26 / 52
一、溺愛始めました。
24※
しおりを挟む
「これでも我慢した方なんだ。ルカの寝顔を見るともっと触れたくて堪らなくなる。気持ち良くなって欲しいし、気持ち良くなりたい。でも、お前が嫌なことはしたくない」
そう言って、魔王は俺の顔にキスの雨を振らせた。
先程とは違う、触れるだけのキスは穏やかで優しくてこれはこれで悪くない。
でも、それとこれとは話が別だ。
「嫌なことをしたくないって言うけどさ、お前、人が寝てる間に勝手に魔力を流すなよ。怖いだろ?」
「怖い?」
「そうだよ。自分の知らない間に……し、処女喪失したかと思うだろ!」
耳が熱い。きっと俺の顔は真っ赤に違いない。
男の俺が童貞喪失の前に処女喪失を気にする日が来ようものとは思ってもみなかった。
自分で言ってて恥ずかしくなる。
「どうしたら、怖くなくなる?」
魔王はじっと俺を見つめて尋ねる。
どうやら魔王はどうしても俺に触れて魔力を流したいらしい。
魔王にとってメリットなんてなさそうなのになんでそんなにしたがるんだよ。
「ちゃんと許可取って、合意の元すればいいんだよ。当たり前だろ?」
「分かった」
「大体、今だって触っていいって許可してない。キスくらい我慢しろよ」
「気持ちよくなかったのか?」
「それは……よかったけど」
確かに気持ちはいいんだ。
お互いの境界がなくなってぐずぐずに理性が溶けるようなキスも、柔らかく落とされるだけのキスも、与えられるものは全部、気持ちがよくて困るくらいだ。
ちゃんと話したいのに、魔王のことが知りたいのに、気持ちよくなって全部どうでもよくなるのはまずい。
「ならいいだろう?」
低く魔王は耳元で囁く。
いつもならムカつく、自信満々の声なのに何だか心臓が痛む。
「ダメなんだって」
「何故?」
今度は色気たっぷりにお腹の中が疼くような低い声で囁かれる。
「あっ、ダメ……ダメだからっ、許可してない、ダメっ」
俺は答えにならない答えを漏らす。
「答えになってないな」
魔王はそう言って笑った。
耳介に濡れた舌が触れる。
それからゆったりと弄ぶように舐め上げられ、耳輪を甘く噛まれる。
水音を立てながら何度もそうされては俺の腰は簡単に砕けてしまう。
「これもダメか?」
「あ、いい……きもちい……っ」
慣れない耳への愛撫に思わず声が漏れた。
「そうか、いいんだな」
「違っ……まだ話はおわ……終わってない……っ」
快感のあまり出た言葉を魔王は俺へ触れる許可だと受け取ったらしい。
慌てて取り消そうとするが、もう遅い。
魔王の愛撫は止まらない。
耳朶を擽るように幾度も舐められる。
柔らかい舌先が当たる度、もどかしいような感覚になる。
「ちゃんと聞いてやる。だから、話してくれ」
「んっ……ん、話せな……あ、あ♡」
「嫌ならやめようか?」
「嫌じゃない。嫌じゃないけど、俺は、魔王と、話したいっ……んっ♡」
息が上がり、甘い声が何度も出て、上手く話せない。
まただ。また、流される。
ちゃんと魔王と話さなきゃならないのに。
その為にこうして待ち伏せしていたのに。
「聞いてるぞ」
「だから……っ……あっ」
「もう口は塞いでいないのだから話せるだろう?」
耳から首、鎖骨、胸へと、魔王の舌が這う。
時折、舌が離れ、リップ音を立ててきつく肌が吸われる。
身を竦めるような短い痛みが走った。
吸われた胸元を見ると、赤い痕が幾つも並んでいた。
魔王はそれを満足そうに見下ろしてからまた胸元に口づけをした。
「あっ、あ♡」
聞かせるようにあからさまに音を立てられては、余計興奮して言葉が出てこない。
丁度、魔王の旋毛が目の前にあった。
俺は行き場のなくなった手を回すと、魔王の頭を抱いた。
風呂に入りたてなのかやたらといい香りがする。
俺は大きく息を吸う。
魔王の旋毛の匂い、嫌いじゃない。
「ルカ、教えてくれ」
甘えるように胸を吸いながら魔王は呟く。
何を教えたらいいんだっけ。
俺はぼんやりとしてくる頭を必死に動かす。
嗚呼、そうだ。言わなきゃならないことがあるんだ。
「俺の方が、教えて欲しい。だって、俺、魔王のこと、知りたかった。知る権利があると思った。父様と母様を殺した理由も、傷付けるくせに愛してるみたいな態度をとる理由も……」
息も絶え絶えに、悶えるように俺は魔王の髪を掻き抱く。
「それは……」
魔王は言葉を選んでいるようだ。
考え込むように小さく唸る。
魔王の言葉を待ってはいられない。
気持ち良すぎて理性が溶けきる前に言いたいことを全部言わなきゃ。
「ん、んんっ……きもちい……なんで、こんな気持ちよくする、の。こんな風にされたら、魔王のこと、嫌いになれない。嫌いなままがよかった」
「まるで告白だな」
魔王は笑う。
バカにされたと思い魔王の顔を見ると、魔王は優しい目で俺を見つめていた。
いつからそんな目で俺を見ていたんだ。
俺は恥ずかしくなって目を逸らした。
そんな優しい顔見ていられない。
「告白じゃない。俺は本当に、お前の、気持ちが知りたい……っだけ……」
魔王は俺をきつく抱き締めた。
「私のルカが可愛すぎる……惚れ直した」
「ん……可愛いって俺は男だ……」
「分かっている」
「分かっているなら……こんなこと……」
「やめない。気持ちよくしてやりたい」
魔王の声が一層低くなった。
そんな声で囁かれたら抵抗できなくなる。
そう言って、魔王は俺の顔にキスの雨を振らせた。
先程とは違う、触れるだけのキスは穏やかで優しくてこれはこれで悪くない。
でも、それとこれとは話が別だ。
「嫌なことをしたくないって言うけどさ、お前、人が寝てる間に勝手に魔力を流すなよ。怖いだろ?」
「怖い?」
「そうだよ。自分の知らない間に……し、処女喪失したかと思うだろ!」
耳が熱い。きっと俺の顔は真っ赤に違いない。
男の俺が童貞喪失の前に処女喪失を気にする日が来ようものとは思ってもみなかった。
自分で言ってて恥ずかしくなる。
「どうしたら、怖くなくなる?」
魔王はじっと俺を見つめて尋ねる。
どうやら魔王はどうしても俺に触れて魔力を流したいらしい。
魔王にとってメリットなんてなさそうなのになんでそんなにしたがるんだよ。
「ちゃんと許可取って、合意の元すればいいんだよ。当たり前だろ?」
「分かった」
「大体、今だって触っていいって許可してない。キスくらい我慢しろよ」
「気持ちよくなかったのか?」
「それは……よかったけど」
確かに気持ちはいいんだ。
お互いの境界がなくなってぐずぐずに理性が溶けるようなキスも、柔らかく落とされるだけのキスも、与えられるものは全部、気持ちがよくて困るくらいだ。
ちゃんと話したいのに、魔王のことが知りたいのに、気持ちよくなって全部どうでもよくなるのはまずい。
「ならいいだろう?」
低く魔王は耳元で囁く。
いつもならムカつく、自信満々の声なのに何だか心臓が痛む。
「ダメなんだって」
「何故?」
今度は色気たっぷりにお腹の中が疼くような低い声で囁かれる。
「あっ、ダメ……ダメだからっ、許可してない、ダメっ」
俺は答えにならない答えを漏らす。
「答えになってないな」
魔王はそう言って笑った。
耳介に濡れた舌が触れる。
それからゆったりと弄ぶように舐め上げられ、耳輪を甘く噛まれる。
水音を立てながら何度もそうされては俺の腰は簡単に砕けてしまう。
「これもダメか?」
「あ、いい……きもちい……っ」
慣れない耳への愛撫に思わず声が漏れた。
「そうか、いいんだな」
「違っ……まだ話はおわ……終わってない……っ」
快感のあまり出た言葉を魔王は俺へ触れる許可だと受け取ったらしい。
慌てて取り消そうとするが、もう遅い。
魔王の愛撫は止まらない。
耳朶を擽るように幾度も舐められる。
柔らかい舌先が当たる度、もどかしいような感覚になる。
「ちゃんと聞いてやる。だから、話してくれ」
「んっ……ん、話せな……あ、あ♡」
「嫌ならやめようか?」
「嫌じゃない。嫌じゃないけど、俺は、魔王と、話したいっ……んっ♡」
息が上がり、甘い声が何度も出て、上手く話せない。
まただ。また、流される。
ちゃんと魔王と話さなきゃならないのに。
その為にこうして待ち伏せしていたのに。
「聞いてるぞ」
「だから……っ……あっ」
「もう口は塞いでいないのだから話せるだろう?」
耳から首、鎖骨、胸へと、魔王の舌が這う。
時折、舌が離れ、リップ音を立ててきつく肌が吸われる。
身を竦めるような短い痛みが走った。
吸われた胸元を見ると、赤い痕が幾つも並んでいた。
魔王はそれを満足そうに見下ろしてからまた胸元に口づけをした。
「あっ、あ♡」
聞かせるようにあからさまに音を立てられては、余計興奮して言葉が出てこない。
丁度、魔王の旋毛が目の前にあった。
俺は行き場のなくなった手を回すと、魔王の頭を抱いた。
風呂に入りたてなのかやたらといい香りがする。
俺は大きく息を吸う。
魔王の旋毛の匂い、嫌いじゃない。
「ルカ、教えてくれ」
甘えるように胸を吸いながら魔王は呟く。
何を教えたらいいんだっけ。
俺はぼんやりとしてくる頭を必死に動かす。
嗚呼、そうだ。言わなきゃならないことがあるんだ。
「俺の方が、教えて欲しい。だって、俺、魔王のこと、知りたかった。知る権利があると思った。父様と母様を殺した理由も、傷付けるくせに愛してるみたいな態度をとる理由も……」
息も絶え絶えに、悶えるように俺は魔王の髪を掻き抱く。
「それは……」
魔王は言葉を選んでいるようだ。
考え込むように小さく唸る。
魔王の言葉を待ってはいられない。
気持ち良すぎて理性が溶けきる前に言いたいことを全部言わなきゃ。
「ん、んんっ……きもちい……なんで、こんな気持ちよくする、の。こんな風にされたら、魔王のこと、嫌いになれない。嫌いなままがよかった」
「まるで告白だな」
魔王は笑う。
バカにされたと思い魔王の顔を見ると、魔王は優しい目で俺を見つめていた。
いつからそんな目で俺を見ていたんだ。
俺は恥ずかしくなって目を逸らした。
そんな優しい顔見ていられない。
「告白じゃない。俺は本当に、お前の、気持ちが知りたい……っだけ……」
魔王は俺をきつく抱き締めた。
「私のルカが可愛すぎる……惚れ直した」
「ん……可愛いって俺は男だ……」
「分かっている」
「分かっているなら……こんなこと……」
「やめない。気持ちよくしてやりたい」
魔王の声が一層低くなった。
そんな声で囁かれたら抵抗できなくなる。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
アダルトショップでオナホになった俺
ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。
覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。
バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。
※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
【完結】神様はそれを無視できない
遊佐ミチル
BL
痩せぎすで片目眼帯。週三程度で働くのがせいっぱいの佐伯尚(29)は、誰が見ても人生詰んでいる青年だ。当然、恋人がいたことは無く、その手の経験も無い。
長年恨んできた相手に復讐することが唯一の生きがいだった。
住んでいたアパートの退去期限となる日を復讐決行日と決め、あと十日に迫ったある日、昨夜の記憶が無い状態で目覚める。
足は血だらけ。喉はカラカラ。コンビニのATMに出向くと爪に火を灯すように溜めてきた貯金はなぜか三桁。これでは復讐の武器購入や交通費だってままならない。
途方に暮れていると、昨夜尚を介抱したという浴衣姿の男が現れて、尚はこの男に江東区の月島にある橋の付近っで酔い潰れていて男に自宅に連れ帰ってもらい、キスまでねだったらしい。嘘だと言い張ると、男はその証拠をバッチリ録音していて、消して欲しいなら、尚の不幸を買い取らせろと言い始める。
男の名は時雨。
職業:不幸買い取りセンターという質屋の店主。
見た目:頭のおかしいイケメン。
彼曰く本物の神様らしい……。
後宮に潜む黒薔薇は吸血鬼の番となりて
緋村燐
恋愛
幼い頃から暗殺者としての訓練を受けてきた明凜は、隣国に嫁ぐ公主・蘭翠玉の侍女として儀国の後宮へと潜入する。
与えられた使命は儀皇帝・雲蘭の暗殺。
一月後と定められた翠玉の初夜までに宮城の把握に努めていた明凜だが、宦官の最高位である大長秋・令劉に捕らわれてしまった。
だが令劉は自らを吸血鬼と明かし、明凜が唯一自分の子を産める番(つがい)だと言う。
愛の言葉と共に添い遂げてくれるならば皇帝暗殺に協力すると告げる令劉に明凜は……。
*魔法のiらんど様にも掲載しております。
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行
蛍
BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・
主人公チートの総受けストリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる