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「鳴」を取る一人
17.
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西梅枝修次郎の次。
というか、何人か居るらしい。
情報。枚数。
結構な数になるのかも。とか依杏は思った。
西梅枝の次、というか並び順は特になし。
五十音の並びでもなく、ピックアップした人を載せた、という印象が強い。
電子ではなく紙。
釆原がスマホを見ている間に、依杏と寧唯はザッと眼を通した。
とりあえず眼についた人々の名前。
「あるね」
「ある。レストランで会った人でしょう?」
「そう。慈満寺の紺慈」
「何、その二つ名みたいな」
鐘搗紺慈、鐘搗深記子。
次いで、田上紫琉。
「漢字が難しい人だらけ」
「そうね。読めないかも」
かろうじてフリガナはあった。
岩撫衛舜、それから。
次へと捲ろうとして、何やら慌ただしい感じ。
依杏と寧唯が眼を上げると、僧侶三人が通り過ぎていく。
一方ファイルのほう、円山梅内。
「あの人じゃないの?」
と寧唯。
「どの人?」
「眼鏡。レストランの時にも居た気がするけど」
確かに居たかもしれない。
と依杏は記憶を無理矢理起こしてみた。
「それって、数登さんとは別ってことだよね」
「紺慈の取り巻きだった気がするけれど」
大体の経歴も載っているようだったが、その他にも情報としてはあるようだった。
ただ他は、アルバイトだったり。五十音ではない。臨時職員などの情報も多く。
鐘搗紺慈の経歴。
浅野崎大学修了。
桔梗院で修行。
円山梅内。
陸奥谷大学修了。
株式会社ZOO。
現在は慈満寺《じみつじ》のIT部門担当。
寧唯。
「地下で人が死んだってなると、慈満寺での正式な職員みたいな人たちの。情報がメインになる感じですか?」
「一応、地下で人が死んだ日に、同じ日に慈満寺に居たとか。あとは寺の主要なところで携わっている人を。上げてくれっていうのが、頼みだったから。上げたのは一応その六人かな」
と釆原。
寧唯。
「西梅枝っていう人は、慈満寺の職員ですらないですもんね」
「大学教授らしいけれど。地下のセキュリティには携わったらしい」
「距離的に慈満寺と近いですもんね。何かと関わりがあるのかな。考古学教授って書いてあるし」
と依杏。
「郁伽先輩が好きそう。考古学」
「地下って、染ヶ山の出土品とかもあるんですよね?」
寧唯が言う。
「というか陸奥谷大学ってメインは何なの?」
「よく知らない。IT関係じゃないの?」
と依杏。
「大学説明会のパンフレットで見た情報、かじっただけだけど」
「直接のつながりとしては、円山梅内じゃないかな。一応陸奥谷大学を出ているらしい」
示して言う釆原。
「ふうん。でも西梅枝自身はITの教授じゃない」
「じゃなくても出来る部分はあるんじゃない。大学教授なんだし」
と依杏。
眼鏡と言えば、通り過ぎた三人ともに眼鏡だった。
それに、慌てていた。
「鐘が鳴ったのと、関係あるのかもね」
「鳴ったのは、イレギュラーだったんだね」
と寧唯。
「それとも、三人とも地下でなんか起こったんじゃ、とか気にして慌てて行ったとかね」
「郁伽先輩から、連絡来てる?」
と依杏。
寧唯。
「いや、来てない。私たちも急いだほうがいいかなあ。でも、数登さんの写真持ってないし」
「釆原さんは持っていないんですか?」
「珊牙は写真、撮りたがらない質だから」
と釆原。
「じゃあ、行っちゃったほうが早いですかね。地下で何か起こってるとか、想像もしたくないけど」
「うん」
と言って依杏が立ち上がろうとして、眼の前にもう一人居るのに気が付いた。
「あら」
とその人。
「お取込み中よね。ごめんなさい」
写真でもかなり綺麗だったが、実物もそう。
鐘搗深記子が眼の前に居た。
白い衣。
長い黒髪。
というか、何人か居るらしい。
情報。枚数。
結構な数になるのかも。とか依杏は思った。
西梅枝の次、というか並び順は特になし。
五十音の並びでもなく、ピックアップした人を載せた、という印象が強い。
電子ではなく紙。
釆原がスマホを見ている間に、依杏と寧唯はザッと眼を通した。
とりあえず眼についた人々の名前。
「あるね」
「ある。レストランで会った人でしょう?」
「そう。慈満寺の紺慈」
「何、その二つ名みたいな」
鐘搗紺慈、鐘搗深記子。
次いで、田上紫琉。
「漢字が難しい人だらけ」
「そうね。読めないかも」
かろうじてフリガナはあった。
岩撫衛舜、それから。
次へと捲ろうとして、何やら慌ただしい感じ。
依杏と寧唯が眼を上げると、僧侶三人が通り過ぎていく。
一方ファイルのほう、円山梅内。
「あの人じゃないの?」
と寧唯。
「どの人?」
「眼鏡。レストランの時にも居た気がするけど」
確かに居たかもしれない。
と依杏は記憶を無理矢理起こしてみた。
「それって、数登さんとは別ってことだよね」
「紺慈の取り巻きだった気がするけれど」
大体の経歴も載っているようだったが、その他にも情報としてはあるようだった。
ただ他は、アルバイトだったり。五十音ではない。臨時職員などの情報も多く。
鐘搗紺慈の経歴。
浅野崎大学修了。
桔梗院で修行。
円山梅内。
陸奥谷大学修了。
株式会社ZOO。
現在は慈満寺《じみつじ》のIT部門担当。
寧唯。
「地下で人が死んだってなると、慈満寺での正式な職員みたいな人たちの。情報がメインになる感じですか?」
「一応、地下で人が死んだ日に、同じ日に慈満寺に居たとか。あとは寺の主要なところで携わっている人を。上げてくれっていうのが、頼みだったから。上げたのは一応その六人かな」
と釆原。
寧唯。
「西梅枝っていう人は、慈満寺の職員ですらないですもんね」
「大学教授らしいけれど。地下のセキュリティには携わったらしい」
「距離的に慈満寺と近いですもんね。何かと関わりがあるのかな。考古学教授って書いてあるし」
と依杏。
「郁伽先輩が好きそう。考古学」
「地下って、染ヶ山の出土品とかもあるんですよね?」
寧唯が言う。
「というか陸奥谷大学ってメインは何なの?」
「よく知らない。IT関係じゃないの?」
と依杏。
「大学説明会のパンフレットで見た情報、かじっただけだけど」
「直接のつながりとしては、円山梅内じゃないかな。一応陸奥谷大学を出ているらしい」
示して言う釆原。
「ふうん。でも西梅枝自身はITの教授じゃない」
「じゃなくても出来る部分はあるんじゃない。大学教授なんだし」
と依杏。
眼鏡と言えば、通り過ぎた三人ともに眼鏡だった。
それに、慌てていた。
「鐘が鳴ったのと、関係あるのかもね」
「鳴ったのは、イレギュラーだったんだね」
と寧唯。
「それとも、三人とも地下でなんか起こったんじゃ、とか気にして慌てて行ったとかね」
「郁伽先輩から、連絡来てる?」
と依杏。
寧唯。
「いや、来てない。私たちも急いだほうがいいかなあ。でも、数登さんの写真持ってないし」
「釆原さんは持っていないんですか?」
「珊牙は写真、撮りたがらない質だから」
と釆原。
「じゃあ、行っちゃったほうが早いですかね。地下で何か起こってるとか、想像もしたくないけど」
「うん」
と言って依杏が立ち上がろうとして、眼の前にもう一人居るのに気が付いた。
「あら」
とその人。
「お取込み中よね。ごめんなさい」
写真でもかなり綺麗だったが、実物もそう。
鐘搗深記子が眼の前に居た。
白い衣。
長い黒髪。
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