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一章 真紅の王冠(レグルス編)
7.敗北感満載の寝起き
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***
目が覚めると、俺はベットの上にいた。
確か、庭園でお茶をして、色々聞き出そうとしたのに上手くいかず、取り乱して、それから目の前が真っ暗になって……
今は朝か、昼か? どのくらい時間が経ったのだろう。分厚いカーテンの隙間からは光が差していた。もう、レグルスはきっと帰ってしまったよな。
馬鹿だよな。婚約解消の流れにしたかったのに、つい、感情的になってぶち壊してしまった。
でも、急に倒れたわけだから、こんな病弱な嫁は要らないなんて展開になってくれないかな。
いや、ならないだろうな。あんなに前から俺を見ていたのだから、レグルスだって最初からアルキオーネの病弱っぷりは知っているはずだ。
「お嬢様! お目覚めに!」
盥に水を入れたものを持って部屋に入ってきたメリーナが駆け寄ってくる。あーあ、あんまり慌てて走るもんだから盥から水がバシャバシャと零れ落ちてるじゃないか。
俺はメリーナを見て微苦笑した。
「ええ、メリーナありがとう。心配をかけてごめんなさい」
「このままお目覚めにならないかと不安でした。本当に良かった……」
メリーナは目の縁いっぱいに涙を溜めて俺に縋るようにそう言った。
俺の胸がズキリと痛む。嗚呼、俺はこんなに可愛い人を泣かせてしまっている。なんてことをしてしまったんだ。
俺は罪悪感で胸がいっぱいになった。
「お嬢様はご自身が思ってる以上にか弱いのに、私が気遣えなかったばかりにこんな目に遭ってしまって……」
「メリーナのせいではないんです。全てわたくしが……」
「いいえ、お嬢様はまだ幼いのです! 私が気遣うべきなんです!」
本当に馬鹿だ。自分の体調に気をつけることなんていくらでも出来たはずだった。それなのに、アルキオーネの限界も考えずに無理をしてしまった。
なんで、自分だって転生したら、よくある漫画やゲームみたいに上手くやれるなんて思っていたんだろう。チートもなけりゃ、そもそものスペックが低いんだもの上手くやれるはずもないのに。
スピカやアルキオーネを幸せにしてやるなんて言っていたのはどの口だ。
メリーナを泣かせて、混乱して訳も分からずレグルスを詰り、アルキオーネの身体を酷使している。こんなに体が弱く、精神も未熟な俺が誰かを幸せにできることなんてできる訳がない。
その点、レグルスはどうだろう。
ゲームの中ではDVクソ野郎だったが、俺が何となく受け入れられなかっただけで、現実のレグルスは優しくて、思いやりがあって、アルキオーネのことをちゃんと見ていてくれる。物語の中の王子様みたいなやつだった。
本当にスピカやアルキオーネを幸せにできるのはレグルスの方なんじゃないのか?
もしかすると、俺は思っていたよりも格段にいい奴だったレグルスに嫉妬していたのではないだろうか。だから、あんなにも敵意を持ってしまったのではないか。
俺は深く反省せざるをえなかった。
「本当にごめんなさい」
本来、レグルスに言うべき言葉をメリーナに向かって呟いた。
「いえ、私には勿体ないお言葉です。そんな顔なさらないで。お嬢様が笑顔であることが私の喜びなんです」
メリーナは目の縁の涙を拭うと、笑った。メリーナの笑顔の破壊力は凄まじかった。
その顔を見た瞬間、罪悪感がものすごく湧いてくるのが分かった。ごめん、本当に悪かった。もう二度としないようにするから。ただでさえ、罪悪感で胸いっぱいだったのに、これ以上罪悪感が湧いてきたら、胸が破裂してしまいそうだ。
「ごめんなさい。本当に、悪いのはわたくしです。許してください」
俺は譫言のように呟いた。
いつもそうだ。良かれと思ってやったことが裏目に出る。あの時だって……
閃くように記憶が蘇る。反転する世界。落ちていく身体。視界の端に小さく映るのはあの子の姿だった。彼女は驚いたような顔をしていた。
この身体では味わったことがないはずなのに、あの衝撃と痛みが未だに忘れられない。
「お嬢様?」
「あっ……」
メリーナは心配そうに俺の顔を覗いていた。
「熱があって三日間も寝込んでいたのです。もう少し休んで……」
「三日間も? レグルス様はちゃんとお帰りになったのですか?」
一瞬だけ意識を失ったつもりだったのに、そんなに時間が経っていただなんて。
「ええ、お嬢様のことを大変心配して一日泊まっていかれましたが、流石に長くは居れず、お帰りになられました。本当に心配だった様子で……」
「レグルス様が?」
「ええ。本当にこちらが心配になってしまうほどでしたよ。ずっと夜遅くまでお嬢様の部屋の扉の前を落ち着きなく何度も往復されて……心配ならと部屋の中に入ることを旦那様は勧めましたが、王子殿下自身が遠慮されたので、結局廊下に椅子と毛布をご用意しました。とても優しい婚約者様ですね。殿下は眠い目を擦りながら早朝近くまで起きて廊下にいらして、その姿を見た使用人一同、それはそれは感動しておりました」
なんだそれ。天下のレグルス様ともあろう人が廊下でずっと俺のことを心配していたなんて……いや、もうレグルスのことを色眼鏡で見るのはやめようと思ったばかりじゃないか。
「嗚呼、そうでした。お帰りの際に伝言を、と。『体調が優れないところを押しかけたようで申し訳ない。今度は是非体調の良い日に。できれば、僕の誕生日には会いたいものだ』と仰ってました」
「そう、レグルス様がそんなことを……」
なんだよ。やっぱりめちゃくちゃいい奴じゃん。
俺は何だかとても悔しくなった。
レグルスに負けたような気持ちになる。いや、その感情すら間違っている。俺は俺の醜い感情に負けただけだ。俺はまだレグルスと戦ってすらいない。
俺もレグルスと同じ土俵に立って、正々堂々と戦わなければ男として、月山昴としての俺はきっとダメになる。
せめて、対等に、レグルスと向き合って戦えるように心も身体も強くならねばならない。そうして、漸く、アルキオーネやスピカを幸せにしてやると言えるようになるんだ。
「さて、お嬢様が目覚めたことを旦那様たちにお伝えしなければ。あ、お嬢様はまだ熱が下がっていないのですからゆっくりお休みになってくださいね」
メリーナは俺を寝かしつけると、額に濡れタオルを載せた。タオルは冷たくて心地よかった。
「ねえ、メリーナ、ちゃんと熱が下がったらお父様にお願いしたいことがあるんです」
「ええ、旦那様はお嬢様の言うことならなんでも聞いてくださいますよ」
「本当にそう思う?」
「ええ」
メリーナはゆっくりと頷く。
「ありがとう。勿論、メリーナにもお願いしたいことがたくさんあるの。協力してくれるかしら?」
「ええ。私で良ければ力になりますわ」
「でも、もしかしたらお母様は反対するかも……」
「どんなことをお考えなんですか?」
メリーナは笑う。
「……今は、内緒」
「じゃあ、熱が下がったら絶対教えてくださいね」
「もち、ろ、ん……」
「さあ、瞼が落ちてきましたよ。ゆっくり、お休みください。お嬢様」
メリーナの声がどんどん遠くになる。
「ありがと……」
俺はそう呟くと、深い眠りに落ちていった。
***
その日、俺は夢を見た。懐かしい夢だ。
もう二度と会うことの出来ない妹がそこにはいた。
『お兄ちゃん』
妹が俺を呼ぶ。
『お兄ちゃんのいい所を教えてあげよう。お馬鹿なところ、優しいところ、私のことが好きなところ……あとね、自分が嫌なことを人にしないところだよ』
嗚呼、これは俺が初めての彼女に振られたときの妹が慰めてくれた。その時の言葉だ。
確か、あの時は、「シスコンなんて気持ち悪い。なんで妹のことばかり気にかけるの。私のことはどうでもいいんでしょ」って振られたんだよな。
全然、どうでもよくはなかった。でも、どうしても彼女と妹を天秤にかけることが出来なかった。どちらも大事だったから。だから、先に約束した方を優先にしていたらそんな言葉を投げられた。
『お馬鹿で優しいから、大切な妹も大好きな彼女もどちらも大事にしたかったし、自分がされて嫌だと思うから先に約束した方を優先にしたんだよね。でもさ、そんなこと分かるわけないじゃん。彼女だったら、私を優先にしてって思うじゃん。お兄ちゃんの悪いところは女心が分からないところだよ』
妹の言う通りだった。俺がいくら二人とも同じくらい大切な存在なのだと説明しても、「彼女が優先されるべきだ」と言って、彼女は理解してくれなかった。
この世で一番は何人もいてはいけないらしい。
それぞれがそれぞれ意味の違う一番なのに、どうして一番が沢山あったらいけないのだろう。俺には理解が出来なかった。
『分かるわけないだろう。女心が分からなきゃ彼女を作ったらいけないのかよ』
『そんなことないよ。そこは相性とか運命とか色々あるもん。きっと、お兄ちゃんのいいところ、分かってくれる人が現れるよ』
妹が笑う。
『そんなヤツいるのか?』
『さあね。あ、お兄ちゃんのいいところまだあった!』
『なんだよ』
『これって決めたらそれに向かってすごく頑張れちゃうところ! 負けず嫌いとはちょっと違うんだけど、とにかく頑張っちゃうでしょ?』
『思い当たるところがねえよ』
『そうかな? そんなことないよ』
妹は俺の横でずっと笑っていた。
それがとても幸せで、とても心地が良くて、ずっと覚めなければいいのにと、そう俺は願わずにいられなかった。
目が覚めると、俺はベットの上にいた。
確か、庭園でお茶をして、色々聞き出そうとしたのに上手くいかず、取り乱して、それから目の前が真っ暗になって……
今は朝か、昼か? どのくらい時間が経ったのだろう。分厚いカーテンの隙間からは光が差していた。もう、レグルスはきっと帰ってしまったよな。
馬鹿だよな。婚約解消の流れにしたかったのに、つい、感情的になってぶち壊してしまった。
でも、急に倒れたわけだから、こんな病弱な嫁は要らないなんて展開になってくれないかな。
いや、ならないだろうな。あんなに前から俺を見ていたのだから、レグルスだって最初からアルキオーネの病弱っぷりは知っているはずだ。
「お嬢様! お目覚めに!」
盥に水を入れたものを持って部屋に入ってきたメリーナが駆け寄ってくる。あーあ、あんまり慌てて走るもんだから盥から水がバシャバシャと零れ落ちてるじゃないか。
俺はメリーナを見て微苦笑した。
「ええ、メリーナありがとう。心配をかけてごめんなさい」
「このままお目覚めにならないかと不安でした。本当に良かった……」
メリーナは目の縁いっぱいに涙を溜めて俺に縋るようにそう言った。
俺の胸がズキリと痛む。嗚呼、俺はこんなに可愛い人を泣かせてしまっている。なんてことをしてしまったんだ。
俺は罪悪感で胸がいっぱいになった。
「お嬢様はご自身が思ってる以上にか弱いのに、私が気遣えなかったばかりにこんな目に遭ってしまって……」
「メリーナのせいではないんです。全てわたくしが……」
「いいえ、お嬢様はまだ幼いのです! 私が気遣うべきなんです!」
本当に馬鹿だ。自分の体調に気をつけることなんていくらでも出来たはずだった。それなのに、アルキオーネの限界も考えずに無理をしてしまった。
なんで、自分だって転生したら、よくある漫画やゲームみたいに上手くやれるなんて思っていたんだろう。チートもなけりゃ、そもそものスペックが低いんだもの上手くやれるはずもないのに。
スピカやアルキオーネを幸せにしてやるなんて言っていたのはどの口だ。
メリーナを泣かせて、混乱して訳も分からずレグルスを詰り、アルキオーネの身体を酷使している。こんなに体が弱く、精神も未熟な俺が誰かを幸せにできることなんてできる訳がない。
その点、レグルスはどうだろう。
ゲームの中ではDVクソ野郎だったが、俺が何となく受け入れられなかっただけで、現実のレグルスは優しくて、思いやりがあって、アルキオーネのことをちゃんと見ていてくれる。物語の中の王子様みたいなやつだった。
本当にスピカやアルキオーネを幸せにできるのはレグルスの方なんじゃないのか?
もしかすると、俺は思っていたよりも格段にいい奴だったレグルスに嫉妬していたのではないだろうか。だから、あんなにも敵意を持ってしまったのではないか。
俺は深く反省せざるをえなかった。
「本当にごめんなさい」
本来、レグルスに言うべき言葉をメリーナに向かって呟いた。
「いえ、私には勿体ないお言葉です。そんな顔なさらないで。お嬢様が笑顔であることが私の喜びなんです」
メリーナは目の縁の涙を拭うと、笑った。メリーナの笑顔の破壊力は凄まじかった。
その顔を見た瞬間、罪悪感がものすごく湧いてくるのが分かった。ごめん、本当に悪かった。もう二度としないようにするから。ただでさえ、罪悪感で胸いっぱいだったのに、これ以上罪悪感が湧いてきたら、胸が破裂してしまいそうだ。
「ごめんなさい。本当に、悪いのはわたくしです。許してください」
俺は譫言のように呟いた。
いつもそうだ。良かれと思ってやったことが裏目に出る。あの時だって……
閃くように記憶が蘇る。反転する世界。落ちていく身体。視界の端に小さく映るのはあの子の姿だった。彼女は驚いたような顔をしていた。
この身体では味わったことがないはずなのに、あの衝撃と痛みが未だに忘れられない。
「お嬢様?」
「あっ……」
メリーナは心配そうに俺の顔を覗いていた。
「熱があって三日間も寝込んでいたのです。もう少し休んで……」
「三日間も? レグルス様はちゃんとお帰りになったのですか?」
一瞬だけ意識を失ったつもりだったのに、そんなに時間が経っていただなんて。
「ええ、お嬢様のことを大変心配して一日泊まっていかれましたが、流石に長くは居れず、お帰りになられました。本当に心配だった様子で……」
「レグルス様が?」
「ええ。本当にこちらが心配になってしまうほどでしたよ。ずっと夜遅くまでお嬢様の部屋の扉の前を落ち着きなく何度も往復されて……心配ならと部屋の中に入ることを旦那様は勧めましたが、王子殿下自身が遠慮されたので、結局廊下に椅子と毛布をご用意しました。とても優しい婚約者様ですね。殿下は眠い目を擦りながら早朝近くまで起きて廊下にいらして、その姿を見た使用人一同、それはそれは感動しておりました」
なんだそれ。天下のレグルス様ともあろう人が廊下でずっと俺のことを心配していたなんて……いや、もうレグルスのことを色眼鏡で見るのはやめようと思ったばかりじゃないか。
「嗚呼、そうでした。お帰りの際に伝言を、と。『体調が優れないところを押しかけたようで申し訳ない。今度は是非体調の良い日に。できれば、僕の誕生日には会いたいものだ』と仰ってました」
「そう、レグルス様がそんなことを……」
なんだよ。やっぱりめちゃくちゃいい奴じゃん。
俺は何だかとても悔しくなった。
レグルスに負けたような気持ちになる。いや、その感情すら間違っている。俺は俺の醜い感情に負けただけだ。俺はまだレグルスと戦ってすらいない。
俺もレグルスと同じ土俵に立って、正々堂々と戦わなければ男として、月山昴としての俺はきっとダメになる。
せめて、対等に、レグルスと向き合って戦えるように心も身体も強くならねばならない。そうして、漸く、アルキオーネやスピカを幸せにしてやると言えるようになるんだ。
「さて、お嬢様が目覚めたことを旦那様たちにお伝えしなければ。あ、お嬢様はまだ熱が下がっていないのですからゆっくりお休みになってくださいね」
メリーナは俺を寝かしつけると、額に濡れタオルを載せた。タオルは冷たくて心地よかった。
「ねえ、メリーナ、ちゃんと熱が下がったらお父様にお願いしたいことがあるんです」
「ええ、旦那様はお嬢様の言うことならなんでも聞いてくださいますよ」
「本当にそう思う?」
「ええ」
メリーナはゆっくりと頷く。
「ありがとう。勿論、メリーナにもお願いしたいことがたくさんあるの。協力してくれるかしら?」
「ええ。私で良ければ力になりますわ」
「でも、もしかしたらお母様は反対するかも……」
「どんなことをお考えなんですか?」
メリーナは笑う。
「……今は、内緒」
「じゃあ、熱が下がったら絶対教えてくださいね」
「もち、ろ、ん……」
「さあ、瞼が落ちてきましたよ。ゆっくり、お休みください。お嬢様」
メリーナの声がどんどん遠くになる。
「ありがと……」
俺はそう呟くと、深い眠りに落ちていった。
***
その日、俺は夢を見た。懐かしい夢だ。
もう二度と会うことの出来ない妹がそこにはいた。
『お兄ちゃん』
妹が俺を呼ぶ。
『お兄ちゃんのいい所を教えてあげよう。お馬鹿なところ、優しいところ、私のことが好きなところ……あとね、自分が嫌なことを人にしないところだよ』
嗚呼、これは俺が初めての彼女に振られたときの妹が慰めてくれた。その時の言葉だ。
確か、あの時は、「シスコンなんて気持ち悪い。なんで妹のことばかり気にかけるの。私のことはどうでもいいんでしょ」って振られたんだよな。
全然、どうでもよくはなかった。でも、どうしても彼女と妹を天秤にかけることが出来なかった。どちらも大事だったから。だから、先に約束した方を優先にしていたらそんな言葉を投げられた。
『お馬鹿で優しいから、大切な妹も大好きな彼女もどちらも大事にしたかったし、自分がされて嫌だと思うから先に約束した方を優先にしたんだよね。でもさ、そんなこと分かるわけないじゃん。彼女だったら、私を優先にしてって思うじゃん。お兄ちゃんの悪いところは女心が分からないところだよ』
妹の言う通りだった。俺がいくら二人とも同じくらい大切な存在なのだと説明しても、「彼女が優先されるべきだ」と言って、彼女は理解してくれなかった。
この世で一番は何人もいてはいけないらしい。
それぞれがそれぞれ意味の違う一番なのに、どうして一番が沢山あったらいけないのだろう。俺には理解が出来なかった。
『分かるわけないだろう。女心が分からなきゃ彼女を作ったらいけないのかよ』
『そんなことないよ。そこは相性とか運命とか色々あるもん。きっと、お兄ちゃんのいいところ、分かってくれる人が現れるよ』
妹が笑う。
『そんなヤツいるのか?』
『さあね。あ、お兄ちゃんのいいところまだあった!』
『なんだよ』
『これって決めたらそれに向かってすごく頑張れちゃうところ! 負けず嫌いとはちょっと違うんだけど、とにかく頑張っちゃうでしょ?』
『思い当たるところがねえよ』
『そうかな? そんなことないよ』
妹は俺の横でずっと笑っていた。
それがとても幸せで、とても心地が良くて、ずっと覚めなければいいのにと、そう俺は願わずにいられなかった。
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