、変な気を起こしそうになると勘づく。
だがリーラはそんなことお構いなしに積極的に話しかける、互いに話しははずみ雰囲気は良くなっていく……。
するとリーラが幸一の胸に飛び込み、上目づかいをして囁いた。
「あなた、私好みね。興味持っちゃった──」
リーラの甘い声、笑みを作り、ギュッと強く抱きしめる。
越しに伝わる柔らかな胸の感触。ライムの香水の様なにおいが鼻に入り込み全身に回って行く。
このまま嗅いでいると理性を溶かされてしまいそうだ──。
ひょっとしたら媚薬の類の可能性だってある。魔法が使える世界ならばそのような薬があっても何ら不思議ではない。
幸一は軽く深呼吸をして、理性を振り絞り言葉を返す。
「や、やめてください。そ、その……、当たってますから──」
小悪魔のように耳元で囁く。
「そこってなぁに? 私わかんなぁ~い」
谷間が見えていて一瞬ドキッとしてしまう。
「む、胸です」
明らかに誘惑しているのが分かる、そういった行為が未経験の幸一は顔を赤面させる。
胸の谷間が見えてしまっていて、吸い寄せられるように視線を凝視させる。
(れれれ、冷静になれ、彼女は明らかに誘っている)
何とか動揺している自分を何とかただす。
リーラは恥じらいもなく誘惑行為を続ける。すると、今度はなんと幸一にぎゅっと抱きしめてきたのである。
豊満な胸の柔らかい感触、動揺を隠せず思わず声を上げてしまう。
目をぱちくりさせながら彼を見つめる。程よい化粧をしたきれいな肌、マスカラが盛られカールされた程よく長いまつ毛。
美人で色っぽい大人という言葉がとても似合う。
「私好みよ、あなた──」
俺はこの席に来たばかりで当然この世界のことをよく知らない。空いた時間に図書館に行ったり、サラやイレーナから話を聞いていたり宮殿の中やギルドに行ったりしていた。
しかし、それはいずれも表の世界のことであり当然裏社会というのも存在する。幸一の世界にも存在しているように──。
宮殿にいても本をあさっても裏社会の情報は出てこない。あるのは政治学や歴史、哲学に関する本ばかり。
だったら自分の目で見て判断するのが一番だと考え、夜の繁華街をうろつくことにした。
特にこういった夜の店では、近くの客がよからぬ秘密を会話したり、要人がお忍びで夜遊びをしていたりすることもある。この世界の実情を知るチャンスでもあり、是非行って見ようと幸一は決意。
幸一は心の中で叫ぶ。
断じて、断じて断じて可愛い女の子といちゃいちゃしたりエッチなことをしたいとかいう下心があるわけではない。
──と。
夜の繁華街。回りを見ると通りかかる人の半分くらいは酔っぱらっていて、千鳥足で道端を歩いてみたり、もう一軒行こう!! と誰かが叫びながら店を出る犬の耳をした亜人の団体。
べろんべろんに酔っぱらったゴブリンの中年男性や、酔いつぶれて歩けず仲間に両肩を借りながら連れて行かれる老人など、夜の繁華街ならでばの光景が見られた。
中心街から少し歩き、小さな路地に入ると小さな店が視界に入る。埃っぽくて小汚そうな店。やや年季が入った様な木製の建物。デメテルと書かれており、恐らくはバーの様なものであると幸一が予想する。
「ここにしてみるか?」
幸一がそう囁き店のドアを開ける。マスターらしき長身で整ったひげを蓄えたような人物がカウンターから声をかける。
「いらっしゃいませ、見ない顔ですね……」
「ええ、最近この街に来たんでね……」
そう世間話をしながらカウンター席に座る。
そしてメニューを開きながら何をいただこうか、幸一が考え始める、そして──。
「ちょっと俺酒が飲めない体質なんでミルクでよいですか?」
明らかにマスターが不機嫌な顔になる。ここは酒屋だぞ、何でそんな物を出さなきゃいけないんだという表情をしだす。
バーだからってミルクを頼んじゃいけない決まりなんてないだろ、と考えながら自分が酒が飲めないと説明し了承する。
さらに小腹がすいていたので、パエリアも一緒に頼んだ。
周囲の話しを聞きながら二十分ほどで料理が出てくる。
「あいよ、兄ちゃん」
その食事を口に入れ、味を確かめる。
「高級料理ではないけど先日の料理よりはおいしいな」
先日の様な限度を超えるようなまずい食事ではなく、そこそこおいしい味に安堵し、ほっとする。
おいしそうに幸一が食事を続けていると、何やらきな臭い話しをする人物がいた。
食べながら幸一は周囲の会話を盗み聞き。周りでは公然と薬物や奴隷の話しが聞こえてくる。
黒いジャケット、両耳には宝石が飾ってあるピアス、腕にはタトゥーをしている人物。
(やはり奴隷制度ってあるのか……)
言葉を聞くだけで複雑な感情になる。
幸一が周りの会話の聞き取りに夢中になっていると、誰かが空いていた右隣に話しかけてくる。
「あのう、ちょっとよろしいですか?」
肩をつんつんと、やや派手な黄色のネイルの指で触る。幸一が反応し振り返る。
「あなた、炎の唯一王さんですよね? 私、リーラと申します」
作り笑顔を浮かべ、リーラが幸一に急接近する。
「記者なんです。あなたと会えるのがとてもうれしく思っています。良かったです会えて。活躍聞きましたよ、炎の唯一王様、もう活躍されているんですって? とても素晴らしいと思います」
「ああ、そうですか、そう思っていただいてうれしいです」
幸一は彼女の積極的なアプローチに驚き苦笑い、動揺しながら何とか対応する。
「じゃあ憧れの勇者さんと会えたことですし……」
そう言うや否やリーラは幸一にさらに急接近し耳元でこう囁いた。
「いろいろお話しましょ──」
その言葉に幸一は思わずドキッとする。彼はそういった行為とは今まで無縁の存在で交際歴など全くなかった。初めての光景に頭が真っ白になる。
そしてリーラが話しを始める。互いのこと、職業や趣味のことなど。
話す中で幸一は本能的にあまりかかわっていると、変な気を起こしそうになると勘づく。
だがリーラはそんなことお構いなしに積極的に話しかける、互いに話しははずみ雰囲気は良くなっていく……。
するとリーラが幸一の胸に飛び込み、上目づかいをして囁いた。
「あなた、私好みね。興味持っちゃった──」
リーラの甘い声、笑みを作り、ギュッと強く抱きしめる。
越しに伝わる柔らかな胸の感触。ライムの香水の様なにおいが鼻に入り込み全身に回って行く。
このまま嗅いでいると理性を溶かされてしまいそうだ──。
ひょっとしたら媚薬の類の可能性だってある。魔法が使える世界ならばそのような薬があっても何ら不思議ではない。
幸一は軽く深呼吸をして、理性を振り絞り言葉を返す。
「や、やめてください。そ、その……、当たってますから──」
小悪魔のように耳元で囁く。
「そこってなぁに? 私わかんなぁ~い」
谷間が見えていて一瞬ドキッとしてしまう。
「む、胸です」
明らかに誘惑しているのが分かる、そういった行為が未経験の幸一は顔を赤面させる。
胸の谷間が見えてしまっていて、吸い寄せられるように視線を凝視させる。
(れれれ、冷静になれ、彼女は明らかに誘っている)
何とか動揺している自分を何とかただす。
リーラは恥じらいもなく誘惑行為を続ける。すると、今度はなんと幸一にぎゅっと抱きしめてきたのである。
豊満な胸の柔らかい感触、動揺を隠せず思わず声を上げてしまう。
目をぱちくりさせながら彼を見つめる。程よい化粧をしたきれいな肌、マスカラが盛られカールされた程よく長いまつ毛。
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